戦場の走り方   作:ブロックONE

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ご無沙汰しております。ブロックONEです(瀕死)

投稿日が9月になってしまい、申し訳ありませんでした…

もう秋なのですね…(遠い目)

ではどうぞ。



Vol.26 黒い車

 

前回の戦場の走り方は

 

 

 

 

 襲撃された拠点に向けて走行中。

 

 

 渋滞に嵌まるデストロイヤー。

 

 

 謎のアイツ。

 

 

 

 

 以上。

 

……………………………………………… 

 

 

 道中にて。

  

 『ねえ、指揮官、拠点まで距離もあるし、ウォームアップがてらみんなで軽くレースしようよ!』

 

 スコーピオンから無線が入る。

 

 『スコーピオン、この車と指揮官のだと、流石に車が違うんじゃ…』

 

 『あはは!大丈夫だよイングラム。四輪全部使って走らせる分なら!片輪走行だってそこまで速さに直結しないことはわかってるし!』

 『そう言う問題じゃないわよ!?あなた絶対途中で片方浮かそうとするじゃないの…』

 

 『あら良いじゃない♪たまには乱入対戦も良いわね』

 

 通信で繋げていたネゲブも賛同する。

 

 

 

 「おい、マジかよ…」

 

 と、ふと軍人が背後の二号車を見ると、このやり取りを聞いていたのか、M4の目付がマジになっている様に見えたのは気のせいだろうか。

 

 

 ―よし、やるならオーバーテイクは紳士的に。コースを速く走って先にゴールした奴が勝ちだ。鉄血どもは例にならってぶっちぎれ。車はクラス別。そんじゃ、レース開始だ!―

 

 「良いのかよ…!?」

 

 軍人はシートベルトがしっかりついているか確認する。

 

 「ドライバー、ほ、ホントにやるのか…?」

 

 ―その方が早く着くからな。これなら、スオミたちも連れてきてやるべきだったか…―

 

 そのジェスチャーした後にナビシステムにゴール地点を指定し、人形たちに共有する。

 

 「確か、雪山でペースノートを渡していた人形だったな…」

 

―そう。アイツはこういうことが好きみたいでな。基地のTAランキングでは遊びに来る度にトップ10%圏内をマークする。AR小隊含めてどの人形をも差し置くこともあるぞ。フライングフィンとは良く言ったものだ―

 

 軍人からして、その基地のTAランキングの凄さについて分かることは、少なくともドライバーの教えにより走行中のスピードレンジは別格であること。そしてスオミの出身はフィンランド。となれば、もう付け焼き刃の知識でも察しが付いていた。この前は追い越しただけだが、それは手を抜いてたという。

 

 その直後、思わず手元のタブレットの検索エンジンを使い『フィンランド レーサー』と候補が早速出てきたので、それを選んで検索すると、検索結果から確信した。

 

 ―心配するな。運転は丁寧だからな。普段は―

 

 普段とその時のギャップが激しすぎるのだ。あんな虫も殺さない様なイメージのスオミが、ドライバーみたく常識外の運転をしている様子なんて、知っている間柄でなければ想像すらしにくい。ペースノート渡してきた時、崩落事故での部分を考慮して書き加えたりするとかもうガチ過ぎる。

 

 

 ―さあ、レースはもう始まった。ビリっけつになる前に加速するぞ。舌噛まないでくれ?―

 

「ああ、わかった…」

 

 助手席の軍人は何時ものように舌を噛まぬように身構え、車たちは一斉に加速していった。

 

……………

…………

………

……

 

 

 

 

特にトラップというトラップもなく、目的地となる拠点に到着。拠点とだけ聞くと色々想像してしまうのだが、ここは正しく基地と言うべきだ。所謂表記揺れみたいなものだと思う。

 

 

尚、道中のレースは一号車がトップで、その後ろはM4たちの二号車。同じ車だから仕方ない。その後方から、ネゲヴとスコーピオンがほぼ同着という結果に終わった。

 

 

 

 

さて、拠点をこれから調べるのだが、鉄血の姿がない。ドライバーが伝えていた通りなら、鉄血の人形たちがもう陣取っていてもおかしくない筈。

 

 

交戦したのか、薬莢も転がっている

 

 

