チェイテ城は不滅なのよ!   作:麦わらぼうし

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 注意
 ・本クエストは、選択肢によってバトル内容が変化します。
 ・本クエストは、サポートキャラのみの単騎編成クエストです。
 ・本クエストは、マスタースキルを使用できません。
 ・本クエストは、令呪を使用することは出来ません。



チェイテ城は不滅なのよ!11

 英霊召喚。

 

 ソレは本来、ビーストに対処する為の決戦魔術であり、冠位サーヴァントを呼ぶための儀式である。

 

 しかし、人間が模倣したダウングレード版では、とてもビーストに対処する為の霊基を得ることは出来ない。だからこそ、彼女は呼び出した英霊たちに知識を求めた。

 

 その分野の専門家で名を馳せて英霊となった者たちも居るのだから、教え方が上手であったかはともかくとして、得られる知識量は膨大だった。

 

 どうしても覚えきれないモノでも、時間を掛けて何度も復習することで、彼女は理解を深めて少しずつではあるモノの、教えられた物事を吸収していった。しかし、どれだけ難解な知識を与えられても投げ出さずに学び続けた彼女は、あるモノに対してずっと頭を悩ませていた。

 

 彼女はエリザベート・バートリーではあるモノの、頭痛持ちではない。だが、あるモノのことを考えると、頭痛がするレベルで頭を悩ませていた。その、あるモノとは―――

 

「『エリザ粒子』って、なんなのよぉおおおおおおおおッ!?」

 

 こんな感じである……。

 

「魔力の一種なのは分かってるけどッ!

 オリジナルから出ている粒子なのも分かってるけどッ!

 具体的な本質が何一つして分からないッ!」

 

 むしろ、分からない方が良いモノである可能性すらある……。

 

「このままでも使える、って言えば使えるけどッ!

 よく分からないモノをシステムに組み込むとか、どこで不具合が起きるか分からないし、そもそも『エリザ粒子』が不具合を起こしているのかも分からなくなるッ!」

 

 問題が起きた際に、原因が分かれば対処はしやすい。しかし、よく分からないモノを使えば、本当にソレが原因かどうかすら分からなくなる。

 

「でも『エリザ粒子』を使い切らないと(・・・・・・・)、そもそもの目的が達成できないし……」

 

 結局のところ、実験するなりして地道に把握していくしかない訳である。

 

「大丈夫、大丈夫……使い方は分かってる。だから、あとは実行しても問題は無いかを検証すればいいだけ……」

 

 彼女は、もはや何の言語なのか分からない文字を使ってナニカを紙に描き始めた。数学の図形なの計算式なのか、はたまた文章か術式の理論か、少なくともソレは常人に理解できるモノではないのは確かだ。

 

「複雑にする必要はない、むしろ簡易にしないとミスが生まれかねない。

 やることは単純。

 特異点である此処を起点として『分断された歴史の流れ』と『排斥された前後の繋がり』に生まれる隙間は、一時的だけど『人類史の強度を(ゼロ)』にする。

 そこに私の宝具を使用することで、この特異点を切り取れば―――」

 

 思考の海に沈みながらも、彼女の腕は止まることなくナニカを描き続けた。

 

「聖杯があれば、この工程は飛ばせる――なら、いっそのこと鋳造すれば問題ない筈――となると問題は、むしろその後に必要な―――」

 

 そんなことを言い続けながら、いったいどれほど時間が経ったのか。

 

 気が付けば日付はとっくに変わり、日の光が執務室に差し込んだ頃、ようやく彼女の腕は止まり、最終的に描き上げた彼女にしか読めないナニカを持ち上げて、全体を確認した。

 

「……………やっぱり、根本的に時間が足りない」

 

 溜息をすると共に、そんな言葉が彼女の口から洩れる。

 

「メカエリちゃん工場を利用する? いや、仕様変更に時間が掛かりすぎるし、いっそのこと投影魔術で造って強化すれば……でも魔力が足りない」

 

 もはや焦点が合っていない目で、彼女はボンヤリと空中を眺めていた。

 

「なら、魔力回収用の装置を作れば、なんとかなるかな? 私が投影する以上、魔力の集積先は私になるけど、そこは霊基を弄ればどうにでもなるし、あとから集積用の装置を投影すればなんとか…………あっ、ここの部分間違えてる……」

 

 そう呟くと、彼女は書いていたナニカをブレスで燃やした。

 

「あ~。せめて私に『道具作成』か『陣地作成』のスキルがあれば、話が早いのに……いや、そもそも私にクラススキルがある方が変なんだし『対魔力』があるだけマシなんだけどね……」

 

 座っていた椅子に体重を押し付けて、思いっきり伸びをすることで体をほぐす。そして、壁に掛けられた時計に視線を向けた。

 

「今日は時間切れかな……そろそろオリジナルが起きる時間だし、迎えに行こう」

 

 そう言って彼女は、オリジナルを迎えに執務室を後にした。

 

 

 

   ◆

 

 

 

 無事に目的を達成した立香たち一行は、最上階を後にして屋上にあるステージの観客席に来てきた。

 

