前回からの続きです。
ではどうぞ。
あの後、俺たちはドライバーが運転する一号車に乗って、ネゲヴたちと合流した。M4たちには街に入ったデストロイヤーを街の当局に任せるように指示を出し、一度先程の基地に引き戻す。走り慣れてきたのか、かなり早く戻ってきた。尚、先程デストロイヤーのスライディングに巻き込まれたM16は、普通に歩けている。よく壊れなかったな?
現在、ネゲヴが通信で話していた基地の周辺で倒れていた人形たちを調べている。
「ひどい…」
その声は到着後にドライバーと俺と一緒に見て回るM4A1から発せられた。
ソレもその筈、四肢をもがれた人形の山。人間ならとんでもないことになっている。
そこで、ネゲヴが代表して説明してくれた。
「確かに…見るに耐えないものね。一先ず説明すると、さっき黒い車がカッ飛んで行った後、その方向を調べてきたの。そしたら、ここに……しかもこの子たち、壊されて間もないわ」
よく見ると、まだ人工皮膚が痛んでいなかったり、露出した部品が錆びてなかったり。
ドライバーは無言のまま。
―可能性があるなら、さっきの奴かもな。黒い車のアイツ…―
「ねえ指揮官、アイツは何者?」
ドライバーは手を翻して分からない、としか答えず、ヘリアン達に連絡をするとのこと。
―ヘリアン、まだ居るか? ―
『こちらヘリアン。まだ居るぞ?先程、貴官たちのいる拠点から最寄りの街で、デストロイヤーが捕まったという情報が寄せられたのだが…』
呼び出しに応じたヘリアンは、何やら報告を受けていた様である。
―ああ、だと思ったよ…拠点は想像以上だ。周辺に殺られた人形を沢山見付けたんだが、それらはどうすればいい?こっちじゃ判断に困る。しかも今日はダミーを連れてきてないから人手が足りない―
『こちらで回しておく。それと、そのエリアに勤務していた指揮官から、大切なものがあるから回収をしてきてくれとの事だ』
ドライバーと俺はもしかして……と先程の給湯室の金庫を思い出した。
―それは何処にあるのかわかるか?―
『話によると給湯室だ。そこに金庫が設置されていて、その中にあると……』
―おお、そうかそうか。ならお安いご用だ。その指揮官に渡せばいいのか?―
『出きればそうしてほしいそうだ。機密ならばこちらでも管理出来るが…』
―いや、こちらで渡すよ。そいつはいまどこに?―
『ん?おい、ドライバーうしろおおおお!!』
叫ぶヘリアン。
背後を見ると…黒いヘルメットがテカっている。しかも、邪悪そうに赤く目を光らせていた。
来 ち ゃ っ た 。
『ドライバアアアアアアアア!!!
……べふっ』
刹那、ドライバーのムエタイキックが炸裂した。黒いヘルメットは受け止めるようにも間に合わずすっ飛び、機能停止したのか、動きが止まった。
「えええええええ!!?」
俺…いや多分皆もだろうけど、ドライバーの見事なムエタイキックよりも、復活していきなりK.O.された黒ヘルに驚いていた。年末の笑ってはいけないシリーズでもこんな事態は起こらない。あ、 あれは加減してるからか…。
よくみりゃさっきの黒い車が停まっている。おいおいお行儀よく出入り口に向けてるじゃないか……
―なあ、 今の見たか?―
『あ、ああ…』
「良い反応だったな?ドライバー…」
ヘリアンと俺、そして人形たちに尋ねるドライバー。
尚、人形たちは目を丸くして驚いているようだった。フィクションみたいに派手な技を決めておいて、直後に『自分が何したかわかってない態度』を取られるよりかは、今みたいに吹っ切れてくれた方が鬱陶しくないのは確かだ…しかしあの黒ヘル地味に防いでたよな?
