雁夜おじさんのバオー来訪者 Fake編   作:蜜柑ブタ

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ペイルライダーが……?っという話。

最後の方、桜雁で、触手プレイ(?)を匂わせるかも。


SS2 視線

 

 

 演説をして満足したように消防車から降りて、パトカーに連行されて運ばれ行った騎士のサーヴァント……。

 騎士のサーヴァントの演説に圧倒され、ぼう然としている市民と消防隊と、テレビの向こうの視聴者達とは裏腹に、今すぐに、ガクーンと膝を折りたい男が一人と、そんな男を心配している左右にいる女二人。

 

「なあ…、ツツジ。」

「うん…。」

「俺達って、呪われてんのかなぁ?」

「それ言ったら、桜ちゃんも含まれるよ?」

「私…、雁夜さんと同じ呪いなら共有していい。」

「こら、そういうこと言うんじゃないぞ!」

「けど、まさかサーヴァントが警察に捕まるなんて……。なんかすごいレアなシーン見ちゃった感じ。」

「さっきの演説といい、アイツのマスターは、何を考えてんだか…。」

「そもそも、マスターっているのかな?」

「いるだろ? じゃないと、サーヴァントは現界していられないんだから。」

「ってことは、この近くのどこかにいるってことだよね?」

「あっ。」

 そのことに気づいた三人は、シーンッとなった。

 三人は、ザザッと集まり円になる。

「どうする?」

「ここで不自然に逃げたら、かえって怪しまれるぞ?」

「じゃあ、野次馬に乗じて一緒にこっそり退散する?」

「そもそも向こうが私達を知ってるって可能性もあるんじゃない? 第五次でも派手に動いちゃったし…。」

「教会が、絡んでるなら、顔を知られてる可能性が…。」

「メチャクチャに暴れちゃったもんね。私達。魔術協会からだって、きっとブラックリストには載ってるよ。」

「それに私達は、マキリに連なる者だもの…。」

 三人は、うーんっと悩んだ。

 すると。

 ぐうううぅぅっと、腹の虫が鳴った。

「お腹すいたね。いったんホテルに帰って、ご飯食べようよ。」

「おまえは、マイペースだなぁ。ツツジ…。」

「ウフフ。」

 さっきまでの緊迫した空気はどこへやらで、三人はおかしそうに笑いながら野次馬をかき分けて、ホテルに帰ったのだった。腹が減っては戦が出来ぬだから、である。

 

 そんな三人を、空に浮いた、ペイルライダーが、スーッと追いかけ、そして三人がホテルに入ると消えた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 ホテルに帰ったはいいが、ルームサービスがない安ホテルだったため、外に食べに行かざるおえなかった。

「もうちっと奮発すりゃよかったな…。」

「仕方ないよ。捜索したらすぐ離れる予定だったんだし。」

 ホテル近くの小さなレストランで、パスタやフライドチキン、サラダなどを注文して食べながらそんな会話をした。

「雁夜さん、ほっぺたについてるわ。」

「ん? どっち?」

「こっちよ。」

 そう言いつつ、微笑みながら、雁夜の隣に座る桜が甲斐甲斐しくナプキンで雁夜の右頬についたミートソースを拭き取った。

 ……これが家だったら、過激なときだと桜は、口で、舌で舐めて取ったりして雁夜を困らせるのだが、さすがに外だし、異国だしで、公共の場では少し自重はしてくれているらしい。

 日本で、買い物後にやった抽選会で食事券が当ったときに、雁夜と桜が行った高級レストランで桜が席を外している間に、ウェイトレスと雁夜が、ここのお料理美味しいですね、ありがとうございます程度の軽い話をちょっとしていただけで、桜が鉄仮面のように無表情になり、二人の間に割って入って雁夜を抱きしめて、食事用のナイフの切っ先をウェイトレスに突きつけて、この人は私の夫っとブツブツとウェイトレスに向かって呪いのように喋った、その事件は、桜が日本で結婚できる年齢になった時期のことだった。それ以来、外食はしていなかったし、したとしても必ずツツジが同行するようにした。

 桜は、雁夜が自分以外の異性と関わるのを良しとしない。だがツツジだけは例外だった。なぜなら、ツツジと雁夜の間には、恋愛感情など一切無い。それだけは、しっかりと脳細胞に記憶しているらしく、抽選会レストラン事件(雁夜談)での暴走は一切無い。それでも暴走しかけると、ツツジがそこはかとなく、雁夜に迷惑がかかることを桜に言い聞かせ、少しずつ矯正したおかげだろうか……?

 まあとにかく、愛情故に目立つ行動をしなくなったのは、良いことである。(ただし家では裸エプロンしたりと、例外)

 

 あとは…、雁夜が桜を受け入れれば…。っと思うツツジであった。

 

