チェイテ城は不滅なのよ!   作:麦わらぼうし

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ふとした疑問、今年の復刻のハロウィンで去年と違うメカエリチャンを選んだら、チェイテ城にはメカエリチャンが居なくなってしまうのでは?


チェイテ城は不滅なのよ!

 チェイテ城、それはハロウィンが開催されるたびに予想外の方向へ発展する特異点の基点。かつては歌を聞かされるだけで、聴覚にしか被害を及ぼさなかったお祭りだったが、年を重ねるごとに、物理的に様々な物がチェイテ城に重なり視覚にすら衝撃を与えるほどに進化(?)した美しい城(半壊)である。

 

 今では、その見た目から『チェイテピラミッド姫路城』などと呼ばれている。その城の主、エリザベート・バートリーは次のハロウィンの開催について頭を悩ませていた。頭痛持ちだが、領主として領民たちに楽しんでもらう為に試行錯誤の毎日だ。

 

「と言う訳で、何か画期的な案は無いかしら?」

 

 これまで何度かハロウィンを開催してきたが、親戚(ヴラド三世)に怒られ、ファラオにダメ出しをされて、果てには鮮血魔嬢ことチェイテの守護神にエリザ粒子に分解されそうにまでなる始末。

 

 故にハロウィンの準備を始めるにして、何か要望がないか聞いているのだ。聞き方は、とてもそのような意味には聞こえないが。

 

「そうですわね。でしたら、ぜひ当社の商品をお買い求めください。今なら特別サービスとして、ハロウィンようにカスタマイズなども受け持ちましょう」

「………ネコメイド(タマキャ)。なんか、いつもと雰囲気が違くない?」

「そんなことは御座いません! 至っていつもの美人秘書のタマモちゃんです!」

「そ、そう。そうよね、執務で疲れているのかしら? ところでカタログとかある?」

「当然ありますよ、どうぞご覧になってください」

 

 エリザはタマモ(?)から『NFF』というロゴが付いた冊子を受け取って、中を開いてみた。冊子がいつも(アマゾネスCEO)のと違うが、エリザは気づく様子も無く中身を見ていく。

 

「おススメとかある?」

「そうですね。コレなんてどうでしょう? 最近、入荷したばかりの新商品ですよ」

「なになに、多多益善(ドゥオドゥオイーシャン)号?」

「はい。今なら車体をオレンジ色に塗り替えて、虎の頭をカボチャに取り換えられますわ」

「ふーん。そうなると運転手が必要ね」

「ご心配には及びません。なんとこの車、自動運転が可能なのです。運搬、戦闘、なんでも問題ございません」

「そうなの? というか、随分と押してくるわね」

 

 何故かタマモ(?)は妙に多多益善号をエリザに勧めて来る。おまけで塗装や装飾までやってくれるなど、エリザとしては至れり尽くせりだが、どうしてここまで必死なのかエリザには分からなかった。

 手元に置いておきたくない程、この商品に対して何かの思い入れがあるのか。どうも、この商品に対してだけ、ぞんざいに扱っているような気がしないでもない。

 

「でも自動運転だとして、制御はどうするの?」

 

 機械による制御には、以前に起きたことから安全性を強く考慮するべきだとエリザは考えており、タマモ(?)に尋ねた。すると、タマモ(?)は露骨に顔をしかめて一枚の写真をエリザに見せる。

 

「これは商品の開発元の写真です。自動運転も可能ですが、これを使用して遠隔制御して使用しておりました」

 

 それは、下に存在する町が玩具に見えるほど巨大な機械だった。

 

「もっとも、商品としてお届けする際にはここまで巨大にはなりません。本日は出血大サービスとして、我がNFFサービスで制御装置の設置も全て受け持ちましょう!」

 

 そう笑顔で言うタマモ(?)の声を、エリザは聞いていなかった。巨大な機械の写真に付随されていた小さなメモの内容が目に入ったからだ。この写真は、本来商品の説明として使われるモノではなく、タマモ(?)が機械の性能を把握するためのメモだった。

 

 それを見て、エリザは全身に電流が走ったかのような衝撃を受けた。

 

「コレよ、コレよ!」

「え?」

 

 突然のエリザの言葉に、タマモ(ヴィッチ)は思わず素の反応をしてしまった。

 

「磁気ビームとか集束照射とかよく分かんないけど、いつでもどこでも声を届けられるなんて最高じゃない! 子イヌたちもきっと喜んでくれるわ!」

 

「……え?」

 

「決めたわ、これ頂戴! お金は私の個人資産から出すから問題ないわ。じゃあ私は、執務に戻るから届いたら教えてね!」

 

「…………え?」

 

 呆然とするタマモヴィッチ・コヤンスカヤを置いて、エリザは足早に執務室へと戻って行った。あとに残されたのは、キャットを起点としてチェイテにやって来たコヤンスカヤのみ。

 

 停止することしばし、ようやく脳が処理し切って現状を理解するも、想定外の事態にコヤンスカヤは両手を額に付けて天を仰ぎ見た。

 

 商品外の注文をされた。すでに出血大サービスという利益が出る限界値だったのに、この注文を受ければ大赤字は間違いない。こんな分かり切った悪条件の契約など、受ける義理も義務もない。だが――

 

「ふふふふふ。いいですよ、私は人間とは違います。例え一方的であっても、今回は交渉中に呆けていた私の落ち度です。その注文、受けてやります! 受けてやりますとも! やってやろうじゃないですかっ――――!!!!」

 

 コヤンスカヤは、明らかにおかしな形で商売人魂に火が付いた。もしかしたら、エリザ粒子にあてられたのかもしれない。

 

 画して新たなチェイテを舞台としたハロウィンの準備が開始された。果たしてどんなハロウィンになるかは分からない。しかしきっと、ハチャメチャなハロウィンになることは間違いないだろう。

 




続かない
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