※この作品の主役側の人間のオリキャラには、仮に出たとしてもクローンやサイボーグ等の特殊な方や人物の異名等を除き、魔法使いや神様等の人の範疇を越えた人々は出てきません。出てくるのは訓練を積んできた兵士です。
一応ね…?
ではどうぞ。
ドライバーの基地にて。
この日、ドライバーは執務の傍ら、映像データを視聴していた。
それは、市民が居住する安全区の街中で行われたという、グリフィンの出資で開催されているステージイベントの録画映像。
以前ドライバーは、軍人にネゲヴが出ているというヒロインショーの話をしていた。この映像データは、その時のものである。
……………
ステージ内にネゲヴが好むコシロさんのトランスが流れ出した。
「皆さんシャローム!ネゲヴよ!みんな元気だった~?」
元気よく出てきて、イスラム語の挨拶をしながら出てきたのは、ドライバーの基地に来ているあのネゲヴである。
「最近ね、トレーニングしてたら、拳にケンカ胝(たこ)が出来ちゃったのよ~…あ、あのーケンカ胝っていうのはね、ボクシングとか拳を使ったスポーツとか、拳の部分がぶつかったりする人が良くできるんだけど、人形故にこれって故障の原因になるからすぐに直してもらったの。みんなこのあたりは気を付けてね?結構痛いから…!」
出たあとの数十秒のトーク。
しかし、それはキッズたちに話して大丈夫な話題なのか。
これで観客が笑うってどう言うことなのだろうか。
「さあさあ、今回はその復帰直後ね!お姉さん、今日は誰が相手なのかしら?」
進行役のお姉さんに話しかける。
『はい!それでは登場して頂きましょう!』
お姉さんの声の後、煙幕が起こり、そこに目元以外マスクで覆われ、素顔の分からない黒装束の人物が現れた。するとその場が凍りついてしまった。保護者は、まるで本物の危ない奴が現れた…といった様子である。
『あ、あれは…あ、悪の忍者ツジギリ丸です!』
お姉さんも思わずどもる。ツジギリ丸という名前なら、腰に刀を差して堂々と出てくる武者かサムライの姿が妥当だろと突っ込みたくなる。
一方ツジギリ丸はマイペースに忍者らしく印を結んでお辞儀。正しく、静の姿勢。
その様子に、子どもたちはツジギリ丸の登場で熱狂的な歓声を上げていた。
「な、何でよりによって復帰後いきなりこいつなのよ!?差し向けた奴誰よー!?」
ネゲヴは苦笑いしつつも大声でリアクションを取った。
ツジギリ丸は意に介さないといった様子。
『ねぇ、この人、何者か知ってるかな?』
前列の男の子に質問すると……
「ネゲヴちゃんのてんてきー!」
『はい!その通り』
「そ、そうよ!よく知ってるなぁ君は~…偉い偉い…」
『それでは皆ー?ネゲヴちゃんたちに応援をお願いします!』
「ツジギリ丸ー!」
「ネゲヴちゃーん!」
「ツジギリ丸~!ネゲヴ~!」
「ツジギリ丸ー!」
「ネゲヴちゃんがんばってー!!」
「ネゲヴなんてやっつけちゃえー!」
ツジギリ丸とネゲヴとで半々の声援。
「ツジギリ丸、あんたさ、これで負けたら正直ダサいわよ?……っていうか!今さ、ネゲヴなんてやっつけちゃえとか聞こえた気がするんですけどー?いい?ヒーロー兼ヒロインは私ね?オーケイ?」
子どもたちの辛辣な声援に対するリアクションも忘れない。軽い客いじりの様なもの。子どもたちは嬉しそうである。
「…」
一方のツジギリ丸は黙ったまま微動だにしない。
対決では先手をネゲヴが取ろうと、クラブマガによる至近距離の猛攻を繰り出す。リアル志向で無駄なく、CQCの教練ビデオの様な滑らかな動きのネゲヴ。戦闘のスペシャリストは伊達じゃない。
が、ツジギリ丸はことごとく回避。常にリラックスしており、殺気を感じさせない。ヌルリと身体を柔らかくして避け、受け流していく。すると、子どもたちはその都度『おおー!』と達人技を見たときの反応をして見せ、大人たちもすごい、と声を漏らす。
「はぁっ…はぁっ…もう、なんでこれを避けられるのよ!?」
「…」
「皆見てみ?あいつっ…あれだけやっても疲れてないの…おりゃっ」
そして暫く殺陣をやるが、結局は決着つかずという形になった。
この時、ネゲヴにとっては、ツジギリ丸が回避する際に見せた動きが予測不能且つ、早すぎて残像が見えてしまっていたそうである。
また、ツジギリ丸は、演目で割り箸を手刀で真横に叩き割ってみせ、ネゲヴも負けじとそれに挑んだり、その都度お姉さんが『危ないので真似しないでくださーい!』と繰り返す程。
公演は終了し、彼は最後も忍者らしく、煙幕を炊いて颯爽と退場していった。
……………
第○○基地戦術司令室。
「何なんですか?これは…」
どうせなら、と戦術指令室でも観賞を行った。
―ネゲヴ主演のヒロインショーだよ。グリフィンが主催してる。その回の度に相対する敵役が違ってな、毎回子どもたちがヒートアップしているわけだ―
