真の勇者なら1人で魔王に勝てるよね   作:お茶に煎餅、お酒にチーズ

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一人称ってこんな感じでしたっけ?
なんか違和感が………しっくりこないというか
とはいえ、投稿日なので投稿します
もしかしたら後日、大幅に改稿するかもしれませんがその時は活動報告にその旨を記載しますのでよろしくお願いします

それでは、どうぞ





デルカダール神殿の攻防

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 隣を歩きながら周囲の警戒を怠らないレイブンを横目に見て、奇妙なことになったものだと改めて思う

 初めてデルカダール王国の牢獄で出会った時は本当に驚いた。仮にも〈勇者〉と呼ばれる人間が投獄されるということについてもだが、いつかの預言者の言う通りに俺がレイブンと出会ったこと自体に驚きを隠せなかった

 預言の通りなら〈勇者〉であるレイブンが〈悪魔の子〉として指名手配されている現状に疑念がなかったと言えば当然あった。例えば、此奴が〈勇者〉の名を騙ったともなれば投獄されるにしても不思議はない。まあ今ではそのような疑いはなくなっている

 

 

 

 レイブンは強かった。全容を把握したわけではないが、その戦闘力は俺では及びもつかないほどであることは間違いない。デルカダールの地下水路で遭遇してしまった恐るべき怪物、あの黒いドラゴンを1人で倒してしまったと言うのだから呆れる他ない

 戦闘力だけではなく精神的にも強靭であるのだろう。最初に出会った時こそ投獄されたことに動揺するような素振りを見せていたのだが、今はもう泰然とした様子を崩さない。粛々と現状を受け止めているかのようだ

 もちろん思うところはあるだろう。だが、それを表に出さずに自らの為すべきことを見据える様は俺にとって眩しく見えていた

 

 

 

「?……カミュ、どうかした?」

「ん……ああ、いや。なんでもない」

「それなら良いけど。いつ魔物に襲われるかわからないから警戒はしておいてね」

 

 

 

 考えごとをしながら歩いていたためか、レイブンに軽く注意されてしまった。念のためといった言い方であるのは、この辺りに生息する魔物ではレイブンの脅威にはならないからだ

 ナプガーナ密林を介したことで少し遠回りになったが、イシの大滝を抜けた先はもうデルカダール地方ではなくデルカコスタ地方になる

 魔物の種類はそう大きく変わらないが、先程襲ってきたメソコボルトはデルカダールには生息していない魔物である。群れでいることが多く連携もしてくるため、厄介な魔物という印象が強い。とはいえ、レイブンの大剣の1撃で纏めて両断されていたけどな

 

 

 

 そしてなにより、レイブンは凡ゆる面で強いだけでなく優しい心根の持ち主だ。まだ数日しか行動を共にしていないが俺でもわかる

 自分が指名手配を受けているという大変な状況にあるにも関わらず、困っている人を見掛ければ助けようと反射的に動いているように見えた。現状を理解していないわけではない。無茶真似をしているわけでもない。自分のできる範囲で誰かの力になりたいという想いの発露なのだと感じた

 

 

 

 強大な敵に立ち向かう勇気。誰かを救いたいという優しい想い。理不尽に晒されても折れない心。邪悪を退ける強い力。此れだけのものをレイブンは持っている

 その在り方は人を惹きつけるのだろう。俺もその内の1人だというのが未だに信じられない。でもわかることがある。俺がついて行きたいのは〈勇者〉ではなく、レイブンだからそうしたいと思ったのだ

 今は俺1人だが、そう遠くない内にレイブンの周りには多くの人々が集う気がする。その先でなにを為すのかはわからないけれど、まずは俺の目的を果たさせてもらうとしよう

 遠くに見えたデルカダール神殿の中の何処かにあるであろうレッドオーブ。かつて情けなくも藁にもすがる思いで求めたあの宝玉へと静かに想いを馳せた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暫くして、俺たちがデルカダール神殿に到着したのは陽が最も高い時間帯だった。今から潜入したとして警備の数にもよるが、夕刻前にはレッドオーブを手に入れることも難しくはないと判断した

