東方花守録   作:島夢

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12話 そうだ、花坂村に行こう。

「そういえば、昨日久々に人里に行っただろ?」

 

「ええ、食料とか買いに行ったわね。あなたの能力使えば里にいく必要はないんだけど…」

 

「島夢の、能力…?」

 

「いや、今は俺の能力のことは置いといて」

 

 

 皆さん、おはようからおやすみの後まで、幽香のことを考えている。最近嬉しかったことは幽香の側にいられること、そんな男、島夢です。

 今は俺、幽香、妹紅の三人で朝食をとっています。

 メニューはみんな大好きわかめのお味噌汁、日本人の好物お米、そして焼き魚と和食です。個人的には和食もいいけど洋食派、朝ご飯は米よりパン派です。

 どちらも好きだけどな。

 

 好物は甘いものと紅茶です。どうでもいい?そうですね。

 

 

「里で面白い話を聴いたんだけどな」

 

「どんな話?」

 

「少し遠いけど、花坂村って知ってるか?」

 

「いや、私は知らない」

 

「知ってるわ、花っていう文字があったからなんとなく覚えただけだけどね」

 

 

 妹紅は知らないか…。

 幽香は知ってるんだな。花という文字があったから覚えただけって…。

 まぁ、いいか。

 

 

「そこでな、毎年、春になるときに、花咲爺さんって呼ばれてる爺さんが来て、桜の木を咲かせていくんだと。んで、それのことを花咲祭りって行って、祭りにしてるんだってさ」

 

「へぇ…桜の木を咲かせていく…ねぇ」

 

 

 幽香は目を鋭くさせる。

 目を鋭くさせても美しい…。ってそうじゃない。

 

 

「その祭りがもうすぐなんだ。どうする? 見に行ってみるか?」

 

 

 と言ってから、俺は「あぁ」と声を出してから一応言っておく。

 

 

「俺飛べないから徒歩か俺を持って行ってくれよ?」

 

「知ってるわ」

 

「島夢は飛べないのか…? いや、それが普通なんだけどな」

 

 

 多分、妹紅は花妖怪といつも一緒にいる俺が飛べないなんておかしいと思ってるんだろうなぁ…。

 まぁ、飛べないものは仕方がない。あんまり飛んでみたいとも思わない。

 

 

「で、どうする?行くのか?」

 

「そうね、行ってみましょうか」

 

 

 幽香は行くらしい、まぁ、桜の花を咲かせる。そりゃあ、興味はあるだろうな。

 だが、妹紅は少し困ったような顔をしている。

 

 

「妹紅? 行きたくないならいんだぞ。留守番してくれると俺らも安心だしな」

 

「あぁ、うん、じゃあ…。私は留守番するよ、私も一緒だと目立つしな…」

 

 

 うーむ、妹紅は自分の見た目のことで何か気になることがあるようだ。

 ここに来るまでに結構差別を受けたりしたんだろうか…?

 

 ここは無理やりにでも連れていくか?

 いや、それじゃ意味ないだろうし…。と、考えていると。

 

 

「妹紅、まぁ、貴女の好きにすればいいけど、目立つ目立たないの話ならこんな髪の色で赤い目をしている私も十分目立つわよ」

 

「幽香の髪の色は綺麗な若草色で目の色は雛罌粟(ひなげし)の色で俺は大好きだけどな」

 

「ありがとう、と言っておくわ。まぁ、話を戻すけど、妹紅、貴女が見たいか見たくないか、興味があるのか興味がないのかで私は聞いてるのよ」

 

「え? う、うーん…そりゃあ気になるけどさ…」

 

「じゃあ、行きましょう、他人の目や評価なんて気にしなければいいのよ。もし、誰かの目を気にするべきなら自分の大切な人からの目だけよ」

 

 

 幽香は立ち上がって、「ご馳走様、水やりしてくるわ」と言いながら立ち上がって、食器を台所に持って行った。

 うんうん、まったくもってその通りだと思うが、幽香、お前の好きな人って誰だよ…(困惑)

 妹紅は少し驚いた顔をして硬直している。

 

 俺が取りあえず、ご飯を食べ終わって、食器を持っていこうとしたら、台所から幽香が出てきて、外に行こうとする。

 

 その幽香に妹紅は声をかける。

 

 

