今回は瑞稀と天空剣の出会いの話をしたいと思います!
天空剣とどの様に契約したのか?
神器との契約とはどの様なものなのか?
その辺りを掘り下げます!
ついでに瑞稀が何故力を求め、振るうのか?
その理由、信念の話をしたいと思います
力とは、己を守る刃だった
力とは、己の弱さを砕く拳だった
力とは、己を誇示する翼だった
力とは、己を見下す全てを引き裂く爪であり牙だった
力とは、己を虐げた全てを貫く雷だった
力とは、己を害する全てを焼き尽くす焔だった
力とは、己を否定する世界を滅ぼす神威だった
幼い瑞稀の内に蠢くのは、そんな思いだった
…誰かがそれを柔らかに否定した
力とは、己を守る盾である
力とは、己を高みに導く拳である
力とは、大切な人達を包み込む翼である
力とは、理不尽な暴力を引き裂く爪であり牙である
力とは、あらゆる災厄を貫く雷である
力とは、虐げられた者を照らす炎である
力とは、世界の平穏を護る神威である
ノブレスオブリージュ
力ある者には力無き者を護る義務がある
世界の平穏を護る義務がある
幼い瑞稀には理解出来なかった
「人間なんて自分達が理解出来ないモノ、自分達と違うモノ、自分達よりも劣っているモノにはどこまでも冷酷で、残酷で、慈悲など無く迫害する!全て奴らが俺にやった事だ!やり返して何が悪い!?俺にとって大切なのは爺さんと婆さんと唯とあんただけだ!他の奴らがどうなろうが知ったことか!」
幼い瑞稀の叫びはどこまでも純粋で、混じり気の無い憤怒と、憎しみだった
「今は分からなくてもいい、いずれあんたにも分かるさ。大切な人達と共に在る世界を護ると言う意味がいつか分かるよ」
…それはもう、失われてしまった過去の事…
「あった。封印宮殿だ」
2本の日本刀を腰にさした瑞稀が山中の風景と、最早同化している封印宮殿を前に呟いた
高校を卒業した瑞稀は本格的に力を求め、神話に伝わる伝説の神器を探して、担ぎ手の居ない神器が眠る封印宮殿を巡っていた
「せめてそれなりの神器があればいいんだが」
そう言うと封印宮殿の中に、足を踏み入れる
封印宮殿の中は無数の日本刀が地面に突き立てられた古戦場の様な様相だった
その中心に、強烈な神威を撒き散らす日本刀が突き刺さっていた
「これはまた、凄まじいな」
「…誰じゃ、儂の眠りを妨げるのは…」
荘厳な声が宮殿中に響いた
「…俺の名は瑞稀。貴方の名を聞きたい」
「…儂に名を問うか。良かろう。我が名は天空剣。始まりの刃が1振りなり」
「これは驚いた、歴史で天の扇と語られる伝説の神器、天空剣とは…当たりと言えば当たりか。むしろ大当たりと言えるな」
「なんじゃ、小僧。その口振りでは、求めるのは儂ではなく別の神器だと、そう言いたげだな?」
「ああ、そうだ。俺が本当に求めているのは貴方の様に存在が実証されている神器じゃない。神話でのみ、その存在を語られる伝説の神器、究極の護り刀、夜宵時雨だ」
夜宵時雨
創世神話でのみ語られる伝説の神器
創世神が天空剣と共に振るったと語られる始まりの刃の1振り
その刀身はどんな闇よりも黒く、影や闇から自在に刃を成し、あらゆる災厄から担ぎ手を護るとされている
しかし、それだけの力を語られながらその存在を実証するものは無く
創世神話でのみ語られる
夜宵時雨を巡って様々な論争が繰り広げられた
曰く、夜宵時雨は創世時代、既に砕け、失われた
曰く、創世神が世界を創り終わり理の神々を産み落とし、眠りについた際、創世神が居ない世界に絶望し、世界の狭間にその身を投げ出した
曰く、夜宵時雨は創作であり、元より実在しない
今では夜宵時雨は元より実在しないとする説が、最有力と言われている
「ほう!まだ夜宵時雨を求める馬鹿がいたか!小僧、お前面白いのう!」
「…夜宵時雨は貴方と共に始まりの1振りと云われている。貴方なら夜宵時雨が実在するかしないか。知っているんじゃないのか?」
「知っている。だが教えてやらん、お前に興味が湧いた。儂と勝負して勝ち、お前が儂と契約する資格が有ると判断したら、教えてやろう。儂も長らく此処に引き込もって飽きた。いい加減担ぎ手を得て、外に出るのも面白そうじゃ」
そう言うと天空剣全体が輝き出した!
光が収まった時、そこには白い和装の狩り衣を纏った白い髭を生やした初老の男性が立っていた
「
初老の男性は天空剣そのものだった
神器は各々
「……分かった。全力で相手をさせて頂こう」
誰にも語られる事の無い、伝説の神器、天空剣と、数年後には英雄と呼ばれる瑞稀の戦いがはじまった!
天空剣と瑞稀が鍔迫り合い、何度もその剣閃が交差する!!
瑞稀の二刀と天空剣がぶつかり合う!
「驚いたのぅ!只の日本刀で、天空剣たる儂と張り合うか?!大した腕じゃ!」
「…そりゃどうも!」
(くそっ!なんて威力だ!まともに受ければ刀ごと真っ二つだな!)
