真の勇者なら1人で魔王に勝てるよね   作:お茶に煎餅、お酒にチーズ

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今回は予定通り番外編になります!
ちょうど今の時期はハロウィンなので、試しに一話丸々番外編で書いてみました!
いつもは3つの短編を纏めるような形で書いてる為、今回は初の試みでぐだぐだになってしまっていないか不安です………。

それに、なんだかんだと、今までで最も文字数が多くなっています。
とはいえ、13000文字くらいなので誤差の範囲かもしれませんが………やはり番外編を偶に書くと楽しくて筆が乗ってしまいますね!

では、前書きはこの辺りで………。
息抜きのつもりで、肩の力を抜いてご覧ください!


*今回の話では多少のネタバレ要素があります。
この番外編は本編に直接関わる話ではないので、ネタバレは嫌だという方は読み飛ばしていただいても問題はないのでご安心ください。





幕間
Trick and Treat!?


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんなでハロウィンパーティーをしよう」

 

 

 

 世界を救った〈勇者〉とその仲間たちが、久し振りに現在進行形で復興作業を行なっているユグノア王国に一堂に会していた時のこと。

 それぞれ思い思いに活動している所為で、およそ半年振りに再会することになった彼らは旧交を温めていたのだが──────突然、レイブンがそんなことを言い始めた。

 

 

 

「ハロウィンパーティー、ですか?」

「なによそれ? ハロウィン………うーん、聞いたことないわね。それって、何を祝うパーティーなの?」

 

 

 

 レイブンを左右から挟むようにして座っていた、其々に赤と緑がトレードマークの姉妹…………ベロニカとセーニャが揃って首を傾げる。

 双子というだけあって、容姿と背丈、仕草までよく似ていた。得意な魔法も性格も、結構違うけれど。

 

 

 

「えーと……ハロウィンっていうのは、一般的には仮装パーティーとして秋頃の伝統的なイベントという認識が強かったかな。幽霊・魔物・魔女・吸血鬼………そういった怪物に変装してパーティーをするんだ」

 

 

 

 かなり簡潔に説明された姉妹は「ほえー」と得心したような、していないような微妙な返事をした。

 今の説明だけだとわかりにくいか、とレイブンが話を続けようとすると、そんな3人の目の前にクルクルと社交ダンスを踊るように回りながら闖入してきた人物がいた。

 

 

 

「ちょおーっと、お待ちなさい! 貴方たち、随分と面白そうな話をしてるじゃないのぉ! みんなでパーティーだなんて、レイブンちゃん………貴方ってば最高ね! ベロニカちゃん、セーニャちゃん、私も話に混ざってもいいかしら?」

「シルビアさん! ……うん、勿論いいわよ!」

「ええ! まだレイブン様から説明を聞いている段階ですが、皆様と一緒にやるのですから全く問題ありませんわ」

 

 

 

 そう言って、嵐のように割り込んできたのは「世界一の旅芸人」と実しやかに言われているシルビア。夢が叶うのは、もう直ぐ未来のことかもしれない。

 彼(?)は、本日も身体に染み込んだ陽気な笑顔と大仰な振る舞いで、クルクルと楽しげに回っている。

 

 

 

 シルビアからのお願いを、ベロニカとセーニャは快諾した。レイブンとしても断る理由は皆無なので、1つ返事で歓迎した。

 そして、途切れてしまった説明を、最初の部分も含めて懇切丁寧に語った。

 

 

 

「へぇ、仮装パーティーですって……? なにそれ面白そう! とっても素敵だわぁ……!」

「悪霊を祓う、ですか? ……そういうことでしたら、私もお役に立てると思いますわ!」

「ハロウィン……みんなで収穫して、みんなで料理して、みんなで仮装して…………うぅっ、考えるだけで楽しそうじゃない!」

 

 

 

 シルビア、セーニャ、ベロニカと三者三様に、けれど一様にワクワクとした顔を隠さずにハロウィンパーティーの話で盛り上がる。

 そうしていれば当然のように他の仲間たちも「なんだなんだなんだ」と集まってくると瞬く間に話が広まっていき、発案者のレイブンと企画担当(暫定)のシルビアを中心として、最終的にロトゼタシア全土を巻き込む一大イベントの計画が練られるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 レイブン率いる元勇者一行は、久方振りの再会による高揚とお酒を飲んだ上に日々の疲労からナチャラルハイテンションに至った。

 そのまま深夜に渡って落ち着くどころか、更に深夜テンションまで合算された結果、彼らはたった一晩のうちにハロウィンパーティーの企画を完成させて、翌日から直ぐに実行に移し始めた。

 

 

 

「ふむ……この辺りが良さそうじゃな」

「そうだね。元々この近辺は農地にするつもりだったから」

 

 

 

 結局一睡もせずに夜を明かしたことで、無駄にアゲアゲ(死語)になっている面子の中では比較的に落ち着いたままのレイブンとロウが明るい顔で確認し合う。

 現在は見渡す限り瓦礫の山である所為でそうは見えないが、此処を全て開墾すれば広大な農地ができるだろう。

 

 

 

