いずれ真理へと至る王の物語   作:Suspicion

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いつもの事ですが、かなり間隔が空いてしまって申し訳ありません!!

もう前書きに書くことが無くなって来た…



残り火、復讐の女神

「瑞稀様、また所属不明のドラゴンが人界に出現、暴走したそうです」

 

「またか…今月だけで既に10件を超えてるぞ。他の世界も含めると100近くか…」

 

バロムの報告に眉をひそめる瑞稀

絶対神の社で事務処理をしながらバロムの報告を聞く

 

「で?相変わらず所属、目的、出現ルートは不明なままか?」

 

「はい。うちの研究班も、他の世界の研究者も、依然として何も掴めておりません」

 

現在、人界、魔界、聖界、霊界、天界、神界は正体不明のドラゴンの襲撃を、度々受けていた

ドラゴンとは言え、一度に出現する数は少なく、力も弱いので各界、各々の戦力で問題なく対処出来ているが、如何せん出現頻度が多すぎる故に、絶対神であり、世界の守護者たる瑞稀は警戒を続けている

 

「ただ…魔界から興味深い報告が来ています」

 

「ほう?どんな?」

 

「今まで魔界にドラゴンが出現した場合、魔力反応等は無いにも関わらず、微弱ながら次元震と、次元の歪みを観測。直後に会敵している、と」

 

「次元震と歪みが観測されただと?まさか毎回か?」

 

「そのようです」

 

瑞稀が事務処理の手を止めて考え込む

 

「馬鹿な…魔界からも相当数の出現報告が上がってる。微弱とは言え、毎回次元震と歪みが観測された?魔力反応が無いって事は自然発生か?有り得ない…自然発生の歪みなんて、数百年に1度観測されるような事象だぞ…それがこんな短期間に何度も観測されるなど…しかも自然発生の次元震なんて、ここ数千年では1度も観測されていない…それがこんな頻度で観測されるなんて…有り得ない…」

 

次元の歪みとは、空間に穴が開き、次元の狭間と呼ばれる空間に繋がってしまう現象の事

次元の狭間は、如何なる生命を寄せ付けない程の高濃度の魔素で満たされた領域であり、現実世界とは異なる虚数領域とされている

空間の穴が大きい場合は、次元の狭間の高濃度な魔素が流出し、半径数キロ圏内の生命体に重篤な魔素中毒を引き起こし、非常に危険だが、穴が小さい場合は特に害は無く、すぐに閉じてしまう

発生原因ははっきりと特定されておらず、膨大な質量を持った魔法が原因で発生した事例もあれば、突然何もない空間に発生した事例もある

発生事例自体が少ない故に研究が進まないのだ

 

そして次元震とは、大気中に存在する魔素が、外的魔力や魔素と接触、衝突して振動する事で発生する、空間版の地震の様なもの

人為的にならば、膨大な量の魔力を放出した際に発生するので、瑞稀などの実力者ならば案外簡単に起こせる

しかし、自然に発生する事は滅多にない

と言うのも自然界で膨大な量の魔力が、勝手に放出される事など滅多にない

主に自然発生する場合は、性質の異なる魔素同士が接触、衝突する事が原因と言われている

これは、本来ならば各界の大気圏内に留まる各界固有の魔素が、飽和状態になった際に他の世界に流出してしまう事で発生する

しかし、各界の魔素は年々減少傾向にある現在では、飽和状態になる程の魔素など、どの世界にもありはしない

 

「バロム。大至急、各界の観測データを取り揃えろ。魔界の報告が事実ならば、決して無関係ではあるまい」

 

「畏まりました。今日中に次元中の観測データを取り揃えます」

 

そう言うとバロムはすぐに動き出した

瑞稀は椅子に深く座り込み、自らの内に封じられたドラゴンに語り掛ける

 

「凛音。どう思う」

 

『なかなか面白い話だな。仮にドラゴン共の出現場所と次元震、次元の歪みの発生場所が重なったら…面白くなりそうだ』

 

凛音は戦意を剥き出しにして語る

 

『そうなったらこれは人為的に起きている事になる。言わば未知の敵からの侵略だな。大規模な戦になる。しかも相手は次元震や次元の歪みを狙って発生させれる程の知識と技術、そして力を持っている上に、最強の幻想生物であるドラゴンを無数に従えている可能性が非常に高い。親玉は同じドラゴンか、はたまたドラゴンすら超えるナニカ。心踊る戦になるな』

 