 潜入する前の腹ごなしとして、神殿の手前にある木陰に隠れながら干し肉を噛みちぎる。隣ではレイブンも同じように腹を満たしていたはずだが、今はもう食べ終えてボーッと空を見上げている。優男といった見た目とは裏腹に随分と早食いだな。物足りなかったのか袋からレッドベリーを取り出して食べ始めた

 

 

 

 それにしてもレイブンは不思議な奴だ。こうして見ていると普通の少年にしか見えない。とてもではないが〈勇者〉なんて大層な存在には思えない

 しかし、戦闘ともなればガラリと豹変するのだ。キャンプで休んでいる時のボンヤリした姿が幻だったのではないかと思うほどに勇躍する。剣を薙ぎ払い魔法を放ってと縦横無尽に動き回り魔物を殲滅してみせる。それでいて此方への支援も忘れない。味方であればなんとも頼りになる存在だ

 俺にはどちらが本当のレイブンなのかわからない。まあどちらでも良いのかもしれない。何処か抜けたところのある奴だが、その辺りは俺が補えば良いだろう

 

 

 

「……よし!待たせたなレイブン。陽が落ちるまで時間もそんなにないからな。早速デルカダール神殿に潜入と行こうぜ!」

「うん。なにがいるかわからない。警備もいると思うし、油断しないで慎重にね」

 

 

 

 レイブンを促すと、即座に意識を切り替えたのか先程までの茫洋とした様子は掻き消えた。実に頼りになる様相で装備を確認している。どうやら神殿内では片手剣の二刀流で戦うつもりのようだ

 俺は変わらず〈聖なるナイフ〉の二刀流で臨む。現時点では此れが最も強い装備になる。レイブンは簡単に作っていたが、店売りではこうはならないだろう

 装備を整えた俺たちは警備の兵に悟られないように慎重に神殿へと近づいていく。そうすると徐々に違和感を覚えるようになった。隠れながら移動していたが、此れまで警備兵の姿を見掛けていない。国宝であるレッドオーブを守る以上は警備を置かないはずがないのだが

 

 

 

 違和感はあるが、今の俺たちにとって好都合ではある。警戒を維持したまま矢鱈と長い階段を上れば、もう神殿へと潜入することになる

 背後、左右を確認してもやはり警備の姿は見られない。明らかにおかしい。普段のデルカダール神殿の様子は知らないが、流石にこれは異常事態と言って良いだろう

 それだけではない。神殿の入り口に近づくにつれて鉄臭い匂いが鼻をついていた。レイブンと顔を見合わせる。間違いない。血の匂いだ……!!

 

 

 

「カミュ……!」

「わかってる!中に入るぞ……!」

 

 

 

 本来ならいるはずの警備兵がいない。人の気配がせず、神殿の中からは血なまぐさい匂いが漂ってくる。嫌な予感を振り払うように俺たちは神殿内に飛び込むような勢いで侵入する

 入ってすぐに異常は見て取れた。神殿の入り口から正面に向かって篝火に照らされた通路。石畳の通路には予想通りにデルカダール神殿の警備を担当しているであろう見覚えのある鎧を装備した兵士たちがいる。しかし、その全てが力なく倒れ伏していた

 

 

 

「おいおい。どういうことだ、これは…………。兵士が倒れている………。一体誰がこんなことを……………」

「…………身体が冷たくなってきてる。亡くなってからそんなに時間は経っていないみたいだけど…………。蘇生するにしても手遅れか……………」

 

 

 