 数年前から復興作業をしているが、ユグノア王国の規模を鑑みれば一朝一夕という訳にはいかない。

 特にこの辺りには瓦礫が積もっていたので、人手の問題もあって後回しにされていた。昨日のレイブンからの発案により、それらを一挙に解決することが可能になるのだ。

 

 

 

「セーニャ、マルティナ……やってくれ」

「はい! お任せください……!」

「ふふっ、さあ……纏めて吹き飛ばすわよ!」

 

 

 

 レイブンの号令の下、セーニャとマルティナが前に歩み出る。意気揚々と、やる気満々の2人は瓦礫の山に向かって仁王立ちで相対する。

 そして、威風堂々……かつての最終決戦の時を彷彿とさせる面持ちで気迫一発、全力の技をぶちかました。

 

 

 

「──猛々しき風の帝王よ。遍く全てを吹き飛ばす暴風となれ────《バギムーチョ》!!」

「蝶のように舞う────《ピンクサイクロン》!!」

 

 

 

 セーニャの薄いピンクの可愛らしい唇から厳かな詠唱が木霊して、直後に天を衝くような規格外の大きさの竜巻が発生した。さらりと《バギ》系統の最終呪文を使っている。

 対して、マルティナは瓦礫の山の中腹付近まで瞬時に移動すると、自らの内包する魅力を爆発させるかのようにしてピンク色の旋風を纏って舞い踊る。巻き起こった旋風の規模は《バギムーチョ》にも引けを取らない。

 

 

 

 その結果────見渡す限り瓦礫の山という有様だったのが嘘のように、その全ての瓦礫は微かな破片すら残さず遥か天空まで巻き上げられていた。

 セーニャとマルティナの仕事はこれで終わり。徐々に重力に引かれて落下してくる瓦礫の対処はレイブンとベロニカの仕事だ。

 

 

 

「むんっ、はぁあぁあああ──ッ! 《ギガブレイク》──ッッ!!!」

「ええいっ! ────《ギラグレイド》ッ!!」

 

 

 

 レイブンの気迫一閃────雷光を纏った剣戟は、遥か天空から降ってくる瓦礫の大小問わず諸共に呑み込んで塵も残さず消し飛ばした。

 続けて、ベロニカが詠唱を省略して《ギラ》系統の最終呪文をぶっ放すと、莫大な熱量を持った光線が天高く伸び上がって薙ぎ払われる。そして、レイブンの撃ち漏らした瓦礫を一網打尽に焼き尽くした。

 

 

 

 此処まで、僅か30秒以内の出来事である。あっという間に瓦礫の山が片付いて、綺麗な地面が姿を現していた。

 ちなみに、離れた場所で復興作業に勤しんでいたデルカダール兵(ボランティア)が唖然とした表情で見ている。一種の躁状態に突入したレイブンたちは、まるで意に介さず暴走を続ける。

 

 

 

「さて、次は俺たちの出番だな」

「そうだな。微力を尽くすとしよう」

 

 

 

 レイブンからの支持を待たず、待ちきれないとばかりにカミュとグレイグが農地(予定)へと立ち向かう。

 片や拳や首をコキコキと鳴らしながら不敵に笑みを浮かべ、片や生真面目な表情で無駄に真剣な様子で背負った両手剣を握り締める。普段は体面を取り繕っている(つもりの)2人が、何時になく高揚としている。

 

 

 

「ご機嫌だぜ……♪」

 

 

 

 早速というか、カミュは2つの《分身》を生み出して、通常の3倍の効率で土地を耕していく。勿論両手に鍬を持った二刀流スタイルであるのは、敢えて言うまでもなく明らかだ。

 元盗賊という職業柄なのか、身軽で器用な彼は驚くほど手際よく開墾する。泥にまみれながらも気にせず、実に楽しそうに作業に取り組んでいた。

 

 

 

「ぬぅおあああッ!! 《魔神斬り》ィィ──ッ!!!」

 

 

 

 雄叫びと共に魔力を爆発的に活性化させて、防御を捨てた大上段の構えで気迫一発、会心の一撃を農地(予定)に叩き込む。

 すると、「英雄」グレイグ面目躍如というか、彼のワザマエによって衝撃は湖面に波紋が広がるように波及していき、その一撃は無用に地面を抉ることなく捲れ上がるようにして耕してみせた。

 

 

 

 カミュとグレイグの尽力のお陰で瞬く間に地面は柔らかく耕されたので、みんなで思い思いに種を蒔いたり球根を植えていく。

 この種と球根は、今朝早くにレイブンの《ルーラ》を利用して世界各地に飛び回って買ってきたものである。………ぶっちゃけ《ルーラ》が便利すぎて扱いが難しいところ(困惑)

 

 

 

 

 -閑話休題(作者の愚痴は置いておいて)

 

 

 

 

「ほっほっほ……後は儂の仕事じゃな」

 

 

 

 そして、みんなでの種蒔きが終われば、残すはロウによる仕上げのみ。

 完全に畑の様相を呈している、元は瓦礫に埋もれていた区画の中心に立って、ロウは1人祈るように胸の前で手を組んで俯いた。

 

 

 

「コォオオ、かの大地に祝福を与え給え────《癒しの雨》よ」

 

 

 

