長らく失踪しておりました
申し訳ない
王よ、高らかに謳え
「来たか…」
魔界と神界の戦争跡の荒野で瑞稀は1人呟く
『はい。敵はセレス単騎、理の騎士10騎が各々ドラゴンを1000体ずつ率いております。セレス除く全軍がそちらに向かっています。セレスは単騎で魔王城に進軍して来てますね』
神界で瑞稀達に蹴散らされた兵力を補充して、セレス率いるディアレストが魔界に再び攻め込んで来た
1万を越えるドラゴンを率いて、魔界を蹂躙せんと迫ってくる
しかし、瑞稀は念話でのバロムの報告を聞き、鼻で嗤う
「1万のドラゴンと言えど、奴等は烏合でしかない。下らない。数を揃えれば勝てると思っているセレスの浅はかさが見て取れる。時間はかかるだろうが、問題無く全滅させれるな」
『…瑞稀様…本当にお1人で行かれるのですか?いくら兵が烏合の衆と言えど、騎士達をまとめて1人で相手をするのは、流石に無謀かと。少しでも勝率を上げるためにこちらもそれなりの数で当たるべきと進言致します』
そう。今回、瑞稀は1人でセレス除くディアレスト全軍と戦うと言い出しているのだ
あまりにも無謀過ぎる瑞稀に、バロムは作戦変更を申し出る
「問題ない。此度は制限など何もない。寧ろ斬鉄に伝えておけ。本当にセレスを助けたいなら、俺が加減を忘れぬ内に説得してみせろと」
『…分かりました。貴方がそこまで言うのなら、これ以上は何も申しません』
「お前達こそ気張れよ。セレスを説得出来る状況を作るには、ある程度弱らせる必要があるだろう。俺も出来る限り迅速に合流するつもりだが、数が数だ。時間はかかる。それまではお前達で凌がなきゃならんのだから、俺以上に厳しい戦いになるのは明白だ」
『ですよね~。斬鉄の馬鹿のせいで、こんな分の悪い賭けをする羽目になるなんて、ツイてないですよ。ま、死なない程度に気張ります。瑞稀様、お願いなんで、なるはやで合流してくださいよ~。だからって無理はしないで下さい。奥様方が悲しみますので』
溜息混じりにバロムが愚痴る
「分かってるよ。その為の覇龍でもある。ま、久々の覇龍だからな。暴走しないように、程々でやるさ」
『そうして下さい』
そうこう話してる間に遠くの荒野を覆う黒い影が多数、瑞稀の視界に入る
「おっと?奴等、やっと来たか。待ちくたびれたぞ。ていう事でこっちは先に交戦に入るぞ」
『了解です。御武運を』
「そっちもな」
念話を切り、深呼吸をする
緊張してるわけではない
ただ、感慨深い
再びこの地で、初めて己の意思で覇龍を使ったこの地で、神に成る為に捨てた覇龍を使う
短い様で長かった
「よし。始めよう。いや…違うな。始めるわけじゃないな。柄にも無いお行儀の良いフリなぞやめて、龍に、覇王に、魔王に戻ろうか!さあ!行こう!凜音!!」
『応ともさ!謳おうか!私達の覇道を!お前の覚悟を!!』
絶大な魔力が瑞稀が放たれ、大気中の魔素とぶつかり、次元震を起こす!
そして、龍と王は謳う─
「我に宿りし、銀光の白龍よ。再び覇の頂きへと至れ」
瑞稀が謳い─
『我が宿りし、狂嵐の魔王よ。覇王と成り吼えよ』
凜音が謳い─
『全界を創造せし忌まわしき理の神よ。我が威に屈伏せよ』
「遍く理を超える愛しき無双の神よ。我が理想を見届けよ」
2人が謳い─
「『汝、荘厳たる我等が銀雷にて跪拝せよ』」
2人の謳が重なる!
「『
魔力の爆発が起こり、そこに顕現せしは白銀の龍人
完全に人型のドラゴンになり、その背に2対の銀翼を持ち、全身に白色雷を纏う姿は、まさに白龍神王の名に相応しい
「─やはり、俺はこうでなくてはな」
瑞稀が右手を掲げると、巨大な魔法陣が描かれる!
「消えろ。駄龍共。天旋雷劫界」
凄まじい威力と範囲を誇る、かつて天乃にすら絶大なダメージを与えた雷が、ディアレストのドラゴンに降り注ぐ!
「さあ、蹂躙だ。死を恐れぬなら来るがいい」
瑞稀完全復活!
真覇龍化は覇龍に目覚めてからの修行で身に付けた強化形態です
瑞稀と白龍神王である凜音が共鳴、協力する事で初めて使用が可能になりました