いずれ真理へと至る王の物語   作:Suspicion

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今回は説明回です
主に銀狼が説明してくれます




幕間 魔王とは?魔界とは?教えてバロムさん!

「さて、瑞稀様。魔力を取り戻した事ですし、貴方には魔法を学んで頂きます。不肖、このバロムが担任をさせて頂きます」

 

魔王城の一室で、バロムがどこからか持ってきた黒板を前に、学生の様に机を用意され、学ランを着せられた瑞稀。不満そうである

部屋の扉にはバロム魔法教室と看板が立てられていた

 

「これはなんだ?馬鹿にされているのか、俺は?」

 

何なら不満どころかキレ気味である

そんな瑞稀を前に、バロムは楽しそうだった

ちなみに、何故か斬鉄も座って勉強させられている

刻龍は副担任の役割として、バロムの横にいた

 

「瑞稀様、馬鹿になどしていませんよ。何事も形からです。学生時代、楽しかったでしょ?そういう気持ちで学んで欲しいと私とバロムさんは思ったんですよ」

 

「そうだぜ~旦那!刻龍の言う通りだ!楽しくやろうぜ!」

 

斬鉄も楽しそうに言う

何度も言うが、瑞稀はキレ気味である

 

「………どうでもいいから、始めてくれ…」

 

「分かりました。では瑞稀様は魔法をどの程度知っていますか?」

 

「…魔法とは、大きく分けて3つに分類される

己の魔力を用い、大気中の魔素を加速させ発動する魔術。これは初歩だ、特別な知識はいらない。魔力があれば誰でも使える。これを主に扱う者を魔術師と呼称する

次に己の魔力と、魔法陣や詠唱などを用い、大気中の魔素を加速させ発動する魔法。ある意味最もポピュラーなのがこれだ。下級、中級、上級、最上級と区分された豊富な種類があり、そして究極魔法と言われる強力な魔法で構成される。魔法を学ぶとは主にこれを学ぶと言う事だ。これを主に扱う者を魔法師と呼称する

そして、己自身の魔素をコントロールし変質させる、または魔力の様に用い、大気中の魔素と混ぜ合わせ加速、変質させる魔法の極致、魔導。これは知識だけでどうにかなるものじゃない、己の魔素を制御出来る生来の能力、もしくは特殊な技術を持つ必要がある。魔導を修めた者を魔導師と呼称する

これら3つを総合的に呼称するのが魔法だ

さらに己の自作の魔法が魔法協会の永久保管に登録されると大魔導師と呼称され、それは魔法の真理に至った証明でもある

俺が知ってるのはこれ位だな」

 

「…大変…お詳しい…」

 

バロムは教える事が無さすぎてがっかり

刻龍も予想外な程のうんちくにびっくり

斬鉄はそもそも何を言ってるのか理解不能

瑞稀は人界で魔族に正式に魔法研究の協力を依頼する際、頼む側が知識が無いのでは話にならないと考え、魔法の事が書かれた参考書や、魔道書の類いを手当たり次第読み漁り、知識を蓄えた

結果、知識だけなら大魔導師に匹敵する程の知識量を得た

つまり、今さら魔法に関して学ぶ事などないのである

 

「分かりました、魔法は大丈夫な様なので、魔王の事や魔界の事を教えましょう」

 

「よろしく頼む」

 

「ではまず魔王について。魔王には序列が存在します。と言っても大雑把なので覚えるべきは3つだけです

序列1位、メルフェレス・ヴェリオール女王陛下

彼女はこの魔界の最高位の王です。故にメルフェレス様は魔界王と呼ばれます

序列2位、元は私、今は貴方です。

主な役割は内政から軍事面の総指揮ですね。まぁ分かりやすく言うなら大臣+将軍みたいな感じです

そして序列3位、その他大勢。

つまり貴方以下の魔王はぶっちゃけ貴方の部下に等しいと思って構いません

そして魔王にはそれぞれ魔王軍と言うお抱えの部隊が存在します。貴方は今現在、私と刻龍と斬鉄の魔王軍をそのまま、保有する事になりました

そして魔王になる条件ですが、簡単です。強ければ良い。魔界は力こそ全てですから、強い者が上に立つ

そこに血筋だとか、種族だとかは関係ありません」

 

「確かに大雑把だな。条件もまた凄い、強ければ良いと来たか。しかも3位からは一纏めか。実力にばらつきがかなりあるのでは?」

 

「あります。良い例を挙げるなら刻龍や斬鉄と他の魔王でしょうね。斬鉄1人でも本日、魔王城の正面広場に居た連中なら全滅させれます。しかし立場で言うなら一緒です」

 

「なるほど」

 

「では次に魔界について。魔界と一纏めに呼称していますが、実際は数多の惑星で構成された星系です。星の一つ一つにそれを治める魔王が存在します。今から何億年も前は1つの巨大な星でしたが、神々との戦争により魔界は今の様に砕かれてしまったんです。そしてこの魔界が当時、魔界の王都とされていた場所なのです。故にこの魔界が他の世界からは魔界の中心と言われていますね。各魔界は互いに争い、誰が本当の最強の魔王なのかと、戦争ばかりしていますよ。ここは滅多に攻められませんけどね。通常魔王は1つの魔界に1人ですが、この魔界は多数の魔王が存在します。その分、戦力がありますから喧嘩売る馬鹿もそうは居ません」

 

「なるほど、数多の惑星で構成されているのは知っていたが、元は1つだったのは知らなかった」

 

「そしてこの魔界の最終目標は…神々の打倒です。長きに渡り、我々魔王と神界の神々は互いを滅ぼすために争っています。理由は世界の有り様の意見の相違ですね。神は自分達を頂点とし、秩序ある世界にするべきと考え、我々魔界は誰を頂点にするかではなく、自由こそを重んじるべきと考えています。ちなみに今の所、4度戦争があり、魔界は全敗です。魔界は纏まりが無いんですよね。毎回少数の魔王が各々攻め込むだけで、全体で戦ったのなんて最初の1回だけですからね」

 

「何故だ?全員でやれば数も戦力も、十分なのでは無いのか?」

 

瑞稀が素朴な疑問をぶつける

数多に存在する魔王全員で戦えば神々を相手にしても、十分戦えるのでは?

そう考えるのが普通だ

しかも力こそ全てと考える魔王なら尚更だ

自分達の上に立つ神々を黙って見過ごすなんて出来ないのではないか?

瑞稀はそう考えた

 

「確かにそうなんですけどね。魔王も見て分かったと思いますが、一枚岩じゃないんですよ。神々との争いに反対する者も中には居ます。大半は神々と戦い、死ぬのが嫌なんですよ。信念を持って戦っている魔王なんて殆どもう居ません」

 

刻龍が呆れながら答える

魔王もかつての様に自分達こそ最強なのだ、と魔王らしく、神すら恐れず戦う者はもう居ない

 

「確かになぁ。今じゃ名ばかり魔王ばかりだぜ…」

 

斬鉄もまた、つまらなさそうに吐き捨てる

 

「かつての魔王はこんなんじゃなかったんですがね…いつの間にか魔王も保守的になってしまったんです…」

 

バロムが寂しそうに呟く

かつては自分と肩を並べて神々と戦った魔王ばかりだったんですがと、呟き窓から外を眺めるバロムの横顔は哀愁に染まっていた…

 

「力こそ全てと考える魔王も、神を恐れるか…」

 

瑞稀はこの時、近い将来、自分は神々との戦争に乗り出す予感がしていた…

 




ただ延々と喋ってるだけで終わりました
瑞稀の魔王としての戦いはいつになるんでしょうか…

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