戦場の走り方   作:ブロックONE

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ドーモ。皆=サン。筆者です。

注意。この作品はホラー要素はありません(何)


Vol.28 云年ぶりに起きた朝は…

…それはデストロイヤー出発前までに遡る。

 

 

 

 

 

 

『そんじゃあ、カウントダウン開始っ――――発射ー!!』

 

ある広い高原にて、異性の威勢の良い掛け声と共に轟音が鳴り響く。

 

『よーし、チェックいっちゃおうか!』

 

轟音の元は決して下町で作られたロケットとかではなく、そもそも明るい話題なりえそうなものではなかった。

 

それは、何と巨大なレールガン。正しくロマン砲。実用化しているのは正規軍だが、よく見ると鉄血のマークが記されている。その隣には『テスト用』の文字。

 

 

そして発射。

空気を切り裂く音と着弾音が響く。

 

 

一基だけそびえるレールガンは、その発射後まで故障はしていなかった。

 

「いよっしゃああああああああ!!」

 

少し離れた位置で、鉄血のハイエンドモデル、アーキテクトがピョンと飛びはね、歓びの声を上げる。

 

 

「やっと撃てるのが出来たよ!あたしって天才!?いやもうこれなら誰も文句ないっしょ!早速次のを建てなきゃね!」

 

『何を騒いで…っておまっ!?』

 

その様子を不審に思ったゲーガーが通信を繋げてくるとアーキテクトの背後に映るレールガンと、その設置された土地、そしてその砲台の向いている方向をモニタで確認して驚愕する。

 

『アーキテクト…そこに建てたのか!?』

 

 

「え?ゲーガー?そうだよ。あたしの天才ぶりに驚いたとか!?やだもー」

 

 

『このバカ!そうじゃない!そこはグリフィンの奴等が向かってくるかもしれんと話した方向だ!砲台の向いている先も!』

 

「……え?」

 

アーキテクトは一瞬真顔になり、改めて広域マップを開いてみる。

 

 

 

(これ敵呼び込むんじゃね?)

 

 

 

アーキテクトはそう思考した。

 

 

 

しかし、その気配は無かった。

 

 

 

…が、そのしばらく後…アーキテクトたちの元に一台の黒い車がやって来た後に、このフィールドは大混乱に包まれることになる。その中で、破壊された鉄血兵や追跡車両が転がっている中、グリフィンでもなければ鉄血でもないその黒い車が悠々と走り去っていったという。

 

 

 

『おや、もうよろしいのですか?』

 

 

『アンミンヲサマタゲタ罰ダ。ソレニ…ココニハ ヤツハイナイ…イッタイドコニイル…『グリフィン ノ ドライバー』…!!』

 

 

 

不気味なデスボイスと剽軽そうな電子的イケボAIの会話が混ざる。

 

 

---------

 

 

 

試験用ジュピター発射、着弾後。

 

 

 

 

その砲撃を受けた際、付近にて、何やら動きがあった。

 

『起動に成功。久しぶりに起動したのでインターネット規格並びに互換性をチェックします。……問題なし。理論上まだこちらはハイスペです。同期開始……成功。どうやら、緊急起動するまでもなかったですね。ギリギリですが』

 

流暢に喋るアナウンスボイスが暗闇の中で何かが起動する。ロボットアームが動き始めるが何が起こっているかわからない。すると、そのアームが離れていき、生体ポッドの扉が開かれた。

 

 

ポットの中から誰か起き上がる、それはヒトにしては少しゴツゴツしていてメカメカしい様な黒いヤツ。するとソレは、突如カメラ目線を決め込みアイカメラが灯る。頭のそれはフルフェイスヘルメット。

 

 

 

 

 

 

『おや、お目覚めですか?お元気そうで何よりです。あ、おやすみ中にやわらかスーツとアーマープレートは新品に交換しておきましたよ。黒だと塗装の手間が省けますね。ライトノベルの主人公みたいですが』

 

 

 