 ツツジが、食後のコーヒーを一口飲んだ直後だった。

「!?」

「どうした?」

 コーヒーを吹き出しかけたツツジが、こっそりと、机に置いてる手で自分達の横にあるレストランの窓の外を指差す。

 雁夜は、首をコキコキとさせるフリをして、指差された窓の外の先を見た。

 そこには、雁夜の斜め後ろの方の窓ガラスに、つい最近見た、黒い影のようなモノが立っていたのだ。背が高いため、まるでこちらをのぞき見しているように。

 視線だけ周りに向けると、誰も気づいていないらしい。コレが、ハッキリと見えているのは、自分達だけらしい。

『どうする?』

 ツツジは、バオー特有の波長から出せる特殊な念話で、雁夜に話しかけた。

『無視だ、無視。コイツは、……関わったらマズい!』

「雁夜さん…。」

 雁夜の隣に座る桜が怯えたように小声で雁夜を呼び、テーブルの下で、雁夜の手を握ってきた。

 桜の怯えに同調した、桜の影が、ザワリッと揺れた。

 すると、外にいた黒い影がフッと消えた。

「……消えたね。」

「ああ…。」

「……こわかったよぉ。」

「桜ちゃん…。」

 雁夜の腕に桜がしがみついてきた。

 さきほどの桜の影の揺れは、彼女の生まれ持った体質である、架空元素・虚数属性によるものだ。

 主に負の感情によって動き、魔術を会得し始めると共に、それ以外の感情や自分の意思で扱えるようになった実体のある影のような特殊な魔術でもある。

 ここに間桐の吸収の魔術と合せることで、対象を飲み込み、分解吸収できるようにもなったりと、一見貧弱そうに見えて、凶悪な威力も持ち合わせていた。

「だいじょうぶ。だいじょうぶだ。アイツは、別に俺達に敵意はないらしいから。」

「……私を見てた。」

「えっ?」

 桜をなだめる雁夜だったが、桜の言葉に驚いて、ツツジと顔を見合わせた。

 確かに位置的に、桜を見ているような位置ではあったが、アレに顔が無いため分からなかった。しかし、桜にはアレが自分を見ていたと感じていたらしい。

「気のせいだよ。気にしちゃダメだ。」

「……うん。」

 雁夜がそう言い聞かせると、桜は、ようやく雁夜から離れた。

 まさか、狙いは桜か?っという疑念が浮かび上がる。

 一時、魔術協会から桜に協会に来ないかと誘いがあったが、遠坂を継いだ桜の姉の凜により、その件は有耶無耶になった。もし誘われるまま行っていたら、桜はホルマリン漬けにされていただろう。それほどに桜は希少な魔術師の体質の持ち主だったのだ。

 ならば、あの黒い影のような存在は、それを知っている魔術師が送り込んだ刺客だったのだろうか?

 そういうことならば……。

「雁夜さん?」

 急に黙り込んでしまった雁夜に、桜が不思議そうに名前を呼んだ。

「そろそろホテルに帰ろうか? ね、雁夜。」

「ん? …ああ。」

 そこにツツジが声をかけ、ハッとした雁夜が返事をした。

 三人は代金を払い、ホテルに帰った。

『……追いかけてきてるか?』

『やっぱり、こっち見てる…かも…。』

 二人の間でしかできない念話で、後ろの方、離れた位置に突っ立ている影の存在を、ツツジが匂いで感じ取った。

『顔も何もないから、桜ちゃんを見てるのかどうかも、さっぱりだよ。』

 ツツジがお手上げだと肩をすくめた。

 もし、アレに感情とかそういうものがあれば、匂いでその心情などを少しは感じ取れるのだが、それすら一切無いのだ。

 ただそこにいるだけ……。不気味以外の何者でもない。

 一応、こちらが気づいていることを悟られぬよう気をつけながらホテルに入り、部屋に入って鍵を閉めた。

 ツツジが窓の外を見おろした。

『…いるか?』

『……やっぱ、この部屋を見上げてる…ように見える。』

 ツツジとの間で念話をしながら、雁夜は、ベットに座り、腕組みをした。

 その直後、彼の背後から、しゅるり…っと帯のような薄い影が忍び寄り、雁夜の体を絡め取った。

「うわっ! さ、桜ちゃん!?」

「無視しないで…。」

 洗面台のある戸の方を見ると、桜がプウッと頬を膨らませて、足元から帯状の無数の影を発生させていた。

「ご、ごめん…。なに?」

 無数の影の帯に巻き付かれて、宙づりにされた雁夜が、慌ててそう聞いた。

「シャワー、先に浴びる? それとも…一緒にって、聞いたの。」

「さ、先にどうぞ。」

「イヤ。」

「こら、もう大人なんだから、一人で入れるだろ?」

「雁夜さん…、私とじゃイヤ?」

 小首を傾げ、祈るように手を組んで上目遣いをしてくる桜。

 雁夜は、うぅっと呻き……。

「分かった…。今日だけだからな?」

「ほんと? わーい!」

「それより…降ろしてくれないか?」

「ダメ。このまま運んで、服も全部脱がして…洗ってあ・げ・る。」

「えっ? ちょ、桜ちゃ…!!」

 そして雁夜は、影に捕まったまま、桜と共にシャワールームの方へ吸い込まれていった。

 安ホテルだけに、壁が薄いため、シャワールームの方から、雁夜の悲鳴が聞こえるが、ツツジは、助けに行かない。

「いい加減、慣れればいいのに。」

 断らずいれば、影による触手プレイ(?)などなかったのに…っと、ツツジは、思う。けど、これは毎度のことだ。

 そして、ツツジは、雁夜の悲鳴とシャワー音をBGMに、窓の外を眺めるフリをして、ホテルの下の方にいる、影のような存在…ペイルライダーの様子を伺っていた。

 

 

 




ツツジは、桜雁の間を、止めもしないし、介入する気もありません。
桜の影は、黒桜の時のアレとほぼ同じです。ただ負の感情だけで暴走させるのではなく、負の感情抜きに自分の意思で自由に操れます。
……シャワールームに引っ張り込まれた雁夜がどんな目に遭っているかは、ご想像にお任せします。

ペイルライダーがなぜ雁夜達のところへ現れ、桜を見ている(?)のかは、追加した、設定の方に書きました。
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