 ―デストロイヤーのヤバイところは、その携行してる火器にある。この建物の穴を見て察しているとは思うが…―

 

 

 「ああ、隠れ場所があろうがなかろうが、こういうのはイヤなタイプだな…」

 

 

呆れ気味に言う俺。

 

各自車から降りて人形部隊を随所に配置して探索させると、どうやら中も敵は確認出来ず、もぬけの殻。

 

外の地面は焼けて黒かったり、爆風で建物に穴が空いてたり。

 

 

 

 

そして、ドライバーはスコーピオンたちに電源設備のチェックに人形を向かわせた。

 

 

『電源設備をチェックしてきたけど、これはひどい有り様だね…』

 

チェックに向かわせたスコーピオンが通信を入れてきた。

 

ドライバーのバイザーにスコーピオンのアイカメラの視界が表示され、俺も彼から貸してもらったタブレットに出力してもらった。

破損状況は監視カメラの映像以上に破損は酷かった。見るからに絶対に近寄りたくない。これ下手すると感電事故が起こりそうだ。

 

ー直せそうなものはあるか?司令室に電源を繋げてほしい。出来ることなら、ここの指揮官が回収し損ねたのデータを回収もせねばならないー

 

マジかよ。人形たち行かせるのかよ…え?そういう対策は事前にしてるから平気だって?なら良いが…

 

『わかった。あ、一番奥のなら、配線をバイパスすればワンチャンそっちに送れるかもしれないよ。確認してみる…!』

 

ー了解だ。危ないから注意して作業するようにー

 

『了解。指揮官たちの方は?』

 

俺たちのいる司令室には、破損した端末が並んでいる。しかし、辛うじて無事っぽそうなものが見つかった。

アクセスできるかはわからない。電源を繋げない限りは。しかし、ショートしている可能性もある。取扱は油断できない。万一スコーピオンたちの作業から復旧不能と判断されれば、最悪は車のバッテリーを使い、器材を通して使うつもりらしい。

 

しかし、これはいざと言うとき用なのであまり使いたくないとのことだった。俺もAR小隊も手分けして周辺を捜索する。

ドライバーは俺たちや表のスコーピオンたちにも安全に行動できる様に、施工データや配線図データを表示してくれた。それを元に、司令部内をしらみ潰しに探し回った末、ここにたどり着いたが、ドライバーのやつは、どこでそんなものを入手したんだろうか…

 

すると、AR-15が給湯室の電源が幸いにも繋がることを突き止め、こちらに報告してきた。

 

給湯室を確認すると、なんでここだけが…と突っ込みたくなるが、指揮官か人形のどちらかの非常食が無事なのを見ると、補強していたのだろうか。施工データには強力な材質が使われていたという。不自然だよ。どっからどう考えてもここだけなんて。なら司令室だって補強すべきだろうに。絶対なにかあるだろこれ。ドライバーも『相当高級なお菓子なんだろうなァ』と皮肉っていたが、俺と同じくして怪しんでいるようだった。しかし、今はそれどころではないので、本命の作業へと戻る。

 

 

 

 

ー煤だらけだが辛うじて動きそうな端末が運良く見つかった。本当に動くかまでは試してみないと分からない。司令室の電源コードはどこもだめだ。でも、AR-15が見つけてくれた給湯室のを使えば、延長コードを繋げて引っ張れそうだー

 

『わかった。なんとかやってみる』

 

『ネゲヴから指揮官へ、そっちは大丈夫?』

 

ー俺たちは平気だ。それより、スコーピオンたちを手伝ってやってくれー

 

『了解。漏電には気を付けるわ。……ガリル、タボール!密かに鍛えた電気工事スキル、私たちにも活かす時が来たわ!』

 

 

周囲を警戒しつつ、こちらも作業を続けた。

あわよくば、鉄血がここに近寄らないことを祈りながら。

 

 

その小1時間後。

 

スコーピオンたちからの通信が来た。

 

『指揮官聞こえるー?』

 

ースコーピオン。そっちの状態は?ー

 

『何とか復旧したよ。今はこちらで電源オフにしてる。ネゲヴたちもありがとう。ええと、給湯室だよね?電源コードは繋がってる?』

 

ーああ、繋がっているぞ。流せるか?ー

 

