チェイテ城は不滅なのよ!   作:麦わらぼうし

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ハロウィンイベント……というかエリちゃんイベントなので、頭のネジを飛ばして書いています。


チェイテ城は不滅なのよ!6

 とても信頼できる人選()によって組まれた露店は、思いの外に大きなトラブルらしきことも見当たらず、祭りという一種のカンフル剤によって、細かいことは別にいいよね! というように問題なく回っていた。

 

 立香たちは目的地となる最上階に向かわなければ行けないために、出店に顔を出すことはできないが、だからと行って全力疾走して体力を消耗するのも良くない。

 

 歩いて通り抜ける必要があるのならば、ついでに祭りの雰囲気を味わっておく程度は許されるだろう。

 

「あっ! お母さんだ!」

 

「嬉しいわ 嬉しいわ! 日本のお茶会に、マスターさんもお呼ばれしたのね!」

 

「トナカイさん、こんにちは!」

 

 そんな立香たちの前に現れたのは、カルデアに誇る子供サーヴァント。ジャック、ナーサリー、邪ンタの3人だった。保護者はどこだ?

 

「あれ? エリザが、また増えてる?」

 

「エリザは、トランプの兵隊さんなのかしら?」

 

「まるで私みたいですね」

 

 ハロウィンになればエリザが増えるというのは、もはやカルデアでは周知の事実であった。アルトリア顔と桜顔とエリザは、きっとこれからも増え続けていくことだろう。

 

「こうして顔を合わせるのは初めてですね。私は、きれいなエリザと申します」

 

「きれいなエリザ?」

 

「じゃあ『きれエリ』だね!」

 

「怒りん坊さんみたいな、お名前だわ!」

 

 きれいなエリザは、新たな名前を手に入れた。

 

「……愛称を付けてもらえるのは有り難いです。私の真名が変化した後でも、どうかその様に呼んでください」

 

▶「ん?」

 

 なにか変な言葉が聞こえた気がした。

 

「お話し中すみません。きれいなエリザさん、真名が変化した後とは、いったい?」

 

 立香と同じように言葉に引っ掛かったマシュが、彼女にそう尋ねた。

 

「? そのままの意味ですよ?

 今の私は不安定なサーヴァントもどき、何かの外的要因によって本質が変容する可能性は充分にあります」

 

「……えっと、それは」

 

 改めて彼女の状態を伝えられて、マシュは思わず言葉を濁した。

 

▶「怖いとか、思わないの?」

 

「? なにがでしょうか?」

 

 言葉の意図が読めないと言わんばかりに、彼女は頭に疑問符を浮かべていた。

 

「自身という存在が、別のナニカに変わってしまう。その事に恐怖を感じないのかと、先輩は聞いているのだと思います」

 

 見かねたマシュが、詳しく補足してくれた。

 

「あぁ、なるほど。

 別に問題はありません。今の私には、強い感情を発する『余分』が無いですから。

 大体、あなた達人間だって周囲の言葉で、その後の人生観を変えてしまうような事もあるじゃないですか、それと似たようなものです」

 

 だが、答えた彼女は平然としており、むしろどうしてその程度のことを聞くのか分からないというような言葉が返ってきた。

 確かに、何気ない日常の中で、自身と波長の合う高名な作品に出合うなどして、今までの自分を全て投げ捨ててしまうような出来事はあるかもしれない。

 だが、彼女の状況は、本当にその例えに対して同様の事象であると言えるのだろうか?

 

「あの、トナカイさん……」

 

 考えすぎかもしれない。そんな風に思っていると、不意に立香は邪ンタに弱く袖を引かれる。

 

「あのエリザさんのこと、見て居てあげてください。アレは……いつかの私と同じです」

 

 そう言って視線を、きれいなエリザの方に向ける。立香もつられて視線を向けると、無表情ながらもジャック、ナーサリーと会話を続けている彼女の姿が見える。

 しかし、その様子は和気あいあいとしたものではない。お祭りでテンションの高い2人とは対照的に、きれいなエリザの方は淡々と事務的な返答しかしていない。

 

「あのままだと、たとえ聖杯の魔力があっても……あのエリザさんは消えちゃいます」

 

 どこか確信をもった口調で邪ンタは断言した。

 

「あの人の言葉に耳を貸してはいけません。あれは………とんでもない嘘つきです」

 

▶「……………」

 

