ではどうぞm(__)m
どうも、よい子の皆さん。
稼働してからお団子ヘアーを解かない日が多い、鉄血製ハイエンドモデルの代理人(エージェント)と申します。
そう、後書きでよく『君の心にブーストファイア!』と決め台詞を言っているのは私です。最近は他の方もやってましたが。
「代理人様、連絡に参りました」
私は、鉄血人形たちの司令部にいます。そう、ここで指示を出したり、『ご主人様』の面倒を見たり…ラジバ…え?それはいいからって?失礼しました。
さて、人形兵の一体が司令室に報告しに訪ねて来ました。
別にデータ送信でも良いのに、と思うがそこはスペックの問題だろうか。少なくともわざわざこのやり方をしてくるとなると、嫌な事が起こったと見て良いでしょう。
人形兵を通し、報告データを受け取った。
データを参照する。
『<#¥&#¥$=##-#===$$&&~~$<<<』
『-@##-=]*¥&==#-&¥』
『$$^~==&#&$&$$&=-^~』
え?文字化け?いえいえ、これは暗号です。折角『暴走』したんですから、ここはやはり暗号くらい使わないと…ね?
よい子の皆にも配慮し、暗号化した文章を翻訳すると……
『鉱山エリア、グリフィンの部隊に拠点を襲われ奪われる』
『アーキテクト、レールガン設備が損害を受ける』
『兵站、ばれないと思ったらルートの至るところにネズミ取りが仕掛けられていた』
…の三本となっております。
…え?これじゃ、ギャグにしか聞こえない?
デスヨネー
無論どれも大事だったのですがね。
戦争中ですからね。仕方ありませんわ。
ということで、優先順位の高い所が何処だか、皆様はお分かりでしょうか?
では答えを言いますね。
それは『兵站』です。
何故か。
鉄血製の人形なら別に飯とか要らないんじゃね?ってなりますけど、そうとは行きません。
そもそも兵站とは、兵士を送らねばならないのにそのルートを気を付けねばなりません。来る前に潰されますしおすし。
それと、私たちとは言えど、詰まるところ工業製品でありますから、予備の部品とか持ってくのですよ。
以前はそんな事しなくてもいいのZE☆と考えてました。
が、サイバト…もといグリフィンとの戦いが激化すると、やはり兵站は必要になって参りました。とりあえず、稼働している時間を伸ばすために予備バッテリーを持たせました。内蔵できそうな子には予め内蔵させてから向かわせました。
あと、追跡車両を扱うに備えて予備のタイヤとか補修装備を持たせましたね。理由は撤退させても途中で返ってこられなくなった子たちが出てしまったから。
この前なんて途中でバーストしたりバッテリー切れで止まったところを狙われたので…
持たせてからはクラッシュしたり破壊されない限り、帰ってくる子は増えましたね。でも、グリフィン側に回収されてしまったのか帰ってきても台数が少ないです。
それに部品を送るにしたって素材を加工するにも、何をするにも同胞の人形やら道具やら物資やら…必要なものを運ばないと始まりませんから。
開拓者みたいに一から作っている暇は早々ありませんし。
無いなら作ればいいんだよ!ってアーキテクトが言い出しそうですね。下町でロケット作る職人のごとくレールガン作りに邁進してましたが。
兵站さえしっかりしておけば、レールガンの再設置は時間の問題でしょう。飽くまで結果論ですが。
あーでも、鉱山エリアの拠点もなんですよね。デストロイヤーが付近のグリフィンの拠点を壊滅に追い込んだのに、何やら違う所から攻撃された様です。そのせいでインゴットが手に入らなくなりました。
なるほど、グリフィンのドライバーですね。抜き出せた交戦記録から彼の車が映ってます。
あの憎きグリフィンのドライバーは、同じ道を走らせると、我々鉄血人形よりも基本的には5秒以上は速いと考えられてます。
不可解な挙動をするので、いくらディープラーニングしようにも、私たち人形、すなわち機械からしてはプログラム的に解釈するには、意味不明なものが多過ぎて追い付くことが困難となっています。だからこそ、ご主人様は面白いと考えているそうです。
かつて、どこかのメーカーが有数の自動運転のテクノロジーを保有していたのですが、それは現在の我々鉄血では手に入らずじまいです。