戦闘狂である凛音は愉しげに、興奮を隠す事無く語る

 

「勘弁してくれ…」

 

『冗談だよ。実際は面倒なだけだ。最高神の言い付けで私の力は使えないからな』

 


 

結論から言うと、凛音の言った事が現実になってしまった

バロムが調べた結果、全ての世界でドラゴンの出現と連動して次元震と次元の歪みが観測されていた

そして歪みから流出した大気魔素を調査した結果、未知の魔素を確認

未知の次元からの侵略と断定、それと同時期に襲撃が激化

一度の襲撃時の敵生体の個体数の増加、個体毎の戦闘力の増強から、一部では占拠されてしまった地域すらある

また、敵の能力などの情報量が少なく、魔法術式形態の違いから、各界の軍は苦戦を強いられていた

 

瑞稀率いる戦神も本格的に戦いに介入、襲撃を受けている各界で、援軍として戦うも、出現場所の特定が難しく、後手に回らざるを得ない状況では、如何に瑞稀達ですら対処は非常に難しいのが現状である

 


 

「クソッ!なんなんだ!!あのドラゴン共は!?」

 

「バロム!文句を垂れる暇があるなら足を動かせ!!歪みを多数確認!まだまだ来るぞ!!」

 

「あーもう!!少しは休ませろっつうだよ!!」

 

「いいから走れ!!」

 

現在、瑞稀とバロムは人界の王都周辺の平原に出現したドラゴンと交戦していた

バロムが瑞稀を背に乗せ、瑞稀が影の太刀や魔法でドラゴンを少しずつ撃破するも、次々現れる敵の増援に少しずつ戦線を押されていく

 

敵の増援以外にも問題があり─

 

「おい!鬼崎の無能王と無能兄弟共!!俺達の射線上に入るな!!邪魔だ!さっさと退け!!」

 

「うるせぇ!!てめえこそ邪魔なんだよ!!俺らが前にいるのにバカスカぶっ放してんじゃねえよ!!!ちゃんと見ろよ!目え腐ってんのか!!」

 

「ああ!?てめえらじゃ対処出来ねえから、わざわざこっちとら来てやってんのに!なんだその態度は!?ざけんじゃねえぞ!!まとめて消し飛ばすぞ!!!」

 

「やれるもんならやってみやがれ!!!こっちだって好きでてめえみてえな出来損ないに頼ってるわけじゃねえんだよ!!!」

 

「瑞稀様!今は鬼崎に構っている余裕なんて無いですよ!!」

 

「やかましい!!!あの野郎まとめて消し飛ばしてやる!!!」

 

こんな状況にも関わらず、瑞稀と人界の王、鬼崎は互いに協力するという事を知らない

瑞稀が広範囲魔法を使おうとすると、鬼崎が射線上に割り込んで邪魔をしたり、鬼崎が射程範囲内にいるにも関わらず、瑞稀が影の太刀を全方位に放ち鬼崎を巻き込みかけるなど、協力どころか互いの足の引っ張り合いをしている

 

『瑞稀!その犬の言う通りだ!!たかが鬼如き捨て置け!!敵に集中しろ!!!』

 

「チッ!バロム!一気に駆け抜けろ!!鬼崎の前に出れば俺の炎でまとめて焼き尽くせる!!」

 

「はっ!トップスピードで行きます!! しっかり掴まってて下さい!!!」

 

凛音の叱責で冷静さを少し取り戻し、バロムに指示を出す

鬼崎を追い抜き、前方に誰も居ない事を確認して、瑞稀が巨大な魔法陣を描く

 

「燃え尽きろ!!夜空煌めく極炎(ナイトオブバーニングスター)!!!」

 

上空に巨大な炎の塊、小さな太陽の如く燃え盛る炎の塊が出現する

その塊は途轍もない熱量を持ち、まるで流星群の様に火の玉を降らせながら、自らも落下し、辺り一帯を焼き尽くし、煉獄の様な情景を作り出し、敵ドラゴンを残らず消滅せしめた

 

「こんなやべえ魔法があんなら最初から使って下さいよ!?もうやだ!私泣きそう!!」

 

「…鬼崎が邪魔で使えなかったんだよ…」

 

大袈裟に叫び泣き出すバロム、瑞稀はちょっと申し訳なさそうに言い訳する

 

「つうか!お前が最初からもっと速く走れば鬼崎に追い付かれる前に使えたんだよ!!お前が出し惜しみなんてするからだろ!?」

 

