いずれ真理へと至る王の物語   作:Suspicion

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瑞稀と氷龍鱗の戦いです
今回この話の中の魔法について少し説明したいと思います
今後魔法に関してはこの回で出た説明を元に構成するつもりです


凍てつく漆黒、焼き尽くす真紅

「ブリザードウォール!!」

 

氷龍鱗を中心に吹雪が荒れ狂う!

視界と足場が悪くなり、瑞稀の動きを阻害する

 

(気を付けろ!刻龍は斬鉄より強いぞ!)

 

「分かってる!天空剣、知り合いなら弱点位教えろよ!?」

 

天空扇を放ちながら、悪態を吐く瑞稀

放った天空扇は先程から全て直撃していた

…しかし、天空扇を全て当ててなお、仕留め切れないでいた

氷龍鱗・刻龍の強みはこのしぶとさだった

 

「無駄ですよ?どれだけ強力な技を放とうが私は死なない。私は氷ですから、砕かれようと、また凍り蘇る」

 

そう、氷龍鱗は先程から天空扇を受ける度に砕け散っていた

砕ける度にまた凍り蘇るを繰り返し、瑞稀は突破口が見出だせないでいた

 

「私の通り名である氷龍鱗は私が使う、大魔導・氷龍鱗からきています。これは自らを氷へと変え、水気さえあれば死なない身体に作り替えると言うものです。お分かりになりましたか?貴方では私には勝てません」

 

魔導とは魔法の最上位に位置する至高の力

魔法とは大きく分けて3つに分類される

 

魔力だけを使い、大気中の魔素(マナ)を加速させる魔術

 

魔力と魔方陣や詠唱などを組み合わせて大気中の魔素(マナ)を加速させる魔法

 

そして自らの体内にある魔素(マナ)を直接魔力で加速させ、コントロールし変質させる、もしくは魔力の様に放出し大気中の魔素(マナ)と混ぜ加速させる魔導

 

氷龍鱗は魔導の中でも強力な部類とされる大魔導

それを破るためには同じ大魔導を行使するか、それすら超える力を使うかしかない

 

(あやつの弱点は炎だ。生半可な炎では凍るがな)

 

「俺は魔法を使えない。まして大魔導に対抗するほどの炎なんか出せないぞ」

 

(詰みじゃろうかな…儂も無理じゃ。ちなみにあやつが前に攻め込んで来た時の担ぎ手は、砕きまくって無理矢理あやつの魔力を削り切ったがな)

 

「それしか無いな…」

 

「私の魔力を削り切るおつもりで?頑張りますねぇ、前は1週間ぶっ通しで戦いましたねぇ。はたして貴方は出来ますかね?」

 

氷龍鱗は先程から、氷属性の魔法を行使しながら、肉弾戦も仕掛けていた

瑞稀は持ち前のスピードでそれを避け続けているが、体力の消耗が激しく、連戦であることもあり、限界が近づいていた

 

「くそ!まずいな…」

 

(神格覚醒を使っても決定打にならんのでは意味がない、剣山もしかり。このままでは押し切られるぞ!)

 

「隙ありです!!」

 

集中力が乱れた隙を突かれ天空剣を弾き飛ばされる

 

「っ!!」

 

(瑞稀!!)

 

追い詰められる瑞稀と天空剣

未だ底が見えぬ氷龍鱗・刻龍

勝負は決している様に思えた…

その時、瑞稀の頭に直接声が響いた

 

(今生での我が半身よ、力を貸してやろうか?)

 

黒龍王との戦いの時、聞こえた声とは違う何者かが瑞稀に語りかける

 

(っ!?龍王の時とは違う!?お前はなんなんだ!龍王の時といい、今回といい、何故お前達は俺に力を貸す?お前達はいったいなんなんだ?何故俺の中に…)

 

(理由?そんなもの至極単純だ。私は先程の鬼神とこの龍、そして後に控えている犬擬き達に怨みがある。何より今生ではお前には必ずやあの方の下へ参じてもらいたいのでな、奴ら()()如きに手こずっている暇はない。もう片割れは知らぬ。我が器たるお前の力に引き摺られただけの者だ、欠片程も興味はない。まあ所詮はかつて()()()()()を滅ぼしかけただけ。大した力ではない、その程度で関心など湧かぬ)

 

その声は銀狼達を五柱と呼び、怨みがあると語る

しかも龍王との戦闘時、語り掛けて来た者はかつて全ての世界を滅ぼしかけたと言う

さらにはそれほどの力さえ大したものではないと蔑む

 

(さぁ、少しばかり力を貸してやる。あの程度の氷、焼き尽くしてやれ)

 

瞬間、瑞稀から膨大な魔力が炎となって溢れ出す!

刻龍がブリザードウォールで生み出した吹雪が一瞬で全て焼き尽くされ、蒸発していく!!

 

(馬鹿な!?瑞稀に魔力は無いはずじゃ!何故炎を!?何よりあの炎はまさか!?)

 

「そんなまさか!?真紅の炎だと!?では貴様が!?」

 

天空剣と氷龍鱗・刻龍が瑞稀の身体から放たれる炎を見て、驚愕する

 

「なるほど…だからこのタイミングでバロムさんが人界に戦争を…」

 

氷龍鱗・刻龍が何かを察し、目付きを鋭くする

 

「ならば試させてもらおう!!貴様が本当にそうなのか!」

 

そう言って刻龍は魔力を高まらせて、拳にその魔力全てを集約する!!

 

「我が最大の奥義にて、決着をつけよう!」

 

「よく分からんが、望む所だ…」

 

瑞稀もまた、内から溢れる魔力を高まらせて、両の手の平に集約する!!

呼応して炎が激しく燃え上がる!!

 

「砕け散れ!奥義・得救世(エグゼ)!!!」

 

「燃え尽きろ!!」

 

刻龍が虚空に拳を叩き込み、空間にヒビを入れる!

途端にとてつもない衝撃波が発生し大地を割りながら瑞稀に迫る!!

同時に瑞稀が両手を刻龍に向け、そこから絶大な威力を持った炎が放たれる!!

 

2つの力は中空でぶつかり、互いの力を削り合う!

…拮抗は長くは続かなかった。瑞稀の炎が刻龍が放った衝撃波を喰らい尽くし、さらに威力を上げ刻龍を飲み込んだ!!

 

「っ!!やはり、貴方が…そうなのか…」

 

激しく燃え上がる刻龍!

炎が収まった時、刻龍は力を使い果たし、倒れていた

 

(…よく分からんが瑞稀が勝った様じゃな)

 

「はぁ…はぁ…」

 

急激に魔力が跳ね上がり、急激に魔力を消費したせいで瑞稀は息を切らし、倒れる

 

氷龍鱗・刻龍と天剣の君・瑞稀の勝負は瑞稀の勝利で幕を下ろした

 

しかし、喜びも束の間

 

「やはり、貴方がそうでしたか…では、最後の確認として私の相手を願おうか」

 

銀狼・バロムがとうとう瑞稀と戦うために戦場に駆け抜けてきた

 

ここに、人と魔王の最終決戦が始まる!

 

 




またしても謎の声が出ました!
魔王が意味深な事を言っていましたがこれに関してはしばらく謎のままにする予定です
謎の声の正体もまだ分かりません
天空剣や魔王達は何か知ってそうな口振りですが

次回は魔王最終決戦、最強の魔王・銀狼との戦いです


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