 ロウが空を仰ぐようにして両手を大きく広げると、彼の魔力を含んだ雨が天より降り注ぐ。不思議なことに、雨雲の姿は見て取れない。

 魔力を含んだ雨は大気の魔力と混じり合い、畑に降っては大地の魔力とも反発することなく溶け合っていき、ついさっき蒔かれたばかりの種に充分な魔力と栄養を与える。

 

 

 

 後は、このユグノア王国で復興作業の監督をしているロウが雨天の日を除いて、毎日《癒しの雨》を降らせてあげるだけで完了だ。

 とはいえ、他の者たちにも仕事は山積みである。ハロウィンパーティーの予定日は今年の秋であるからして、時間に余裕がある時にはユグノア王国で復興作業を手伝うことが決定している。

 

 

 

 斯くして────レイブン率いる元勇者一行による一大イベントは、こうして幕を開けた。

 

 

 

 余談だが、最初の種蒔きに参加できなかったシルビアというと、今朝方にレイブンの《ルーラ》でサマディー王国まで送られた。

 どうやら、今夜のサーカスショーにゲストとして参加するとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからの半年間は怒涛の勢いで過ぎていった。

 残念ながら、レイブンたち全員が一堂に会するような機会には恵まれなかったが、彼らは其々に忙しくしながらも暇を見てはユグノア王国に集まっていた。

 

 

 

 レイブンは復興作業の最前線で瓦礫を文字通りに粉砕しながら、雇った作業員たちの陣頭指揮を執っていた。

 敢えて派手な技や呪文を使うことで一種のパフォーマンスにすることで作業員たちのモチベーションの管理をしたりと、多岐にわたって貢献した。

 

 

 

 カミュは得意の《分身》を駆使して、縦横無尽に駆け回っていた。

 時には、瓦礫を運びやすい大きさに斬り刻み。時には、小さくなった瓦礫を撤去して。時には、新居を組み立てる為の建材などを運搬したり…………困った時のカミュとでも言うように、八面六臂の大活躍をした。

 

 

 

 ベロニカは専ら瓦礫の粉砕が主な仕事だった。

 常人を遥かに超える魔力量と多彩な攻撃呪文により、手当たり次第に粉砕爆砕していく。爆発音が聞こえたら、基本的に其処にはベロニカがいる。

 また、定期的に作業員たちに《バイキルト》の呪文を掛けて作業の効率化も図っていた。

 

 

 

 セーニャは直接的な復興作業に従事するのではなく、回復支援を主に縁の下の力持ちとして活躍した。

《ベホマ》で完全回復、《ピオラ》で効率化、《スカラ》で怪我予防………と裏方に従事していた。清楚な美少女から親身になって看病をされて、一時的に作業ペースが低下したこともあったが、それはご愛嬌というものだろう。

 

 

 

 シルビアは主に仮装パーティーで使う衣装作りの指揮、または劇団員たちとサーカスショーなどを披露するというサービスを行っていた。

 王国の再建というのは、当然だが形だけ元に戻っても意味はない。新たに移住してきた民の息抜きの為、シルビアは各地にいる知り合いに声を掛けて共にショーを行い、影からユグノア王国の復興を後押ししていたのだ。

 

 

 

 マルティナは移住してきた民への采配など、次期デルカダール王国の女王として政治的な手腕を奮った。

 かつての旅で得た人脈のお陰で、様々な王や女王のような立場の人々から薫陶を受けることで慣れないながら見事な采配をしていた。

 但し、時折ストレス発散とばかりに現場に繰り出して、強烈な蹴りで崩れ掛けている城壁とかを木っ端微塵にしてたりするが、暗黙の了解として見なかったことにされている。

 

 

 

 ロウは元ユグノア国王として復興作業全体の総合的な指揮を執っており、加えて今回の企画の要となる農地の管理をしていた。

 一見すると負担が大きいように見えるが、実質的に采配しているのはマルティナだし、農地の管理といっても朝に一度だけ《癒しの雨》を降らすだけで管理する者は別に雇っている。お年寄りなので仕事量は少なめだ。

 

 

 

 グレイグは力仕事全般と警備隊の人員確保、及び統括と訓練に携わっている。

 彼の場合、デルカダール王国の将軍という立場なので、他の仲間たちより都合がつけ難い部分はある。それでもレイブンの《ルーラ》という究極の時間短縮手段を利用して、復興を手伝ってくれていた。

 

 

 

 その他にも、イシの村からはエマとペルラと他数名が移住してきて衣装作りに参加したのを発端として。

 デルカダール王国からは仕事の隙間時間を縫ってデルカダール王がお忍びで訪れては嬉々として瓦礫を撤去、付き添いのホメロスは補助としてマルティナの采配を手助けすることになったり。

 

 

 

 グロッタからは屈強な武闘家たちが押し寄せては力仕事を手伝い、プチャラオ村からは神出鬼没のオネエ集団が現れては辻パレードをしていき、ソルティコからは騎士見習いが訪れて合同訓練をする。

 ナギムナー村に《ルーラ》を駆使して新鮮な魚介類を仕入れて振舞い、ダーハルーネの屈強な海の男たちと酒を手に語らったりと様々だ。

 

