いずれ真理へと至る王の物語   作:Suspicion

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戦神と魔王 圧倒的な力

現存する軍事力にて、次元最強と人々が口を揃えて言うのは、ほぼ間違いなく神界の戦神だろう

強大な魔力、高い身体能力、強力な神器、絶対神の高い統率力

これらにより戦神は、あらゆる戦況でも、非常に高い殲滅力を誇る

 

「…なんなんだ…あの小僧…本当に俺達と同じ魔王なのか…」

 

─しかし

 

「…いや、魔王じゃない…アレは…ただの化け物だ…」

 

そんな戦神が、今、たかが魔王に押されている!

 

「後方部隊は絶えず魔法を放て!敵を休ませるな!支援部隊は常に前線の者に強化と結界をかけ続けろ!遊撃部隊は一ヵ所に留まるな!常に敵陣を掻き乱し、前線部隊を援護せよ!前線部隊は囲まれぬ様に立ち回れ!常に遊撃部隊との連携を意識せよ!唯、お前は突っ込んでくる連中の足留めだ!自慢の馬鹿力で吹き飛ばせ!決してこちらの陣形を崩させるな!ワルキューレは敵と距離を取りつつ、魔法を中心に攻めよ!出来る限り攻撃範囲を広げ、少しでも敵の数を減らすんだ!セシルは遊撃部隊と共に敵陣を掻き乱せ!隙を突いて少しでも敵戦力を削れ!斬鉄、刻龍は敵陣中央に向け進撃!短期で決着をつけるぞ!皆の者!数では不利だ!!持久戦に持っていかせるな!!一気に殲滅するぞ!バロム!行くぞ!!」

 

「はっ!!駆け抜けます!!」

 

最前線で戦いながら感知能力をフル稼働させ、自軍の状況を把握、指揮を執る瑞稀

一通りの指示を出し終えると瑞稀はバロムに跨がり、魔力を滾らせる

瑞稀を乗せたバロムは一直線に敵陣中央に向け駆け抜ける!

その様は戦場を切り裂く一筋の流星の如く─

駆け抜けた跡にはバロムの突進を受け、吹き飛んだ者。瑞稀の斬擊にて斬り伏せられた者が、残されるのみ

何人たりとて今の2人の進撃を止める事、能わず

決して止まる事なく敵陣を駆け抜けていく!

さしもの戦神でさえ、その姿に恐怖を感じ始めている

 

瑞稀はその隙を見逃さない

 

「怯んだ!全軍畳み掛けろ!!」

 

魔王軍が一気に雪崩れ込み、戦神を駆逐していく!

瑞稀とバロムも敵陣中央までたどり着き、内側から敵を殲滅していく!!

 


「撤退!全軍撤退だ!」

 

戦神達が瑞稀達の猛攻に晒され、勝ち目がないと判断し、撤退していく

 

「追撃します!」

 

「いや…いい。深追いは厳禁だ。下手に反撃を受けて被害を増やす必要もない。取り敢えず最終防衛ラインまで下がり、指示があるまで待機でいい」

 

戦神を追撃しようとするバロム達を止め、後方に下がっていく

防衛ラインには他の魔王達が呆然と立ち尽くしていた

 

「…嘘だろ…あの小僧…戦神相手にここまで一方的な戦運びを…」

 

同じ魔王ですら、瑞稀の戦いに呆気にとられていた

あまりの強さにドン引きしている者すら居る

それもそうである

戦神はほぼ壊滅

それに対して魔王軍は軽傷者はいるが死者は無し

はっきり言って被害0、圧勝もいいところである

にも関わらず瑞稀達の表情は暗い

 

─しかし、冷静に考えればこの結果は当然なのだ

魔界にとって瑞稀達は最大戦力であり、魔王軍も瑞稀に鍛えられ下手な魔王クラスの強さを誇る

対して今回進軍してきた戦神は最下級の者ばかり

いわば雑魚ばかりの烏合だったのだ

神界にとって今回の戦いは瑞稀達の戦力、戦術、戦略を推し量るための捨て石に過ぎない

戦力差は歴然である

 

それを理解しているのは実際に戦った瑞稀達だけだった

これから先の戦いはこれ程容易くはない

 

瑞稀達は1週間程防衛ラインで待機した後、再び戦神が進軍して来ないのを確認して、魔王城に撤退した

その表情は晴れる事はなかった

 





お待たせしたわりに短くて申し訳ない

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