いずれ真理へと至る王の物語   作:Suspicion

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はっちゃけ続ける魔王
止まらぬキャラ崩壊



安らぎの日常

「かなめ様ーメシまだー?」

 

「もうちょい」

 

「ねえまだー?」

 

「もうちょいだから待って」

 

「おれ腹へった。まだー?」

 

「だから!もうちょいだから待てって言ってんだろうが!!」

 

実に平和だ

おそらく奏女様との修行の日々が一年くらい経った頃だな、これ

 

この頃の俺は完全に奏女様に懐きまくり、甘えたい放題

時折こうして奏女様を怒らせ楽しんでいる

奏女様も変な遠慮がなくなり、言う事聞かなきゃキレる、殴る、蹴ると凄まじい。あ!それ最初からだ!

虐待だろ!!DVだろ!!訴えるぞ!?

でもまあ、それで怪我をした事は一度たりとて無い

今なら分かる。あれは絶妙な力加減で痛みだけを与えている!大変無駄な技術だな!

 

「ほれ飯!食ったら風呂入って寝ろ!明日も日の出と同時に訓練開始だからね!」

 

今日の飯は奏女様が狩ったドラゴンの肉か

風呂は奏女様が無いと辛いと泣き喚き、二人で穴掘って石磨いて敷き詰めて作り、奏女様が魔法で水出して炎で沸かしている。仕切り1つ無い露天風呂である

…とても見たい!覗きたい!!しかし俺は子供ながらに理解していた。覗いたら間違いなく眼を抉られる!なので覗いた事は無い…

 

「訓練て言ったってさー、また型稽古でしょ?どうせなら実戦形式がいいな、おれ」

 

「調子に乗んな、私とやり合うなんざ40年早いわ」

 

具体的だな!?後20年くらいしたら俺、貴女レベルになれんの!?すげえな!

 

「なんで40年なんだよ。ふつう100年とか1000年じゃないの?」

 

だよね!もっと、ツッコミを入れてやれ!

 

「なんとなく?」

 

勘かよ!どうしようもねえな!

 

「まあとにかく実戦形式はまだ早い。今は身体に動きを覚えさせて、理想的な動きを咄嗟に出来る位に落とし込む。それが出来る様になったら、次は魔法だ。折角少しずつ魔力が戻って来てるんだから魔法を使わないのは勿体ない」

 

そう、この頃の俺には魔力があった

おそらく奏女様の魔力の影響で封印の劣化が早まったんだろう

あの頃は分からなかったが、奏女様の魔力はヤバい

多分白龍神王よりも膨大で濃密な魔力を保有している

今の俺が本気でやっても闘いにすらならず一蹴されるだろう

 

「ええ!?そんなの、つまんないよ!おれはさ!天破狂奏流なんかより、かなめ様の斬式夢幻流を教えて欲しいんだよね!」

 

「駄目、教えない」

 

ブーブー、ケチ

とは言えそれも実際道理だ

斬式は以前奏女様が言っていたように、非常に危険な流派だ

記憶を取り戻したからな、奏女様が斬式を使ってたのを覚えてる

おそらくあれは甲縛式魔法の一種なんだろう

 

甲縛式魔法は魔法を放つのではなく、纏う。その性質上、コントロールをミスれば下手すりゃ命を落とす

斬式は基本的に刀に纏わせていたが、あれもミスればおそらく暴発して自分も巻き込まれるだろうな

あんなもん、クソも魔力の扱いを知らねえガキに教えていいもんじゃない

 

「いつも駄目しか言わねえんだよなー。じゃあどうしたら教えてくれるのさ?」

 

「そうだねえ。あんたが本気の私と実戦形式で30分やり合えるようになったら教えてあげる」

 

無理です、勘弁してください

 

「ホント!?嘘じゃないよね!?」

 

嘘であってくれ、本気の奏女様とか…悪夢だよ…

 

「本当に教えてあげるよ。分かったなら頑張りな」

 

「やったー!!かなめ様、おれ頑張る!!」

 

「はいはい…精々頑張んな。実際いつになるか分かったもんじゃないがね」

 

悪夢だ…!

 


 

「ほれどうした!斬撃が軽くなってきたよ!腕で刀を振るからそうなる!もっと腰肩足を使いな!!」

 

「はあ、はあ、くっ!はい!!」

 

かれこれ5時間ぶっ通しでやればガキの体力じゃ追い付かんわ!

見ろよ!もう疲労で腕が軽く痙攣してるだろう!!

少しは加減しろよ!鬼畜!人でなし!残念美女!おっぱいお化け!

