カードファイト!!ヴァンガード 全ての物語のReLive   作:先導

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あけましておめでとうございます!今年が始まり、よき1年になるようにヴァンがっていきましょう!

さて、今年一発は奮発して、熱血と努力の先導者、鋼と宇宙の正義、そして新作、ReLiveを一気に投稿していきます!

あ、感想は作品ごとに別々でお願いします。面倒だとは思いますけど、ややこしくならないので、お願いします。

熱血と努力の先導者、鋼と宇宙の正義の投稿を終えましたから、ラストを飾るのは新作のReLiveです!

それではどうぞ!


ライド・ザ・ヴァンガード!!

とある少年の幼き記憶、少年は顔を俯かせながら帰路を歩いていた。そうして歩いていると、曲がり角で走ってきた茶髪の少年とぶつかった。

 

「ごめんな!」

 

「・・・・・・」

 

「か・・・櫂君・・・大丈夫・・・?」

 

茶髪の少年の元に黒の短髪の少女が駆け寄る。茶髪の少年は、青髪の少年にづかづかと近づく。少女は青髪の少年に気付くと茶髪の少年の背中に恥ずかしがれりながら隠れる。

 

「なんだー、お前?ケンカにでも負けたのか?」

 

「櫂君、失礼だよ・・・」

 

青髪の少年の姿はところどころ殴られたり蹴ったりした跡が目立っていた。

 

「ケンカって柄でもなさそうだな・・・いじめられたのか?」

 

「だ・・・大丈夫・・・?て、手当、するから、ね」

 

「あ・・・」

 

少女は青髪の少年に近づき、傷の後をシップで手当てをする。そうしていると茶髪の少年は閃いたかのようにヴァンガードのデッキを取り出す。

 

「これ、やってみねぇか?楽しいぜ」

 

「あ・・・っ」

 

「てことでリン、説明よろしく!」

 

「もう・・・。ご、ごめんね・・・櫂君が、その・・・強引で・・・」

 

少女は青髪の少年に謝りながらデッキ構築の説明をする。

 

「これがヴァンガードのデッキ、50枚、だよ。お、覚えた・・・?」

 

「う、うん・・・」

 

青髪の少年がデッキ構築を理解し、茶髪の少年が相手に名乗り出る。

 

「よし!早速俺とやろうぜ!」

 

「え⁉も、もう⁉」

 

「習うより慣れろってやつだ!」

 

茶髪の少年がそういうと、公園の電気に明かりがつく。

 

「あ・・・」

 

「ど、どうしたの・・・?」

 

「そ、そろそろ、帰らないと・・・」

 

「お?もうそんな時間か?」

 

青髪の少年はカバンを持って、再び帰路を歩こうとすると、茶髪の少年が呼び止める。

 

「待てよ!こいつ、やるよ」

 

「櫂君・・・?」

 

茶髪の少年は青髪の少年に1枚のカードを手渡す。

 

「そいつは結構強い剣士なんだぜ?」

 

「はぁ・・・」

 

「いいか、イメージしろ。そのカードの剣士のように、強くなった自分を!」

 

「む・・・無理です・・・」

 

「あはは!ま、最初はそうだろ。こいつだって同じだからな」

 

「か、櫂君・・・ひどい・・・」

 

「けどな、それがイメージできたら、お前はきっと、変われる。イメージはお前の力になるんだぜ」

 

ここまでが、とある少年の記憶である。

 

 

 

イメージ2「ライド・ザ・ヴァンガード!!」

 

 

 

カードキャピタルにて、学校の授業を終えてここにやってきたカズヤはリンの友人であるシズクとファイトしている。リンとソウジは観戦をしている。そして、ファイトが終わるとシズクは嬉しそうな表情をする。

 

「やったーー!!自称最強の森川きゅんに勝ったリンリンに勝ったカズヤんに勝った・・・てことは必然的に考えると・・・カードキャピタル最強ファイターはうちってこと⁉やりーーー!!」

 

「ずいぶん遠回しな最強だな、おい」

 

シズクの遠回しの最強宣言にソウジはあきれる。

 

