でも戦闘描写は少な目です(汗)
ご了承下さい
─人界上空─
無数のドラゴンが人界全土を覆い尽くすかの様に飛び交い、王都へ今まさに、攻め込もうとしていた
…切欠は1匹のドラゴンの死だった…
小さなドラゴンの子供が、好奇心にかられ、人界を訪れた
ただ冒険をしたかっただけだった
未知の世界を見たかっただけだった
だが、人界の人間達は、ドラゴンの子供を殺してしまった…
人界は人間こそ至高の種族とし、神、天使以外の他種族を嫌悪している
それ故、過去何度も他種族との戦争が繰り返されてきた…
そして殺されたドラゴンの子供は、龍界の四大龍王の1柱、黒龍王の子供だった
怒り狂った黒龍王は己の兵力全てを率いて、人界へ戦争を仕掛けた
当初、人界の王は償いとして実際に黒龍王の子を殺害した、人間の首を黒龍王に差し出し、降伏の意思表示をした
だが黒龍王は人界全土を滅ぼさねば、我が憤怒は鎮まらぬ、と人界の降伏を無視、進軍を開始した
人界は強大な力を誇るドラゴン達を相手に劣勢を強いられていた…
金色の装飾を施された人界の王城、謁見の間には、20人程の大臣、軍の将軍達が集まり、戦況の報告がされていた
「前線部隊の2割が壊滅か…不味いな…」
「結界班の魔力が枯渇し、守りが薄くなったのが原因かと思われます」
「だけではない。遊撃部隊の攻撃力不足も原因だろう。後方の魔法部隊の魔力枯渇も重なったからな」
「…やはり、ドラゴンを相手に人間では力不足か…せめてトップクラスの担ぎ手さえ居れば…」
「…陛下、例の者が参りました」
「そうか、やっとか!通せ!」
「御意。入りなさい!」
大臣がそう声をかけると、黒いスーツを来た金髪の青年が、謁見の間に通された
青年は玉座に座る王に、頭を下げる
「王宮直轄粛清部隊所属、奈良橋瑞稀、王の召喚に応じ、推参致しました」
「……チッ、殺し屋風情が…」
瑞稀が謁見の間に入ると、軍の将軍達から侮蔑の眼差しが向けられる
「よく来てくれた。君が粛清部隊最大戦力と名高き、奈良橋瑞稀かね?」
瑞稀は今21歳になり、人界の王宮直轄の粛清部隊、つまり暗殺部隊に所属し、部隊で最強と言われる程になっていた
そして瑞稀は、神器と呼ばれる強大な魔力と力を保有する武器と契約していた
「最大戦力かどうかは私の口からは答えかねます……それで…粛清部隊の私が何故、王宮に召集されたのでしょうか?通常、我々粛清部隊への指令は極秘文書、もしくは暗号化された通信での指示のはずですが。将軍閣下達は私の様な殺し屋風情が、ここに居るのが大変不服とお見受けしますが。どの様なご用向きだったのでしょうか?」
「君には前線に遊撃部隊として出て欲しいのだ。知っての通り今、人界は劣勢に立たされている。だからこそ君の様に実力のある者を前線に送る必要がある。君はかの天空剣の担ぎ手だ。十分過ぎる程の実力だろう。引き受けてくれるか?」
「……なるほど…分かりました。王のご命令とあらば、慎んでお受け致します。」
「そうか。よろしく頼む」
「チッ、精々忌々しいドラゴン共を道連れに死ね。」
「…そうしますよ、将軍閣下。では私はこれで。明日には前線に出ます」
(おい、瑞稀、何故引き受けた?お前が前線に出ると言う事は儂も前線に出ると言う事じゃ。そんな面倒な事は御免じゃ。ドラゴンの相手なんぞ面倒極まる)
瑞稀が腰にさす日本刀から唐突に声が響く
(そう言うな、天空剣。王宮直轄の俺には元々拒否権なんて無いさ。あそこで断ればどんな汚い事をしてくるか…分かったもんじゃない)
天空剣
そう呼ばれた日本刀は神器と言う、強大な力を保有し、意思を持つ武器の1振り
そんな神器の中でも、強大な力を保有する事で伝説とさえ謳われるのが、天空剣だ
そして神器と契約した者は担ぎ手と呼ばれ、神器の強大な力を行使する事が出来る
(とにかく、明日には前線だ。精々気張るとしよう)
(…まあ、担ぎ手のお前がやると言うなら儂もやるしかないか。ヤダヤダ面倒極まるのぅ…)
「…おい、見ろ。あれが例の担ぎ手だ。まだまだ若造じゃないか…」
「でも、女みたいなあんな見た目で滅茶苦茶強いらしいぞ」
前線基地は瑞稀の噂で持ちきりだった
一部の伝説では最強とさえ言われる神器、天空剣と契約した者
それは英雄と呼ぶに相応しい力を持っている事の証明と言える
だが目の前にいる、美女と見紛う様な優男が、それほどの実力者とは誰も思わなかったのだ
「下らない噂を喋る暇があるなら、戦えよ。だから負けてるんだろ。緊張感の無い戦線だ。天空剣、すぐに出撃するぞ」
(分かった、そうしよう。こんな所に居てはヘタレ根性が移りそうだ)
そう言うと瑞稀は前線に向かい、出撃した
そのスピードは人の目では追えない程に速かった
「…おい、なんだありゃ?化けモンか?」
「天空剣の担ぎ手なんだ。化けモンだろ…」
「ギャオオオォ!!!」
おぞましい絶叫を上げドラゴンが次々と地に墜ちていく
ドラゴン達を足場にしながら瑞稀が空を舞う
天空剣を振るい続け、既に百を超えるドラゴンを葬っている
「弱い。これで最強の幻想生物か、笑わせるな。」
(瑞稀!ドラゴンの大群じゃ!200はおるぞ!)
「薙ぎ払うさ!天空剣、魔力は頼むぞ!」
そう言うと瑞稀は、天空剣を中段に構えた
すると、天空剣の刀身が淡い桜色に輝きはじめた
(いつでも撃てるぞ!)
そして瑞稀は横一閃に天空剣を振るい、天空剣が誇る絶技の名を叫ぶ
「天空扇!!!」
天空剣の刀身から桜色の斬擊が放たれた
それはドラゴンの大群を切り刻み、敵軍を一掃してなお、止まること無く空を舞い続けた
オオオオオ!!やったー!!ドラゴン共を退けたぞ!!
誰もがそう叫んでいた
…だが瑞稀は、警戒を解く事無く神経を研ぎ澄まし続けた…
遥か上空から巨大な黒き龍王が飛来してきていた……
はいすいません!!
戦闘描写が難しくて凄く陳腐な感じになってしまいました!
しかもめっちゃ短い…
次回!龍王と瑞稀が戦います