いずれ真理へと至る王の物語   作:Suspicion

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瑞稀が大暴れします!
ちなみにこの回の瑞稀は常時ブチギレ状態です!


終末戦争、真理詠う魔王

魔界の辺境にある天界への転移門、ヘブンズゲートの前には多数の天使が防衛線を張っていた

 

「…おい、あれ…魔王軍か?」

 

「間違いない!魔王軍だ!全員配置につけ!!」

 

天使達は急ぎ、隊列を組み始める

先頭に立つ天使が魔王軍に対して怒号を放つ

 

「止まれ!これより先は天界に続く聖なる門。貴様等魔族が立ち入って良い場所ではない!!早々に立ち去れ!!警告を無視して行軍を続けるならば武力行使にて排除する!!」

 

「…だ、そうですよ?如何致しましょう、瑞稀様」

 

バロムの言葉に瑞稀は静かに答える

 

「知れた事よ」

 

右腕に紅蓮の炎を迸らせながら、天に腕を掲げる瑞稀!

 

「退け、天使共。俺の歩みの邪魔ぞ」

 

瑞稀が極大の火炎弾を放ち、無慈悲に天使兵を断末魔すら上げる暇すら与えず焼き尽くす!!

天使兵を焼き尽くした火炎弾は勢いを失わず天界にまで届き、天界側の転移門を防衛していた天使兵さえ、同時に焼き尽くす!

 

「何事だ!?」

 

突然の出来事に理解が追い付かず、天界は混乱を極める

転移門から現れたのは、約4000の精鋭からなる魔王軍。そして先陣を行くは金色の髪を靡かせ、全身から紅蓮の炎を迸らせる魔王・瑞稀

その顔は憤怒に歪んでいた

 

「馬鹿な、魔王軍だと!?クソ!迎え撃て!!」

 

混乱しながらも天使兵達は、魔王軍を迎撃すべく隊列を組み直す

そんな中、魔王軍は一歩も動かない

彼等は待っていた、自らが仕える王の開戦を告げる言葉を

そして瑞稀が激しい憤怒を湛えながら、開戦の口上を詠う!!

 

「刃向かう者は等しく砕く!!

しかして我が(アギト)へと下り、永久の血肉と成るがいい!

去る者は追わぬ、己が恐怖を隣人に伝え、共に恐怖で震えて眠るがいい!

我が名は瑞稀!魔王、狂嵐の魔公子・瑞稀と知れ!!

進め!!同胞達よ!!汝等が行く先は我が足跡にあると知れ!!!

進め!!同胞達よ!!我が後に続け!!!!」

 

「オオオオオオ!!!!」

 

瑞稀の言葉は言霊となり天界中に響き、魔王軍の咆哮が天地を揺るがす!!

 

「調子に乗るな!魔王軍!!」

 

天使兵も神聖魔法や聖なる力を纏う聖剣、聖槍で魔王軍を迎撃する!

だが、忘れてはいけない。先陣を行くは最強の魔王・瑞稀

 

「燃え尽きろ!劫炎!!」

 

魔法陣から一直線に極太の炎が放たれ、天使兵をまとめて燃やしていく!

 

瑞稀の後に続くのは、かつて最強と謳われた銀狼のバロム

瞬月狼で駆け抜け天使兵を蹴散らしていく!

そして氷龍鱗・刻龍も氷魔法を放ちながら拳打にて天使兵を蹴散らしていく!

鬼神将・斬鉄も携えた大刀を豪快に振るい天使兵を薙ぎ払う!

 

「何なんだ、こいつら!?魔界三強がまとめて攻めてくるなんて!強すぎる!」

 

そう叫ぶ天使兵もまた、無慈悲に斬り刻まれていく!

 

「うふふ!油断大敵ね、天使さん?」

 

微笑みを浮かべながらその爪で天使兵を刻んでいくのは蹂躙暴殺・セシル

 

圧倒的な力を誇る五人によって天使兵は瞬く間に殲滅されていく

 

「そう上手くいくと思うなよ、魔王共!」

 

そこにとうとう大天使長直属の天使兵長達が戦線に加わる!

