Fate/まどか☆ゼロ   作:西渡学

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まど☆マギ勢・降☆臨ではないオリキャラ召喚

ウェイバーside

 

「来たれ、天秤の守り手よ!」

 

決まった。

僕は心の中でガッツポーズを決めた。

ああ、一体どんな英霊が召喚されるのか。あのケイネス・アーチボルトのことだ。かなり強力な英霊なんだろうなあ。

でも、あのリボンで召喚される英霊であることを考えれば、同時に不安でもある。

ぬか喜びにならないといいんだけどなあ。

 

―――ところで、さっきから全く反応を見せないこの魔方陣は一体どういうことだろう?

 

「………………失敗した?」

 

いやいや。

いやいやいやいやいやいやいやいや。

 

頭を高速で横に振る。

そんなはずはない。ない、はずだ。

 

「来たれ、天秤の守り手よ!」

 

シーン

 

「来たれ、天秤の守り手よ!」

 

シーン

 

「来たれ、天秤の守り手よ!」

 

シーン

 

「来たれ、天秤の守り手よ!!」

 

シーーーーーーーーーーーン

 

「来いよ、来いってば!」

 

 

 

 

シーーーーーーーーーーーーーーーー―――――――ン

 

 

 

 

「なんでだよ………」

 

なんで出てこないんだ?

―――僕に才能がないから?

―――そんなはずはない。ないはず、だ。

 

その時、黒く色褪せた赤っぽいリボンが目に入る。

 

「そうだ、そうだよ」

 

やっぱりこのリボンが駄目だったんだよ。

ケイネスは間違った物を聖遺物として用意したんだ。

なんて間抜けなんだ!

 

だとしたら、もうこのリボンはいらないな。

 

ポイッ

 

窓からリボンを投げ捨てる。

 

「やっぱり最初から僕だけの力ですべきだったんだ。そうだよ。僕の才能を恐れ、そして否定したあんな教授の用意した物なんか使うべきじゃなかったんだ!」

 

僕は間違っていた。

でも、もう大丈夫だ!

僕はもう一度儀式を行う。

 

「来たれ、天秤の守り手よ!」

 

今度こそ上手くいくはずだ、必ず!

 

 

シーン

 

 

しかし、僕の予想を裏切って、そこに何かが現れることはなかった。

 

「なんで、だよ………」

 

いや、本当は分かっていたんだ。

 

予想を裏切って、とか。

なんでだよ、とか。

 

口にしたり、思ったりしていたけれど。

本当は分かっていたんだ。

 

聖杯戦争のサーヴァント召喚において聖遺物は重要だ。

―――しかし、絶対という訳ではない。

 

召喚において本当に必要なのは令呪である。聖遺物など所詮(しょせん)おまけでしかない。

ただ召喚する英霊を選択できるだけ。確かにそれだけでも十分に強力だが、問題はそこじゃない。

 

問題は僕が召喚すら成功させられなかった、という所だ。

はっきり言って召喚だけに限れば、一般人が魔方陣を書いて詠唱すれば成功する手軽さだ。(もちろん令呪の有無は絶対条件だが)

 

聖遺物が間違った物であっても、儀式自体は成功すべきなんだ。

たとえ、目当ての英霊を呼び出せなくとも、低級であっても。

召喚自体は成功するはずなんだ。

 

脱力する。

床にへたりこむ。

 

「僕って、才能ないのかな………?」

 

だって、そういうことだろ?

聖杯はいかなる意思も持たない。

つまり、絶対的に公平な第三者ということだ。

その聖杯が管理する―――のかは知らないが、その聖杯の元で行われることだ。

この戦争もシステム自体は公平なはずだ。

 

その聖杯戦争に参加段階で失敗した。

 

 

これは平等な聖杯が僕を否定したということに他ならないんじゃないのか?

 

 

―――お前は無能だから。

―――参加する価値もない。

―――一般人にも劣る魔術師よ。

 

 

聖杯の声が聴こえてくる。

いや、そんなバカな。

聖杯は絶対的に公平な第三者のはずだ。

 

 

―――無能。無能。無能。無能。

―――生きている価値すらない。

―――本当に貴様は魔術師か? いや、それ以前に人間か?