 

 

 元勇者一行が主催するイベントということで、文字通りに世界中から関心を集めていたのだ。

 主催者のレイブンたちは勿論のこと、彼らからハロウィンパーティーの概要を聞いた全ての人々が、その日を心待ちにしていた。

 

 

 

 長いスパンで確実な復興を期待されていたユグノア王国にしても、イベント会場が瓦礫の山では盛り上がりに欠けると多くの助っ人の尽力により急ピッチで復興が成されていく。

 レイブン発案の技や呪文を利用するという一風変わった畑の育成方法にも関心が集まっており、成功すれば再建されたユグノア王国の特産品にもなり得るかもしれないと、今のうちから期待されているようだった。

 

 

 

 そのように目紛しくも、誰にとっても充実した日々は水が川から流れ落ちるようにあっという間に過ぎていき…………。

 気がつけば、かねてより予定していたパーティーの日を迎えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日────ユグノア王国には世界中から多くの人々が集まってきていた。

 将来的に城を建設する予定の、現在は空き地となっている場所で騒ぐ者、簡易的な造りの天幕で寛ぎながら歓談する者、座禅を組んで精神集中をしている者、と様々な反応を見せていた。

 

 

 

 共通しているのは、彼ら全員がこれから開催される祭りを心より楽しみにしていることだ。

 なにしろ、今回のハロウィンパーティーとやらを主催するのは数年前に世界を救った勇者一行だと言うのだから、否応もなく期待は高まってしまう。

 

 

 

 この場に集まっている人々が、大なり小なりワクワクと浮かれる心を其々に違う方法で抑えて、その瞬間を心待ちにする。

 そして、予定していた開催時間になって────パンッと、何処からか降り注いだ白い光が空き地の一角にあった舞台の上を照らした。

 

 

 

 すると、其処にはお馴染みのサーカス衣装に身を包んだシルビアが両手を広げるポーズを決めて立っていた。

 目を閉じて静謐な表情を湛えていたシルビアは、しかし………この場にいる人々の視線が集まったことを理解した瞬間、ニカッ! と素敵な笑みを満面に浮かべて声を張り上げた。

 

 

 

「レディースアンドジェントルメェェン──ッ!! さあさあ、お集まりの皆様、大変長らくお待たせ致しました。只今より、私たち勇者一行の主催するイベント────〈Trick and Treat! 〜狂乱の仮装パーティー〜〉を開催するわ!」

 

 

 

 その宣言に、一気に場のボルテージは上がる。

 わぁっ! と大人も子供もなく、今日という日を心待ちにしていた人々が歓声をあげたり、甲高い指笛の音が彼方此方から鳴り響く。

 そんな大盛り上がりの観衆にも一切動じることなく、シルビアは莞爾と笑って優雅に礼を決める。

 

 

 

「司会は僭越ながら、この私、シルビアが担当させてもらうわ! それじゃあ、早速だけど………事前に配布した手元の資料を見て頂戴!」

 

 

 

「はーい!」と子供たちの元気な返事が聞こえると、律儀にシルビアは「んもーう! ありがとー、いい子ちゃんたち!」とウィンクを返す。

 そうしている間にも、集まった人々が素直に資料を開いたのを確認して司会を再開した。

 

 

 

「みんな、資料は見てくれたかしら? 見ての通り、本日のパーティーは2本立てになっているわ。……まず、私の挨拶が終わってから15分以内に貴方たち全員に仮装してもらうわ! 衣装に関しては、可愛い服から格好いい服、面白い服までなんでも取り揃えているから安心して。勿論、自前で衣装を持ってきてくれている人は、それを着てもらって構わないわよ!」

 

 

 

 おおっ! と、どよめく会場にシルビアがババっと手を広げた瞬間、舞台の背後がスポットライトで照らされて様々な衣装が現れると大きな歓声が上がった。

 それを見て、ハロウィンパーティーの趣旨の1つでもある仮装はどんなものしようかと、方々で話し合う声が聞こえる。

 

 

 

 その様子を衣装作りに携わったシルビアは嬉しそうに笑って眺めていたが、まだまだ説明はあるので指を鳴らして再び自分に注目を集めた。

 次第に喧騒が落ち着いてきた頃合いを見て、イベントの説明を続ける。

 

 

 

「衣装に着替えてもらったら、次は大人と子供に分かれてもらうことになるわ。配役としては、大人は魔物役で子供は村人役になるかしらね。………ふふっ、察しのいい人はもう気がついたみたいだけど、ズバリ! 貴方たちには“鬼ごっこ”をしてもらうわ!」

 

 

 

 “鬼ごっこ”と聞いて、反応は幾つかに分かれた。

 大人は童心に帰ったように楽しそうな者、失望を隠さずため息を吐く者、不安そうにキョロキョロと周りの反応を確認する者など、千差万別だった。

 対して、子供は大多数が喜び勇んで、一部の“オマセちゃん”は不満そうなポーズを見せている。

 

 

 

 この場にいるのは大人の方が多いので、大人ばかりで“鬼ごっこ”をするということには、少なくない困惑があった。

 だが、こういう反応は織り込み済みである。観衆の中に紛れ込んでいる変装したイベントスタッフが「どんな鬼ごっこなんだ!?」と、無駄に大きな声で騒げばシルビアが即座に対応する。