まさかの配線作業をM4たちも頑張ってもらったお陰で接続可能になった。メンテナンスルームから延長コードも探し出し、接続完了。

 

ドライバーの指示で電気を流してもらう。端末1つ動かすには十分であった。そこで、安全確認の元、電源コード繋げ、早速端末内のデータを検索。M4たちと手分けして操作する。

 

作業後の後、スコーピオンたちに、直ぐに警戒を行うように命じた。電源は繋がっても、確認作業が終わるまではそれを守らねばならない。一応作業後なのにピンピンしてるのは人形クオリティとのこと。見た目で油断は出来ないもんだな。

 

 

 

すると、遠くから車両の走行音が聞こえてきたのだった。

 

 

 

「ふー、やっと着いた…」

 

 

 小さな車が到着し、そこから、小柄な少女が半ばぐったりした表情で出て来た。

 

 

 「指揮官、軍人さん、あれを!」

 

 M4たちが呼びかけ、指す方を見る。なんだあの小さい車は…?あ、これドライバーの基地で見た奴じゃないか?小さい乗り物映ってたよな、確か…

 

 

 

 ドライバーは背後から俺たちにハンドサインで『降りるぞ』と伝えたので降りることにした。ドライバーはM4たちに幾つかのジェスチャーを行い、どこかへ行ってしまった。俺は不覚にも外に気を取られていてドライバーが見当たらないことに気付いた。

 

 「軍人さん…行きましょう…」

 

 目の前のM4たちに連れられ、体勢を低くしてそっと司令室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 にしても、まさかの襲撃地点で鉢合わせ。あれがデストロイヤーか?何か降りてきたな。こちらに向かってきてる。

 

 

 

 

 あれ、ドライバーは何処に…ん?なんかあの小さい車の背後に隠れてるぞ?

 

 「あっ…」

 ―あっ…―

 

 お前までなにノリ良く偶然出くわした男女みたいな素振りしてんだよ!!

ハンドサインしたっきり居なくなったと思ったら…!

 

 「嘘!?何でグリフィンがここにいるのよ!?しかもグリフィンのドライバーまで!!」

 

 ―おお?折角ノリ良く現れてやったのにそりゃないだろ。あ!もしかして迷子かぁ?そうかぁ!済まないが、お前が通ってるホビーショップは反対側だぞ?……デストロイヤー―

 

 デストロイヤー。

 もしかしなくても、あの元気の良さそうなチビッ子がデストロイヤー。確信したよ。ホントにあのグラビア通りだった。目を丸くする俺。あれが兵器かよって思う。というか挑発的な態度だなドライバー…

 

 ―で?今日は月餅でも買いに寄り道してたのか?あの月餅屋はサービス期間中だなぁ…そうだろ?―

 

 「う…不気味な奴ね…そ、そうよ。あの味は一番好きだから買ってるの!お土産にぴったりで~」

 

 

 

 なんで微妙に乗せられてるんだよ!?

 

 様子を伺うとジェスチャーをするドライバー。どうみてもデストロイヤーが見ず知らずの男にいきなり声かけられておどおどしつつも、なんとか無理して調子を合わせてる人にしか見えないのは気のせいか…?

 

  

 「って、バカにしないでよ!私はホビーやゲームとかはアマゾ○で買ってるもん!今日は忘れ物よ!潰し忘れた物があってわざわざこんなところまできたのよ!」

 

 

 

 ―へー?お前ア○ゾンなんて使えたの?偉いねぇ~―

 

 「私だってアマ○ンくらい使えるわよ!!」

 

 

 

 お前ら伏せ字してるけど意味無くなってるよ!?ねぇ!?