「んだよあいつ・・・ギャルのくせにやるなぁ・・・」

 

「シズクはどうしようもない子ですが、ファイターとしては、凄腕ですよ」

 

「お前が認めるって相当のことだな・・・」

 

カズヤはシズクの強さに感心すると、リンが解説する。そんな楽しい時間を過ごしているとき、ショップの入り口が開かれ、2人の男子高校生が入店する。男子高校生はカズヤたちに近づき、話しかける。

 

「お前がギアクロニクル使いか?」

 

「ん?」

 

「櫂先輩、三和先輩」

 

「よっす!」

 

カズヤに話しかけてきたのは、リンの先輩である櫂トシキと三和タイシだった。

 

「どうなんだ?」

 

「そうだけど?」

 

カズヤがギアクロニクル使いとわかった瞬間、櫂は自分の制服のポケットの中から自身のデッキを取り出す。

 

「未知のクランの力、リンを敗ぶった力、試させてもらう」

 

櫂のファイトの申し込みにリンとシズクは目を見開く。

 

「櫂先輩、本気ですか?」

 

「止めたって無駄だぜ。櫂がやると決めたら止まらねぇの、お前も知ってんだろ?」

 

「それは、そうですが・・・」

 

「なんだー?カズヤを心配してんのか?」

 

「あなたは黙りなさい」

 

櫂のファイトの申し込みにカズヤが断る理由はなかった。

 

「いいぜ、そっちがその気・・・」

 

カズヤがファイトを受け入れようとすると、シズクが異を唱える。

 

「ちょっとちょっとー、そこはそのカズヤんに勝った最強のうちとやるべきでしょー?」

 

「お前が・・・最強?」

 

「へぇー、今の今まで櫂やリンに勝てないお前がねぇ~」

 

「三和先輩、煽らないでください」

 

シズクの最強発言に櫂は疑問符を浮かべ、三和がシズクを煽る。その際に三和はリンに睨まれた。

 

「・・・いいぜ、腕試しだ」

 

「ふーっふーん!そうこなくっちゃ!」

 

櫂はシズクと先にファイトをすることにし、シズクは妙に張り切っている。そして結果は・・・

 

「わぁ・・・負けた・・・」

 

櫂の圧勝、シズクの惨敗だった。

 

「口ほどにもないな」

 

「う~ん、やっぱ櫂きゅん先輩には勝てなかったかぁ・・・」

 

「むしろなぜ勝てると思ったんですか・・・」

 

シズクの発言にリンは非常にあきれた表情をしている。

 

「今の、すごかったな・・・」

 

「ああ。熟練の俺でも何をしてたのかわかんなかったファイトだったぜ・・・」

 

櫂の圧倒的な実力の差にカズヤもソウジも驚いていた。すると・・・

 

「勝負しろ、日下部リン!」

 

突然リンに勝負の申し込みをしてきた者が現れた。その人物は、森川率いるグループたちだった。

 

「1度勝ったぐらいでいい気になるな!カードキャピタル最強の座をかけて、もう1度勝負だ!」

 

「静かに!」

 

「まぁまぁ・・・」

 

森川の大きな声にミサキが注意をすると、三和がそれをなだめる。

 

「お断りします」

 

リンから帰って来た返事はまさかの勝負拒否だった。

 

「なっ、何でだよ!!」

 

「あなたのファイトはまるでなっていない。ファイトの本質を理解していない者のファイトなど、時間の無駄なだけです」

 

「うわ~、リンリン、そこまで言っちゃう?」

 

リンの毒のある説明にシズクは軽く引いていた。だがリンの発言に森川はかなり怒りを示していた。

 

「俺のファイトが時間の無駄だとぉ!!?だったら、これを見ても同じことが言えるかぁ!!」

 

森川が取り出したデッキには、カズヤと同じくラン、ギアクロニクルのカードが集められていた。

 

「おいあれ!ギアクロじゃねぇか⁉」

 

「ま、マジか⁉」

 

「まさかまさかの2人目のギアクロ使いか⁉」

 

「あり?でも前はスパイクブラザーズ使ってたよね・・・?」

 

