チェイテ城は不滅なのよ!   作:麦わらぼうし

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発生条件
・エリちゃんスタンプの交換数が100,000を超えた時、交換所で以下のセリフが追加される

追加セリフ
「あの、マスターさん?
 大丈夫ですか? 顔色が悪いですよ……。
 周回を頑張るのは構いませんが、あまり無理をするのは身体に毒です。体調を壊したら元も子もありません。
 自分のペースで適度な周回をおすすめします。欲張りすぎれば、その(おこな)いはいつか必ず自身に帰ってきますからね」



チェイテ城は不滅なのよ!8

 彼女が現れたのは突然だった。

 

 在り得ない可能性を許容するのが、この特異点のあり方だ。だがそれは、他の可能性を許容すればするほど、此処が汎人類史から逸脱している証拠でもあった。

 

「助けを求める声を聞きつけ、チェイテ城に参上です!」

 

「誰アンタッ!?」

 

 ならばこそ、彼女という存在は汎人類史に現れる筈のない理由がある。この特異点だからこそ、彼女という存在が誕生した理由が存在する。

 

「私は、あなたから生まれた別の存在!

 オルタナティブ? リリィ? ラーヴァ?

 よく分かんないけど、助けを求められて生まれた新しいエリザベート・バートリーです!」

 

「は? 助け?」

 

 声無き叫びを聞いて、彼女は生まれた。『藤丸立香』の助けになるために、彼女は生まれた。

 

 ……………その為だけに、彼女は生まれた。

 

「ハロウィンの準備、大変なんでしょう? 何でも手伝うよ! だからお仕事ちょ~だい♪」

 

「え、えぇ……」

 

 今年のハロウィンを成功させる、ソレは必ず『藤丸立香』の助けになる。だからこそ、彼女はハロウィンの運営に手を貸した。

 

「とりあえず。アンタが別の私で、手伝ってくれるのは分かったけど。結局アンタのことは(なん)て呼べばいいの?」

 

「ん~? 好きに呼べばいいんじゃないかな? 私はアナタを好きに呼ぶから、アナタも私を好きに呼んで?

 それよりハロウィンまで、あと一週間ぐらいしかないよ! 急いで準備を始めなくちゃ!」

 

 彼女は有能だった。

 

 そもそもエリザベート・バートリーという存在は、基礎的な能力は高いのだ。貴族としての教養はあるし、魔術の素養も高い。残念なところも無くはないが、しっかりと手綱を握れば、とても有能な存在である。

 もっとも、彼女の手綱を握るのはとても難しいのだが……。

 

「あれ? 計算が合わないわ……」

 

「ちょっと見せて? …………あぁ、ココとココが間違ってるんだよ、お母さん」

 

「あっ、本当ね……って、誰がお母さんよ!?」

 

 勢いの良いツッコミをされて、彼女は楽しそうにケラケラと笑っていた。

 

 

「へ? な、なんでッ!? ちょッ!? コレどうしようッ!?」

 

「なにやってるのお姉ちゃんッ!? 危ないから早く下がってッ!」

 

 時折やらかした事態にも『仕方ないなぁ~』と言うように、彼女は苦笑いしながら対処していた。

 

 

「―――でっ! こうなる訳よ! どう? 完璧なプランでしょう?」

 

「うん……うん。オリジナルさん、予定表の作成ありがとうね。後のことは全部、私がやっておくからさ? 休憩ついでに、現場の様子を見に行ってくれないかな?」

 

 とても優しそうな、慈愛とも言うべき笑顔で彼女は働き続けていた。

 

 

「あと少し……あと少し……」

 

 

 目的の日、ハロウィン当日まであと少し。

 

「頑張り過ぎですよ……」

 

 そんな時、彼女の他に誰も居ない筈の執務室で、彼女ではない別の誰かの声が部屋に響いた。

 

「あなたは……コヤンスカヤさん、ですよね?」

 

 誰も部屋に入った形跡がないのに現れた女性に、おそらく『そういうスキル』を持っているのだろうと、彼女は特に驚いた様子を見せなかった。

 

「いくら目的の為だからと、アナタは身を削り過ぎです。ビーストが嫌なのは分かりますが、そこまでしますか?」

 

「………あなたは、私の正体が分かっているんですね」

 

「まぁ、ある意味私もアナタの同類ですから」

 

 そう言って、女性は溜息を吐いた。

 

「ビーストⅣに対処する為に、どれだけ力を()ぎ落したのですか?」

 

「……アレは、こちらが強くなるほど成長する性質がありました。だから私が(ATK)を捨てるのは必要なことだったんです」

 

「それでアナタは、あの術式を組み上げたんですよね?

 封印術、妖術、魔術、仙術、科学技術……他にも様々な術を、原型が分からなくなるほど改良して生み出した『術式』としか言えないアレは、力のないアナタでもビーストにすら通じるモノになった」

 

「頑張りました」

 

 嬉しそうに笑う彼女。

 

 しかし、女性の方は対称的に、なにか哀れなモノを見ているようだった。

 

「なにかお困りの際は、お声掛けください。可能な限り、力をお貸ししますよ。もちろん、代金はいただきますが」

 

「優しいんですね」

 

「これは所謂、アフターケアというモノです。見方を変えれば、私の霊基がビーストの席を固定してしまったようなものですから」

 

「あのビーストは、あなたのモノとは別のモノですよ?」

 

「その通りです。アレは、私の前任者のモノに近い。

 ここのビーストは私に引っ張られて、しかし今の席には私が居た。その結果、前任者の性質を獲得して、アレらはビーストⅣに存在が固定されてしまった」

 

「私としては、むしろ有り難かったんですけどね?