 立香たちは、いつの間にか きれいなエリザが買って来ていたポップコーンとドリンクを受け取り、ヒーローショーの開始を待っている間、当たり障りのない会話が繰り広げていた。

 

「さて、今まで私をご使用いただいたところ、いかがでしたでしょうか?」

 

▶「便利どころのレベルじゃなかったよ……」

 「ごめん、一回もサポートで使わなかった……」

 

「……そうですか」

 

 立香の返答に彼女はそう反応するが、それ以降は特に話しかけてこなかった。

 

「あの、きれいなエリザさん。質問よろしいでしょか?」

 

 なので、今度はこちらからとマシュが質問した。

 

「構いませんよ」

 

「では、改めて質問します。きれいなエリザさんは、どうしてこのような商業ビルを御造りになられたのでしょうか? 聖杯を鋳造するのならば、デパートである必要性は無いのでは?」

 

「その通りです。聖杯の鋳造は、極論を言えば魔力さえ足りれば可能です。というより、根本的に勘違いしているようですが、私はデパートの建設自体は提案しておりません」

 

「えっ、そうだったのですか?」

 

 予想外だったのか、マシュは驚いた顔を見せた。

 

「はい。デパートの建設を始めたのはオリジナルであり、私は手伝いをしただけです。より効率的に、より無駄なく、今日というハロウィンを問題なく終える為に最善を尽くしました」

 

「えっと、どうしてそこまでして、ハロウィンを?」

 

 そう聞くと、無表情ながらも彼女は不思議そうな顔をして、首を傾げた。

 

「頑張っている人、困っている人、悩んでいる人、苦しんでいる人。そんな人を見たら『助けたい』と思うのは、普通の事ではないのですか?」

 

「―――」

「はい、それはとても素晴らしい考えだと思います」

 

 一瞬だけ目を見開いた後、マシュは笑顔でそう言った。

 

「さて、そろそろ『ヒーローショー』の開演時間です。一応、今日の目玉であり、この公演が本日のハロウィンの最終項目ですので、どうか最後までお楽しみください」

 

 その言葉の直後、先程まで一緒に居たいつものエリちゃんが『ブレイブ』の格好でステージに飛び出してきた。

 

 そこからショーは続いていく。

 

 内容は、ハロウィンを禁止することで領民たちを苦しめる『魔王カーミラ』を打ち倒すべく、悲しみに暮れる領民たちを見た『勇者エリザ』が立ち上がると言ったモノだった。

 

 次々と襲い掛かる『魔王カーミラ』の使い魔たちを切り払い、勇者エリザは魔王城に突き進む。

 

 そしてついに、勇者エリザは魔王カーミラと対峙して、舞台は最終局面へと迫った。

 

「ようこそ、勇者エリザよ。

 遠方からの客人を持てなすのは王の(よろこ)びだけど、あいにく、私はアナタが嫌いでね。

 アナタの長旅に(むく)いる褒美もなければ、与える恩情もないわ。

 あるのは“何故”という、(いきどお)りだけよ。

 何故こんなところまで来たの? 何故あと数時間を自重できなかったの?

 私が禁止したハロウィンの一日が過ぎ去るまで、何故待たなかったの?」

 

「ハロウィンが終わっちゃうからに決まっているでしょうがっ! みんながハロウィンっていうお祭りを楽しみにしていたのに、アンタの勝手な決定で中止になんてさせるモノですかっ!」

 

「勝手な言い分、ね………。

 何をもって、勝手と決めつけているのか知らないけど、それならこう言わせてもらうわ。

『お前たちが好き勝手したのが、そもそもの原因よ!』」

 

「? どういう意味よ?」

 

「そうね。頭の悪いお前でも理解できるよう、順を追って説明してあげるわ。

 そもそも私も、最初はハロウィンを禁止するつもりなんてなかったわ。

 お祭りとは、普段から働いている領民たちの癒しであると同時に、地域の活性化に繋がる行事。

 多少の問題があったとしても、それを上回る利益が発生する以上。王として、止める理由は無かったわ」

 

「だったら、なんで……」

 

「簡単よ。多少にならない問題が発生するから、それだけの理由よ」

 

「なによソレ……お祭りなんだから、問題が発生するのなんて当たり前でしょう!」

 

「その通りね、私もそう思っていたわ。

 だからこそ、この三年間。私は問題が連続して起ころうともハロウィンを中止させはしなかった。

 その結果がアレよ!」

 

「…………チェイテピラミッド姫路城?」

 

「名称なんてどうでもいいわ。

 問題なのは、ピラミッドがあった『エジプトのテクスチャ』と姫路城のあった『日本のテクスチャ』が折り重なっていることで、この土地そのものが悲鳴を上げているのよ!」

 

「土地の……悲鳴?」

 

「そう……そして、私はその声を聞いたの。

『自らの存在を塗り潰すような……そんな土地を殺すようなことをしている者たちがいることも、ソレを受け入れてしまっている者たちが居るのも恐ろしい……。

 どうか、この土地に存命する生命種を絶滅させて欲しい』

 とね……」

 