 

 

 

「モッチロン、普通の“鬼ごっこ”じゃないわ! ハロウィン用にアレンジした、特殊ルールを採用している特別バージョンよ! 資料にも書いてあるから、それを見ながら説明を聞いて頂戴! ………さて、用意はいいかしら? ルールは簡単! まず、貴方たちには3つずつ飴ちゃんを配るわ。あっ! もし“鬼ごっこ”が始まる前に食べちゃったら、イベントに参加できなくなっちゃうから気をつけるのよ! この配られた飴ちゃんが、イベントの参加権になるわ──────」

 

 

 

 朗々と説明するとシルビアだが、殊の外長いので纏めると、ルールは以下の通りになる。

 

 

 

 ・イベント参加者には3つの飴が配られる(*食べると不参加)

 ・イベント中に飴が3つ全部なくなってしまった時点で、その者はイベントの参加資格を失ってしまう。

 ・大人は飴とは別に、お菓子(クッキー)を1つ配布される(*食べると不参加)

 ・大人組は魔物役として子供を捕まえる。子供は大人に捕まると、襲われた証として飴を1つ奪われてしまう。しかし、大人は捕まえる際に正面から子供に顔を見られてはならない。発見された場合は、子供から反撃される(*奪った飴は資料と共に配られた袋に仕舞わなければならない)

 ・子供組は逃げるも良し隠れるも良し。更に、大人に襲われる前に「みーつけた!」と宣言することで反撃することができる。大人は発見されると子供から「Trick or Treat」と言われて、お菓子を渡すか悪戯されるかの選択を強いられる。お菓子を渡せば解放されるが、既に渡して持っていない場合には、強制的に悪戯されたとして飴を1つ奪われる(*奪った飴は資料と共に配られた袋に仕舞わなければならない。また、お菓子はその場で食べなければならない)

 ・イベント会場はユグノア王国の城壁内部のみで、外に出た場合は如何なる理由でも失格になる。

 ・制限時間は、イベント開始から1時間。終了後に飴を仕舞う袋に入っている飴の数によってポイントを集計、獲得したポイントに従って豪華賞品が贈呈される。飴1つで、10ポイント換算。最初に配布されていた飴は20ポイント、大人限定でお菓子は50ポイント(例:お菓子の詰め合わせ(小)→5ポイント、金一封(小)→20ポイント)

 

 

 

 ────というような説明を受けて観衆のボルテージは上がりまくっており、既に最高潮に近くまで出来上がっている。

 気の早い者もいて、資料に記載されている豪華賞品の一覧を確認して「オレ、20ポイント集めたら気になるあの子に金のロザリオをプレゼントするんだ……!」と妙なフラグを立てていたりと騒がしい。

 

 

 

 この段になると、最早このイベントに困惑している者は1人もいなかった。誰も彼もが資料に載っている、文字通りの意味で豪華な賞品たちに目をギラつかせていた。

 ちなみに、武器や防具、アクセサリーの類を製作したのは我らが〈勇者〉レイブンである。〈不思議な鍛冶台〉で鍛った代物なので、今までに数々の装備を手掛けたレイブンの腕もあって、全ての賞品が通常よりもとても良い出来になっている。

 

 

 

「────更に更にっ! 制限時間が残り15分になったら、私たち勇者一行も参戦するわよぉ〜! みんな、頑張って逃げてね! でも、もし私たちを捕まえられたら、超豪華な特典をプレゼントしちゃうわ! 限定8人までだから、早い者勝ちよ! 加えて、私たちの持っていた飴ちゃんも全部その人のものになるわ! 但し、注意して欲しいのは、私たちに捕まると飴ちゃんを2つ奪われちゃうの。つまり、ハイリスク・ハイリターンってことね!」

 

 

 

 おぉっ! と更に歓声が湧き上がると、いつの間にか舞台の上にレイブンを筆頭に彼の仲間たちが勢揃いで並んでいた。錚々たる顔ぶれに、どよめきが強くなる。

 超豪華な特典については、資料の方にも敢えて載せていないので、観衆はどんな物がもらえるのかと期待は高まるばかりである。

 

 

 

「あら? もうみんな“鬼ごっこ”が楽しみで我慢できないみたいね……? じゃあ、最後の連絡事項を伝えたら、私からの挨拶は終了とさせてもらうわ。………さっきも言ったと思うけど、私たちの主催するイベントは2本立てよ。1つは知っての通り“鬼ごっこ”ね。もう1つは、“鬼ごっこが終わった後に30分の休憩時間を置いてから、仮装ダンスパーティーを予定しているわ! 私たちが1から育てて収穫した作物を調理した、とっても美味しい料理やお菓子をたくさん用意しているからダンスが苦手な人や子供も楽しめると思うわ」

 

 

 

 それを聞いて喜んだのは、老人を中心とした運動能力の低い面々だ。1時間という制限時間が設けられているとはいえ、若者と体力勝負というのは難しい。

 だが、ダンスパーティーなら自分のペースで踊るも良し食べるも良し、ということだ。

 

 