 急いで駆け寄って声を掛けたが返事はない。既に生き絶えているようだった

 触れると身体は冷たくなってきていた。レイブンの言葉通りなら死亡後から時間は経っていないようだが、恐らくは酷い出血により気絶した後に失血死したのだろう

 蘇生呪文が使えるという意味の呟きに驚く傍、誰がなんの目的でデルカダール神殿を襲撃したのか考えを巡らせる。思い当たる節がないわけではない。俺と同じ目的である可能性が高いだろう

 

 

 

 色々と疑問は残るが、推測であっても競合相手がいるかもしれないならば先を急がなければならない

 入り口とは反対側の奥、行き止まりであるはずの彫像の背後の辺りから風が入り込んできている。近づいてみれば隠し階段と思われるものがあった。神殿の奥深くに繋がっているようだ

 経験上この手の宝探しでは人が寄り付かない場所に宝を隠すことが多いため、そういう場所を探すのが良い。つまり、この先にオーブがある可能性は高いが、それは同時に兵士たちを襲った何者かが既に侵入していることにも繋がる

 

 

 

「急ぐぞ、レイブン!」

「わかった!でも、魔物の気配がする!気をつけて先に進もう!」

 

 

 

 レイブンを促して階段を降りる。階段を降りたすぐ先で再び倒れ伏した兵士を発見するが、やはり既に事切れているようだ

 交戦した跡が残っている。入り口の近くで亡くなっていた兵士は見るも無残な有様だったが、この兵士の身体に残された傷は武器によるものではなさそうだった。鋭く鋭利なもので胴体を切り裂かれており、3本の傷跡が生々しく刻まれていた

 傷跡の形状から察するに刃物の類ではない。断面は歪であり、無理やり切り裂いたことがわかる。彼らを襲った犯人は魔物の仕業である可能性が高い

 

 

 

 階段の先は1本道の通路になっていた。これでは魔物も遭遇した際に避けるのは困難だろう

 いつでも戦闘に移れるようにしながらも、可能な限り急ぐために小走りで移動する。何処か澱んだ空気は魔物が潜んでいることを示唆していた。レイブンを先頭にして進んでいく

 何度かの角を曲がったところで新たに兵士を見つけるが手遅れだ。しかし、石畳の床に血文字でなにかが書かれている。先に兵士へと駆け寄っていたレイブンが読み上げた

 

 

 

「祭壇の間へ急げ………オーブが……あぶな……………」

 

 

 

 死の間際に残る力を振り絞ったのだろう。警備の交代として訪れる兵士たちに宛てたメッセージだ

 そして、俺の予感は間違っていなかったと確信する。此処を襲った何者か、恐らく魔物だと思われるが、それらの狙いは俺と同じくレッドオーブだったのだ

 焦りが胸に募る。強くレイブンを促そうと振り向いて、力強い瞳と交錯した。俺には見えないなにかを見据えているのか。凪いだ水面のように揺るがない瞳を暫し覗き込んでいると、気がつけば胸中を覆い尽くそうとしていた焦りはなくなっていた

 

 

 

 俺が平静を取り戻したことを察知したのか、珍しいことにレイブンは満足げに微笑んでみせた。どうにも気恥ずかしいが、無言で頷いて答える

 あのまま焦りに任せて先に進んでいれば、きっと道中で何度も魔物と交戦することになり、結果的に神殿の最奥まで到着する時間が遅れていたことだろう。焦ったところで事態は好転しない。むしろ悪循環しか生まない

 それになんだか、レイブンの瞳を見つめている身体の底から力が湧いてくるような感覚がある。不思議な感覚だが、不愉快ではないどころか心地良い。気の所為か身体が軽く感じられる。この分なら普段以上に戦闘で活躍することも難しくない。打って変わり高揚する気持ちを胸に抱えたまま、神殿の奥を目指し足を進めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ッ!」

「これで……終わりだ!」

 

 

 