 

 

これは幻聴だ。幻聴に決まってる。だって、聖杯は―――。

 

 

―――無能。無能。無能。無能。無能。無能。無能。無能。

―――令呪を持たせたこと自体が間違いだった。剥奪してしまいたいが、それもできない。代わりに他の参加者に殺されるがよい。

―――お前には人間を名乗る資格すらない。精々(せいぜい)家畜として他人に迷惑をかけないように一生這いつくばっていろ。

 

 

意志を持たない、ただの、万能の願望機、のはず、だ。

 

 

―――クズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズ。

―――ゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミ。

―――カスカスカスカスカスカスカスカスカスカスカスカスカスカスカスカスカスカスカス。

 

 

「う、わああああああああああああっっっ―――――!!」

 

 

僕ってやっぱり才能ないのかな?

魔術師どころか人間ですらないのかな?

死んだ方がいいのかな?

 

 

―――死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね――――――――

 

 

床に這いつくばる。

耳を塞ぐ。

頭を抱える。

叫ぶ。

もう止めてくれ、と。

しかし、その声は僕の心を蝕み、奥底の核を壊そうとしてくる。

もう、だ…め……だ―――。

 

 

ガスンッ

 

 

頭に衝撃が走った。

いや、そんなものじゃない。

吹き飛んだ。

メートル単位で吹き飛んだ。

 

 

ガスガスガスッ

 

 

木の床に擦れる。

頭も擦り付けられる。

いてえ。

 

「まったく、いきなりピンチっぽいなんて勘弁してよね。マスター」

 

痛い。

出血してるかも。

 

と、思ったら身体全体が暖かくなる。風呂に入ってる時みたいに身体が包まれているようだ。

気持ちいい。

 

「安らいでるところ悪いんだけど、こっちに気づいてもらえるかしら。ちょっと血が出てたみたいだから治癒魔法使ったけど。それ、あんまり慣れないでよ。

中毒になるから」

「……ん、お前は?」

 

そこには青いドレスを着た女がいた。それも美しい。

年は大体十代後半か。それを考えれば少女と形容した方がよかったか。

 

いつから居たんだ?

ここは僕が魔術によって洗脳している夫婦の家だ。

よって、僕の知らない人間がいても不思議じゃない。

けれど、今のこの部屋は一応僕の工房として使っている。(とはいえ、僕用に整えている訳ではないので、特に効果を発揮する訳ではない)

 

儀式には多少の血を必要とする。

なので、僕はそのために鶏を用意して、その血を使用した。

事実、そこの机には儀式用の鶏が二匹ほどいる。

首を切られ、血を流している状態で。

 

なのに、何故この少女はまったく驚かない?

普通首を切られている鶏を見れば、例えば初めて『獣の血を儀式に用いる授業』を受けた僕のように吐いてもいいはず。

 

などと色々考えていた僕だが、その疑問はあっさり氷解した。

 

さっき、この少女はなんと言った?

『マスター』?

 

「あ、こいつサーヴァントか」

「こいつ呼ばわりはひどいわね。一応、一時期は世を席巻しかけた魔法少女よ? 敬えとは言わないけど、女の子扱いはしてほしいわ」

「あーと、ごめん」

 

魔法少女?

サーヴァントじゃなくて?

 

「サーヴァントよ。ただ前世が魔法少女だっただけ」

「魔法が、使えたのか………」

 

それって、魔術史に残る偉人ってことじゃないのか?

根源に至りし者。

この少女がそうなのか?

 

「いいえ。あなたが思っているものとは少し違うわ。私が持っていたのは異星人から与えられた紛い物の魔法。残念ながら私は偉人でもなければ、根源に至りし者でもない」

 

ただの魔法少女よ、とその少女は言った。

 

「なんだか、よく分からないけど………。君は僕のサーヴァントってことでいいの、かな?」

「ええ、いいわよ。とはいえ」

 

そこで彼女はいたずら好きな顔をして、僕の顔に近づけた。

 

「あなたの、であってもあなたの好きにできる訳じゃないわ。

だから、エッチな命令とかしても聞いてあげられないからね?」

「す、するか、そんなこと!」

 

まったく、何なんだこのサーヴァントは!