 

 また勇者一行が育てた作物にも関心は向いている。

 ハロウィンの趣旨は収穫祭だとこの場にいる者たちは知っており、農業に造詣の深い者にとっては特に注目していた部分だ。

 技や呪文を利用した、風変わりな方法によって出来た作物はどうなるのか気になるのだろう。

 

 

 

「さあ、お待ちかねの時間よ! まずは説明した通り、これから15分の間に衣装を選んで仮装してもらうわ! みんな! 私たちの主催するお祭り……盛大に楽しんで行って頂戴っ!」

 

 

 

 その宣言に、会場は何度目かの歓声で沸いて、老若男女を問わず、彼らは凄まじい勢いで衣装に群がっていく。

 こうして、騒がしくも楽しいハロウィンパーティーは幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ベロニカの《イオグランデ》を合図代わりとして、“鬼ごっこ”のイベントは開始した。

 仮装した参加者は、着替えた後の15分の間に隠れた場所や確保した待機場所から一斉に行動を始める。

 

 

 

「みーつけた!」

「げえっ!? もう見つかっちまった…!」

「えへへ……。えーとね、それじゃあ……Trick or Treat!」

「ク…クソっ、Treatだ! 持ってけコンチクチョー!」

「やったー! わーい、はむはむ。んーっ、美味しーい! オジサンまたねー」

「もう2度と来んなーっ!」

 

 

 

「よっしゃー! 捕まえたーっ!」

「きゃあああっ!?」

「さあ、お嬢ちゃん! 私に飴ちゃんを渡しなさい!」

「うー、お姉さん何処から………はーい。飴ちゃんどうぞー」

「ふふふ……やったわ。これで3個目。あと1個集めれば、シルビア様ご謹製の美容セットがこの手にっ!」

「こ、このお姉さんコワイ……」

 

 

 

「ふっ……クールな俺様は無駄な労働はしない主義だ。あくせく動き回るのは趣味じゃねぇ。このベストポジションに隠れながら、油断した奴らから飴ちゃんを根刮ぎ巻き上げてやるぜ! ふはは、俺様ってば、サイッコーにクールだぜ……!!」

「あーっ! みーつけた! パパってば、こんなところに隠れてたんだー」

「な、なにーっ!? マ、マイエンジェル……どうしてパパが此処にいるってわかったのかな?」

「えー? だって、パパの声、お外にいても聞こえたよ?」

「なん……だと……?」

「そんなことより……Trick or Treat! パパはぁ〜、悪戯されたい? それともぉ〜、お菓子をくれる?」

「は、ははは……。ごめんよ、マイエンジェル。パパは此処までだ。最後の飴ちゃんあげるから、もう許して…………ガクッ」

「わはーい! パパの飴ちゃん全部もらっちゃったー。よーし、まだまだ頑張るよー!」

 

 

 

 そんな感じで大盛り上がりの城下を、城壁の上で待機しているレイブンたちは嬉しそうに眺めていた。

 “大人も子供も関係なく楽しめる”ということをコンセプトにみんなで考えたので、こうして上手く行っているのを見れば嬉しくて当然だろう。

 

 

 

 イベント参加者の内約は、大人352人と子供275人の合計627人で行われている。不参加が114人と考えれば、まさしく大盛況といって過言ではないはずだ。

 そして、既にイベントを開始してから45分が経過しているが、今の時点で失格判定を受けた者は最初の空き地に集められており、見た感じでは未だに参加者の半数にも満たない数しかいなかった。

 

 

 

「ふむ……当初の予想通りになったな」

「そうねぇ……。みんな欲しい賞品分のポイントを集めたら、サッサと隠れちゃってるわ」

「まあ、それは別に構わないでしょ? 隠れるのも作戦のうちよ。なにより、この状況を見越して、あたしたちが途中から参加するんだからさ」

 

 

 

 そう。現状は予想して然るべきことだった。敢えてこうなるように誘導した節もある。

 だが、それではツマラナイ。折角のお祭りなのだから、途中からは隠れていただけで終わりなんて勿体ない。焚きつける役割を、レイブンたちが担うのだ。

 

 

 

「へっ、腕がなるぜ………」

「ふふっ……私も久し振りに羽目を外そうかしら? 《デビルモード》で片っ端から捕まえてやるわ」

「ほっほ……。老骨にはちと堪えるが、儂に出来る範囲で頑張らせてもらおうかの」

「はい! 私も精一杯頑張ります!」

 

 

 

 イベント開始から現在までしっかりと身体を温めていたので、レイブンを筆頭に準備は万端だった。

 日々のストレスもあってか、一部はやりすぎに気をつけないといけなさそうなくらいだ。この〈勇者〉とその仲間たち、ノリノリである。

 

 

 

「よし。みんな、時間だよ────行こうか!」

 

 

 

 レイブンは号令をかけると共に、予備として作ってあった「勇者の剣・改」を掲げるようにして刀身から眩く光り輝く雷光を天空に放つ。

 夕焼け色に染まった空は黄色の閃光に貫かれて、遅れて響いた轟音を合図として、当該イベントのラスボスである勇者一行が城壁の上から次々と飛び降りていき、最後の盛り上げ役として参戦した。