失われたと思ってましたが、多分大人の都合もあるかもしれませんですわね。かなりの高レベルな物だったと言われています。
もしくは利権争いもあったのでしょうか。
私たちが預かり知らないところで、そういう戦いは起こっているわけです。別に銃が無くても争いは起こります。嫌がらせするみたいに立場や法を利用、または抜け穴から阻止したり。もしくは、集団が立場の弱い個人を相手に、もしくは悪意に満ちた誰かを、知らず知らずのうちに追い落としたり。
前者は集団が悪意がある場合。
後者は苦しめる暴君を相手に集団が動いたという場合など。もっと色々火種はあります。
結局、誰か一人でも減れば、能率は下がるし、余計に損耗が多くなるし、その分の補填等で忙しくなります…今まさにその真っ只中。
まあ、人間たちの争いに関し、我々には文句は言える立場ではないので。仮に説教をしたところで、それが余計な対立を生むことにもなりますし。
さてさて、報告データの裏では回収可能な仲間たちのデータを回収し、統合する工程をやるわけですが。それでも回収不能な人形や機械も必ずいます。できるだけ尽力はしますが……
そうなった場合は人間で言う『腹を括る』ということです。新しく発注します。
どうかこのデータが新人や生き残った鉄血の仲間たちの役に立ちます様、願うばかり…。そして『ご主人様』のためにも。
そう言えば、この前S06地区に送り込もうとした我々の新型の車両、襲われ取られたらしいです。他の基地には見付からなかったのに…やはりこちらで組み立て車列に混ぜておくべきでしたね。反省です。
『ねぇ…エージェント…?さっきから誰とお話ししてるの?』
「これはご主人様……それは、良い子の皆さんへ、です。そういえば、ウロボロスは?」
『何かレースゲームの配信やってるよ。今9連勝目』
「またですか…AI相手に俺TUEEEEEするに飽きたらず…」
……………………
「よっしゃ!また私の勝ちだな!!」
鉄血司令部内の一室。
黒セーラーを着込んでいる鉄血人形のウロボロスは、自主練と銘打ってレースゲームのマルチに浸っていた。メインモニターが幾つか備わり、手元のサブのモニターには動画サイトの生配信のコマンド画面が表示され、メインモニターの映像の下には参加者のコメントが雪崩れ込むように書き込まれている。ウロボロスはレースシム用のコックピットに座り直した。
「さあ、次のレースに参加したい者はお早めにお願いするぞ?」
すると、新たに一名が入室してきた。名前は『OLM@206X』。
『こんにちは。ウロちゃんさん。初見です』
「おや?オーエルエムさんいらっしゃいませ。ごゆっくりどうぞ~」
『参加しますっ』
「お?ではでは早いもの勝ちですので…」
言い終える前にエントリーしてきた。
「早っ!?まぁこれで全員揃いましたね?では開始しまーす」
参加者のコメントは賑わっていた。
『がんばれー』
『次勝てばウロちゃん10連勝!』
『この後何名か事故ります(ヤメロ』
「おいレース前!レース前だからな?ww」
コメントを読みツッコミを入れる。
(あらー…)
(どうする…?代理人…)
(少しだけ様子を見てみましょうか…楽しそうなので)
代理人と先程の『ご主人様』とされる人物はウロボロスの暫し観察することにした。そして、配信も確りと見ている。
「サーキットは…鈴鹿サーキット?え?ここ正直苦手…」
しかし、レースは無情にも始まった。かくいうウロボロスはここでも勝てないことはない。飽くまで盛り上げるための口上。
車は同じ年代のフォーミュラマシン。OLMは深紅の車両。ウロボロスは黒いオリジナルカラーのマシン。
スタート直後、他のプレイヤーたちもガチ勢。ここは涼しく走破してみせようと意気込んだ。
設定はスローカーブーストはオフ。電子機器もオフである。プレイヤーもかなりの手練れであった。
……………………………………………
【レース開始~序盤】
OLMを背後からガンガン煽るプレイヤーたち。でも見事にブロックラインを走って塞ぐ。
すると、インに刺されたのでOLMは集団に前を譲る。
ウロボロスたちもその集団におり、ウロボロスがトップ。
「よし!前に出た!」
後はドヤ顔でミスなく走りきればいいだけ。
OLMは最下位まで転落。