森川が取り出したギアクロニクルにソウジ、カズヤ、三和は驚き、シズクは昨日の森川のデッキを思い出していた。櫂はあまり無関心だ。どうやらギアクロニクルには興味はあるが、リンに勝ったカズヤの興味の方が強いようだ。

 

「これなら・・・」

 

「クランを変えても同じことですよ。あなたとはやりません。時間の無駄です」

 

「な・・・なんだとぉ!!」

 

リンの答えが全く変わっていないことに森川はさらに怒りをあらわにする。

 

「まぁまぁ、そんなにファイトしたいなら、このショップ最強の櫂が相手になるぜ」

 

「⁉」

 

三和の発言に櫂は少しあっけにとられる。

 

「そいつが?」

 

「リンが勝ったことのない奴となら、文句ねぇだろ?」

 

「おい三和、こんな奴とファイトするために来たんじゃ・・・」

 

櫂の放った言葉に森川の怒りの対象が櫂に変わる。

 

「こんな奴だぁ?いいぜ、先に相手になってやる」

 

「なってやる・・・だと?」

 

森川の発言に櫂は妙に引っかかる。

 

「俺、相手が目上だからって手加減できないんで」

 

「余計な御託はいい。さっさと始めるぞ」

 

そんなこんなで森川と櫂の了承が得たことによって、ファイトが始まった。そしてこのファイトでも、櫂の圧倒的力を発揮している。

 

「そ・・・そんなバカな・・・!」

 

森川はギアクロニクルを使っているのに、ありえないといった表情をしており、あっけにとられている。それは後ろにいる3人も同じだった。

 

「アタック」

 

「くっ・・・ダメージ・・・チェック」

 

このダメージチェックによって、森川のダメージは6となり、櫂の圧勝となった。

 

「くそ・・・なんでだ・・・!」

 

「あっははは!やったぜー!VVV、ヴィクトリーだぜ!」

 

櫂の勝利に三和は笑いながらそう言い放つ。

 

「これでわかったでしょう?クランなど関係ないんです。クランを生かせるかどうかは全て、ファイターの力量なんですよ」

 

「くっ・・・くそ!」

 

納得のできていない森川だったが、何も言えず、3人を連れてカードキャピタルから退店する。

 

「まいどー」

 

「いつでも相手してやるぜ!」

 

「お前が言うな」

 

櫂への挑戦なのに三和が再挑戦募集の声を出すと、カズヤがそれをツッコム。すると櫂はカバンを持って、店を出ようとする。

 

「櫂先輩、どこへ?」

 

「興が冷めた。帰る」

 

「その前に・・・小学校の頃、転校したあなたが、なぜ高校の入学を機に戻ってきたんですか?」

 

「・・・・・・」

 

リンの質問に櫂は答えようとせず、そのまま店を出て行った。

 

「おい!質問に答えろって!」

 

「なんなんだよ、あいつ・・・」

 

「まぁまぁ、あれ、櫂きゅん先輩の照れ隠しだからさ☆」

 

「そうそう、大目に見てやれって」

 

質問に答えなかった櫂にソウジは憤慨し、カズヤは不思議そうな顔をしている。それをシズクと三和がなだめる。

 

(・・・あんなファイト程度じゃ、まったく熱くならねぇよ・・・)

 

店を出た櫂は夕日を見上げながら1人そう思っているんであった。

 

 

翌日、リンや森川たちが通っている後江中学校の休み時間、森川は新しいパックの入った箱を開けて、カードのパックを開けようとする。井崎たちはその様子に質問をする。

 

「森川・・・」

 

「どうしたのそれ?」

 

「委員長や櫂って野郎を倒すには強力なカードがいるからな、小遣い前借して箱買いしたのよ」

 

「そういう問題じゃないと思うんだけどなー・・・」

 

今の森川に何を言っても通用しないのはわかっている3人は何も言わずにいた。そうしていると、休み時間が終わり、授業の時間が始まる。

 

「今日の授業は川中島の戦い!中でも、第四次合戦、八幡原の戦いは、周り見る死闘として名高いわけだが、8000の軍勢を率いり、信濃に攻め込んだのは・・・島村!!」

 