「じゃあ!」

 

「なに?」

 

 

 突然大きな声を出すもんだから、少しびっくりした。

 幽香はその声を聞いてゆっくり妹紅の方を向く。

 

 

「じゃあ、幽香の大切な人って誰なんだよ」

 

「………」

 

「………」

 

 

 …。それは俺も気になるが…。

 そう思いながら食器を持っていくのを中断してそこに留まる。

 今度は幽香が硬直している。

 

 しばらく、固まったあと、スーハーと、深呼吸をしたあと、幽香は俺を見る。

 なんだろう?と思い思わず疑問符が浮かぶ。 

 

 

「?」

 

「島夢、今日は貴方が食器洗いでしょう? さっさと行きなさい」

 

「え? いやでもさ」

 

 

 答え気になるし…とは続けずに急いで台所へ行く。

 睨まれたぁ…怖い! でも美しい! かわいい! だが幽香にかかれば今の俺は簡単に死ぬ! 故に俺は逆らわない!

 正直まだ死にたくない!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――私の大切な人は―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さーて!行くぞー!」

 

「お、おー?」

 

「いやいや、妹紅、そこはもっと元気に行こうぜ」

 

 

 俺はやれやれ、と言わんばかりに首を振りながら妹紅を諭すように言う。

 俺は妹紅を見て、「はい、もう一度」と言い、一拍おいて…。

 

 

「さーて! 行くぞー!」

 

「お、おー!」

 

 

 赤くなりながら「おー!」ってやる妹紅は不覚にも少しかわいいと思った。

 

 

「何やってるの、速く行くわよ」

 

 

 幽香はそう言いながら歩き出してしまう、おいて行かれる!

 なんか怒ってる感じだな…。

 俺も妹紅も幽香を追いかけるように歩き出し少し早歩きをして追いつく。

 

 

「幽香、なんで怒ってるんだよ」

 

「別に怒ってなんかないわ」

 

 

 そういってスタスタ先に歩いて行ってしまう。

 

 

 あれから十五分たったが機嫌を直してくれない…。

 さて、どうしよう…?

 

 

「幽香、不機嫌だよな? なんでだ?」

 

 

 妹紅が頭の上に?を浮かべながら言う。

 すると、突然頭上から声がする。

 

 

「そりゃあ決まってるさね、嫉妬ってやつだろう? 幽香」

 

「!? 魅魔!」

 

 

 唐突な登場の魅魔、驚いたわ!

 幽香は魅魔が来てることは気付いてたみたいだが魅魔が言った言葉に驚いて怒ってるみたいだ。

 

 

「いやぁ~。かの大妖怪様も色恋沙汰には弱いのかねぇ~」

 

「ふっ!!」

 

 

 幽香の傘の先端にもう一つ太陽が出来たかのような光が集まり、魅魔に向かって直進する。

 

 

「え? ちょっまっ!?」

 

 

 魅魔は僅かな言葉を残して消し飛んだ。

 南無三! 魅魔様はしめやかに爆発四散、オタッシャー!

 

 

「うはぁ…規模が違いすぎて笑えるなー」

 

 

 一筋の閃光が空へ登って行った。

 魅魔は大丈夫だろうか? 霊だし大丈夫か…?

 妹紅が目を抑えている。

 うん、だよな、そういうレベルのまぶしさだったよな、咄嗟に目をそらしてよかった…。

 

 

「あたしゃここにいるよ。危ないじゃないかい…いくら霊だとはいえ、あの仕打ちはあんまりじゃないかい?」

 

「貴女がふざけたこと言うからよ」

 

「本当のことじゃないか…。まったく素直じゃないねぇ」

 

「もう一発くらう?」

 

 

 傘の先に光が集まっていく…!

 

 

「いや、やめておくさね!」

 

 

 慌てて俺の後ろに隠れる魅魔…。っておい!

 お前! よりによって俺の後ろかよ!? なんて危険なことしてくれる!

 さ、流石に幽香も撃たないよな? 撃たれたら死ねる! ほぼ確実に死ぬ…!