っつーか、人形たちなんで撃たねえんだよ、いや何故撃たせないんだよドライバー!…え?ああ、俺らが近くに居たから弾道予測したらこちらに命中してたってさ。そういう時にトリックショットで助けてくれそうな感じする精密射撃担当のRFの人形は連れてきてなかったな、そう言えば。
こういう目に見える表面的な情報じゃあ、ドライバーの思惑は計れないけど。
さて、倒した黒ヘルを一号車から取り出したロープで拘束する。
どうか暴れてくれるなよ黒ヘル。少なくとも俺たちが帰るかお前がくたばるまで…そう祈りつつ。
その後、車をよく見るとサークル状のマークが描かれている。掠れてるのは先程のカーチェイスが原因だろうか。人形たちとデータを参照するも該当情報は無し。
ドライバーはそのマークを注視していた様だが、くるっと向きを変え、金庫に向かうぞ、とジェスチャーしてきて、人形たちに黒ヘルを警戒させ、俺とドライバーは 司令部の中へ入っていった。
………………………………………………
「さて、さっきの給湯室に来たぞ」
金庫は無事だった。
―よーし、金庫の前に来たぞ―
『当エリアの指揮官からパスワードを預かっている。そちらに送るぞ』
端末に送られたパスを入力する。この際この金庫は破棄するつもりなのだろうか。すると扉の鍵が解除、中身とご対面。それはデータチップの納められたケースだった。
―なるほど、これが隠してた『お菓子』ってわけだな…よし、ああ、ヘリアンか?情報に感謝する。俺たちはもう用済みか?―
『そうだが、というか…あの黒いヘルメットの人物は何だ?』
―さあね、もしかしたら追い越し車線の有無に関係なく絡んでくる自分勝手なハイウェイマンじゃねえのか?―
おい、あんな強化スーツみたいなの着て襲って来るやつが、そんじょそこらのハイウェイマンなんかと同じなワケがないだろ?やつらならもっと軽装な筈だ。
一方その頃。
「ふふふ、この私と接近戦なんて良い度胸ねぇ?」
表ではネゲヴたちがロープを解いて暴れる黒ヘルの相手をしていた。AR小隊とスコーピオンたちも応戦するが、現在彼女が黒ヘルを前に構える。皆バテているのは何故なんだ?格闘戦でも仕掛けてたのか?
というかさ!何で銃を使わないんだよ!銃を!!
いっくら格闘戦の方が距離的に有利だとか教えがあったからって、ナメプにも程があるだろ!?
それとネゲヴ、さっきのお前の台詞は悪役が吐く台詞じゃないのか。服装は正義の魔法少女みたいなのに、それが台無しだ…!!
にしても、その構えはクラブマガか?流石イスラエル製銃器と同名なだけある…
無駄なく素早く動いて攻撃を加えるが防がれている。黒ヘルはパワーファイト志向か、撃たれても恐かねえって言いたげに堂々と詰め寄る。
―良いぞ、そのまま釘付けにしろ―
『ゼェ…ゼェ…了解…』
黒ヘルの中身はタフなのかヒョロイのかよく分からない。だからこそ脅威に感じていた。恐らく、人形の皆も…
「あの子、ネゲヴだっけ?彼女息が上がってるぞ?」
―そうみたいだな。そうそう、街でネゲヴが出演してるヒロインショーは、特殊効果無しのリアルタイム残酷ファイトで、背伸びしたい男の子たちからは人気を博している。登場する時には、必ずネゲヴが好むコシロさんの音楽が流れるから、大きなお友だちにも人気だ―
すると、端末に『爽やかな笑顔でクラブマガ使って敵を葬る、マジ狩るヒロインネゲヴちゃん』という電子社内報の表紙を呑気にも見せてくれた。所々不穏だなこのタイトル…
(何が爽やかだよ!?これじゃ狂気そのものじゃねえか…!?)
しかも見せられた映像からして、悪役の人を殺しに来てるじゃんこれ…。
実際、肋骨を折られたりしたスーツアクターがいるのだとか…。
尚、たまにグリフィンの警備兵がヘルプで相手役をやってきた時は、早く動くわ、負傷させようとも先ず負傷しないため、中々台本通りに行かず大変との事だった。
負傷させる前提の台本とは一体…。
さて、ネゲヴも黒ヘル相手にアクションの連続で息絶え絶えになりつつある中、ドライバーは俺にこうジェスチャーした。
―いいか、黒ヘルの背後を取るんだ―
「はあ…!?あんな奴の背後をか!?」
いきなりどうしたんだ、と思わずドライバーの方を見ながら俺は返した。
―お前なら出来る。オブザーバーから聞いたぞ?ゼロレンジが出きるんだってな?―
あ、これれオブザーバーから引き継いだ際に知ったんだな?
確かにあれはこの前やったけど、意表を突いただけだし、相手も黒ヘルみたいにこんなゴツくないし。それに俺あんまり身体柔らかくねえし…どうしても筋力任せになるんだよな…。
でも、一応これは忘れない。
俺は狩るもの…俺は狩るもの…
肉食動物は緊張しない…よし。
「やるか…!」
―その意気だ!肩回して解しておけよ?そそーっと回りこむんだ。確認だ、お前は背奴の後。俺は前。後ろの方がリスクは少ない。回り込んだら合図待て―
ドライバーなりにリスクが少ない方を考えてくれてるのか。にしても、長引くと彼女たちもまた地獄の組手になって大変だ…
そして、俺たちは討って出ることにした。また土壇場だが目にもの見せてやる。
………………………………………………
その頃表では……
『ドウシタ尖兵達ヨ、ソノ程度カ?』
黒ヘルは余裕綽々。
「尖兵ですって?はっ!言ってくれるじゃないの、このG…!…ゼェ…ゼェ…」
『ソノ、"ゴキブリ"スラ倒セヌママ……』
―Gの意味言っちゃダメよキック!!―
隙を見せた所をドライバーが勢いよくドロップキックを食らわせた。よろける黒ヘル。ドライバーは体勢を整え、俺は背後にそろりと回り込んだ。肩回そっと…
―奴は胴体の部分が柔らかい。そこを狙うんだ―
…と、彼は俺に向けて咄嗟にジェスチャーしてきた。
え、胴体が弱い?そうなの?
