戦場の走り方   作:ブロックONE

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タイトルが適当&更新遅くなり申し訳ないです…

そんなこんなでVol.14です。




Vol.14 たまには男同士で話したい時もある。

ドライバーの勤務するグリフィン基地から少し離れた位置にて。

 

  

 「何だか、急に悪いな…ドライバー」

 

 そう言う軍人に対して、運転席に座るドライバーは『まあ気にするなって』と手をヒラヒラ動かすジェスチャーを行い返答した。

 

 ―まぁ、人形たちがいると話しにくい事もあるさ。喧騒から離れるのもたまには良い―

 

 軍人はそのジェスチャーに思わずそうだな、と肯定するように笑む。

 

 

 

 

 ―中には、許可なく勝手に嗅ぎ回ろうとする奴もいるみたいだからな―

 

 

 軍人は一瞬表情が固まる。ドライバーはそんな軍人を見る。軍人から見ると、ヘルメットの奥の表情は詳しくはわからないが、特に機嫌が悪いわけではなさそうなので、恐らくニヤリとしている様に見えていた。

 

 

 

 

 ―特に痴情のもつれとかな!―

 

 

 軍人は真顔になった。

 

 

 

 

 そして郊外へと車は走っていく。

 

 

………………………………………………

 

 小一時間ほど前。

 

 

 軍人を乗せた軍のヘリコプターが、ドライバーの勤務している基地のヘリポートに着陸した。この日は軍人がドライバーと合流する予定日であった。

 

 

 軍人は何時ものように降り立つと、そこに準備を済ませたドライバーの姿とその車があった。

 

 ドライバーと握手を交わし、再開を喜んだ。

 

 ―そうだ、周辺地域の調査の続きだったよな?なら、準備は出来ているぞ―

 

 そう切り出し、軍人は「わかった」と頷いた。となると後は話は早い。

 

 荷物を車詰め込み、基地を出発。スタッフたちが手を降って見送る。

 

 天気は晴れ。

 ドライバーはひた走らせており、軍人は何処に連れてかれるのか少し不安になり聞くことにした。

 

 「ドライバー…」

 

 ドライバーに問う。しかし、彼は安心しろ、と言うだけで明かさない。それどころか、『今は静かにしていてくれ』と軍人にジェスチャーを送る。

 

 軍人は、ドライバーとのチャットにて、『盗聴やら傍受等を防げて、出きれば安全なところ』と書き込んだからだ。

 

 そのための配慮か、暫く車内は無言のまま。走行ノイズと排気音だけが聞こえている。音楽を掛ける様子もない。ドライバーは走る場所を考えてるのか、今のところ、グリフィンや鉄血の人形たちとは出くわすことはなく、黙々と進んでいく。人気も人形の気配も無い。木々に囲まれたワインディングを走り続ける。

 

 軍人は、まさしく地味なドライブだと感じていた。何時もは追っ手がいたり居なかったり。味方の人形の前を通り掛かったりだ。

 

 これは嵐の前の静けさの様な物なのだろうか。

 

………………………………………………

 

 そして、現在に至る。

 

 

 

 郊外のワインディングを進み、途中で道から脇道に逸れた。

 

 ―ここからは地磁気の影響がある―

 

 突如、そうジェスチャーしてきたドライバー。

 

 ……いや違う。こいつ自分で封鎖しやがったのか。証拠はドライバーが運転中にコンソールを弄くっていた。つまり、あの地磁気がどうたらこうたらジェスチャーしていたのは、言わば口上。

 

 なるほど、彼なりに空気を読んでくれてるのか…こちらは既に切っている。

 

 

 ドライバーは、もうすぐ着く、とジェスチャーを送ってきた。一体何処まで走るつもりなのか。

 

 そこで止まった。ドライバーは、これを付けろ、と俺に四つ目タイプの暗視装置を渡し、付けろと指示された。取り合えず身に付ける。このタイプは夜間での訓練や戦地での行動時によく着けていたから、手間取ることはなかった。

 