 

 ドライバーとデストロイヤーのやり取りに突っ込みを入れたくなる俺。M4たちはこのやり取りを見て「少し様子を見ましょう」と言い出す。

 

 そんなんで良いのか?お前らの射撃力なら攻めるチャンスだぞ?ドライバーの位置からしたって精密に撃てば…

 

 というより、デストロイヤーはスペック的な意味で、元より単騎行動は厳しかったりするらしい。カタログデータからして、本来はこういったところにたった一人では来ない筈。というか、恐らく対策をして来ているのか、それとも今ちょこっと垣間見た意地張ってそうなメンタルが頭角を出してるのか。ドライバーをここで始末すれば良いのに、完全にドライバーによって意識を戦闘以外の別方向に持って行かれてしまっている。

 

 

 

 

 

 

 ―ところで良い車だなぁ?ピールP50か?へぇ…SP-TYPE-P50、か―

 

 デストロイヤーが乗り降りしたドアを塞ぐように立ちはだかり、ピラーを撫でる。やべぇこれ逃がす気のない誘拐犯だわ。その間にネゲヴたちが移動を開始している。良く見るとドライバーのハンドサインをして指示していたのが見えた。こう言うところはニクいくらいに指揮官らしいよな…? 

 

 『ねぇ…あのオモチャの車、なにか知ってる?』

 『Vz61ちゃん、あれはピールP50っていう世界最小の車よ…!』

 『え?子供用のオモチャじゃないの…!?』

 

 『SP-TYPE-P50…皮肉なことにデストロイヤーにお似合いね…』

 

 スコーピオンとEVO3の後にベクターが車を指して言う。こんなチョイスってイメージが変わる。小柄さを活かすにももっと選択の余地があっても良いはず。

 

 『鉄血って名車のレプリカも作ってたのかしら…じゃなかった、早く囲みましょ!』

 

 P50が気になる皆をイングラムが一先ず引き戻しつつ、展開する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『え?あれってR2の親戚じゃないの?』

 『隊長、それスバルや』

 『R2は軽で、あれは所謂マイクロカーですね…』

 

 ネゲヴたちも大概であった。

 

 

 

 

 ―ところで、潰し忘れって何のことだ?―

 

 「あ…」

 

 ドライバーの切り返しのジェスチャーに、しまった……と口許を今更両手で塞ぐデストロイヤー。

 

 

 

 

 

 直後。

 

 

 

 ―確保おおおおおおおお!!!―

 

 

 ドライバーの大袈裟なジェスチャーにより引き連れてきた人形たちが包囲する。AR小隊、更にはネゲヴとスコーピオンたちもその間に入っている。俺も一緒に銃を持って待機。

 

 「おーっと!逃がさんぜ!」

 「ここであったが百年目!」

 「骨の髄までフィールドストリップしてやるんだからー!」

 「さあ、お縄に付きなさい!」

 

 M16、AR-15、SOPii、そしてM4の順で、それぞれ見栄を切った。

 

 

 

 

 「そうはいかんざきっ!」

 

 取り囲まれるも、とりあえず逃げ場を探そうとデストロイヤーはスライディングして人形たちの股下から抜け出ようとするが、片足が運悪くM16のスネに直撃。

 

 「んぎゃあっ!?」

 

 「いっだあっ!?」

 

 

 

 

 「M16姉さん!?」

 「今の痛そう…」

 「直撃だわ…」

 

 

 「~っ!!何のこれしき…ふう…それよりデストロイヤーを!」

 

 悶えるM16。無論デストロイヤーも涙目になりつつ足を引きずっていた。これがドラマや映画の撮影なら完璧に事故である。デストロイヤーはなんとか自分の乗ってきたピールP50モドキに乗り込み、エンジンを始動させる

 

 ―M16、大丈夫か?―

 

 「ちょっと当たっただけだ。指揮官、軍人さん、私は平気だ…」

 

 

 ―十分に痛々しい感じだったがな…M4、M16を頼む。AR小隊は二号車に乗れ―

 

 「了解。さあ姉さん…」

 「すまんな…」

 

 ―…さて…奴は乗ってきた車で逃げる気だ。こっちも追い掛けるぞ―

 

 

 

 

 「あいつ、一人で来たのか…?ペダル足届くのか?」

 

 俺はドライバーに一号車に乗るように言われ、助手席に乗る。

 

 ―さあなぁ…きっとシートにクッション乗せてるか、それとも上げ底してるか、そのまま電脳接続しての操縦だろう。…さて、AR小隊と俺たちはデストロイヤーを追跡する。残りの皆は現場を押さえていてくれ。誰も入れるなよ―

 

 ドライバーたちも車に乗り追跡開始。

 

 

 かくして車格差の有りすぎるカーチェイスが始まった。にしても速いなあの小さいやつ。

 