 今戦っていたのはインプ、メタッピー、ホイミスライムの3種類の魔物からなる混成部隊だった。10体以上にも及ぶ群れだったことで倒しきるまでに時間が掛かってしまった

 インプは個体としての強さは大したものではないが小賢しく厄介だ。メタッピーは動きが素早く攻撃の威力も高い。全身が金属質のため防御にも秀でており、此処で遭遇した魔物の中でも最も手強い相手だろう。ホイミスライムは名称の通りに《ホイミ》を使う厄介な相手だったが、レイブンが真っ先に仕留めに行くお陰で優位に戦闘を進められたのだと思う

 

 

 

 だが、此処までは非常に順調に進むことができていた。魔物との遭遇戦にしてもレイブンが早い内に数を減らすことで余裕を持って戦えていたし、なによりも神殿内の構造を知り尽くしているかのように道を間違えることなく先導してくれている

 デルカダール神殿に訪れるのは初めてだと言うが、それにしては迷う素振りもなく正しい道を選ぶ。レイブンはただの勘だと嘯いているが、なにか話し辛い理由でもあるのだろうか

 俺にとっては早く先に進めるのであれば否やはない。レイブンの先導に従っていると、地下1階に行くための階段を発見した。もちろん地下へと向かう

 

 

 

 地下で襲ってくる魔物にはあまり変わりはない。上の階にはいたスモークがいなくなって、代わりに神殿の外で見た絡繰エッグが増えた程度で問題はない

 急ぐため襲ってくる魔物だけを相手にして、文字通りに薙ぎ払っていく。当然だが俺にはそんな真似はできないのでレイブンが恐るべき勢いで蹴散らす。俺の目ではまともに見えないような速度で動いている

 そうして魔物と戦っているとは思えない速さで進み続けていると、なにやら大きな扉が見えた。アレが祭壇の間という場所だろうか

 

 

 

「ッ!」

 

 

 

 この先に兵士たちを殺した魔物がいる。レッドオーブも此処にあると思われる

 レイブンと顔を見合わせて頷きあう。覚悟はできている。意を決して扉を勢い良く開け放ち、大部屋の中へと飛び込んだ

 

 

 

 まず初めに目に入ったのは部屋の中央奥に設えられた祭壇だった。篝火に照らされた祭壇だけが薄暗い部屋の中でハッキリと浮かび上がっている

 そして、祭壇を囲むような形で2体の魔物の姿があった。いや、魔物たちが囲んでいるのは祭壇ではなく、祭壇の中央の台座に置かれた見覚えのある宝玉だ。レッドオーブ、やはり此処にあったか!

 魔物が俺たちの気配に気づいていない。なにやら話しているようだが、その話は俺にとって看過できない内容だった

 

 

 

「ケケケ。こいつは楽な仕事だぜ。このオーブを彼の方に渡すだけで褒美は思いの儘って話だからな」

「おい!なんの話をしてるんだ!?そのオーブは俺が戴くぜ!」

 

 

 

 我慢ならなくて割り込んでしまった。それで漸く魔物は俺たちに気がつく。此方を向いた魔物たちだが、明らかに此方を見下している

 青紫色の体色。背中に生えた1対の翼。頑丈そうな嘴に鋭い鉤爪。額の目も含めて3つの目が俺たちを煩わしそうに睨んでいる。その目に宿る感情は侮蔑。デルカダール神殿を守っていた警備兵たちのように脅威にはならないと考えているのだろうか

 あの魔物は知っている。イビルビーストだ。この辺りには生息していないはずだが

 

 

 

「ケケケ。なんだ、お前ら?まあいい。此処に来た不運を呪うんだな!」

 

 

 

 イビルビーストの内の1体がそう言うと翼を羽ばたかせて飛び上がり、此方に向かって襲い掛かってきた!イビルビーストが狙ったのは……俺か!

