戦場の走り方   作:ブロックONE

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C96、始まりましたね。
まだ私は行っていませんが、皆さんどうか熱中症や脱水にはお気をつけて。

ではどうぞ。


Vol.25 渋滞にはまった時のメンタルダメージは半端ない。

「ふふふ!燃えろ燃えろ燃えろ~!」

 

ツインテールの白い髪をした小柄な少女の笑い声。その直後に発射音と着弾音。そして目の前には煙を吹くグリフィンの拠点。

 

 

「もっと!熱くなれよ!!……弾の関係上、実際煙ばっかりだけど……まあ良いわ。目的果たしたし、帰ろっと…」

 

 

少女は何かの乗り物に乗り、他の鉄血の人形も速やかにその場を去っていった。

 

 

 

その拠点に属する戦術指揮官はこう言った。

 

 

 

 

 

 

「ぅゎょぅι゛ょっょぃ」

 

 

 

…………………………………………

 

 

 

『…と、言うわけなんだ』

 

 

通信にて語るヘリアン。その表情は浮かない。一方、ドライバーは飄々とした調子で、特に動揺している訳でもなく、『ああ、やっぱりか』と言いたげな様子であった。その理由は自信の端末から電子版の社内報を読み漁っていたためであった。軍人も周辺の調査のために再び戻ってきたのだが、いきなりこんなである。

 

 

 

ーああ、それで?ー

 

 

『それでなんだが、貴官たちに当拠点周辺の調査をお願いしたい。兵站のルートも、この際もう一度確保しておきたいので、それについてもよろしく頼む』

 

 

ヘリアンはドライバーの質問に答えとして、任務を依頼してきた。

 

 

「何つー火力だよ…」

 

 

軍人は、幸い生きていた監視カメラによるの映像から得た情報ではあるものの、家屋を吹き飛ばすには充分な破壊力を感じて口元に手を当てていた。鉄血工造なんてもん作ってくれてんだよ…と。

 

 

ー現地の指揮官の発言と、敵の火力からして、やったのはデストロイヤーだなー

 

すると、ドライバーがジェスチャーする。

 

「デストロイヤー…?どんなやつだ…?」

 

 

軍人はその名の物々しさに、恐る恐る訊ねた。あれだけの火力のある弾を発射可能なら、マンティコアばりのゴツい奴だろうと想像している。ドライバーはその様子を見つつジェスチャーを開始した。

 

 

 

ー鉄血の高火力なチビッ子。ファンからは、永遠の火力系ジュニアアイドルー

 

 

 

「ん?なに、チビッ子…?アイドル…?」

 

混乱しそうになる軍人に、ドライバーは参考として、モニターに映した映像を軍人に見せた。

そこには無邪気さ溢れる白い髪のツインテール少女のグラビアが映し出される。

本人もノリノリでポージングを取っている。バックには物々しいグレネードランチャーの様なものが接続されている。

 

 

「は……?何だこれ…!?」

 

 

驚くにも無理はない。どうみてもいつもグリフィンと敵対関係にある連中の顔とは思えなかった。ハイエンドモデルは、もっと身体も大きく、何処か殺気立っている表情。

 

 

ーこいつがデストロイヤーだー

 

ドライバーはグラビア映像の少女を指してジェスチャーを送った。

 

 

ー髪の色、皮膚の色からして明らかに人形っぽいだろ?ー

 

 

ドライバーの言う通り。この皮膚の色合いは人間の少女のとは見えない不自然さがある。

尚、大きなお友だちにはそこに魅力を感じる。

 

「まぁ、確かに…」

 

『指揮官、どこでそんな映像を…っておい!』

 

ヘリアンは訊ねようとするも、ドライバーは『そんじゃ、準備して行ってみるよ』、とジェスチャーし、軍人と共に司令室を出ていこうとするが、呼び止める。

 

 

何時もの光景なのでヘリアンはやれやれと言った様子で…

 

『はぁ……運転中に車ごと吹き飛ばされない様、くれぐれも気を付ける様にな…』

 

と言うと、『ああ、報告書を楽しみにしておいてくれ』とヘリアンにジェスチャーを送り、通信は終了した。

 

 

 

 

 

「なぁ、ドライバー……」

 

 

軍人はふとドライバーに疑問をぶつけた。

 