 ………

 

 その様子を離れた位置から虎視眈々と見つめる、黒いフルフェイスヘルメットとメカメカしい真っ黒ボディの人物。そう、あの全身黒い、明らかに太陽光で暑そうな彼である。その人物は鉄血のデストロイヤーにも、ドライバーが乗り込む一号車を凝視していた。

 

 『ミツケタゾ、ドライバー………!』

 

 エフェクトの掛かったデスボイスめいた声で、彼を名を呟く。

 

 

 

 

…………………

 

 

 

一号車と二号車の出発後…

 

 少し休めるだろうと思った矢先のこと

 

 「…何か来る……皆、危ない!!」

 

 センサーに何か音を検知。

 

 するとそれは物凄い速さで接近する。しかもそれはもう直ぐ近く。途端にネゲヴが叫んだ。

 

 それは真横を勢い良く通り抜けていく。紙一重で回避し、即座に発砲するが、それは被ることなくドライバーたちが走っていった方へ向かっていく。

 

 「一体何なのよ……皆、無事?」

 

 「な、なんとか無事やで…」

 「間一髪…こちらもですわ…」

 

 「スコーピオン、あんたは?」

 『こちらスコーピオン、こっちもみんな生きてる~…』

 

 人形たちは無事。しかし現状維持が命令だ。得物のチェックを行い、ネゲヴは通信を一号車に繋いだ。

 

 

 

 

 

 「ネゲヴからドライバー指揮官へ。貴方たちの方に黒い車が一台向かって行った!今からでも追えるわよ」

 

 

 

 

 

 

……………… 

 

 

 

 

 

 

 

 ―…ダメだ。『ソイツ』には手を出すな。エリア(基地)の確保を優先しろ―

 

 『…了解よ。基地の確保に努めるわ』

 

 煮え切らない。

 しかし、命令ならば…と諦めた様に言い、通信は終わる。

 

 

 ―悪いなネゲヴ……さーて…―

 

 ドライバーはM4たちに向けて通信を繋ぎ、ステアリングホイールを保持しつつ、指先でトントンと突っつく。細かくジェスチャーする暇がなさそうだった。

 

 ドライバーは一号車のバックミラーから、M4たちの二号車の更に後方から黒い車が迫っているのを確認していた。

 

 あれは形も色も見るからに不気味だが、確実に車だ。車輪がついてる。無理矢理コーナーでM4をパスしている。

 

 

すると、M4からの返信が来た。 

 

 『了解しました…どうか指揮官たちもお気をつけて!』

 

 ここで無線を終了。こんなところで説明をしてもらえる状況では無いのを分かった上で、M4は一先ず指示に従うことを優先したのだろう。

 

 

 

………………………………………………

 

 

 

 「何だろうね、あの黒いの…」

 

 「兎にも角にも、あれは指揮官に任せるしか無さそうね…」

 

 

 先ほどの事についてスコーピオンたちとネゲヴたちがひしめき合う。あの黒い車の事が気になるが、ここで維持するように命令されてしまった以上、それに従うしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

………………………………………………

 

 

二号車にて…

 

 「姉さん、大丈夫?」

 「平気だM4。歩行システムには問題ない。運転に集中してくれ。それとも、運転を変わってやろうか?」

 

 「冗談は止して。無茶は駄目…!」

 

 「ふふふ、そうか…わかったよ…」

 

 「…それにしても、あのデストロイヤーのスライディングには驚いたわね…てっきり懐から武器を取り出して至近距離で襲ってくるものかと…」

 「鉄屑たちも馬鹿には出来ないってことだよね?こうなったら、悪・即・バラすっ!」

 

 

 「一先ずは離されないようにしないと。みんな、しっかり捕まってて!」 

 

 

 

 M4たちはデストロイヤーと一号車の後を追いかけていく。にしても小さいくせにかなり速い。鉄血のあの車は何かへんなものをパワートレーンとして載せてるのだろうか。

 

 

 「ねえ、背後からなんかもう一台来てるよ!何だろうあれ…?」

 

 突如、車内の後方カメラになにか映り込み、SOP iiが反応した。それは次第に追い付いてきている。現在のペースよりも速い。

 

 

 

 

