チェイテ城は不滅なのよ!   作:麦わらぼうし

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全仮想エネミー出力―――完了

戦闘シミュレーションを開始―――エラー

エラー原因検索―――利用者の転送が確認できません

エラーコード1031を適応―――シミュレーションを強制終了します

仮想エネミー出力を停止―――終了まで残り1%

エラー エラー エラー エラー エラー(システムへの不正アクセスを検知 掌握完了)

仮想エネミー『極限の単独種』を出力を開始―――OK

出力指定先『デパート屋上』―――オールクリア

One Radiance Thing(ワン・ラディアンズ・シング)―――ORTが召喚されます


チェイテ城は不滅なのよ!12

 初めて意識が覚醒した時、私はただ自分という存在がなんなのかを、誰に教えられる訳でもなく理解しました。

 

 私は、言ってしまえば、この土地の終末装置です。

 

 本来、とっくに消えている筈の特異点なのに、いまだに残っているのが気持ち悪い。

 

 あり得ない歴史が、存在しない筈の者たちによって踏み荒らされているのが気持ち悪い。

 

 何より、ガイア側の自分(地球の一部)アラヤ側の存在(サーヴァント)に壊されているのに、何もできない自分が気持ち悪くて仕方がない。

 

 どうか、この世界を終わらせてくれ。

 

 そんな声無き悲鳴を核として、私は生まれることになりました。

 

 もっとも、私を構成する要素は、それだけではありません。

 

 そもそもの話、どうしてこの特異点が残ってしまっているのか?

 

 結果には原因があり、間違いは正せば直るモノです。

 

 土地としては、この世界が消えるのなら、どちらでも構わないので『原因を解明して終わらせる様に』という目茶苦茶な使命まで課せられました。

 

 正直『それ、私がやらないといけないことなの?』と思いました。まぁ、拒否権なんて無いので、やらざる負えないのですが………。

 

 そして、活動を初めてから一週間後のハロウィンの日が終わると同時に。私は、自分が意識を覚醒させた一週間前に戻っていました。

 

 どうやら、時間制限が有るようです。一週間後のハロウィンが終わるまでに、私が使命を達成出来なかった場合、強制的に初日に戻ってしまう。

 

 ただ、これは時間を巻き戻すというより、私の意識を過去に飛ばしているだけのようです。おかげで、私以外に誰も前回を覚えていません……。

 

 そんなことを繰り返して、たぶん体感として12年ぐらい経って、私は行き詰まりました。それ以上、私だけではどうにもならない。試行錯誤に限界が来たのです。

 

 すると、次の周の私に変化が起きました。

 

 なんと私の霊基に、多種多様なサーヴァントとの縁が刻み込まれているではありませんか。

 

 どうやら以前に私が、私の参照元になったエリザベート・バートリーとの縁を触媒に英霊召喚をしたことから、土地が『じゃあ、この特異点に来た人間の縁を移植しておくね! 彼らも、その人間へいろいろな思いを向けていたから集めやすかったし、その残滓情報を組み込んでおくから上手く活用してね!』とのことでした。

 

 なるほど、どうやら私には『どうにもならない!』と諦めることは許されないようです。土地そのモノが味方してくれるとか、心強くて涙が出そうですねチクショウ………。

 

 霊基が弄られたことで今までの私から変化し、参照元になったエリザベート・バートリーから更に遠のきました。

 

 差し詰め、今までは土地を愛した場合のエリザ(オルタナティブ)みたいなもので、今の私は新生した産まれたてのエリザ(リリィ)でしょうか?

 

 もう、なりふり構って要られません。召喚した英霊に土下座したり、解体させたり、心臓を差出したりして、助力を願いました。

 

 そうして一部のサーヴァントが協力してくれましたが、今度は別の問題が発生しました。私の霊基の縁を触媒にビーストが出現したのです。

 

 顕現したビーストに、私に協力してくれたサーヴァントが目の前で殺されたり、私自身がビーストに変生して殺してしまったり、あるいは私に手を汚させないように自害させてしまった方もいました。

 

 この特異点は今、サーヴァントが消滅しても『座』に情報が持ち帰れません。普通なら時間の概念がない『座』から再召喚すれば、別人でも把握できるのですが、土地がそういう情報を全部燃やしてエネルギーに変化させることで、私の意識と経験を過去に飛ばしているからです。

 

 私が頑張った結果を無駄にさせないという万全のアフターフォローですね! でもビースト発生の対処はしてくれないので、そっちは自分で なんとかするしかありませんガンバルゾゥ………。

 

 というか、以前に来た人間である『マスターさん』は、いったい何者なのですかね? そちらの縁で召喚したユニバースの方や、異聞帯の方とか、技術レベルが違い過ぎて理解するのに、とんでもなく時間が掛かりました。頭痛い………。

 