 立香は、邪ンタの言葉を自分の中で反芻し、思考をまとめてみることにする。

 

 

 ―――いや、しようとした。その時だった。

 

 

「ねえ、もう一人の私?」

 

「なんでしょうか? オリジナル……おや」

 

 いつの間にか離れて居た いつものエリちゃんが、あるモノを抱えて戻ってきた。その腕の中にいるモノを見て、きれいなエリザが声を漏らす。それもその筈、エリちゃんが抱える腕の中、そこには。

 

 

「ノッブー!(CV.大久保瑠美)」

 

 

 よく分からないナマモノがいた。というか、ちびノブがいた。

 

「なんか、コレから私の声が聞こえるんだけど?」

 

 そう言われて、よく声を聞いてみると、確かにエリちゃんの声に似ている気がした。

 

「………なぜ? 術式はしっかりと機能している筈………いや、まさか?」

 

「えっと、熟考中のところすみません きれいなエリザさん。何か気づいたことがあるのなら、情報の共有をお願いできますか?」

 

 エリちゃんの抱えて居る ちびノブを見て、何やら考え始める彼女にマシュが声を掛けた。

 

「……分かりました。ですが、その前にマスターさんに確認事項があります」

 

▶「確認事項?」

 

「マスターさんは『ぐだぐだ粒子』というモノをご存じでしょうか?」

 

 立香は頭を抱えてしまった。マシュも何かを悟ったのか、沈痛な表情を浮かべている。

 

「その様子ですと知っているようですが、一応概要を説明しておきます。

『ぐだぐだ粒子』とは、この世界に存在する様々な物質の一つ。

『エリザ粒子』『ぐだぐだ粒子』の他にも『エーテル』『アルトリウム』『キュケオン』『サクラ』『ヴェルバー』という粒子があり『蒼輝銀河』などで確認されている物質です。

 そして『ぐだぐだ粒子』は、ちびノブというナマモノが発生する原因になります」

 

▶「やっぱりナマモノ扱いなんだ……」

 

 ちびノブは、ナマモノである。

 

「どことなく愛嬌を感じるちびノブ。ですが、その見た目に惑わされてはいけません。奴らの環境適応能力は非常に高く、一般人では対処できません。並みのサーヴァントでも数の暴力によって押し潰されてしまう。気性は穏やかでも、危険な存在なのです」

 

▶「そういえば……」

 

 立香は、何かを思い出しているような顔を見せた。

 

「そんな『ぐだぐだ粒子』なのですが、どうやら協力してもらった日本サーヴァントが大量に保有していたらしく。この土地の『エリザ粒子』と『ぐだぐだ粒子』が共鳴反応を起こし、その結果、新たな人類を滅ぼす災厄が、ちびノブという形で現れたのです」

 

▶「えッ!?」

 

 立香とマシュは、思わずエリちゃんが抱えている ちびノブの方に目を向ける。

 

「そのちびノブは大丈夫です。既に術式を行使したことにより、この空間で『ぐだぐだ粒子』と『エリザ粒子』が強く共鳴することはありません。最初に発生した7体のちびノブに関しては、封印という形で対処しましたが、現在ここで発生するちびノブは安全です」

 

▶「それって……」

 

「はい、先輩。とても不穏なフラグが立ったと理解しました」

 

 封印で対処するということは……まあ、そういうことだ。

 

「そしてオリジナル。この ちびノブから私たちと同じ声がするのは、オリジナルが持っている『エリザ粒子』を過剰に放出していることが原因です。もう少し抑えてください」

 

「は? 私の身体から、そんなモノが出ている訳ないでしょう?」

 

「…………………………はい?」

 

 いつものエリちゃんの言葉を聞いて、きれいなエリザは声を上ずらせた。

 

「まさかオリジナル……自覚してないんですか?」

 

「そんな訳の分かんないモノ知る訳ないじゃない……………あっ、そういえば此処に来た時にナニカが抜けるような感覚がしたような?」

 

 そう言えばと、立香たちは記憶を思い出す。その記憶では確かに、その時の話の流れに関係なく、この階に来てすぐにエリちゃんが首を傾げていた。

 

「……………いえ、術式で『ぐだぐだ粒子』と『エリザ粒子』が中和するようになってはいますが。まさかオリジナル? 『ヴェルバー粒子』まで放出していませんよね?」

 

「は? なによソレ?」

 