アナウンスをしていたAIが、黒ヘルに話し掛ける。するとその黒いのはポットから出た。すると猫背から姿勢を正し、ゆっくり歩き出す。何かの前で立ち止まる。するとAIは黒ヘルが向いた方向の『あるもの』に対し、また一方的に話し出す。

 

『ああ、こちらは現在オイルの差し替え中です。何分、久方ぶりの起動ですから。暫しお待ちを。整備性が高いと便利です。そう思いませんか?』

 

 

その間に黒ヘルは検索エンジンを起動させる。

 

 

 

『おや、検索ですか?接続感度は良好ですよ。どうぞ』

 

 

 

【検索ワード:今世紀 最速の男】

 

『検索開始…』

 

すると、結果が表示されるが、検索窓の直ぐ下にこう表示される。

 

 

 

 

 

 

 

 

【もしかして→グリフィン The DRIVER】

 

 

迷わず選択して一通り情報を蓄えるために多くのタブを開いて閲覧する。その速度は最早速読も良いところ。一通り読み終えると、興味が失せたのか、一気にタブを閉じる。

 

 

 

『お待たせしました。お車は色あせてませんよ。仕様は最後に眠りに付く直前のセットのままですので、セッティングが必要ならそちらの裁量で調整をお願いしますね。車内のスイッチで何のそのです。稼働に問題なし…………』

 

 

 

AIはまた喋りだす中、黒ヘルが迷うことなく目の前の真っ黒い『車』に乗り込み、ハーネスを着用し、手元のスイッチでエンジンを始動させた。インバーターの駆動音のような音が響く中、車内で呟く。

 

 

『…………『ドライバー』…コンドコソ、キサマニインドウヲワタシテヤル…!!』

 

 

怨みや執念を感じさせるデスボイスな黒ヘルは、バイザーの奥をギラリと赤く光らせ、スイッチ満載のロマン溢れるD型ステアリングホイールを握り、そしてアクセルペダルをじわりと踏み、車を走らせていった……。

 

 

 

 

 

………………………………………………

 

 

 

遂にその日がやって来た。

 

しかし、崩れた橋に巻き込まれ、それを尻目にグリフィンのドライバーの駆る一号車は去っていってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『記録再生完了……まるで、ドラマのゲスト出演者の演じた人物になったみたいですね』

 

 

 

 

 

 

 

 

 静寂に包まれる中、AIが喋り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 『しかし………』

 

 

 

 

 

 

 

 突如、橋の崩れた所に何かの駆動音が轟く。そして欄干に向けてフック付きのワイヤーが射出される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『けん引開始。デフロック起動――――。……我々は、一話完結のために用意されただけの、都合の良い存在などではありません』

 

 

 

 

 

 

 

 同時に、機械が軋み、タイヤの摩擦…それらの騒音が混ざった『不気味な音』が鳴り響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そうですよね?』

 

 

 

 

 

 

 

 這い上がり、漸く路上に姿を表した。

 

 

 

 

 

 

『―――同志たちへの情報共有に成功―――…それでは参りましょうか』

 

 

 

 

 

欄干に引っ掛かったフックが外れ、落下寸前に打ち出したとされる別のそれから順に車体に巻き戻っていく。全て格納し終えると、大きく口を割いたように展開したフロントバンパーが、先程までドライバーを追撃した時までの形状に戻っていく。

 

 

 

 

 

 『………"ハイドラ"』

 

 

 

 

 そして静寂の中、再びソレは走り出していった。

 

 




おしゃべりAIと共に現れた黒ヘルこと『ハイドラ』。



その目的とは一体…


では次回の更新をお待ち下さいませ…m(_ _)m




代理人「あなたのココロ、アンロッ…じゃなかった、ブ ー ス ト フ ァ イ ア ! 」

今後、【戦場の走り方】内で見てみたいものは?(もしかしたら反映されるかもしれません)

  • 劇中に世界の名車を登場。
  • AR小隊vs404小隊のレース対決。
  • スオミを走らせよう。

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