「俺はあんなちっこいのがデストロイヤーなんて未だに信じられないんだが…というか、そんな火力の大きなもんを付けられるのか?」

 

 

 

ーあー、確かに…どう見たって重量過多も良いところだなー

 

 

「ソレってあれか?やつらの懐事情も傾いてるってことなのか…?作るんだって鉱石やらをインゴットに加工したり繊維を紡績……ボディを被ってる人工皮膚だって、貼り合わせるにはそれなりの材料を得ないと無理だろうに…」

 

ーどうだろうな。連中、生産ラインを乗っ取っている。と言うことは、そろそろ自活していてもおかしくない頃合いだ。多分どこかで激安に仕入れてんじゃねぇか?そう言えば襲撃のあった辺り…そうだ、この辺に採掘現場があるー

 

ドライバーは車内のモニターに目的地のデータを表示した。

 

ー鉄血の人形たちが暴走してから、そこで働いてた鉄血製の民間用人形達がデモ起こして、その後武装した人形兵が占拠しちまったんだー

 

「な、なんだって?」

 

ー映像がある。カリーナ君、例のものをー

 

「はい只今~」

 

カリーナが司令室のコンソールをいじり、大きなモニターの『○○区、事故により交通規制中』と表情されている隣に映像を再生させた。

 

 

……………………………………………

 

『我々も労働者』

 

『STOP!サビ残』

 

というスローガンを抱えながら、訴えを起こすためにデモ隊を作り並ぶ人形達。これらは全員鉄血製のブルーカラー向けの人形である。

 

ヒューマノイド型も機械型も並ぶ。

 

作業員たちの困惑した表情。鉄血製の人形達が意気込む。

 

 

 

………

……………

 

 

ーああ、関係者筋やオブザーバーの話によると、待遇の問題だそうだ。兼ねてからきたない、きつい、きけんの三拍子揃った仕事だ。AIも行動の管理記録残しているから、それを蝶事件の後、ハイエンドモデル辺りがそこを利用して吹き込んだと推測している。実際、まさかの展開に人間側は困惑し、武装していることもあってやむ得なくそこには立ち寄らなくなった。グリフィンからしても、その鉱物はIOPにも卸しているから、無闇に攻めて中のもん吹き飛ばすのは、取り返した後に崩落の危険があると考えて手を出せなかったんだ。それからはわからん。恐らくだが、ストライキの後に鉄血はその辺りに拠点かなにか設置しようとしているのかもな。だから、その時に邪魔になるグリフィンの拠点を潰しておきたかったんじゃないかって思うわけよ-

 

 

 

「じゃあ、何であの拠点はやられたんだ?鉄血の人形対策はしていてもおかしくないだろ。敵が来たとしても何らかの動きはあった筈だ」

 

ー監視カメラの映像からするに、そこの指揮官は多分拠点の指揮装置をやられたのかもしれない。数の暴力…いや、火力のゴリ押しか。ソイツの見舞いに行ったんだが、聞いたところだとデストロイヤーが司令室の電力システムまで吹き飛ばしていたそうだー

 

「電力供給を絶たれて途絶か。予備電源は?」

 

ー脱出の際に重要な書類を持ち出すので精一杯だったってさ。ゴーサイン出たところだし、早速行って確認してみようー

 

 

 

 

 

……………

………

 

 

準備をして早速被害にあった拠点周辺に向かって走る一号車。その後ろをAR小隊の二号車、さらに後ろにはスコーピオン達とネゲヴ達も『ドライバーの基地仕様』のカスタムSUVで付いてきている。

 

天気は晴天。アスファルトの路面。以外とIEDやブービートラップは特になく、すんなりと進んでいけていた。鉄血も後始末について考えて設置しなかったのだろうか。

 

 

 

「ドライバー、あの後はどうだ?」

 

ーあの後?……ああ、この前のお友だちの話かー

 

ドライバーはわざと濁して返す。

 

ーそういうやこの頃はエンカウントしてないな。奴さんも一旦諦めたんじゃないか?ー

 

 

この前というのは、ドライバーの隠れ家であるシェルターで話していた彼を狙ったとされる「正体不明の事故車」ことだった。

 

実行犯が人形であることは判明しているのだが、結局はその人形を使役していた正体が不明のままだった。オブザーバーは犯行を行った一味の人形たちの行動履歴やメンタルをアップロードしているサーバーの場所を洗っている所だという。ドライバー曰く、暗殺などの汚れ任務を請け負うのは主に404小隊の仕事らしいのだが、それに乗じた、もしくは暗部の仕事と見せかけてどさくさに闇に葬ろうとする者による犯行の可能性が浮上するが、あくまで憶測の域を出ないままであった。