「だって全力疾走すると疲れるじゃないですか。ぶっちゃけ鬼崎がこんなに使えねえとは思わなかったですし」

 

「犬が偉そうにすんじゃねえよ!!てめえらが使えねえんだよ!!」

 

「犬じゃねえし!狼だし!!フェンリルだしぃ!!!フェンリルがワンちゃんに見えるなんて、鬼崎のお坊っちゃん方はお目目が悪いのかなぁ!?それとも違いが分からないほど頭が悪いのかなぁ!?あっ!どっちもか!!救えねえ(笑)」

 

「アァン!?ぶっ殺すぞ!!俺らの炎で焼き肉にすんぞ!!」

 

「はいはい(笑)出来ない事を口にしない方が良いですよー?も!の!す!ご!く!小者に見えますから(笑)」

 

「おい…バロム。警戒を解くな。何かヤバそうなのが来る」

 

バロムと鬼崎があーでもないこーでもないと喧嘩を始めたが、瑞稀が何かを感知したらしく、再度戦闘態勢に入る

 

「流石は最強の呼び名高き絶対神。情報以上の実力だな」

 

突如、目の前に次元の歪みが開き、中から人が出てきた

 

「女?なんだこいつ?」

 

そう一目で女性と分かる人型の生物

今までドラゴン以外が出現した事など無かった

 

身長は高めで、燃える様な赤い髪を背中まで伸ばし、鋭い目付きをした女性だ

顔は隠していないが、首から下は黒い甲冑を着込み、自身の身長と同じ位の片刃の大刀を右手に持ち肩に担いでいた

 

─突然、女性の身体に鎖が絡み付き、女性を拘束する

 

「拘束封印魔法、グレイプニル。貴様、何者だ」

 

瑞稀が魔法で鎖を精製、拘束したのだ

グレイプニルはフェンリルですら縛り付ける強度を誇る封印魔法の一種だ

これを解くには相当な膂力、もしくは魔力を要する

 

「ふむ。実力だけでなく勘も良い。惜しい人材だが、敵なら仕方ないか…」

 

「答えろ!!貴様は何者だ!!」

 

「…良かろう。名乗ってやるとしよう」

 

女性はそう言うと瑞稀の拘束をいとも容易く引き千切る

 

「なっ!?馬鹿な!!」

 

「我が名はセレス。再生を司る、番外の理の神だ。我は、我が次元ディアレストの神として、貴様等神界、天界、魔界、聖界、霊界、人界に対して宣戦布告をする。これはかつて、神界の討伐神によって焼き尽くされた、我等ディアレストの正当なる復讐である」

 

「かつて討伐神に、奏女様に焼き尽くされた?あの伝説は本当だったのか!!それに、よりによって理の神だと!?」

 

ディアレスト

かつて神界と戦争をして瑞稀の師、討伐神奏女様に次元ごと焼き尽くされ、敗北した世界

 

奏女様に跡形も無く焼き尽くされたと言い伝えられていたが、実際には完全に焼き尽くされたわけではなく、燃えカスとも言うべき程度ではあるが、残っていたのだ

 

そして永い年月を費やし、番外の理の神は燃えカスを元に、次元を再構築

ディアレストは瑞稀達が住まう次元とは違う魔法技術を発展させ、ドラゴンの複製、強化技術を確立

更に理の神の力で次元に穴を開け、復讐の為に今回の進攻を決行したのだ

 

「さて、今までの調べで討伐神が居なくなったのは分かっている。こちらの理の神は我の力に干渉する事が出来ない程、弱っているのも分かっている。最早我等に対抗し得る者は居ない。諦めて我が軍門に下れ。そうすれば我が家畜として生かしてやろう。だが抵抗すると言うのなら、万物一切我が刀の錆にしてくれる」

 

そう言ってセレスと名乗った理の神は刀を振るった

その斬撃の威力は凄まじく、平原を一直線に斬り裂き、王都の城壁すらも真っ二つに斬り裂いた

 

「此度は見逃す。次に我が赴くまでに降伏か、処刑か。決めておくがいい」

 

そう言い残し、彼女は歪みの中に消える

圧倒的な実力差に呆然とする鬼崎達

その実力差に、自らの無力さに打ちのめされる瑞稀達

 

「…瑞稀様。まずは神界に帰還し、最高神様に此度の事を報告しましょう」

 

「…そうだな…絶対神として降伏は有り得ない。至急対策を練ろう」

 