 

 

 

 大方の予想通り、勇者一行の中でも大活躍したのはカミュとマルティナの2人だった。

 カミュは持ち前の身軽さと《分身》を駆使して、あっという間に戦果を積み上げていき、同じくマルティナは軽快な動きで城下を縦横無尽に駆け回り、デルカダールの兵士を狙って捕まえていた。

 

 

 

「あっ! カミュ様、みーつけたー!」

「おっと……残念だったな、チビ。この俺は分身だぜ!」

「えーっ!? そんなぁ〜!」

 

 

 

「むぅ…この辺りで王女殿下の目撃情報を聞いたのだが………一体何処におられるのか」

「あら、貴方はデルカダールの兵士ね? ダメじゃないの、隙だらけよ」

「なっ……王女殿下っ!?」

「ええ、そうよ。もっと広く視野を持ちなさい。……デルカダールに戻ったら、厳しく鍛え直すようにグレイグに言ったほうがいいしらね?」

「ひ、ひぃ! それだけはご勘弁を……お、お慈悲を、殿下ぁーっ!?」

 

 

 

 他のメンバーも着実に仕事をこなしていく。〈勇者〉とその仲間たちの面目躍如である。

 但し、元来の性格として隠密に向いておらず、無駄に体格の大きいグレイグは割と初期の段階で捕まっていたことを補足しておく。

 

 

 

「へへへ……灯台下暗しだべ。絶っ対に最後まで隠れ切って」

「………確保(ポン)」

「な、なんとぉー!? なしてこげなところに勇者様ぁーっ!?」

 

 

 

「……あれ? なんで、あんなところに火の玉が………?」

「はーい、残念! 余所見しちゃダメじゃない」

「べ、ベロニカ様!? あっ、火の玉ってそういう……」

 

 

 

「ふふっ……みーつけた、です」

「うわわ!? あれ、セーニャちゃんだ! その衣装、可愛いね!」

「ありがとうございます! これはスライムナイト……の相棒のスラエールさんの仮装なんですよ。私の友達なんです!」

 

 

 

「はぁあーい……私は此処よーっ!」

「こ、この声は、シルビアさん!? しかし、一体何処に………」

「ハァッ! ……と、まだまだね、貴方たち! 飴ちゃんは頂いていくわぁ〜! オーホッホッホー!」

 

 

 

「────うほっほーい!」

「ひゃあああ!? って、ロウ様っ! ど、何処から出てきてるんですか! セクハラされたってお孫さんに言いつけますよ!?」

「なーんのことかの? 近頃は耳が遠くて、いやはや困ったのぉ……!」

 

 

 

「あの、グレイグ将軍……げ、元気出してください!」

「………………………ああ。すまない。気を遣わせたな。俺のことは気にせず、祭りを楽しんでくれ」

「しょ、将軍………なんとお労しい……」

 

 

 

 ………と、このように城下は一気に活気が戻った。隠れ続けるにしても、先程までとは緊張感が違う。

 しかし、ずっと無双している訳にもいかない。今日の主役は彼らではなく、一般の参加者たちなのだ。タイミングを見て、順々に捕まっていく。

 

 

 

 そして、残り3分になった頃にはレイブンを除いた全員が捕まっていたのだが、此処で想定外の事態が起きていた。

 なんと、最後の1分で捕まる予定のはずのレイブンが何処にも見当たらないのだ。彼の意外と負けず嫌いな性格を知る仲間たちは「もしや…」と冷や汗を一筋垂らす。

 

 

 

 此処に至っては形振り構っていられないと判断したシルビアにより、失格になった者も含めて全員で捕物を行うと宣言して一斉に探し始める。

 内情を知らない多くの人々は最後の最後で盛り上がる展開にワクワクとしていたが、勇者一行(レイブン除く)は全力の捜索だ。城壁の内部を個々の能力と人海戦術で虱潰しに洗っていく。

 

 

 

「……あっ、みんな待って! ほら彼処、あんなところに銅像なんて立ってたっけ!?」

 

 

 

 刻々と過ぎていく時間に、徐々に焦りが募ってくる頃合い………残り30秒を切ったところで、そんなベロニカの声が響き渡った。

 同時に、空に向けて《ベギラゴン》を放って仲間たちに信号を送ると、5秒も掛からずに全員が集まった。

 

 

 

「ふうむ………そうかっ、なるほど! でかしたぞ、ベロニカよ! 彼奴め、まさか《アストロン》で銅像に化けるとは、余程に負けたくなかったと見える!」

「もうっ、レイブンちゃんったら! でも、ネタがバレたらお終いね! みんな、万が一にも逃げられないように囲んじゃいなさい!」

 

 

 

 ロウの分析により確信を得たシルビアが現場………最初にイベント開始を告げた舞台の中央奥にひっそりと佇む銅像を包囲するよう全員に号令をかける。

 総勢741人が半円状に取り囲んでジリジリと間合いを詰めていき、残り時間が10秒になった瞬間────レイブンの銅像と思われた代物が光に包まれて、本物のレイブンが姿を現した! 