「武田信玄」

 

「イエス!!一方、迎え撃つのは、12000の軍勢を率いた・・・鈴木!!」

 

「上杉謙信」

 

「イエス!!上杉軍が発令した戦術パターンは・・・久保田!!」

 

「車懸りの陣」

 

「イエース!!濃霧の中、信玄本体へ攻撃だぁ!!対する武田軍が発令したのは・・・日下部!!」

 

「鶴翼の陣です」

 

「イエーーーッス!!」

 

歴史の授業を担当するマーク・ホワイティングの授業ではなぜかカードを使っている。

 

「相っ変わらず意味わかんねぇ授業だなぁ・・・」

 

「本当だよね。何でこんなカードがいるわけ?」

 

「外国人で戦国時代マニアでカードマニアって、キャラ濃すぎだよね」

 

井崎、メグミ、稲永にはこの授業は不評のようだ。

 

「さあ、この生き馬の目を抜くような戦国時代を・・・君ならどう生きる!?先導アイチ!」

 

「!は・・・はい・・・///」

 

マークに名指しされた少年、先導アイチは恥ずかしそうに席を立つ。

 

(先導・・・アイチ・・・?どこかで・・・)

 

同じくマークの授業を受けているリンはアイチの名を聞いて、何か思い出そうとしている。

 

「俺久々にこいつの声聞くわ!」

 

「おとなしいにもほどがあるっつーの!」

 

「どうしたわけ、アイチ~?がんばりなよ、ほら」

 

周りの生徒が注目している中、井崎たちが野次を飛ばしている。

 

「ヘイ、カモン!先導は戦国時代で何をして名を残す?イメージ、イメージして!」

 

「ぼ・・・僕は・・・後ろの方で・・・えっと・・・い・・・いつでも逃げられるように・・・して・・・ます・・・」

 

生徒達(リン以外)はアイチの答えを聞いた後、あっけにとられた後・・・

 

『あははははははは!!』

 

盛大に笑い出した。

 

「先導君、実際の戦国の世なら、生き残るためのいい考えかもしれませんが、イメージの中くらい、もっと自分を大活躍してもいいのではないでしょうか」

 

「す・・・すみません・・・///」

 

「雑兵すぎるぜ!」

 

「せめて足軽大将になっとけよ!」

 

「どんだけ後ろ向きなんだってーの!あっははは!」

 

井崎たちのアイチをバカにするような発言もあるが、アイチは顔を赤くしながら着席する。

 

(うぅ~、やっちゃった~///。でも、でも・・・こんなすごい武将がいる中で僕の出番なんて絶対ないよ・・・)

 

アイチは自分の胸ポケットに入ってる手帳を取り出し、手帳に挟んである1枚のカードを取り出す。

 

(ブラスター・ブレード・・・君なら、戦国時代でも・・・)

 

アイチは戦国時代にブラスター・ブレードがいるイメージを膨らませる。そんなイメージを抱いていると、アイチは自然と笑みを浮かべる。そんな中授業中にも関わらず、パックを開け続けている森川。とうとう最後のパックになった。

 

(最後の1パック・・・頼むぜ・・・!)

 

森川は最後のパックを開け、7枚のカードを確認する。が、納得のいくようなカードがないのか落胆する。

 

「・・・あー、こいつじゃねぇ・・・ん?」

 

落胆していると、前の席にいるアイチに視線が入る。

 

(あいつ・・・雑兵のくせしてニヤつきやがって・・・うぜぇなぁ・・・)

 

森川がアイチをうざがっていると、アイチの持っているカードに気が付く。

 

(!あれは・・・ヴァンガードのカード!しかも・・・ブラスター・ブレードだと⁉とんでもねぇレアカードじゃねぇか・・・!)