「馬鹿か!?あんな化け物に勝てるわけねえだろ!!出来る事なんてあるわけねえんだよ!!諦めて降伏しろ!!てめえらが抵抗して俺達まで巻き込まれたらどうすんだよ!?そんな事、まっぴらごめんだぜ!!戦うぐらいなら、俺達はアイツ等に見付からねえ様に遠くに逃げるぞ!!」

 

あれほどの実力差を前に、未だに戦う気でいる瑞稀に鬼崎が怒鳴り付ける

 

だが、忘れてはいけない

彼は、かの討伐神の弟子であり、その信念を継いだ神なのだ

 

「本気で言ってるのか?腐っても王だろ?王が民を見捨てて逃げるのか?聞いてなかったのか!?奴は家畜として生かすと言ったんだぞ!?まともに生かすと思うか!?有り得ない!生殺与奪の全てを握られ、気紛れに命を奪われる可能性だってある!!お前の民がだぞ!?貴様も王ならば民の為に戦え!!力無き者を護って戦え!!それが王だ!!!」

 

「知るかよそんなもん!!俺だって好きで王様になったわけじゃねえんだよ!!!戦って死にてえ奴だけで勝手にやれよ!!」

 

「貴様っ!!!」

 

「瑞稀様っ!!冷静になって下さい!!今はこんなクズを相手にしている場合ではありません!!至急対策を練り、少しでも多くの民を護らねば!!貴方が!王が護らずして、誰が貴方の民を護るのです!?」

 

今にも殴りかかりそうな瑞稀を抑え、説得するバロム

憤怒を湛えながらも、バロムの言葉に冷静さを取り戻す瑞稀

普段こそバロムはHENTAIだが、いざというときには頼りになる副官なのだ

 

「…っ。至急神界に帰還する。援軍に出ている者を全員呼び戻せ。最高神も交え、ディアレストへの対策会議を開く。何としてでも奴等を殲滅する」

 

「畏まりました!」

 

瑞稀は鬼崎を一瞥するとクソ馬鹿デカい舌打ちをして、転移魔法を発動、神界へと帰還した

 

 

 





神様になっても鬼崎が嫌いな瑞稀
神様であろうと瑞稀が嫌いな鬼崎
彼等は永遠に和解する事はないかもしれない

今回、鬼崎と瑞稀の王としての価値観、考え方の違いが露骨に出ました

でもぶっちゃけ鬼崎は人として当然の反応をしただけ
抵抗すれば確実に殺される状況で、人としての尊厳を貫ける人は決して多くはない
逆に瑞稀の王としての在り方は異常です。狂気染みてます

瑞稀はほんの一欠片を除いて、1人の"人"として生きていないんです
彼はどこまでいっても"王"なんです
鬼崎が嫌いだとか、人間が嫌いだとか、綺麗なお姉さんが大好きだとか、おっぱいが大好きだとか、その程度しか人らしい感情を持ち合わせていません
あれ?結構人臭いぞ、この王様

とにかく、日常生活での瑞稀は変態であり、ノリが軽いので目立ちませんが、彼の根底には王たるべしという思いが常にあります

作中では書いてませんが、彼の口癖に、王は国が無ければ王には成れず、国は民が居なければただの土地でしかなく、民は王が居なければ国には成れない。民は王の為に在り、王は民の為に在る。民とは王の願望を実現するために奉仕する存在であり、王とは自らの願望を体現する存在である。と言うのがあります

自らの力は民を護る為にあり、自らの身体は民を護る為にあり、自らの命は民を幸せにする為に使う
それが瑞稀の願望であり、王としての在り方です
義務感だとか、使命感だとかではないんです
瑞稀自身の願望なんです。王様だからそうしないといけないとかではなく、瑞稀がそうしたくて勝手にしてるんです
はっきり言って頭イカれてます
でも、民が幸せになるには自分も幸せでなければならないとは考えているので、自分の幸せを全く考えてないわけではないんです
まあ結局、自分か民の二択を迫られた場合、迷わず民を取ります。民の為なら権力や地位を捨てる事も厭いませんし、いざとなれば死ぬ事すら躊躇いません

そして瑞稀は他の王の在り方にもうるさいです
なので鬼崎の様に自らの保身を優先してしまうとブチギレます
反面、一度認めた相手には協力を惜しみません

後書きで長々と申し訳ありませんでしたm(__)m
いつか人物設定とかでまとめたいとは思いつつ、面倒臭がる作者をお許し下さいm(__)m
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