 

 

「いやぁぁぁあああああああああ!! 魅魔離れろ! 離せ! 離してくださいお願いします!」

 

「離れたらあれを撃たれるじゃないか!! 結構痛いんだよ!?」

 

「俺は痛いじゃすまねぇんだよ! 微塵も残さず消え去るんだよ俺は!」

 

 

 俺と魅魔がぎゃーぎゃーと言い合ってる間に幽香は「はぁ…」とため息をついたあと、収束していた光を霧散させ、元の道を歩き出す。

 と、取りあえず、生き残れた…?

 

 まぁ、いいか、生き残ったんだ。自分の命の重さをかみしめよう…。

 

 

「ふっふっふ、私の読み通り、惚れた弱みだねぇ、幽香」

 

「魅魔、これ以上ふざけたこというと塵にして花の肥料にするわよ?」

 

 

 幽香が若干激おこモードで魅魔をにらみつける。

 その会話を聞いていた妹紅が俺にしか聞き取れないような声でつぶやく。

 

 

「もう肉体がないから肥料にはならないかと思うんだが…」

 

 

 まぁ、確かに肥料にはならないよな。

 と、俺も同意している間に魅魔が更に煽ったのかまた一筋の閃光が空へと昇った、それと同時に魅魔も消し飛んだ。

 魅魔は自分が死んでるからって好き勝手するねぇ…。

 あの幽香が放った光が山とかにあたったらどうなるんだろ…穴が開くのかな?

 

 

「それにしても…私も少しは戦えると思っていたが幽香のあれを見ていると比べるのが馬鹿らしくなってくるな…」

 

 

 少し悔しそうにそんなことを言う妹紅。

 妹紅は力を手に入れてどうしたいのだろうか?

 まぁ、そんなことは俺には関係ないのだが…。

 

 

「妹紅は今何歳だ? 生まれてから何年くらいたった?」

 

「えーっと…二十数年だけど…」

 

「その見た目で!?」

 

 

 どう見ても十代前半だろう…。

 まぁ、いいや、一応不死って言うのは聞いてるし…。話を戻そう。

 

 

「妹紅はまだその程度しか生きてないんだ、幽香はもうすでに千年以上も生きてる。妖怪ってのは生きてる年月が長ければ長いほど力が大きくなるんだ。だからまぁ、気にすることはないってこと、いつか妹紅が幽香より強くなるかもしれないしな」

 

「そ、そうか…」

 

「人と妖怪ってのはそれだけでかなりポテンシャルに差が出来る、妹紅は不死といっても一応人間だ。幽香みたいに霊力とか使わずに馬鹿げた力は出ないだろ?」

 

「確かにそんな力出せないな…」

 

「妖怪と張り合おうなんざ、文字通り百年はやいってこった。それに幽香は妖怪の中でもトップクラス、最上級の位に位置する大妖怪だ。幽香と随分長い間一緒だけどやっぱ妖怪はすごいよ」

 

「長い間ってどれくらいだ?」

 

「ざっと千五百年以上かな」

 

「お前何者だよ…」

 

「人間だよ、物語を書き記すだけの人間だ。それに、今は書き記すと同時に記される側だから力も無い、寿命以外は普通の人間」

 

「意味わかんないぞ」

 

「それでいいんだよ」

 

 

 むしろわかられたら困る、こっち側の、メタ視点の話なんだから。

 妹紅は少し怪訝な顔をしたあと、「まぁ、別にいいや、今に始まったことじゃない」とつぶやく。

 

 前を見ると、少しムスッとした幽香がこっちを見ていた。

 なんか今日はずっと機嫌悪いな幽香。

 

 

「何やってるの、遅いわよ。ちゃんとついてきなさい」

 

「怒るなよ…まぁ、怒っててもいいけどさ」

 

「どういうことよ?」

 

「怒ってても幽香は可愛いからな!」

 

「ッ!? …馬鹿言ってないで、さっさと行くわよ!」

 

 

 幽香はぷいっと前を向いて歩き出した。

 なんか今日は幽香を怒らせてばかりだな…。

 

 

「いやぁ、ホント…惚れた弱みだねぇ…」

 

「あんたどこから出てきたんだ」

 

 

 妹紅とまたどこからか湧いて出た魅魔が会話していたが、俺の耳には入らなかった。

 そんな感じで、足の無い不思議な帽子を被った美女とアルビノ美少女と緑色の髪の傘を持った綺麗な女性と眼鏡をかけた黒髪黒目の冴えない男というなんともいえないパーティの俺たち一行は進んでいく。

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