「なによ、それ……」

 

「ソレを聞いた私はお願いしたの。

『これ以上、この土地を傷つけるようなことはしない。私はどうなっても構わない。だからどうか、領民たちのことは許してあげて欲しい』

とね」

 

「……………」

 

「『領民の命』と『祭り』

 どちらが取るかなんて考えるまでも無いわ。私は王、たとえ恨まれようとも、最善の選択をする。これ以上、祭りをして土地を傷つけることはできない。それだけのことよ」

 

「…………確かに、アンタの言い分は理解できるわ。

 だけど一つ聞かせて、アンタはハロウィンを終えた後は、どうするつもりなのよ? まさか、このままずっと現状維持なんてことはないでしょうね?」

 

「察しが良いのは助かるわね。

 そうよ、このままになんてして置かないわ。

 今、この土地はおかしくなっている。

『エリザ粒子』とか言う訳の分からない物質が満ちていることで修正されず、特異点として残り続けている。

 だったらいっその事、人類史から完全に切り離して、今後は外から干渉を受け付けなくさせればいい。

 ここを起点として『分断された歴史の流れ』と『排斥された前後の繋がり』に生まれる隙間から『人類史の強度を(ゼロ)』にして、ここを歴史から離脱させる」

 

「……………」

 

「―――さて。

 敬意は十分に払ったわ、ようやく報復の時間ね。

 聞いての通り、私はとても忙しいの。

 この先に本命の仕事が待っているのだからね。

 頭の悪いお前でも分かるでしょう?

 片付けた筈の仕事が戻って来るなんて、不愉快の極みよ。

 時は満ちた。魔力集積装置の設計案も完成した。

 そして言うまでもなく、これからのこの土地にお前は不要よ。

 この領域、この時代、この特異点での最後の仕事をしてあげる。

 

“早速だけど死になさい”――無駄話は、これで終わりよ」

 

「ゴチャゴチャうるさいわ!」

 

「――――は?」

 

「アンタのやろうとしていることは理解できたわよ。でもそれだけ。

 アンタは為政者として――――落第点よ!」

 

「なんですって?」

 

「王として民の命を優先する、それは確かに正しいわ。

 でもアンタが優先したのは民の命じゃない―――土地よ!」

 

「……………」

 

「第一、本当に土地を優先させたいなら。ピラミッドと姫路城をどかして、邪魔なテクスチャを引っぺがしなさい!」

 

「………それも考えたわ。でも、アレらを動かせなかったのよ。だから仕方ないじゃない(・・・・・・・・)!」

 

「仕方ないわけあるかっ! あんなもん残して置いたら、絶対後々から変な問題が起こるに決まっているでしょうが!」

 

「問題ないわ。

 精々、ここを歴史から切り離すことで、此処に居座ると決めた余所者への信仰が『チェイテピラミッド姫路城のクレオパトラ』と『チェイテピラミッド姫路城の刑部姫』として信仰以外が座に届かなくなるだけよ。」

 

「大有りじゃないの!」

 

「仕方ないでしょう! 動かせないんだから! 私は悪くない!」

 

「もうアンタの言い分とかどうでもいいわ! ムカついたから、殴って止める!」

 

「奇遇ね! 私もお前をぶっ飛ばしたくて堪らないわ!」

 

「でも、このまま私たちが戦っても、きっと皆は納得しないわ。だから……こうさせてもらうわよ!」

 

「なに? この光―――何をしたの!?」

 

「皆からの思いを力に変える魔法よ! どっちに勝って欲しいか、皆に決めてもらいましょう?」

 

「私にこんなものは不要よ!」

 

「あっそ。でも、もう遅いわ。魔法は発動済みで、あとは勝手に強くなるわよ。

 

 さぁ、見ている皆、好きな方を応援して! 皆の応援が、私たちの力になる! 深く考える必要なんてないわ、勝って欲しい方を応援して、ムカつく奴をぶっ飛ばしましょう!」

 

 その言葉と共に、観客たちが一斉に声を上げた。

 

「………あの、きれいなエリザさん。これは」

 

「どうかしましたか? これはただの演劇です。気楽に、好きな方を応援してください」

 

 マシュが少し困惑して彼女に話しかけるが、特に気にした様子もなく返事をされる。

 

 

「マスターさんは、どちらを応援しますか?」

 

 

 そして、話の流れで彼女は立香に質問をした。

 

 そして藤丸立香は―――

 

 

▶「エリザを応援しようかな」

 「カーミラを応援しようかな」

 

 

「…………………そうですか」

 

 決めて答えた立香に、きれいなエリザはそれだけ呟いて彼から視線を外した。

 




 クエスト詳細
 編成制限 サポートキャラのみ
 サポートキャラ エリザベート・バートリー(ブレイブ)

 敵編成 wave 1 敵エネミー数 1体

 敵エネミー詳細(wave1)
 ・名称 魔王カーミラ
  クラス アサシン
  HP  104,730

 特殊ギミック
 ・マスタースキル使用不可
 ・令呪使用不可

 ドロップアイテム エリちゃんスタンプ×1000
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