いずれ真理へと至る王の物語   作:Suspicion

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かつて師によって封じられた力を取り戻し、瑞稀が大暴れ!



解き放たれた力、甦る想い

「嘗めるなよ、魔王風情が!!」

 

絶対神が瑞稀に断ち斬られたロンギヌスを、魔力で修復し、膨大な魔力で身体能力を強化し駆け出す

その速度は凄まじく、踏み込む足は地面を砕かんばかりに力強い

その勢いのまま、瑞稀の胴体目掛け、槍の太刀打を力いっぱい叩き込む!

 

「うおぉぉぉぉ!!!」

 

烈昂の気合いを込め、全身全霊を振り絞り、槍を振り抜き瑞稀を吹き飛ばす!!

瑞稀は防御すらせず、地面を削りながら僅かに残った瓦礫に突っ込む!

 

「瑞稀様!!」

 

「邪魔はさせぬぞ!!」

 

ワルキューレ達が助けに入ろうとするが、絶対神が自身と瑞稀を中心に、周囲一帯を紅蓮の炎で囲み、妨害され助けに入る事すら出来ない

 

「我が炎の結界、地獄封界。貴様等如きで突破出来ると思うな。何人たりとて邪魔立てはさせぬ、今度こそあの女の残り火なぞ、跡形も残さず滅ぼしてくれる!」

 

「─やってみろよ、クソ野郎」

 

白い雷を纏いながら瑞稀が瓦礫を消し飛ばし、姿を現す

 

瑞稀は土で汚れてはいるが、出血すらしておらず、ダメージを負っている様子はない

 

「馬鹿な、無傷などありえない!!私の、絶対神の全霊の一撃だぞ!!ロンギヌスで防御魔力も無効化して、魔力で攻撃力を可能な限り上昇させて叩き込んだんだぞ!?なのに無傷など…こんな事があってたまるか!!」

 

「俺自身も驚いているよ。まさか白龍神王の力がここまでとはな」

 

(だが油断するなよ、瑞稀。覇龍化では私本来の力は出し切れん。何よりも今のお前じゃ御し切れん。今はお前の魔素で暴走を無理矢理抑え込んでるが、時間をかけ過ぎれば魔素が浸食され暴走する)

 

「…分かった…ならば全力でいく…!」

 

瑞稀が足下に描いた魔法陣を強く踏み込み、高速で駆け出す!

その疾走はあまりにも速く、そして不自然だった

絶対神が迎撃に放った魔法を、急カーブを細かく描きながら回避し、速度を落とす事なく、音速に近い速度で距離を詰めていく

常識的にこれだけの速度が出ている状態で、急カーブなど出来るはずがない

何より瑞稀の足は地に着いていない

走行というより跳躍、しかし跳躍というには軌道が低すぎる

滑空が最も近いかもしれない

 

歩法魔法・天駆瞬光

究極魔法に分類される、最速を誇る魔法

原理は足下に設置した魔法陣で術者を射出、魔力で軌道を制御しているのだ

これだけなら簡単に聞こえるが、実際は扱いが非常に難しい

射出するための魔法陣は、込めた魔力量で速度が決まる

魔力を込め過ぎれば、術者の肉体強度の限界速度を超えてしまい、身体が耐え切れず砕けてしまう

逆に魔力が少ないと、速度が出ず不発に終わってしまう

魔力での軌道制御も緻密なコントロールを要求される

少しのミスで軌道が一気にズレてしまうのだ

 

「一気に決めにいく!!」

 

瑞稀は天駆瞬光で一気に間合いを詰め、夜宵に雷を纏わせ斬りかかる

 

「何度も同じ手が通じると思うな!!」

 

ロンギヌスの魔素停止で雷を無力化し、羽々斬で斬撃を止める

返す刃で絶対神が斬りかかり、それを瑞稀が龍鱗を纏わせた手の甲で受け止め、また斬りかかる!

さらに瑞稀が鍔競り合いを演じながら無数の魔法を行使して、絶対神を攻め立てる!

しかしそれも絶対神は長年の実戦経験で培われた技術をもって捌き切る!

 

そんなやりとりを超速で何合も演じ続けながら、お互い、相手に苛立ちをぶつけ合う

 

「死に損ないのドラゴン風情が!!我が栄光の礎となり、黙って滅せよ!!私は白龍神王から世界を救った神として未来永劫、頂点に君臨するのだ!!そうすれば私は、絶対神などと偽りの頂きから、真の頂き、理の神となれる!!いや、それどころか、創造神と並ぶ、真理の神へと至れる!!!」

 

「貴様が理の神?あまつさえ真理の神に至るだと?寝言は寝てからほざけ!!貴様如きでは始まりたる創造の真理に至れるものか!!ましてこの程度の力で終焉たる滅びの真理に至るなど、烏滸がましいにも程がある!!!」

 

「黙れ!!!穢らわしいドラゴン風情が真理を語る方が烏滸がましいわ!!暴れまわる事しか出来ぬ蜥蜴風情が!!私は神々の王、ひいては全次元の頂点に君臨する王、絶対神・天乃!!貴様如きとは魂の格が違うのだ!!」

 

「ハッ!貴様が頂点だと?笑わせるな!!貴様なぞ奏女様に敵わず、ガキを人質にあの人を封印する事しか出来なかった分際が!!しかも敵わぬからとて、ガキを人質にする様な外道が王を語るな!!虫酸が走るわ!!」

 

「貴様こそ笑わせるなよ!貴様が魔王だと?貴様は断じて魔王ではない!まかり間違っても貴様は王などではない!!貴様は二覇龍と呼ばれる厄災、世界を滅ぼす絶対悪そのものだ!!その様なおぞましいモノが王道を語るでないわ!!」

 

「おうさ!!分かってるじゃないか!そうとも、俺は王ではない!!俺が掲げるのは言葉や情で人を導く、所謂王道などではない!!」

 

「なんだと…?」

 

「分からぬなら教えてやろう!我、掲げるは絶対的な力による統制。我が臣民には慈愛と繁栄を、刃向かう者には等しく絶対の死を!!我、掲げるは覇道、即ち王に非ず。我、狂嵐の魔公子にして白龍神王、真の覇王・瑞稀なり!!俺は…俺を信じる者達のため、虐げられた力無き者達のために天をも喰らい尽くす覇龍と成る!!全ては魔界のために。魔界のためならば、この魂が覇の理に呑まれ、未来永劫囚われ腐り果てようとかまわない!!貴様は力無き者達の祈りを踏みにじり、己の欲望のために神を名乗る紛い物!我が(アギト)へと下り、滅せよ!!!」

 

─かつて彼女が説いた言葉は今、再び瑞稀に還り、彼の覇道の礎となり、確固たる信念となる!

琥牙奏女太刀乃神の魂は今、新たなる覇王へと受け継がれた

 

魔王にして覇王、魔を統べる真の龍王が吼え猛る!!!!

 





瑞稀は人道に則った王道を往かず、己の大切なものを害する全てを滅する覇道を掲げました
魔王なのに龍王とはどうなの?となりそうですが、気にしたら負けです

しかもこれでも本来の瑞稀の力の一部でしかない
完全に覚醒した瑞稀の強さは想像を絶するものになりそう
でも最強には多分なれない運命…

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