「ツジギリ丸さん、背伸びしたいお子さんたちに大人気なんです」
それを見て、M4たちは戦慄していた。これあまりにもリアルすぎる。他の映像見比べるが、この忍者との回は異質であった。必ずネゲヴが息を上げるのが先だからだ。
「見てて思ったけど、子どもたちに見せて大丈夫なのか?ニンジャとネゲヴとの戦いとか、格好はアレでも素手の実戦じゃないか……痛そう…」
たまたま同席していた軍人も突っ込む
―まあ相手は訓練したスタントマンだからな。受け身だって取っている…と思うし、衣装やら着ぐるみにも処置を施してあるのだが…な―
にしても、このリアルファイト振りに対して、他の敵を演じたスタントマンは食らったり、直ぐにバテぎみなのに。ツジギリ丸に至っては浮き足ひとつすら立たず、回避していた。
「あのニンジャ役の役者は何者だ?」
そこで、M16が訊ねてきた。
―それについてだが、あの役をやった人間はヘルプで入った奴だとさ。この公演で二回目。向こうの都合上、社員である以外は非公開にされている―
人形たちにはその意味が今一分からなかった。
人間の兵士の代替として使われる人形からしても、戦闘に長けるネゲヴを相手に音を上げさせていたのだから。これがいくら演技だとしても、不審に思えて仕方ない。
「あいつさぁ…技をかけても直ぐに解いて来やがるのよ…こっちの描いてるシナリオ通りに中々いかないのね…」
ちゃっかりネゲヴも会話に加わっている。
「ニンジャさんは本当に人間なんですか?」
ーそいつは人間だ。しっかり修行すれば、人はその事柄、技能の達人になる。その達人の領域には、どうしても武術モジュールをインストールした人形ではたどり着くのは難しいものも中にはある。それは世間じゃ第三者的な表現等で『境地』って言われるものだ。人間ですら、皆が皆そこに到達するとは限らん。各々の目標点や用途が異なったりするしな。もしくは、途中で倒れ、命を落とす事もあるー
長々とジェスチャーする。
ネゲヴも含め、人形たちはニンジャの立ち振舞いに興味が湧いている様子。そのニンジャを演じた人物の事も。
しかし。
ーそうそう!伝えておくが、ヘリアンやクルーガーのとっつぁんたちに聞いても無駄だぞ。ヘリアンは部署の問題で、公演とは当人は直接関与していなかった事もある。それに、第一にクルーガーのとっつぁんたちだって社外秘や非公開になってる情報まで、そう簡単に教えることはしないだろうからなー
人形たちはドライバーの鋭い切り込みに検索するのを止めた。
確かにそうだ。常識的に考えれば、企業のトップが簡単にこの様な事を教えてしまえば大問題である。これでコーポレートガバナンスだのコンプライアンスだのを問われてしまえば、いくら提携企業だろうと、軍でも黙ってはいない。どこから考えても結果的に自他が不利益になる事はいくら身内でも教えられる訳がない。
ー元より、忍(しのび)ってのは、普段は別の姿を取り、鳴りを潜めているものさ。時代劇じゃあ、よく行商人とかに扮しているのが良い例だ。それに、下手に探るのは野暮ってもんだろう。おまけに敵対者ではないしな。そっとしておいてやりなよー
現に鉄血に何度も追われるドライバーはどうなるのだろうか。いや、ー彼は自ら挑んでる分もあったり、ぶっちぎったりする分、ある意味自業自得。それが続き、気がつくと鉄血からは『吐き気を催す邪悪』と逆恨みされている。
しかし、追い掛けられる側の大変さは、曲がりなりでも理解はしているみたいであった。
閲覧ありがとうございました。
今回は車に乗らないお話でしたね…?
近頃リアルが忙しいので、長編の更新が滞ってます…本当にごめんなさい。チクチクと少しずつ執筆は行ってはおります。
年内にキューブ作戦やコラボ話が書けるかどうかはわかりませんが、また次回ものんびりとお付き合いくださいませ…。
尚、最近書き始めた別の作品は、基本的に文字数短めでやってますので、割りとすぐ書けたりします。いくつか長いのもありますが。よろしければそちらもどうぞ(ダイマ)
では、また次回。
代理人「君の心に、ブーストファイア!」
今後、【戦場の走り方】内で見てみたいものは?(もしかしたら反映されるかもしれません)
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劇中に世界の名車を登場。
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AR小隊vs404小隊のレース対決。
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スオミを走らせよう。