他のプレイヤーはぽっと出のOLMにファンの意地を見せたと思っていた。
抜かれた側からすれば、心は折れてリタイアを押したくなるくらいになる。軽はずみで挑むんじゃなかった…と。
そうなるはずだと、視聴者の大半はそう思っていた。
……………………………………………
【レース中盤】
中盤。
視聴者はあるプレイヤーに注目していた。
それは、区間タイムを圧倒的な早さで駆け抜ける、OLMの赤いF1マシン。それはまさに修羅か何かに見えた。このゲームにはEスポーツの世界的チャンプの圧倒的なコースレコードがあるが、OLMはそれを上回っていたのである。
参加者と視聴者の皆は目を丸くしていた。
観戦者からのコメント欄には
『( ゚д゚) ・・・ (つд⊂)ゴシゴシ (;゚д゚) ・・・』
『何が起こってるの…?』
…と言った驚きのaaやコメントが溢れ帰っている。ウロボロスも何が起こっているのかこの時点では把握しきれなかった。
『はっやwwwwwwwwww』
『ウロちゃんうしろー!』
「ん?後ろ?……」
ホームストレートに差し掛かりバックビューに一瞬切り替えると。
そ こ に は 最 後 尾 に 転 落 し た は ず の O L M が 真 後 ろ 居 た 。
そしてレースは終盤へ。
……………………………………………
【レース終盤】
「え……?うそ……うそ…!?」
設定ではスローカーブースト無しになっていたのに。
憧れのアイドルに印象付けたい心理にあった他のプレイヤーたちが、最後の抵抗をするためにOLMの背後に付いていたが、OLMと同じ速度で飛び込むも、却ってバランスを崩してしまう。容赦なくハードプッシュしてくるOLMにウロボロスは一気に抜かれてしまった。負けじと食らい付くが、結局あの猛烈な攻めには敵わず、2秒差付けられ2位。車両のレーシングスピードからしても、その2秒というものはとてつもなく大きすぎた。
他のプレイヤーはメンタルがボロボロである。「後少しで勝てた…!」とはコメントで取り繕えていても、ショックの大きさは拭いきれず、打ち間違いや途中で送信してしまうなど、その打ち砕かれ様が目に見えて現れていた。
……………………………………………
「はっや…」
なんとか処理しようにも処理が追い付かない。
その後も、OLMはウロボロスが得意と公言するコースでも圧倒的な速さを見せ付け、メンタルを叩きのめしていたそうである。
「そ、そうだな!うん!また次回の配信でお会いしましょう!では、また!!」
配信主としては主役の座を奪われたかの様な状態になったが、ウロボロスは何とか上手いこと明るく振る舞って配信は終了した。OLMはログアウトしており、以降は姿を現さなかった。
しかし、他のプレイヤーは配信後にも熱冷めやらぬ者たちと二次会として別の部屋を立ててレースをしていたのだが、脳裏にOLMの影がどうしてもチラついてしまい、焦りだしてミスを連発するなど、戦々恐々としていたという。
ウロボロスはシートに座り直し、体育座りをしてうつ向いた。
(あらー)
(代理人、励ます?)
(まぁ良い経験値になりそうですし、ここは様子見といきましょう)
代理人と『ご主人様』は、そっと扉を閉じて一先ずは足早に司令室に戻ったとさ。
To be continued.
黒セーラーことウロボロス。彼女の名前が漸く出ました。
作中ではゲーム内のレースと言うことではありましたが、レースシーンを執筆する際、どうまとめていくか考えた末、今回の様な形になりました。
OLMとは何者か気になるところではありましょうが、次回の更新までまたごゆるりとお待ち下さいませ。
ではまた次回。
代理人「君の心に、ブーストファイア!」
今後、【戦場の走り方】内で見てみたいものは?(もしかしたら反映されるかもしれません)
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劇中に世界の名車を登場。
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AR小隊vs404小隊のレース対決。
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スオミを走らせよう。