 ―サイズはどうだい?―

 

 「ピッタリだ」

 

 ―そりゃあよかった―

 

 「お前は付けないのか?」

 

 すると、ドライバーはヘルメットのバイザーをツンツンと突いている。なるほど、バイザーに暗視機能が内蔵されてるのか。便利だなそれ。

 

 ―じゃあ、先へ進むぞ―

 

 

 

 KEEPOUTと書かれた看板の先には壁。しかし、それは隠し扉だった。扉の先には道が続いているという。

  

 だが、真っ暗闇だ。

 

 ドライバーが車のフロントライトを点灯させると前方がよく見えたので、暗視ゴーグルを頭上に上げる。しかし、車内では真っ暗なのでドライバーのジェスチャーが見えないので付け直すと、ドライバーは『これは増幅管とか色々改良してあるから多少大丈夫だ』とジェスチャーしていた。多少なのかよ…。まぁ、借り物だし壊すわけにはいかんから大切に扱うとしよう…。

 

 さて、ここで、俺はどこまで行くのか不安になった。 だが、こいつの運転なら暗闇でもどうにかなるだろう、という安心感もある。その証拠に、ドライバーは見事なステアさばきで車体をぶつけることなく、すいすいと前へ進んでいる。勾配だと少し下りぎみ。こう言ったところを運転させると、やはり腕前は流石だなと言える。途中で窮屈さを感じたり、接触するかもという心理になったりで、こうは上手くいかない。

 

 因みに少し前のことだが、俺が元々いた部隊では、こういう視界が真っ暗闇のところでフロントライトをぶつけて破損させてしまい、大変なことになってしまった事がある。しかも暗視装置も何故か故障してチーム総出で大パニックに。

 

 救援を待ってる間、仲間の一人が退屈しのぎに怪談を始めて……これ以上は思い出すのは止めておこう。最終的なオチは、みんなで仲良く始末書の提出だ。

 

 

 …さて、暫く進むと、平坦なところに出た。降りると真っ暗なので暗視装置を付けた。下を見ると『P』の文字が視界に入った。駐車場の様だ。何だってこんなところに駐車場が?デパートに作るにしては木々が生えたままだ。

 

 

 ドライバーは電源を起動させると灯りが点き、何やらジェスチャーを始めた。

 

 

 ―ここはかつて軍が使ってたシェルターの一つだ。今は払い下げされていて、それを俺が購入し、手を加えた。ここは地下の駐車場。付いて来な。案内するよ―

 

 なんだ、差し詰め、ドライバーの隠れ家か…まぁ払い下げ品ならば仕方な…ってこんなのも払い下げてたのかよ正規軍!?

 

 

 しかしまぁ、野暮だし、ここは聞かんで置いた方がいいよな…せっかく俺のためにわざわざ場所を貸してくれたし…。

 

 そして奥に入っていくと、即席の応接間らしき所へ来た。ソファーやらテーブルやら家具が置かれている。中身は薄暗いものの、案外整理整頓されていた。

 

そして、そのソファーにドライバーと俺と向き合って座る、職業らしくミリタリーな格好の俺にフルフェイスヘルメットのドライバーだけという、不穏なのかコミカルなのかよくわからない空気の中、俺は上官から預かった話を始めたのだ。

 

 

 

  

 

 ―そうなのか…わざわざ俺にそれを教えに来たってことか…―

 

 「ああ…」

  

 

 ―忠告に感謝するぞ。グリフィンの指揮官の連続不審死については、こちらもおかしいと思っていた所なんだ―

 

 ドライバーはそうジェスチャーして返答した。

 

 「ドライバー…」

 

 薄々気づいていた様だった。

 

 ―……まぁ、グリフィンの依頼の中には、そう言うブラックオプス的なモンも含まれることがあるし、それを進んで受ける奴もいる。でも、本来は余程の事がなければ身内に手は出せない筈だ。グリフィンは人形に頼りきってるイメージがあるが、実情は人間の指揮官不足で喘いでいるわけでね。下手に手駒を減らせば指揮系統の引き継ぎが間に合わないし色々大変だ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドライバーは少し間を置き…