 「もしかしてネゲヴたちか?いやまてよ、指揮官がさっき基地の確保を命じたはずだよな…」

 

 「そもそも、あんな車、指揮官の基地にあったっけ?」

 

 「指揮官、武器と同じようにどこからか色んな車を持ってくる事あるらしいから…でもおかしいよね…」

 

 M16、SOP ii、AR-15は疑問符を上げる。黒い車はすぐ後ろまで迫っていた。画像認識で探すも該当なし。

 

黒い車が二号車に対して強引に追い抜こうとしてきて、コーナーの内側を先に入られてしまう。 M4はしっかりと空いてる車線で曲がりきり、コントロールを保っているが、黒い車にパスされる。

 

 「っ…!?」

 

 「おいおい!あいつ強引すぎるだろ!?」

 「ぶつかってくるかと思ったよ!?」

 「落ち着いて!あの黒い車、嫌に冷静そうね…」

 

 動きからして車軸を全く乱していない。それは前方のドライバーとデストロイヤーたちもごぼう抜きにせんとする勢い。

 

 「指揮官と軍人さんが…!あれ?指揮官から通信が………モールス信号…?」

 

 

 「おお、今通信ログにも残ったな。解読するぞ。えーっと…『黒い奴には手を出すな』、『ARはデストロイヤーを追え』とのことだ…」

 

 すると、またモールス信号が届いた。

 

 「またか…?」

 

 「今度のは長いわね…」

 

 AR-15が呟く。

 

 すると信号は終わり、残りの指示を再び解読し確認を終える。やることは決まった。

 

 『了解しました……どうか指揮官たちもお気をつけて!』

 

 そう、M4は応答する。

 

………………………………………………

 

 

 

 

 かくして、 二号車はデストロイヤーを、一号車は突如現れた黒い車と対峙するため、分かれ道で二手に別れることになった。

 

 

 

 

 

 

 ―聞き分け良い子で助かったな…―

 

 

 分かれ道で二手に別れた後のこと。

 

 黒い車はM4にもデストロイヤーにも眼中に無いのか、一号車に何の迷いもなく追従してきている様だった。明らかに攻撃的な態度に見える。

 

『なんだこいつは?』と軍人は呟いている。

 

 「ええと、俺たちは後ろにいるこいつのお相手ってわけか」

 

 ―そう言うことだ。乗り合わせちまった以上、しっかりシートに座っていてくれよ?―

 

 「お、おう…良いぞ、事態が事態だからな。行ってくれ!」

 

 すると、ドライバーは車を加速させた。狭いのも手伝って瞬きするとあっという間にコーナーが来る。そんな中で速度も加速力もレスポンスも高い車を、ロスなく扱うドライバー。ドライアイな者には恐怖の光景だろう。

 

 

 

 (相変わらず…なんてGだ…!景色の流れ方も半端じゃなく速い……瞬き出来ないとはよく言ったもんだ…だけど、なんか何時もより…!?)

 

 

 普段鉄血相手に走らせているペースと何かが違った。

 

 

 久しく乗ってなかったからか?ギアが一段上がった様に速く感じる。今走ってるのが下り道だから、余計にそう感じるのか?

 

 

 運転してる様子は何時もと変わらない。珍しく道幅一杯、ガードレールや崖っぷちのギリギリを攻めるため、かなりシビアなラインを走り抜けている。その現実を写し出しているサイドミラーやバックミラーを見たら失神しそうになる。あれ?M4の運転の癖ってここから来てるのか…?

 

 

 

 猿も木から落ちるみたいなオチだけは勘弁してくれよ…?

 

 

 

 

 

 

 尚、一号車と黒い車の走っていった方向には、『工事中』の看板が掛けられていた…………

 

 

 

 to be continued.




閲覧ありがとうございました。


さて、今回ついに出て来た謎の黒い車。これは果たして何者なのか…


というわけで、次回の更新を生暖かい目でお楽しみにくださいませ。

かなり亀さんペースですが、できる限り頑張りますm(_ _)m



代理人「君の心に、ブーストファイア!」

今後、【戦場の走り方】内で見てみたいものは?(もしかしたら反映されるかもしれません)

  • 劇中に世界の名車を登場。
  • AR小隊vs404小隊のレース対決。
  • スオミを走らせよう。

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