 

ちなみに奏女様はサラシで胸を抑えているのでクソも乳揺れを起こさない。無念…!!

 

─そこからさらに3時間後

 

「そこまで!」

 

「もう無理!!疲れた!!」

 

やっとか…8時間ぶっ通しでひたすら型稽古って…

完全に拷問じゃん…

 

「よーし!お疲れさん!明日からはしばらくの間、格闘戦の稽古ね。今日は飯食ったら風呂掃除して、少し休んだら今日の晩飯狩りに行くよー」

 

「はーい」

 

ハードにも程がある…

 

「そう言えばさ、かなめ様。あの真っ赤な炎、もう一回見せてよ!」

 

「駄目。あれはあんたが馬鹿みたいに賢龍なんぞに出会っちまったから使っただけで、本当は使っていい炎じゃないの」

 

「えぇ…けちんぼ…」

 

「ケチで結構」

 

賢龍とはエンシェントドラゴンの事だ

その力は下手すりゃ龍王クラスに匹敵する、伝説級の龍種

普通にエンカウントしていいドラゴンじゃねえぞ…

 

ちなみに奏女様は極大の火柱をおっ立てて灰すら残さず焼き尽くした

あの炎は紅蓮の炎じゃない。最強の炎である紅蓮より、赤く、朱く、どこまでも紅かった。まるで血の様に真っ赤で、とても美しい炎だった

 

同時にアレはあまりにも異質な炎だ

夢か走馬灯かよく分からんが、こうしてあの頃を見てみると奏女様の異常性をよく理解出来る

 

天破狂奏流と言う斬術と魔法と拳打を主とした、理の神の一柱が残したとされる流派を会得、継承

全次元最強と謳われる夢幻流。その派生であり特化型、斬式夢幻流の正当後継者として太刀乃神を名乗る

それらを臨機応変に扱い日本刀による斬術と、徒手空拳での格闘戦を行える応用力と機転、十全以上に使いこなす身体能力

炎と風の広範囲攻撃、強力な結界、有り得ないレベルの自己強化、ロストミスティック(失伝魔法)と思われる歌声、斬式による超高威力の魔法剣など、魔法技術も抜きん出ている

何よりも超高密度で莫大な量を誇る保有魔力と魔素

そして正体不明の炎。おそらくあの炎は大気中の魔素と対象の魔素を浸食、喰らう事で火力が跳ね上がると思われる。

 

過去、現在、そして未来含めて史上最強と謳われる戦神、討伐神。その名はあらゆる伝承にて語られる

 

曰く、こことは違う次元と戦争になり、たった一人で相手の次元を、跡形も無く焼き尽くし滅ぼした

曰く、最悪の厄災、二覇龍が全次元を滅ぼしかけるが、神界に被害は無く、天界、人界、霊界、魔界、聖界の被害が軽微だった理由は、彼女がたった一人で二覇龍を退けたから

曰く、あまりの強さに原初の神たる理の神さえ、彼女には関わりたくなかった

 

─曰く、その炎は血の流れよりなお紅く、あまねく全てを焼き尽くす滅びの(ほむら)。その斬撃はあまねく因果を断ち斬り、焔を纏わせ放てばあらゆる理すら絶つ。その美貌はあらゆる生命を魅了し、されど何人たりとて触れる事は許されぬ至高の頂きであり、あまねく生命の母たる創造神の似姿。しかし、彼女の真実の姿は人に非ず、真紅に染まる巨大な龍なのだと伝承で記されている

 

誇張されているものもあるだろうが、これほどの力、真っ当な生き物が持てる筈がない

奏女様…貴女はいったい何者なんだ…

 


 

奏女様が何者なのか?確かにそれは大変気になる事柄である

 

「さぁて。飯も食った、風呂も入った。よし!寝るぞ!」

 

しかし今はそんな事はどうでもいい

 

「う、うん。寝る…」

 

そんな事より今は!

 

「なにやってんだい?はよこっちおいで。寝るぞ?」

 

今は!目の前の素晴らしきおっぱいから目が離せねえ!!!

このクソガキ!!そこ代われ!!毎晩毎晩奏女様の腕枕で寝てんじゃねえよ!!目の前にあのおっぱいがあるとかどんなご褒美だよ!!羨ましいわ!!

てかこのガキ俺だ!!!

おい!俺!ガキのクセに一丁前に照れてんじゃねえよ!!そこは、かなめ様おれさびしい…とか言って抱きつくなり、おっぱい揉むなりしろや!!!今の俺ならするぞ!!絶対するね!!!

 

 




瑞稀の本音はただの変態



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