 

 

「そうだと良いんだが…」

 

軍人は不安げに返す。

ドライバーの運転技術ならば、陸路で逃走する際には有利かもしれない。しかし、空から来たらどうするのか。刺客の正体が明確でない以上、規模も把握できない。航空機だって無人化が当たり前であるご時世故に、何処かから航空攻撃でもして来られても不思議ではなく、その不安は決して小さくなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………………………

 

 

 

 

 

 

一方。

 

『デストロイヤー、そう言えばこの前の襲撃したグリフィンの拠点の事についてだけど』

 

「なによ?指示通りやったわよ?」

 

『そうね、でも潰し忘れがあるわ。一度戻ってくれるかしら』

 

そう言ってデストロイヤーに監視カメラの映像を見せる。

 

「えぇ…分かった…すぐ戻るわ…」

 

『ところで今どこ?』

 

「市街地だけど?車で移動中」

 

そう、デストロイヤーはなんと市街地にいる。しかも運転中。通信はハンズフリーどころか内蔵されている通信機を使っているため先ず捕まることはない。デストロイヤーはその証明としてアイカメラで見ているものをドリーマーに見せた。

 

 

 

 

『あ、そうなのね…ていうか何で市街地へ?』

 

「今日ね、何時も月餅(げっぺい)買いにいくところが割引デーでさ。ああ…混んでるじゃん…F○コのトラフィックレポート曰く事故だってさ」

 

『月餅は帰りがけにしたらどうかしら…調べたけど明後日までやってるそうよ?』

 

「そっか…じゃあ任務後のお楽しみに取っておくか…」

 

『それが懸命よ。次の交差点を右に曲がりなさい。そこからは空いているから』

 

 

そして10分後。

 

「……はぁ、早く進まないかな……サボりたい」

 

『サボりですって…?……ゆ゛る゛ さ゛ん゛!!』

 

「ちぇ~」

 

 

 

渋滞は想定してなかったのか、かなり気だるげなデストロイヤー。交差点まで後1km程であった…

 

 

 

 

 

 

 

 

その外では……

 

 

「おい、見てみろよあの車…」

「まじかよ…まだあんなの走ってるなんてなぁ…つかなんで後ろにグレランみたいなの二つもついてるんだ…?」

 

 

それは、道行くエンスージアストたちの視線を釘付けにしていた。

軽乗用車にしても小さすぎるその黒い車体には、デストロイヤーの携えている何時ものランチャーが両脇に付いており、鉄血のエンブレムと「SP-TYPE-P50」と銘打たれていた。

 

転回することを考え付くも、四方を大型トラックやSUVに塞がれてしまい、圧迫感がデストロイヤーのメンタルを徐々に蝕んでいく………

 

 

 

 

「…………あ!やっと動いた…!!」

 

 

デストロイヤーは渋滞からの解放の兆しに感動を覚えたのだった…

 

 

 

 

 

………………………………………………………

 

 

一方。

 

走行中のドライバー一行の様子と、市街地でのデストロイヤーとドリーマーのやり取り。

 

その双方を監視カメラやグリフィンのドローンカメラ等に侵入し、人知れず監視している何者かの影があった。

 

それが黒色の車らしきものに乗り込み去っていくと、それと交戦して力付くでねじ伏せられたのか、地面には四肢があらぬ方向を向き、首をへし折られ、無残な姿で横たわるグリフィンの戦術人形の残骸だけが残されていた…

 

 

 

 

 

To be continued.




『SP-TYPE-P50』

デストロイヤーちゃんが駆る小さな自動車。

元ネタはアイツです。

もう分かるな?(マテ



襲撃された拠点に向け道を飛ばすドライバー一行。



拠点に戻るように言われるも渋滞にはまったデストロイヤー。


そしてその双方監視していた存在……



また次回をお楽しみに。



代理人「君の心に、ブーストファイア!!」

今後、【戦場の走り方】内で見てみたいものは?(もしかしたら反映されるかもしれません)

  • 劇中に世界の名車を登場。
  • AR小隊vs404小隊のレース対決。
  • スオミを走らせよう。
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