戦場の走り方   作:ブロックONE

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妖精システム、日本でも実装されましたね。



ではどうぞ。


Vol.X2 妖精システム

ある日の事。

 

 

 『よお、元気そうだなドライバー。手柄を取った祝いとして、お前の基地に新しい装備と設備のキット一式、幾つかの支援物資を送っておいたんだが、翌日くらいに届くそうだ。もし届いたら、一先ずその届いた日の内に返信してくれ。万一の事があると困るからな。………言っとくが、面倒だからって空メはやめろよ?せめて礼の一言でも添えてからメールを寄越せ。これを手に入れるためにそれなりに苦労したんだからな…。さて、これは今後お前と、お前の所に属する人形たちの役に立つ筈だ。今後の検討を祈る。上には連絡はしてあるから文句は言われない筈だ。上手く使えよ。またな』

 

 

 

 

 

 誰かから、どこか横柄で言葉にトゲのある文章が記されたメールがドライバーの端末に届いていた。下までスワイプすると、そこには荷物の確認用のコードが記されており、ドライバーはそれを見て、どこか機嫌が良かった。

 

 

 

 そして翌日

 

 「っ♪」

 

 大型のドローンの上に腕組みをして立つデフォルメされた少女らしき何かが司令室の机の上にいた。

 

 

 「わあ、可愛いー♪」

 「ほほー?一丁前に腕組んでやがるな?へへへっ!」

 「もう、SOPii、M16、いたずらはそこまでになさいな…」

 

 

 軍人も見に来ており、興味津々であった。

 

 

 

 「指揮官、この子は一体…?」

 

 

 AR小隊の面々が興味津々と反応している中、M4A1がドライバーに訪ねてきた。

 

 ―こいつは『妖精』だ―

 

 妖精…ドライバーのその返答にM4は首をかしげた。妖精なんて童話の世界の住人だからだ。

 

 ―ああ、こいつはな?支援用のAIなんだ。そのメンタルが、自分自身を…山だの、川だの、森だの、火災だの、爆撃だの…弾薬だの…爆薬だのに宿る、空想の話に出てくるあの妖精だと思い込んでいるんだ―

 

 

 

 「な、なるほど…となると、この妖精さんが新装備ですか?」

 

 

 山と川はわかるが、後者からどんどん物騒になってきている表現に困惑するM4。しかし、その愛らしさに思わず触れたくなっている。因みにこれはホログラムである。

 

 

 

 軍人は、一部の兵士や政府関係者が今後有事で使われる予定で、現在試験運用中の汎用支援AIシステムのようなものと解釈しており、ドライバーに訊ねると、彼は『アレはホントにヤバイ時に使うための仕様もあってか、こいつほどキュートなものではないけどな』と答えた。

 

しかしなぜ、ドライバーがそんな軍用の物の存在やら情報を知ってるかは誰にも分からない。

 

因みに軍人は、そういう情報は指揮官としての仕事上、どこかで必要だから入れてる、と思っていたため、知ってそう…という判断で聞いたのだが。きっとそういうマニアなのだろう、という認識で止まっている。

 

  

 「なぁ指揮官。こいつは一体どの様にして使うんだ?新装備、なんだろ?」

 

 そこで、M16が妖精を指して質問してきた。今一使い方が分からない。

 

 ―簡単だ。使うものの上空に飛ばして、この妖精ちゃんとリンクを取るんだ。それだけ―

 

 なるほど、簡単だな…とドライバーの解説に少し苦笑いするM16。先程、彼からあるアプリケーションをインストールし、指示あるまでは起動するなと言われていたのを思い出した確かそのアプリの名前は…。

 

 ―実際に使ってみよう。皆、『妖精システム』を起動しろ―

 

 人形たちはアプリを起動させた。

 

 すると、目の前の妖精が乗ったドローンに反応し、『リンクに成功しました』とメッセージが現れた。

 

 すると、演算処理や効率が高くなっていた。

 

 

 「「「「おおー」」」」

 

 ドライバーの指示でリンクを絶つ。

 

 ―良い反応だな。起動には成功と言ったところか―

 

 うんうんと頷きながら、ドライバーはジェスチャーをしていた。

 

 すると

 

 「指揮官さん!質問!」

 

 ―SOPii、どうぞ―

 

 「この子お喋りしないの?」

 

 ―出きるぞ。ほら、そこのお姉ちゃんたちに声を聞かせてあげてくれ―

 

 妖精に向けてジェスチャーする。すると

 

 

 

 

 

 

 「こわいかくそったれぇ…とうぜんだぜ、もとぐりーんべれーのおれにかてるもんかぁ…」

 

 

 可愛い声で吐かれた発言。

 

 「一言めがクックの台詞かよ!?大丈夫かこいつのAI!!?」

 

 軍人が鋭く突っ込んだ。もし彼が居なかったら、司令室の空気はホントの意味で固まっていたかもしれない。

 

 

 その後、試験運用として、出撃が必要な際にAR小隊に預けて導入したのだが、その結果として、精度向上と、処理効率化による作戦能率向上により通常の三倍くらい迅速に任務を達成してみせた。