 俺を切り裂かんと振り下ろされた鉤爪は、素早く間に割って入ったレイブンによっていとも容易く弾かれた。それだけでは終わらない。鉤爪を弾いた剣とは反対の手に握る剣で反撃する。攻撃を弾かれて体勢を崩していたイビルビーストに避ける術はない

 空を飛んでいたお陰か、イビルビーストは辛うじて致命傷には至らなかったようだが、その胴体には深々と剣傷が刻まれていた。よし、此奴はレイブンに任せよう

 

 

 

 もう1体のイビルビーストも祭壇から飛び上がり、此方に向かって飛び掛かってきた。其奴はレイブンを狙っていたようだ

 しかし、レイブンは同時に襲い掛かってくるイビルビーストを相手に1度も攻撃を喰らわずに全て両手に握る剣で弾き返していた。反撃で鋭い蹴撃を喰らわせるのも忘れない

 

 

 

 俺も黙って見ているだけじゃなく、片方のイビルビーストに斬り掛かる。魔物はレイブンに意識を集中させていたことで、俺の攻撃には気づいていない

 そんな隙を見逃すはずもなく、渾身の1撃は狙い違わず喉元を切り裂いた。俺の攻撃で怯んだイビルビーストはレイブンの回し蹴りで吹き飛ばされる。空中に退避することもできずに地面を転がっていく魔物を追撃する。反撃の機会は与えない!

 

 

 

「おのれッ!人如きがよくもッ!──地の楔よ、我が敵を縛り給え──《ボミオス》!!」

 

 

 

 だが、追撃に放った短剣は飛び上がったイビルビーストによって躱された。それどころか、呪文による反撃まで許してしまった

 身体が急に重くなる。まるで体重が倍になってしまったかのようで、明らかに動きが遅くなったことが自分でもわかった。此れでは先程までのように戦闘を優位に進めるのは難しいかもしれない

 そう思ってレイブンに目をやるが、動き辛そうにしてはいるがなんの問題もなく戦っていた。今も敵の攻撃を捌いて反撃、それで1体目は倒し終わったようだ

 

 

 

「ケケケ!──風よ、渦巻け──《バギ》!!」

 

 

 

 2体目のイビルビーストは空中に退避したままで次の呪文を放ってきた。今度は攻撃呪文か……!

 魔力によって構成された3つの旋風が、俺とレイブン目掛けて迫ってくる。動きが遅くなった状態では避けられそうにない。せめてもの抵抗として、顔の前で腕を交差して防ぐことしかできない

 風の刃が身体を切り裂いていく。耐える。耐える。耐える。数秒ほど痛みに耐え忍んでいれば、次第に風の勢いが弱くなっていく

 

 

 

「──光よ、迸れ──《ギラ》!!」

 

 

 

 旋風がなくなって視界が開ける瞬間、背後から呪文が聞こえた。一条に延びた熱線が空を焼いた。イビルビーストの片翼を熱線が貫いて地に墜とす

 振り向けばレイブンが虚空に手をかざしていた。不思議なことにその身体に傷はない。どうやってイビルビーストの呪文を防いだのかはわからないが、空を飛んでいた敵が落ちた今が好機であることはわかる

 本当なら自分で仕留められるのに、また俺にトドメを譲ってくれるつもりらしい。悔しい気持ちはあるが、今はまだ俺が未熟であるのは仕方がないことだ。だから此れは借りにしておく。そんな想いは言葉に出さず、突き出した短剣はイビルビーストの目を貫いた

 

 

 

「ちっ、手古摺らせやがって。しかし、なんだって魔物がオーブを狙ってやがるんだあ?」

 

 

 

 戦闘はそれで収束した。2体のイビルビーストは消滅して、広間には静寂が戻った

 レイブンに傷を癒してもらいながら思わず悪態をついてしまうが、実際のところ疑問点は他にもある。お宝を魔物が求めることだけでなく、なぜデルカダール神殿に納められていることを知っていたのか。わからないことだらけだ