せっかくの召喚成功の余韻もへったくれもあった、もんじゃ………。

 

「そうか、成功したのか………」

「マスター?」

 

召喚は成功したんだ。そのことには安堵する。

―――でも、なんだろう。素直に喜べない。

召喚の儀式を行う前の僕だったら、召喚が成功してもこんなに安堵しなかっただろう。

 

むしろ、僕は自身を優秀な人間だと思い込んで、ますます舞い上がって突き進んでしまうだろう。

ただただ無知に。

 

あの絶望を知らずに突き進む。

それはとても恐ろしかった。いつかとんでもない失敗をしてしまうのでは、と思うほどだ。

 

と、同時に何かが吹っ切れた気もする。

僕には才能があるのか。

確かに才能は大事だ。優秀であることも大事だ。

 

けれど。

それに拘ることはとても愚かしいことじゃないのか?

 

思えば、ケイネス先生のこともそうだ。

本当に先生は僕の才能を恐れて、私利のために僕の論文を破いたのか?

 

今なら分かる。

自分に才能がないかもしれない。

それを叩きつけられた今なら理解できる気がする。

 

日本のにはこういう話があると聴いたことがある。

――曰く、伸び(しろ)はあるが、まだまだ未熟なモノをあえて酷く貶すことで奮起を促す、と。

 

決勝まで後一歩というところで負けた選手を監督が殴ったり。

持ち込まれた漫画を編集者がシュレッダーにかけたり。

 

しかし、その悔しさをバネにしてその者たちは偉大になったと聞く。

 

ケイネス先生もそれと同じことをしたのではないのか?

それを早合点した僕は先生への間違った怒りを持ち、窃盗という間違いを犯したのではないか?

 

考えれば考えるほど、そうであるように思えてくる。

そして、認めてしまえる。

僕は間違っていたんだ、と。

 

「なあ、サーヴァント」

「その呼び方もちょっとあれだけど………。何?」

「お前のこと、教えてくれよ」

 

僕は決めたんだ。

あの人に報いると。僕の罪の分だけではなく。

今まで受けていた恩の分までも返す。

だからこそ―――。

 

「………いいですよ。教えて差し上げましょう」

「なんで、ちょっと偉そうなんだよ」

 

苦笑する。

 

「私のクラスはライダー。生前は魔法少女なんていう詐欺に遭ったことがあるので、こうして英霊として召喚されることになった哀れな女の子よ」

「真名は?」

「ついさっきまで精神汚染でヤられかけてたのに教えられる訳ないでしょ」

 

………なるほど、確かに。

読心の魔術でも使われたらイチコロっぽいからな、僕。

しかし、僕の納得の沈黙をライダーは怒りの無言だと判断したようで。

 

「あーと、そのー。べ、別にマスターが信用できない訳じゃないのよ?ただ、今あなたに教えるのはちょっと……その………」

 

言葉がしどろもどろになってるぞ。しかし、しどろもどろとはこうやって使うものだったっけ?

 

僕はライダーに微笑みかける。

 

「いや、いいよ。ライダーの言い分は正しい。能力や宝具に関してはお前の判断に従うよ」

「なんかやけに素直ね。まあいいけど」

 

スッと。

ライダーは右手を差しのべてくる。

 

「んっ」

 

僕もボケたりせず、それに応じる。

 

「今やけに急成長したあなたなら大丈夫そうね。最初は不安だったけど。何があなたを変えたの?」

「さあ、なんだろうな」

 

僕自身にもこの感情は分からない。罪悪感と贖罪と―――闘志、だろうか。

 

「まあ、ともかく。これから長くなるわ。よろしくね、マスター」

「ああ、よろしく」

 

僕はケイネス先生に恩を返さなければならない。

 

 

―――だから、全力で先生と闘う。

 

 

全力で闘って、それをせめてもの贖罪にしたい。

ケイネス先生も変に謝られるよりはそっちの方がいいはずだ。

 

しかし、それで終わりじゃない。

先生を打ち破っても、僕は闘う。もちろん優勝を目指す。

 

清々しい気分だ。

見栄とか意地とかちっぽけな自己顕示欲は捨て去った。

雨ふって地固まる、だ。

それくらいあの精神汚染は衝撃的だった。

 

僕はこのライダーと共に聖杯をとる。

 

僕の心には時計台次代よりもはるかに澄みきっていた。




ウェイバー・ベルベット&????(ライダー)

ステータス
筋力??
耐久??
敏捷??
魔力??
幸運??
宝具??

クラススキル
騎乗??
…騎乗に関する技能。ランクによって騎乗可能なものが増える。

対魔力B
…発動における詠唱が三節以下の魔術を無効化す る。大魔術・儀礼呪法を用いても傷つけること は難しい。
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