 

アイチはブラスター・ブレードのカードを手帳に挟み、胸ポケットにしまう。森川はブラスター・ブレードに目を付け、あくどい笑みを浮かべている。

 

 

放課後、森川はリンが教室から出たのを見計らって井崎たちを連れて、アイチを校舎裏に連れてきた。ブラスター・ブレードを手に入れるために。井崎たちは他の生徒に見られないように見張りをしている。

 

「な・・・何・・・?森川君・・・」

 

「先導アイチ、おめーがヴァンガードファイターだったとは知らなかったぜぇ」

 

「僕が・・・カードファイター?」

 

「とぼけんなよ。お前、ヴァンガードのカード持ってたろ?」

 

「持ってるけど・・・僕、対戦なんてしたことないし・・・僕なんか、カードファイターじゃ、ないよ・・・?」

 

「ふーん。やっぱお前雑兵だな。ま、いいからそこに入ってるカードを見せてくれよ」

 

森川はアイチの生徒手帳を無理やり取り出し、中に入ってるブラスター・ブレードのカードを取り出す。

 

「くく!マジだ!マジでブラスター・ブレードだ!」

 

「俺にも見せろよ!」

 

「おお、すっごい!」

 

「俺、初めて見る!」

 

「こいつさえあれば、あいつらに勝てる!!」

 

アイチのブラスター・ブレードを持って4人はカードキャピタルへと向かう。

 

「ちょっと待ってよ森川君!待っていかないで!それは人からもらった大切なカードなんだ!」

 

「るせぇ!!」

 

「うわっ!!」

 

アイチはブラスター・ブレードを返してもらおうと追いかけるが、アイチに向き直った森川がアイチの腹部を蹴り上げる。

 

「お前はカードファイターじゃないんだろ?だったら対戦できないこのカードがかわいそうだ。俺がもらってやるよ」

 

横暴なことを言い放つ森川の制服をつかんで、アイチはカードを返してもらうように懇願する。

 

「か、返して・・・カードを・・・僕の・・・」

 

森川はアイチのそれが気に入らなかったのかアイチを徹底的に痛めつける。それには当然3人も止める。

 

「お前みたいな雑兵は滑って転んで漏らしてな!!」

 

「も、森川君!」

 

「もうやめとけよ!」

 

「離せよ!」

 

「これ以上やったら委員長以上に面倒になっちゃうよ⁉」

 

「・・・ちっ!」

 

3人が止めたおかげか周りには気づかれずに済み、大事にならずに済んだ。

 

「あいつらに今までの雪辱を晴らしてやる!いくぞ、カードキャピタルに!」

 

森川たちは雪辱を晴らしにカードキャピタルに向かう。

 

「・・・カードキャピタル・・・」

 

森川の言葉は倒れていたアイチにばっちりと聞こえていた。

 

 

カードキャピタルには、カズヤとソウジは委員会活動で遅れ少し遅れており、先に来ているのは櫂、リン、三和、シズクだった。現在はリンは三和と、櫂はシズクとファイトしていた。

 

「ぎゃあああ!また負けたー!!」

 

「こっちもー、負けちったよー」

 

「静かにファイトしな」

 

三和の大声にミサキが注意をする。

 

「あなたたちでは私たちに勝てません」

 

「うぅ~・・・!」

 

「なにぃ~?こいつめ~!もういっちょだ!今度こそ、昔の俺とは違うっつーことをみせてやる!」

 

「ふん・・・」

 

櫂が小さく鼻を鳴らして・・・

 

「櫂トシキ、日下部リン!勝負しろ!」

 

また森川たちに勝負を挑まれる櫂とリン。

 

「はぁ・・・またですか・・・」

 

「3度目の正直だ!今度こそ、カードキャピタル最強の座をかけて、もう1度勝負だ!」

 

森川の勝負の申し込みに櫂とリンは・・・

 

「何度でも言います。お断りです」

 

「断る」

 

また断り、勝負拒否されてしまう森川。

 

「な、何でだよ!!」

 

「お前はカードゲームが下手だ」

 

「なっ⁉」

 

対戦しない理由をリンが言う前に櫂がバッサリと言い切る。

 

「戦術が単調で戦略に深みがない。カードのパワーに頼りすぎだ。だからお前とファイトしたって何も得るものがない」

 

「同感です」

 

「お、おお・・・そこまで言うか?」

 