 

 

 

「………エッ、ナニコレコワイ」

「観念しなさい! レイブンちゃん! 1人だけ最後まで隠れ切ろうなんて、そんな真似は許さないわよ!」

「「許さない(です)わよ!」」

 

 

 

 呪文が解けた途端に、視界を覆い尽くすような数の人々に囲まれていて、流石のレイブンも素でビビる。片言になるくらい。

 だが、当初の予定を無視して本気で逃げのびようとしたレイブンに慈悲はない。シルビアとベロニカとセーニャにズビシ! と指を突きつけられて更に怯む。

 

 

 

 そして、彼女たちの真似をするように、レイブンを囲んでいた全員が彼に指を突きつける。

 勇者といえど、数の暴力は普通にコワイ。反射的に後退りしようとしたが、残念ながら後ろには壁しかない。万事休すである。

 

 

 

「さあ、みんな! ────やってお仕舞い!」

「ヤ、ヤメロォーッ!?」

 

 

 

 シルビアの号令で、その場にいた全員がレイブンに向かって飛び掛かってくる。

 余りの恐怖にビビりまくって棒読みで悲鳴を上げているレイブンを除いて、誰も彼もが笑顔でその言葉を叫んでいた。

 

 

 

「「「「「「「Trick and Treat……っ!!!」」」」」」」

 

 

 

 この後、レイブンはみんなに滅茶苦茶に悪戯されて、30分後のダンスパーティーでは用意した料理とお菓子の全てを食べ尽くされるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 余談だが、勇者一行を捕まえるともらえる特典というのは、彼らが世界を救う時に実際に振るっていた装備一式と全く同じものがプレゼントされた。

 製作者がレイブンなのは言うに及ばず、素材に関しては主にレイブン・カミュ・マヤの3人と、時折ベロニカとセーニャがついていき、極稀にストレス発散も兼ねてマルティナが同行して集めたという、大真面目に伝説級の超豪華特典だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







番外編、Trick and Treat!はこれにて終了です。
本編とは関わりのない話を、最後までご覧いただきありがとうございました。


今回の話は色々と手探りでした。
ハロウィンに関してネットで調べたり、1つの話だけで番外編を埋めるのも初めてだったし、核心に迫るネタバレはしないように気をつけながら書くのはなかなか骨が折れました。
まあ、原作をプレイ済みの方には普通にわかってしまうかもしれませんが。
それでもシリアス展開というか、真面目なシナリオの多い本編とは違う、コメディな調子の番外編は書いていてやはり楽しかったです。

さて、本文で記載しなかった事柄について補足したいと思います。
具体的には、レイブンたちの仮装した格好、また彼らが捕まるまでの時間や経緯、成果などを順に書いていきます。
予想していた衣装と違ってションボリするかもしれないので、ご自分で脳内補完できる方はこれ以降は読まない方がいいかもしれません。


・レイブン……仮装:ヨッチ族。セーニャたっての要望。「最高です!」とのこと。ちなみに、着ぐるみではない。14分53秒に確保。全員に囲まれてTrick and Treatされた。捕獲人数、28人。
・カミュ……仮装:ヴァンパイア。レイブンたっての要望。「似合いそうだから」とのこと。8分32秒に確保。徒党を組んだ子供組に捕まった。捕獲人数、49人。
・ベロニカ……仮装:ジャック・オー・ランタン。本人からの要望。「可愛いじゃない」とのこと。4分11秒に確保。泣き真似をした子供に騙された。捕獲人数、10人。
・セーニャ……仮装:スラエール。本人からの要望。「友達のスラエールさんです!」とのこと。2分48秒に確保。スラエールについて夢中になって語っているところを発見された。捕獲人数、4人。
・シルビア……仮装:腐った死体。本人からの要望。「動き辛かったわぁ〜」とのこと。11分59秒に確保。泣き真似をした子供に騙された。捕獲人数、31人。
・マルティナ……仮装:物語のお姫様。本人…レイブンたっての要望。「儚い夢だったわ」とのこと。7分40秒に確保。鏡に映る自分に見とれているうちに捕まった。捕獲人数、45人。
・ロウ……仮装:ハッスルじじい。本人からの要望。「似合うじゃろ?」とのこと。10分24秒に確保。ビビアンちゃんにセクハラして反射的に顎を蹴り抜かれた。捕獲人数、34人。
・グレイグ……仮装:サイクロプス。マルティナからの要望。「ふふっ…♪」とのこと。12秒で確保。目立ちすぎ。捕獲人数、1人。


………という感じです。
カミュとベロニカとセーニャとマルティナ以外の衣装は、割と即興で考えました。
本文を読んでいる時は、皆様はどんなイメージで読んでいましたか?
物臭な性格の作者で申し訳ありません……m(._.)m

次の投稿は2週間後の水曜日、11月12日になります。
まあ、要するにいつも通りの投稿間隔ですね!
とはいえ、本編を楽しみにしてくださっている方には申し訳ありませんが、次もまた番外編の予定です。
今回とは違って、今までと同じように3つの短編を纏めた話になります。
もしかしたら途中で気が変わって本編を書くかもしれませんが、その辺りはまだ未定です。

それでは、また2週間後にお会いしましょう!
最後の最後までご覧いただき、本当にありがとうございました!



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