 そんなエリちゃんの言葉を聞くと、彼女は片手を顔を覆って、天を仰いでしまった。

 

「マスターさん、緊急事態です。ほぼ間違いなく、この後とんでもないハチャメチャが押し寄せてきます」

 

▶「知ってた……」

 

「はい……ところで、その『ヴェルバー粒子』とはいったい?」

 

「『ヴェルバー粒子』はオリジナルが保有している『エリザ粒子』とは異なる物質です、おそらくどこか別の世界で汚染された情報が、そのまま伝わってしまったのでしょう。

 この『ヴェルバー粒子』は、他の粒子に比べて非常に危険性が高く。そんなものが『ぐだぐだ粒子』の近くに来て共鳴してしまえば……」

 

 

「「「「「「「ノッブァ――――――!」」」」」」」

 

 

「封印を解いてしまうような悪さをする ちびノブが現れても不思議ではありません……」

 

「ッ! 7体のビースト反応が急速に接近中、迎撃体制に移行します!」

 

▶「どっかで見た ちびノブ達だなぁ……」

 

 立香は、どこか達観し始めていた……。

 

「ノッブー!」

 

「アッ!? ちょっと、どこ良くの!?」

 

 そんな中、エリちゃんの抱えていた ちびノブが飛び出した。

 

「ノッブ! ノブノブノッブ!」

 

「ッ!? ノブッ! ノノノノノブッ!?」

 

 すると、どこかで見た ちびノブ達に紛れていた、見たことない ちびノブが突然痙攣し始めた。

 

「あれは、いったい何が?」

 

「……アレが『ヴェルバー粒子』の影響を受けた ちびノブですね。

 おそらく、過剰な『エリザ粒子』を持つオリジナルの ちびノブに、中和できる『ぐだぐだ粒子』が混ざっている所為で、体内の『ヴェルバー粒子』が拒絶反応を起こしているのだと思います。

 

 …………いや、あの ちびノブ自身が『エリザ粒子』を拒んでいるのでしょうか?」

 

「あっ、ビーストちびノブさん達の動きが弱まりました」

 

「どうやら、封印を解いたのではなく、乗っ取っていたようですね。その制御権を持っていた、あのちびノブが動けなくなったことで行動が阻害されているのでしょう。

 申し訳ありませんが、マスターさん。改めて術式を打ち込むので、ついでにオリジナルのちびノブごと、あの災厄たちを倒してください」

 

▶「はーい(虚ろな目)」

 

「先輩! お気を確かに、先輩!」

 

 頑張れ、藤丸立香! 頑張れ、マシュ・キリエライト! 人類の未来を守るため、あの恐るべき災厄たちを打ち倒すのだ!

 




本クエストクリア後、以下の内容のフリークエストが解放されます


 クエスト名 世界を滅ぼすぐだぐだを倒せ!(中級)
 消費AP 40

 敵編成 wave 3 敵エネミー数 9体

 敵エネミー詳細(wave1)
 ・名称 アルノブ(弱体)
  クラス ビーストⅣ
  HP 19506
  ドロップアイテム エリちゃんスタンプ×100

 ・名称 エミノブ(弱体)
  クラス ビーストⅣ
  HP 16418
  ドロップアイテム 青胴の果実×1

 ・名称 クーノブ(弱体)
  クラス ビーストⅣ
  HP 15288
  ドロップアイテム ピュアプリズム×1

 敵エネミー詳細(wave2)
 ・名称 メドゥノブ(弱体)
  クラス ビーストⅣ
  HP 14243
  ドロップアイテム エリちゃんスタンプ×100

 ・名称 メディノブ(弱体)
  クラス ビーストⅣ
  HP 13774
  ドロップアイテム 青胴の果実×1

 ・名称 ハサノブ(弱体)
  クラス ビーストⅣ
  HP 12889
  ドロップアイテム ピュアプリズム×1

 敵エネミー詳細(wave3)
 ・名称 ヘラノブ(弱体)
  クラス ビーストⅣ
  HP 14716
  ドロップアイテム エリちゃんスタンプ×100

 ・名称 エリノブ(弱体)
  クラス ランサー
  HP 16915
  ドロップアイテム 青胴の果実×1

 ・名称 学士ノブ(弱体)
  クラス キャスター
  HP 17906
  状態 スタン(永続/解除不可)
  ドロップアイテム ピュアプリズム×1
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