櫂のバッサリと言い切る仕草に三和は苦笑いを浮かべる。

 

「お、俺とファイトしたって・・・何も得るものがないだとぉ・・・?なら、お前が勝てば、このカードはくれてやる!!」

 

そう言って森川が取り出したのは、ブラスター・ブレードを見せる。

 

「わお☆ブラスター・ブレードじゃん☆」

 

「これなら得るものがないなんて言えねぇだろ?」

 

「すっげぇ!見せてくれよ」

 

森川が見せたブラスター・ブレードにリンと櫂の表情が少しだけ変わる。

 

((ブラスター・ブレード?どこかで・・・))

 

「はいはいはーい!俺がファイトしまーす!」

 

櫂とリンが考えていると、三和がファイトに名乗り出た。

 

「お前が?」

 

「お前が勝ったら、こいつらとファイトさせてやるぜ」

 

「また勝手なことを・・・!」

 

三和の勝手な提案にリンは眉を細める。森川は乗り気のようだ。

 

「よーし!カードファイトだ!」

 

互いの了承を得て、三和と森川のファイトが始まった。そんな時にカズヤとソウジが入店してきた。

 

「おーす・・・ってあれ?」

 

「あいつ・・・昨日の・・・」

 

森川と三和のファイトを2人も観戦する。ファイトの方は三和が圧倒的有利にある。自分が3度も追い詰められている状況に森川は焦りが生じる。

 

「ほれ、こいつでアタックするぜ!さぁダメージチェックだ。これが通れば、俺の勝ちだな」

 

「くっ・・・頼む・・・!」

 

防ぐ手立てがない森川はヒールトリガーにかけ、ダメージチェックにはいる。ダメージで出たのは、皮肉なことにアイチから奪い取ったブラスター・ブレードだった。

 

「トリガーなしかぁ・・・!」

 

「いぇーい!俺の勝ちーー!!」

 

「3回も見たけど、本っ当たいしたことないよねー森川きゅん☆」

 

「・・・・・・っ!!」

 

3度も負け、顔をうなだれる森川。三和は勝利によってガッツポーズをする。シズクが森川にさらなる追い打ちをかけるような言葉を放つ。

 

「んじゃ、このブラスター・ブレードはもらっちまうぜー」

 

三和は勝負の結果に従い、森川のブラスター・ブレードを取り上げる。

 

「ほら、やったぜ、櫂、リン」

 

「三和先輩、そのカード、よく見せてください」

 

「見せろ」

 

「あ!!俺んだぞ!俺んだぞ!」

 

「そんな子供みたいに言わなくもねー☆」

 

リンは三和からブラスター・ブレードを取り上げ、カードをじっくりと眺める。櫂もカードを見つめる。

 

「ちくしょおおおおおおお!!!」

 

森川は悔しさのあまり、絶叫してしまう。そんな時、ショップの入り口が開き、1人の中学氏が入ってきた。

 

「いらっしゃい」

 

「ぼ・・・僕の・・・僕のカードを返して!!」

 

その中学生は、森川からブラスター・ブレードを取り戻そうとやってきたアイチだった。

 

「なんだ?あいつ?」

 

「あれは・・・こいつらと後江中の・・・」

 

「も・・・森川君、お願いだよ・・・大切なカードなんだ・・・」

 

「・・・っ!知るかよ、そんなもん!」

 

「え・・・」

 

カードを取られて、そういうしかない森川。

 

「先導アイチ君、あなたのカードって、このブラスター・ブレードのことですか?」

 

リンはアイチにブラスター・ブレードのカードを見せてそう尋ねる。

 

「そ・・・そうです!!僕のです!!日下部さん、か、返してください!!」

 

「て、ことは・・・こいつあいつからパクったカードを賭けにしてファイトしたってのかよ⁉」

 

「マジかよ⁉」

 

「うわ、マジサイッテー」

 

「・・・っ」

 

カズヤはブラスター・ブレードを奪って賭けたことを理解し、ソウジとシズクは森川に軽蔑の視線を送る。

 

「お・・・お願い・・・」

 

アイチの必死の頼みに櫂、リン、三和は互いに顔を合わせる。

 