瑞稀は正直焦っていた
強い、強すぎる!
最強とさえ讃えられる神器である、天空剣の魔力、刀としての純粋な切れ味、そして天空剣本人の剣術の技術
全てに於いて、瑞稀は劣っていた
斬撃を捌き、避けるのが精一杯だ
「ほれ、どうした?疲れたか?まだまだこれからじゃぞ」
そう言うと天空剣は今、手にしていた刀を地面に突き立て、地面に無数に刺さっていた別の刀を手に取る
「ほれ、これら全てが儂よ。これぞ、剣山。天空扇と並ぶ、我が奥義よ」
「!!!!」
(馬鹿な?!この無数の刀全部が天空剣だと?!規格外にも程度ってもんがあるだろ!!)
天空剣は天空扇を放ち続け、瑞稀は天空扇を辛うじて避け続け、必死に隙を見て斬りかかる瑞稀の刀を天空剣が受け止め、天空剣は刀を持ち替えながら天空扇を放つ、幾度となくそれを繰り返す!
「どうした?手も足も出んのか?この程度か?つまらんのぅ」
「くそ!!」
とうとう瑞稀が悪態が吐いた
苦し紛れに力一杯天空剣に上段から刀を叩き付ける!
天空剣はそれを苦もなく受け止め、また刀を持ち替える
…この時、瑞稀は勝機を見た
受け止めた天空剣の刀にヒビが入り折れかけていた
(そうか!天空剣は確かに比類無き切れ味と破壊力を持っているが、耐久性が無い!だから何度も持ち替えていたのか!)
「オオオオオ!!!」
瑞稀は全身全霊を込めて斬りかかる!
「無駄じゃ!」
瑞稀の刀を天空剣が受け止める
「なに?!」
天空剣が持っていた刀が刀身の中程から折れる!
「もらったぁ!!!」
瑞稀の一太刀が天空剣を捉えた!
肩から腹にかけて斬られ、血を流しながら天空剣は…
…笑っていた…
「フッ…ハッハッハ!!!これ程か!やるではないか!瑞稀!ならば儂も本気を出すとしよう!」
天空剣が魔力を放出すると地面に刺さっていた無数の刀が浮き上がり天空剣の周りを浮遊し出した!
「これぞ、剣山・桜並木!我が最強の奥義!打ち破って見せよ!!さすれば、我が担ぎ手となり、儂を振るう事を許す!」
「こうなれば1本ずつへし折ってやる!!この髭爺!」
無数の刀が一斉に瑞稀を襲う!
「奈良橋流奥義・如来」
それは攻撃ではなく守りを極めた、奈良橋流の奥義の構えだった
瑞稀が二刀を逆手に構え、天空剣の斬擊全てを捌き、叩き落とす!!
叩き落とした刀を素手で殴り、へし折っていく!!
「いつまで続く?儂の剣山は億にも及ぶ!全て折れるのなら折ってみろ!!」
2人の激闘は激しさを増していく!!
無数の刀で斬りかかり、それを捌き、叩き落とし殴り折る
繰り返される闘いは、終わりを迎えようとしていた
「なんなんじゃ…お前は…儂の剣山全てを殴り折りおった…」
「はっ…はっ…はっ…」
天空剣は瑞稀のあまりの気迫に半ば恐怖すら感じていた
対して瑞稀は億にも及ぶ斬擊全てを捌き続け、体力の限界をとっくに超えていた
「オ…オオオオオ!!!」
裂帛の気合いを込めて瑞稀が斬りかかる!
「おのれ!!」
天空剣は最早防ぐ刀を全て失っていた
瑞稀の渾身の一太刀が天空剣を捉え、勝負は瑞稀の勝利に終わった
「大したもんじゃ…最後に1つ聞かせろ…何故力を求める?」
「…力ある者には力無き者を護る義務がある。何よりも俺にも護りたい人達がいる。大切な人達が幸せに暮らす世界を護るためにも力が欲しい」
「そうか…認めよう。瑞稀、儂と契約してくれ」
「…ああ、よろしく頼むよ」
「それと、夜宵は実在する。故に儂とお前の契約は夜宵を見付けるまでとする」
「そうか…夜宵時雨は実在するのか…ありがとう、それまでよろしく頼むよ」
「契約は儂に任せよ、儂とお前の魂を2つに分け、互いに交換するんじゃ。つまり魂を分け合うと言うわけじゃな」
「なるほど」
「契約が完了して魂が馴染めば神格覚醒と言って儂の力を最大限高め、お前に合わせた形状に変化させる事も出来るようになる。じゃがこれには膨大な魔力が必要になる」
「…悪いが、俺は魔力を全く保有していないんだが…」
「安心せい。儂の魔力で発動させてやる。天空扇も剣山も魔力を使う。全て儂の魔力で賄ってやる」
「何から何まですまない…」
「気にするな。これからは相棒なんじゃ。互いに支え合えば良い」
そう言って、自らを打ち破り屈伏させた強者と共に、戦場を駆け抜ける未来を想像して、天空剣は嬉しそうに笑った
こうして瑞稀は天空剣と契約し、数年後、天剣の君と呼ばれる英雄と成る
如何でしたでしょうか?
色々またブッコミました!
さてまたまた出て来た謎の人!
一体何者なんでしょうかね!
まだまだ正体は明かされません!
多分その前に瑞稀の謎パワーの秘密が明かされる予定です!あくまで予定ですが