 

 しかし、リンクを取ったために…

 

 「「「「トランザム!」」」」

 

 妖精のネタゼリフを真似するようになった。

 

 しかし、帰還した後、妖精は目を回してドローンの上にばたんと倒れてしまっていた。技術スタッフ曰く熱暴走だったそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 その後の司令室にて。

 

 ―こりゃ改良が必要だなァ…―

 

 「しかし、発火しなかっただけよかったじゃないか」

 

 

現在妖精はスリープ中。ドローンが投影している小さな少女は、スヤスヤと寝息を立てている。

 

 ―まぁな…軍人、そっちのはいつ実装だ?―

 

 「さあねぇ…俺のところにローカライズされるには、特殊作戦群がしっかり仕事すれば数年ほどじゃないか?」

 

 

 

 ―特殊作戦群…かぁ…確か、カーター将軍だっけか?そこの親分は―

 

 「そうだが…所でドライバー」

 

 ―なんだ?―

 

 「なぜM4たちAR小隊に任せたんだ?試験的なら他の人形でも出来ただろ?」

 

 するとドライバーは『さぁ、何故かなぁ?』ととぼけた素振りをしてコーヒーを淹れに行った。

 

 

 M4たちは戦術人形の中でも、16LAB謹製の特殊かつ高性能な人形。フレームもなにも『良いもの』で構成される。やはり比べると結果でも高いスペックを叩き出している。

 

 ではドライバーが普段から指揮しているあの人形たちでは、スペック自体が合わない?しかも記事曰く、燃えた人形の殆どがグリフィンの他所の基地でも使われていて目にするタイプ。ここにもいる。

 

 『アプリの入れすぎが原因?人形が行動中故障!発火の事例も!IOPの関係者曰く―――』

 

 ドライバーが読んでいた雑誌に、そう書かれていたのを見付ける。

 

ドライバーはもしかしたらそれを見越していたのだろうか。それか運が良かったのか?

 

 いやまて、グリフィンの人形は司令部となにかしらのリンクを取っているはずだ。だから何かしらのログが残るし、本部も探るのは比較的容易だろう。隠せば隠すだけ危険だ。立ち入って調べれば何をしたのか知られるのは時間の問題で、そうならないように下手に細工をすれば、本部から余計に目をつけられるのは間違いない。なにかのためにそういう仕様で作られたのなら、黙認されることもあるだろうし。軍にだって一つや二つある。

 

 つまりスペック隠しか?しかしドライバーの基地はパーツも多く、しかもM4たちのメンテは16LABに送らなければダメとかなんとか…。故にパーツは一般的なものだそうだ。

 

 

 

 それか、使ったというログを残さないためか?

 

 

 でも、燃えたりして損失したら、大変な事になるのは指揮官だし、それくらいは懸念してるよな…だが、嫌に徹底されすぎだ。あいつは今さっき知ったのか、それとも時期は不明だが前々から知っていたのか。 単に信用しているM4たちだから使わせたのか。それともM4たちの『強度』を知っていて…。

 

 

 ……と、軍人はどうしてなのか、ない頭で思考を巡らせる。あのフルフェイスヘルメットの風貌のせいか、時にどうも思惑を勘繰ってしまいがちになっていた。

 

 

 だが、指揮官本人はヘリアンから独断行動を叱られている。

 

 

 ソレもあってなのか、今回のは単なる思い付きによる独断なのか、それとも予め計算尽くなのか…。

 

 

 その思惑はドライバーのみぞ知る。

 

 

 

 

 

 一方、妖精については、暫くは様子見。その後改良され、余裕のあるところから実装されたそうな。そして、ドライバーのところにもその改良が施されたものがやって来ることになるのだが…

 

 

 

 

 

 

 

 「そっとしておいてくれ、死ぬほど疲れてるんだ」

 「ビールでも飲んでリラックスしな」

 「もしもしポリスメン?」

 「粉バナナ!!!」

 「タピオカパン!」

 「マタピネダー!!」

 「残念だったなぁ…トリックだよ…」

 「10万ドルポンとくれたぜ(こども銀行)」

 

 「テメエナンカコワカネェェェェ」

 「ヤローブッコロッシャアアア」

 「ボールヲフットバッシテヤルゥ」

 「ただのかかしですなぁ」

 

 

 

 …と、AIたちがぺちゃくちゃと喋り(?)続けるのが大変喧しく、ドライバーも含めた指揮官たちは、しびれを切らし、この様な共通の指示を基地に言い渡した。

 

 

 

 『彼女たちに相応しい生活空間を用意しろ』




読んでいただき有難うございます。Vol.X2でした。


妖精の部屋早速レベル上げてます。多分今後酷使することもあるだろうし…ね?


今回も突っ込みどころ満載でしたが、また次回。

m(_ _)m

今後、【戦場の走り方】内で見てみたいものは?(もしかしたら反映されるかもしれません)

  • 劇中に世界の名車を登場。
  • AR小隊vs404小隊のレース対決。
  • スオミを走らせよう。

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