 あなたはビーストの発生自体には関係ない、むしろナンバリングをⅣに固定してくれたおかげで、こうして対処が出来たぐらいですし?」

 

 そう言って、彼女は小さく溜息をした。

 

「だいたい、こんな呪われた土地。私が生まれなくても、遅かれ早かれビーストか、それに準じるナニカが生まれるような場所です。

 だから、あなたが気にする必要はありませんよ。

 むしろ、あなたが居たおかげで、本来対処できないようなビーストに前以(まえも)って準備することが出来たんです。完全に羽化したビーストになっていたら、私じゃどうしようもありませんでしたし……」

 

「…………そうですか。アナタがそう言うのならば、私も出血大サービスで商品を提供した甲斐がありましたわ」

 

「本当にありがとうございました、コヤンスカヤさん」

 

 そう言って2人は会話を止める。

 

 そして、しばらく無音の時間が過ぎた後、コヤンスカヤの姿は何時の間にか執務室から居なくなっていた。そして―――

 

 

「やだなぁ……」

 

 

 他に誰も居ない執務室の中で、少女の小さな呟きだけが部屋に響いたのだった。

 

 

 

    ◆

 

 

 

 きれいなエリザの発明品に封印措置を施した立香たち一行は、即売会エリアを移動してプール会場に来ていた。

 

 照りつける小型の人工太陽から降り注ぐ光。

 

 押し寄せてくる透明な海水が作る人工の波。

 

 小さな貝殻の転がり、大きなヤシの木が茂る純白の砂浜。

 

「これはプールというより、海なのではないでしょうか?」

 

▶「どう見ても海だよね……」

 「もう何を見ても驚かなくなってきたよ……」

 

 そして、アホ毛を生やして『終わり告げる鳴き声』を発する巨大チキン系のエネミー。

 

「夏ですね、先輩……」

 

▶「夏だねぇ……」

 

「あんまり前に出ないでくださいね? あのビーストエネミーは、他の周回場所に比べて、あまり弱体化させていませんので」

 

「あっ、本当です。あの巨大チキンから、ビースト反応が出ています……」

 

 もはやビーストが目の前に居るのに、反応が薄くなっていた。

 

「あそぼ」

 

▶「ん?」

 

 聞き覚えのない声が聞こえたことで立香がした方に視線を向ける。するとそこには―――

 

「あそぼ あそぼ あそぼ あそぼ あそぼ」

 

 何やら言葉を発するな、謎の二足歩行して刀を持ったサメがそこに居た。

 

▶「なにアレ?」

 

「分かりません。分かりませんが、あのエネミーからもビースト反応が出ています……」

 

 もはや立香たちの脳が理解を拒み始めていた。

 

「アレらは、この階層で発生したビーストたちです。非常に好戦的であり、戦闘が好きなサーヴァントの方々に人気のエネミーですよ?

 ほら、あそこでもう一体のエネミーと戦闘しています」

 

 きれいなエリザが指を差した方向に視線を向けると、そこではあるサーヴァントの集団がエネミーと戦闘をしていた。

 

「……なぁ、スカサハ?」

 

「む? なんだ、セタンタ?」

 

「いくら弱体化させているとはいえ、魔猪が死因のディルムッドに、魔猪のエネミーをぶつけるのはどうよ?」

 

「なに、これも修行だ。本来なら、あの魔猪は原初のルーンを駆使して襲って来るのを、あの魔猪はただ強いだけで、死ぬ心配も無いのだから克服には持って来いだろう?」

 

「原初のルーン使ってくるとか。それもう魔猪じゃねえだろッ!?」

 

 クーフーリンが叫ぶと同時に、ディルムッドが天高く吹っ飛ばされた。

 

▶「……ねぇ、きれいなエリザ?」

 

「ハロウィンは、もともとケルトが発祥のお祭りですから、発生したエネミーが魔猪なのは、その所為ですかね? チキンとサメは、私も分かりません」

 

 おそらく夏の魔力が、チキンとサメを呼び寄せたのだろう……。

 

「………ところでオリジナル? 私は先程、あまり前に出ないように言ったと思うのですが?」

 

「えっ、これぐらい大丈夫でしょ?」

 

「………でしたら、なぜビーストエネミーたちはこちらに向かって来ているのですか?」

 

 立香たちの前方には――

 アホ毛を揺らしながら向かってくるチキン。

「あそぼ」と言いながら刀を振り回してくるサメ兵士。

 ケルトのサーヴァントを無視して突進してくる魔猪がいた。

 

 どう見ても臨戦態勢だった。

 

「………もしかして、やっちゃった?」

 

「マスターさん。あのビーストエネミーは、ケルトの方々に頼まれて、あまり弱体化されてないので強いです。ご注意ください」

 

「迎撃体制に移行します……」

 

▶「頑張ろう……」

 

 まだ目的地に到着していないのに、立香たちは精神的に疲れ始めていた。

 




本クエストクリア後、以下の内容のフリークエストが解放されます


 クエスト名 世界を滅ぼす夏の魔物を倒せ!(上級)
 消費AP 40

 敵編成 wave 3 敵エネミー数 3体

 敵エネミー詳細(wave1)
 ・名称 アホ毛の生えたコケコッコー(弱体)
  クラス ビーストⅣ
  HP 100,000
  ドロップアイテム エリちゃんスタンプ×1000

 敵エネミー詳細(wave2)
 ・名称 「あそぼ」と誘ってくるサメ兵士(弱体)
  クラス ビーストⅣ
  HP 100,000
  ドロップアイテム 白銀の果実×1

 敵エネミー詳細(wave3)

 ・名称 そんな氏族ねえのです、な妖精魔猪(弱体)
  クラス ビーストⅣ
  HP 100,000
  ドロップアイテム レアプリズム×1
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