  

 

 ―色々俺なりに調べたが、痕跡からして、恐らくやったのは人形だろう。自分の手を汚したくないって奴が差し向けたかもしれんな。そもそも、暗殺ってのは、その場に自然に溶け込まないと不味いことになる。人形だろうと人間だろうと、静かだろうと煩かろうと、命を奪うと何処かで必ず足がついてしまうもんだからな、いくら頑張っても。銃創から使われた弾の種類とかもある程度絞り込めるし、逃げ切ることは実質難しい。監視カメラが壊れようがハックされようが、あら不思議。必ず洗えば出てくる。後は時間の問題だな―

 

 「そうか…なぁドライバー、もしかして…俺が来るでの間、襲われたことは?」

 

 嫌な予感がしたので訪ねた。

 

 ―あの時のはどうだかなぁ…鉄血も含めると妙なのと遭遇することならしょっちゅうだしな―

 

 「妙なの…か」

 

  

 ―ああ。あの時はちょっとばかり『ゲーム』のお相手をしてやったよ。そいつは……そうだな…走り屋でもないやつが、突然道で走り屋に抜かれた後に急に熱くなって無理して攻めた時みたいな危なっかしい走りだったな。最終的には単独で事故ってたが―

 

 まさしくドライバーらしい対応だ。相手のクラッシュ(自滅)で決着が着いた様だが、となるとドライバーは一発も撃たずに制したことになるのだろう。

 

 というか、そこらの走り屋でも、お前の真似をしようって奴は先ず居ないだろうけど…

 

 

 ―…ただ、こういった同僚の死が増えると、これは由々しき事態だよ。被害者に何かしらの後ろめたいことがあったならばまだしもだ。罪状真っ白だったやつも複数巻き添えで死んでいた。それに、今後は更に戦線を押し広げる事にも集中することになると…やれやれ、おちおち休むことも叶わんよな…―

 

  

 「ああ…」

 

 ―あと、仮にそこらの人形がやったと仮定してもだ、人形は必ずどこかしらに行動記録やら位置情報や形跡そのものが現場に残ってしまう。そこから割れば真偽はわかる。万一、『そういう専用の仕様』の個体だったり、高度な策を使われてしまった場合、それも難しくなるがな。暗部に属してるやつらは、強盗やテロリストに見せ掛けたり、そいつの人間関係を逆手に取り、上手くターゲットが死ぬように陽動したり、それなりに色々考えるわけだ……古くさいけどさ―

 

 「まるでフィクションみたいだな…そう上手くいくのかよ? 」

 

 ―まあ、そう思うよな。成功例はある様だぜ。かといって、どこかのマフィア映画やアニメみたいに、刺客がいきなりターゲットに向けて派手にパンパカパンパカ撃とうとすりゃあ、このご時世だ。その前に警備部隊の武装した隊員やら人形やらが電光石火の如く駆け付け最悪刺客は蜂の巣。ましてやグリフィンの管理区で、指揮官が狙われてるならば尚更だ。それに、グリフィンの社員は普段は識別装置を持って歩いている筈なんだ。一種の身分証でもあるし、バイオメトリクスを調べれば、人形は狙えない。もしそれが機能してるのに認識しないとなったら…これは俺の予測だが、どこか内部に妙なのが居て、そいつの手によりセーフティを外されたか、もしくは外部に書き換えられたか、或いは…―

 

 

 「あ…或いは…?」

 

 

 

 

 

 ―何かしらの要因で、その人形のマインドマップ…即ち、AIに致命的なバグが生じ始めているのかもしれない―

 

 

 「な…!?」

 

 

 

 To Be Continued...




今回は分割しました。



次話に続きます。

今後、【戦場の走り方】内で見てみたいものは?(もしかしたら反映されるかもしれません)

  • 劇中に世界の名車を登場。
  • AR小隊vs404小隊のレース対決。
  • スオミを走らせよう。

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