 そうして、いろいろ学んで最終的にビーストに対処出来るようになったのは、体感的に2000年後ぐらいですかね? 周回の途中で土地に『人類愛』を組込まれてからは早かったです。

 

 そして霊基が弄られて羽化しないビーストの幼体(ラーヴァ)とでも言うべき状態になって、ようやく本題に進めました………。

 

 それから私は、この特異点を終わらせる方法を探して……すぐに見つけました。ユニバースの技術力バンザイです。

 

 理由としては、魔力の余剰が特異点に満ちて悪さをしているのが原因でした。

 

 なので、魔力を集める装置を作って、全部を消費すれば解決です。でも、その消費する装置は、一切魔力が漏れないように作る必要がありますね。

 

 他にも、その方法だけだと消費しきれない魔力が余ってしまいます。

 

 なので、その分の魔力は聖杯に鋳造して、この特異点に来るマスターさんにお渡しすることで、この世界の外に持って行って貰いましょう!

 

 うんうん、魔力そのモノが無くなれば、特異点はどうやっても維持できないし、純粋な魔力に加工するから悪さもしない。

 

 マスターさんは、苦労せずに聖杯が手に入ってリソースを確保できるから助かるでしょう!

 

 という訳で、その方針でシステムを設計しましたが、システムを完成させるのに時間が全然足りません! 一週間で作れるような構築を考えるのに、体感で100年は掛かりました!

 

 もう私、本当に頑張ったと思いますよ……。

 

 1人で試行錯誤して12年。

 サーヴァントに協力してもらいながらビーストの対処に2000年。

 納期までにシステムを構築できるような設計を考えるのに100年。

 

 累計2112年を掛けて、ようやく。ようやく、今までの頑張りが報われる時が来ました!

 

 あぁ、マスターさん………。

 

 貴方に全てを、お渡しします………。

 

 この世界のリソース、私という存在を含めた全てを聖杯に変えて、貴方にくれてやります。

 

 その代わり……ここまで頑張ってきた今までを、無意味ではなかった証明を私は貰います。

 

 もう誰も覚えていない夢のお話……これだけは私のモノです。誰にも渡しません。

 

 ――――――――だと言うのに

 

「先輩。きれいなエリザさんは、全てを計算して余剰魔力が出ないようにしていると言っていました。

 

 しかし、私たちは本来もっと後の時間にこの特異点を訪れる筈だったのです。つまり現在の私たちの来訪は想定されてない、だったらッ!」

 

「こっちで余剰分の魔力を作り出してあげればッ!」

 

 予定よりも随分早くやって来た彼らは、そんなことを(のたま)いました。

 

 いや。

 

 待って待って待って待って?

 

 一応、サブプランとして私をカルデアに送る方法は考えていました。

 

 ですが、私を現界させ続けたいという考えは理解できません!

 

 私は終末装置であると同時に、チェイテピラミッド姫路城がある土地の証明そのモノ。

 

 そんな私が現界し続けるということは、この土地に『チェイテピラミッド姫路城があったかもしれない』という記録が世界に刻み込まれてしまう。

 

 理解できません! まったく理解できません!

 

 多く特異点を修正してきた彼らが、この事を把握できない筈がない。

 

 彼らはチェイテピラミッド姫路城(こんな巫山戯た世界)があったことを忘れたくないとでも言うのか? ビーストですら困惑しかねない、この特異点を?

 

 嘘だと言ってほしい。

 

 先程のは冗談だと笑い飛ばして欲しい。

 

 そんな一縷の望みを込めて、私は確認の質問をした。

 

「そんなに私に現界していて欲しいのですか?」

 

「もちろん」

 

 ――――――ピキッ

 

 そんな彼の言葉を聞いて、私の中にあった大切なナニカに、ヒビが入ったような音を聞いた気がした。 

 

「………分かりました。ですが、私は先程も申しました通り非力なサーヴァントもどきです。ハロウィンが終了するまで、あなたの周回をサポートしましょう。

 

 火力もなく、宝具も使えませんが、スキルぐらいなら使えます。あなたを助けるために生まれた存在なので、多少の力添えぐらいはできるでしょう。

 

 私の性能を知って、それでも苦行をしてでも現界してほしいを思うのならば、どうかこの身をお使いください」

 

 私は、なんとか言葉を絞り出して、意識をサブプランに切り替える。

 

 あぁ、感情(余分)を削ぎ落としておいて本当に良かった………。

 

 感情が残っていたら、果たして私はどんな顔をしていたのだろうか? 下手をすれば、そのまま彼を殺してしまって居たかもしれない。そしたら、またやり直しになってしまう。

 

 ……もういいです。

 

 私の身体も、心も、魂も。

 

 マスターさん、貴方に全てお渡しします。

 

 だって私は――『藤丸立香』を助ける為に、生まれたサーヴァントですから。




こうして『きれいなエリザ』は壊れてしまいましたとさ。
めでたし めでたし。
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