 

天使兵が兵長参戦にて隊列を立て直し、一気に攻勢に出る!!

兵長の1人が瑞稀に極大の神聖魔法を放つ!

 

「この程度でどうにかなると思うな…!」

 

魔力を乗せた拳打で神聖魔法を砕き、反撃に炎魔法を放つ

天使兵長は聖槍で斬り払う!

明らかに他の天使と比べ物にならない実力を有していた

 

「瑞稀様!お気を付け下さい!そいつはエルラザク、魔王にさえ匹敵する最強の天使兵です!!」

 

「最強の天使兵…望む所よ!!」

 

互いに魔法、刀と槍をぶつけ合い、相手を殺すために力を振るう!

光と炎、その様は正しく終末戦争を表している様だった

 

「魔王!貴様等魔族は生まれながらの悪だ!我が光にて、その罪を浄化してやる!」

 

エルラザクの発言に瑞稀が更に激昂していく!

 

「抗う力を持たない村人達を虐殺しておいて正義面か!?ふざけるな!!」

 

「我等天使は生まれながらの神の御使い!即ち絶対正義なのだ!貴様等は神々の定めたもうた通りに生きる事が出来ない!それだけで貴様等は絶対悪なのだ!!神々の定めたもうた通りに生き、神々が定めたもうた通りに死ぬ!!それが正しき生命!それが()()()!!」

 

瑞稀の雰囲気が変わる

先程までの激昂が嘘の様に静かに、しかし確かな怒りを滲ませる!

 

「…それが()()だと?」

 

瑞稀の中で声が響いていた

その声は嘲笑うかの様に、しかしとてつもない憤怒を秘めていた

 

(宣ったな…真理に指先1つ至れぬ愚か者風情が…詠ってやれ、瑞稀。高らかにお前が生まれながらに至りし我が真理を詠え!!)

 

「生きるという事は、懸命に抗い、自らの価値を自ら造り上げ、その価値を自ら謳い上げる旅路だ!自らの生きる道は自ら定めるものだ!断じて誰かに定められるものじゃない!!死とは、自らの造り上げた価値をどんな形であろうと誰かに残し、託す事!そして懸命に生きた魂を癒し、次の旅路に送り出す休息だ!!それが生命だ!!それこそ()()だ!!!」

 

「「「!!!」」」

 

瑞稀が高らかに詠い上げた真理にバロム、刻龍、斬鉄が驚愕を示す

そして何か感じるものがあったのか、三人の動きが鮮烈なまでに勢いを増していく!!

 

「黙れ!!神々の定めたもうた通りに生きる事も出来ぬ魔王風情が、真理を語るな!!その身、その命、貴様の罪ごと我が光に裁かれ、滅せよ!魔王!!!」

 

「神々の定めた道しか歩めぬ半端者が、真理を語るな!!我が紅蓮の炎で焼かれて朽ちろ!クソ天使!!!」

 

互いの信念、掲げる真理を抱き、ぶつかり合い、火花を散らす!!

だが、拮抗は長くは続かない

ここに来て地力の差が出始める!

瑞稀の炎がエルラザクの光を飲み込み始めた!!

 

「炎天轟きて地を満たし万象悉く灰と成せ!劫火焼!!」

 

瑞稀の魔法がエルラザクを捉え、焼き尽くす!!

 

「おのれ!!私を滅してもメルディエズ様が貴様を滅してくださる!!貴様等に未来は無い!!」

 

「案ずるな、メルディエズも直ぐに後を追わせてやる」

 

「やった!!瑞稀様が勝ったぞ!!」

 

魔王軍が瑞稀の勝利に沸き立つ

しかし、瑞稀は一層戦意を滾らせ吼える!

 

「止まるな!我等が滅するは大天使長と心得よ!!たかが天使兵長を討ったごときで騒ぐ暇はない!!」

 

瑞稀の叱咤に魔王軍の気は引き締まり、更に士気が上がっていく!

 

この終末戦争、最終決戦は近い

 




次は大天使長VS魔王です!

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