一夏達が小学2年生の夏のある日……
「ふむ、一夏と同い年にしてはかなりの腕前だな!」
「褒めてもらって嬉しいですけど、なんで俺は千冬さんと戦ってるんですか!?」
箒の家にある道場で武昭と一夏の姉である織斑千冬が手合わせをしていた。
至った経緯……
武昭が一夏、箒に連れられて道場に行くと道着に着替えた千冬がいた。
「久し振りですね千冬さん」
「あぁ、久し振りだな武昭。どれ、たまには相手をしてやろう」
「え?えーっと千冬さん……なんで俺が手合わせをしなきゃダメなんですか?」
「なーに、私が武昭の実力を確認したいだけだ!」
千冬が武昭に竹刀を頭上から振り下ろしたが武昭は数cm身体をずらしただけでかわした。
「ほう……今の一撃は手加減したとは言え、かなりの速さだったのだがな……」
「そりゃ、俺だって叩かれたくないですからね!」
武昭が千冬に殴りかかったが竹刀で防がれた。
「そう言う千冬さんこそ受け止めたじゃないですか?」
「そう簡単に私も食らう訳にはいかないからな!」
「だったら俺も同じ意見です!」
武昭がパンチやキックで千冬は竹刀で と互いに攻撃をし合っていた。
「なぁ……箒……武昭って俺達と同い年だよな……」
「あぁ……私も目の前の光景を信じられないからな……」
一夏と箒は自分達と同い年の少年が今までで一番強いと思われる者と戦えている事に驚いていた。
(ハァハァハァ……流石、千冬さんだな……一瞬も気が抜けないぜ……)
(以前よりも身体のキレが良くなってきているか……このままな私が負けるかもしれんな……)
武昭と千冬は互いに相手の様子を観察して距離を取っていた。
(仕方ねぇ……自分で鍛えてる時に何度かなった
(ん?何か武昭の様子が変わった……何をするか分からないが、今のこの瞬間ならば!!)
目を瞑った武昭が集中し始めたのを見た千冬は武昭に向かっていった。
「まずい!あのままなら武昭が!!避けろー!!」
「駄目だ!集中してるのか私達の声が聞こえていないみたいだ!」
一夏と箒は2人の様子を見て慌てていた。
「そうだ!この感じだ!!」
「武昭が何をしようとも、このまま私が押し切ってくれる!!」
「ハァー!手刀一閃!!」
千冬が上から竹刀を振り下ろして来たのを武昭は手刀で斬り裂いた。
「なっ!?……竹刀が……この斬れ味は……」
「千冬さん、これで終わりにしませんか?」
「あ、あぁ……そうだな……武昭、手は大丈夫なのか?」
「えぇ、これでもいつもの竹林で竹を斬ってますから、じゃあ俺は帰りますんで。
そうだ箒、柳韻さんに後で竹刀の弁償はするって言っておいてくれ」
「あぁ、分かった、それじゃあ、また来てくれ」
武昭は後ろを向きながら手を振ると道場から帰っていった。
一方……
「目の前で見てたとはいえ……素手でこれほどまでに斬れるとは……」
「おや〜ちーちゃん、どうしたのかなぁ〜?」
千冬が武昭の斬った竹刀を見ていると紫色の長い髪に機械のウサ耳を付けた女性、箒の姉である篠ノ之束が声をかけて来た。
「なんだ束か……ちょうど良かった、これを調べてくれないか?」
千冬は束に竹刀を渡した。
「へぇー綺麗に切断されてるねぇー これってちーちゃんがやったんでしょ?」
「いや、私ではなくて一夏の同級生の武昭がやったんだ
「いやいや、ちーちゃん……幾ら何でもそれは無理だよー その子って箒ちゃんやいっくんと同い年なんでしょ?
何か刃物を隠してて、やったに決まってるよ、まぁ、ちーちゃんの頼みだから調べてみるけど……」
「悪いな、どれ位で分かりそうだ?」
「うーん?こんなものだったらスッと終わるよ……え?嘘でしょ?……」
ポケットから何らかの機械を取り出した束は竹刀を調べると表情がみるみる変わっていった。
「凄いよちーちゃん!普通、刃物で斬ったら何らかの成分が残ったりしてるんだけど
これには残ってないんだ!それどころか人間の生体成分しかないんだ!!」
「その成分は私が触っていたからではないのか?」
「だったら、ちーちゃん これを触ってよ」
千冬が束の指示された機械に触ると何らかのブザーが鳴った。
「このブザーが鳴るって事は、この生体成分とちーちゃんの成分が違うって事なんだ……」
「そうか……では武昭は本当に素手で竹刀を切断したのか……」
「ううん……すっごい興味が出てきたよー!!」
(はぁ……武昭に悪い事をしたのかもな……)
千冬は武昭に興味を示した束を見て頭を抱えていた。
この話に出て来た切断した物に付着した物の設定は、この小説のオリジナルです。