 それにしても強敵だったことは間違いない。少なくとも俺にとっては。レイブンがいなければ擦り傷では済まなかっただろう

 

 

 

「まあいいか。やっと手に入った。長かったぜ………。諦め掛けていたレッドオーブが今はこうして俺の手の中にある。レイブン。俺は確信したぜ。お前と一緒にいればいつか俺の願いは果たされるとな……………。おっと、願いはなにかって質問はなしだぜ。此れは俺の問題だからな」

 

 

 

 高揚するままにレイブンへと話し掛ける。照れ隠しも混じっているが、言っていることは紛れもなく本音だ

 その実力はもちろん、一握りの奇跡を手繰り寄せる此奴と一緒にいれば、きっと………そう思わせてくれるなにかがある。俺にはわからない不思議な力の持ち主であることも大樹の根っこの一件でわかっている

 レイブンならもしかしたら彼奴を助けられるかもしれない。そう思うが、やはりそれは最後の手段だ。凡ゆる手を尽くしても駄目だった時まで、自分のできる限りの力と手段を試さなければ俺の気が済まない。自分の手で果たさなければ贖罪にはならないだろう

 

 

 

「さて、やることも全部終わったし、お前の爺さんが言ってた東にあるっていう旅立ちの祠に向かうか」

 

 

 

 追求される前に話を切り上げる。次に向かうのは旅立ちの祠だ。なにがあるのかはわからないが、レイブンにとって悪いことではないだろう

 戦闘では頼りになるし、世界中を旅していた影響か知識も多い。それにしては普段はボンヤリとしていて正直目を離すのが怖い。率直に言って放って置けない奴だ。近くで見ておかないと心配になる

 この短い間でよくもまあ、情が湧いたものだと思う。それもまた俺らしいとも思うがな。なんにせよ、俺の目的のためにも此奴の旅には暫くついていくことになるだろう。なんとなく長い付き合いになりそうだと、そう思ったのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







これにて壱章の7話目を終了します
読んで頂いた皆様ありがとうございます!

今回の話はカミュの視点で進めていきましたが、前書きにも書いた通り自分ではあまり納得のいく文章ではありませんでした
投稿する際に読み返して、違和感は大きくなりましたが修正するにも言葉が思いつかなくて断念………悔しいっ!。・゜・(ノД`)・゜・。
毎度文章が安定しなくて本当に申し訳ないですm(_ _)m
いつか理想通りの文が書けるようになるのでしょうか…………少なくとも今はイメージができないですね
これ以上はただの愚痴になってしまうのでやめておきます

ちなみに、主人公が敵の攻撃を防ぎまくっているのは〈直感〉のお陰です
この程度の敵であれば〈魔力放出〉に頼らずとも容易くパリィできると思いこのような展開にしました
バギを喰らって無傷だったのは〈対魔力〉の効果によるものです
基本呪文であれば完全に無効化が可能になります
ボミオスをレジストできなかったのは主人公の中にいる転生者さんが油断していた所為ですね
〈対魔力〉についての詳細は下記に記載しているので、ご興味のある方はご確認頂ければと思います


では、次の投稿は2週間後の水曜日、5月29日になります
色々と至らない作者ですが、今後とも応援よろしくお願いします
今回もお読み頂きありがとうございました!





ーー転生チート詳細ーー


・対魔力(C)
魔法に対する抵抗力。一定ランクまでの魔法は無効化し、それ以上のランクのものは効果を削減する。レイブン自身の意思で弱め、有益な魔法を受けることも可能。なお、魔力によって強化された武器や魔法的な現象を伴う技による物理的な攻撃は効果の対象外。本来ならクラススキルだが、転生チートなので細かいことは気にしない。Cランクでは各系統の基本呪文を無効化する。加えて基本呪文の上級に当たる魔法を大幅に減衰するが、その上級に位置する最上級呪文、更に系統別に存在する究極呪文などには微々たる効果しかない



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