「・・・なんでだ?」

 

「え・・・?」

 

櫂からの問いにあっけにとられるアイチ。

 

「ちょ、ちょっとー・・・」

 

「私が説明します。森川君は、このカードを賭けてファイトをし、そして負けた。彼がどこでこれを手に入れたかなど関係ありません。私たちカードファイターにとってファイトの結果は全てであり、絶対です。このカードはもう、三和先輩のものです」

 

リンの説明に事情を全く知らなかった三和は申し訳なさそうに苦笑を浮かべている。

 

「ファイトで取られてしまったカードはファイトでしか取り戻せません」

 

「・・・じゃ、じゃあ・・・僕とファイトしてくれますか?」

 

カードの取り戻し方を聞いたアイチはファイトの申し込みをする。その様子に森川は当然異論を唱える。

 

「な、何言ってんだ!お前カードファイトなんてやったことないだろうが!!デッキだって持ってんのかよ⁉」

 

「やったことはないけど・・・いつかカードファイトがしたくて、デッキは作ってたんです!」

 

「はあ!!?」

 

「その驚きっぷり、そういうの確認せずに取ったのかよ。神経を疑うぜ、本当に」

 

「う・・・うるせえ!!」

 

アイチがデッキを作っていたことに驚きを隠せない森川。それに対して真理をついてきたカズヤの言葉にソウジとシズクの軽蔑の視線が強くなる。

 

「・・・いいだろう。俺がファイトしてやる。リン、カードをこっちに」

 

「わかりました」

 

「おい、こっちに来な」

 

「は、はい!!」

 

アイチのファイトの申し込みを受けたのは森川のファイトを拒んでいた櫂だった。

 

「なんだよ櫂、そのカード俺んだぞ!」

 

「貸してあげなさい」

 

「お前大人げないぞ」

 

三和が不満をぶつけるが、リンとカズヤに咎められる。アイチと櫂がファイトするその様子に納得がいかない森川は不満をぶつける。

 

「ま、待てよ!!こいつは初めてカードファイトやるって言ってんだぞ⁉何で、何で俺とはファイトせずに、こんな初心者とはやるんだよ⁉」

 

森川の言い分に櫂は答える。

 

「さっきのファイト・・・お前は本気で三和に挑んだか?」

 

「うっ・・・」

 

「むっ・・・」

 

どうやら先ほどのファイト、森川は完全に三和をなめていたせいか、本気で挑まなかったようだ。

 

「だがこいつは、本気でカードを取り戻そうとしている。本気のファイトを挑まれて断る理由など、俺にはない」

 

「なっ・・・なっ・・・」

 

「それに、追い打ちをかけるようで申し訳ないのですが・・・」

 

完全に追い込まれた森川にリンが睨みつけながら追い打ちをかける。

 

「森川君、あなたは自分の大切なカードを賭けてファイトしましたか?」

 

「・・・っ!」

 

「そうではないでしょう?あなたはただアイチ君から取ったカードを賭けただけで自分のカードは賭けなかった。そんなものでファイトして負けても、失うものなんて初めからありません。森川君とは覚悟が明らかに違います。嘘の覚悟で挑むそれは、愚か者以外の何物でもありません。理解したなら、黙りなさい」

 

「・・・っ!!くそぉ!!」

 

「「「森川(君)!!」」」

 

リンに言葉に何も反論できない森川は店から退店していく。井崎たちは森川を追いかけて退店していく。

 

「森川君・・・」

 

「彼の自業自得です。放っておきなさい。それより、ファイトを」

 

「は、はい・・・」

 

「その前に・・・」

 

アイチは森川を心配するが、リンがファイトに集中するよう施す。すると櫂はアイチのブラスター・ブレードを差し出す。

 

「俺のカード!!」

 

「はいはい、三和っち先輩は黙ろうね~☆」

 

「お前のデッキは、ブラスター・ブレードが入って完成するデッキだな?」

 

「そ、そうです・・・」

 

「貸してやる。俺にとっては余計なハンデだしな」

 

「あ、ありがとう・・・」

 