なら話は早い。
さっと回り込んで、ドライバーが合図を出したのと同時に生まれて始めてのウェイブパンチを繰り出した。
こいつ人よりは硬い感じするぞ?太ってないが、なーんかブヨッとしてるとていうか…
…でも一応、軍の基地帰ったら折れてないか診てもらおう…
ドライバーは正面から食らわせている。あ、確かに柔らかい…でもヒトの身体よりは硬いぞ?
直後、ドライバーから『離れろ』とジェスチャーを受けたので、言うとおりにして黒ヘルから離れた。すると、見た目で分かるような派手な破損はしていなかったが、黒ヘルはその場に崩れる。
だが、爆発はしなかった。
しかし、ドライバーは驚きの行動に出た。
何と黒ヘルの襟首を掴み上げ、黒い車の助手席に押し込もうと、ドアの真ん前まで連れてきた。
『グウッ…クッ……!?』
―暴れるな。悪い様にはしないさ…これ、こう開けるのか?おお、開いた開いた。誰か開いたドアを押さえてろ。―
ドライバーはドアを開けてみせた。押さえさせるのは閉じ込められるのを回避するためか。
すると、息を整え終えていた人形たちの中で一番近い位置にいたM4A1がすぐ立ち上がり、ドアが動かぬように押さえた。つか鍵開けっぱかよ黒ヘル…
「どうされるおつもりですか…?」
するとドライバーはこうジェスチャーした。
―なぁに、こいつとドライブしてくるだけさ―
………何だって?
ドライバーはそのまま黒ヘルを助手席に放り込み、運転席に座ってドアを閉め走り出していった。データチップは俺が預かり、M4たちには待機を命じ、俺たちは帰りの分の体力のために一休みする。まぁ、彼女たちは格闘戦でヘロヘロだし…そして、壊された人形たちに哀悼の意を捧げ、彼の帰りを待つ…。
そして、走り出していったその数分後、どうやら今度は鉄血マークの無人ドローンがやって来てるそうで、俺たち待機組は緊張と不安が走るも、直ぐにその無人ドローン反応がロストしてしまうという事が起こった。何かに当たったのか、故障か、墜落した模様。
ヘリアントス氏は再び困惑に浸っていることだろう。うん、こちらもだ。
そして最終的に黒ヘルとその愛車はドライバーの拷問…もとい、ドライブから戻ってきた。ドライバー本人も無事。
一方、多分ドライバーの運転のせいだとは思うが、ヘロヘロになった黒ヘルはドライバーから漸く解放され、『貴様ァァ!オボエテロー!!』と叫んで車に乗って逃げていった。さっきまで謎の敵だったのに、一気に小物臭くなったな。
人形たちは面倒そうなのが消えたことに安堵していた。いや面倒なら撃てよ。そして撃たせろよドライバー。なに?下手に発砲したらしたで面倒になる?
…お前も結構闇が深い所あるよな?
そして、俺たちは回収部隊も来ているそうなので、彼らに引き継いで帰路に着く事になった。スコーピオン、頼むから帰りにレースの続きやろうなんて言い出さないでくれよ?
え?やるの!?M4また目がマジになってるよ!?
待って…待 くぁwせdrftgyふじこlp
To be continued.
復活してきてすぐに挟まれる(?)。狂気の黒ヘル、ハイドラ。
一日で変なやつに何度も絡まれるドライバー一行の明日はどっちだ
…といった回でした(オイ)
さて、展開的にはそろそろキューブ作戦の頃合いにしたかったのですが、実はドルフロのゲーム内では始めた時期的にキューブには参加したことがなく、その後のウサギ狩りからなのです…orz
キューブ作戦編とかは出来次第投下する予定です。
ドライバーさんたちがどんな動きを見せるのかお楽しみに。一応キューブ編は新車を投入予定です(R4並感)
イベント戦役編の他にもやりたい事やネタもありまして、それを一個一個消化しつつになると思います。
そしてなんですけど、確認しましたら現時点で6000UA越え、お気に入りが50件越え、しおりはちょうど20件もあったのでびっくり。本当に有難うございます。頭が上がりません…。
これからもごゆるりとお付き合いいただければな、と。
もしドライバーさん出したいと思ったスピード狂な方がいましたら、メッセージでお願いします。
ただ、この機能だけ使い慣れてないため、万一送ったつもりが遅れてなかった場合は……お許しを…m(_ _)m
ではまた次回をお楽しみに。
代理人「君の心にブーストファイア!」
今後、【戦場の走り方】内で見てみたいものは?(もしかしたら反映されるかもしれません)
-
劇中に世界の名車を登場。
-
AR小隊vs404小隊のレース対決。
-
スオミを走らせよう。