ブラスター・ブレードが一時的に戻ってきたことにアイチは安堵の笑みを浮かべ、デッキにカードを入れる。

 

「なぁ、あれってそんなにすげぇカードなのか?」

 

「すげぇも何も、あれ超絶レアカードだぜ?なかなか手に入らねぇ代物だ」

 

「ほぉ・・・」

 

カード事情を知らないカズヤがソウジに尋ねると、若干ながら興奮しているように答えるソウジ。カズヤは答えを聞いて、少し関心の声を上げる。

 

「俺は櫂トシキ。お前は?」

 

「せ・・・先導アイチ、です・・・」

 

「・・・・・・」

 

名前に聞き覚えがあるのか、櫂は少しだけ眉を細める。

 

「初心者らしいからな、説明しながらやってやるよ。イメージしろ」

 

アイチは櫂に言われたとおり、イメージする。そして、アイチと櫂の意識は霊体となり、惑星クレイに降り立つ。

 

「え⁉う、うわああああ⁉」

 

「あれが惑星クレイ・・・ファイトの舞台となる地球によく似た惑星だ。今の俺たちは、惑星クレイに現れたスピリット、霊体だ。か弱い霊体の私たちに与えられた能力はが2つある。1つはコール」

 

「コール・・・」

 

「この惑星に住む住人やモンスターたち・・・ユニットと呼ばれる存在を呼び寄せる能力だ。俺たちが呼び寄せることができるのは、契約した者たち・・・50枚のカードで構築されたデッキに集められた者たちだけだ」

 

櫂はアイチにわかりやすいように、1つ1つ丁寧に教えていく。

 

「同じカードは4枚までデッキに入れられる。ま、デッキを組んでるなら知ってるか」

 

「うん・・・」

 

「2つめはライド」

 

「ライド・・・」

 

「霊体である自分を呼び寄せたユニットに憑依させる能力だ。そして、ライドした俺たちのことを、ヴァンガードと呼ぶ」

 

「ヴァンガード・・・」

 

「その意味は、先導者」

 

「私よりも丁寧な説明でしょう?」

 

「どっちも同じだと思うがな」

 

櫂の説明をリンは誇らしげながら言うが、ルールを知ったカズヤにとっては無関心だ。

 

「霊体の私たちが最初にライドできるのは、グレード0のユニットだけだ。まず、グレード0のカード選んで、それを場に伏せる」

 

櫂の動きに倣って、アイチもグレード0のユニットを場に伏せる。

 

「このカードこそ、FV(ファーストヴァンガード)だ。このカードが開かれたら、他の誰でもない、自分自身となる。自らがヴァンガードとなって、契約した者たちを率いてファイトするんだ。デッキをシャッフルしたら、ここに置き、手札を5枚引きな」

 

互いにシャッフルし終え、デッキゾーンに置き、手札のカードを5枚引く。

 

「このタイミングで好きなだけ手札を交換できるが、必要か?」

 

「い、いえ・・・」

 

「これで準備完了・・・FV(ファーストヴァンガード)が開けば、ゲームスタートだ。いいな」

 

「は、はい!!」

 

互いに準備を終え、アイチの初めてのファイトが始まる。

 

「「スタンドアップ・(ザ・)ヴァンガード!!」」

 

ファイトが始まり、アイチと櫂の霊体は、FV(ファーストヴァンガード)のものへと、姿を変化していくのであった。

 

to be continued…




ソウジ「なあカズヤ、パラレルワールドって知ってっか?」

カズヤ「ああ?なんだ、藪から棒に」

ソウジ「こことは異なる世界ってもんが存在するらしいんだけどさ・・・お前はどう思う?俺はあってほしいと思う」

カズヤ「なんで?」

ソウジ「だってよぉ・・・もしかしたら、別の世界で俺と戸倉さんが・・・つ、つ、付き合ったり・・・みたいな・・・」

カズヤ「ほぉ・・・だったらお前と戸倉が犬猿の仲だっていう世界線あるってことか。へー」

ソウジ「前言撤回、やっぱパラレルワールドない方がいいわ」

イメージ3「ブラスター・ブレード」

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