5   作:水凪 菫

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2話です。


1-2

 僕たちが故郷ペルフェ村を離れ早くも10年の時が過ぎた。

 

 ということはなく、僕たちは澄み渡る青空のした隣村に向かって進行している。

 最初の内はこれからのことを思い胸を高鳴らせていたが、今となってはそれも沈静化しぼんやりと考え事にふけってしまっていた。

 外を眺めることに飽きてからはジョンとしゃべって暇を潰していたが話題はなくなり、だんだんと互いに言葉数が少なくなっていた。

 あまりに暇なので寝ようとも思ったが、竜車はガタガタと容赦なく揺れるので眠りにつくこともできない。

 というわけで完全に暇を持て余していた。

 故に変なことを考えてしまってもそれは仕方ないことなのだ。

 はぁ……、暇だ……。

 

 

 

 それが起きたのはジョンとお昼にでもしようかと話し合っているときだった。

 早朝に出発してから随分と時間が経ち今の時刻はもうすぐ昼時と言ったところ。

 「ジョン、お昼ご飯にしない?」

 そろそろおなかが減ってきたところだしご飯が「ぉーぃ」食べたくなった。

 中は窮屈なので「ぉーぃ」足も伸ばしたい。

 「んー、それも「ぉーぃ」そうだな。どこか「おーぃ」手近なところに「おーい!」止めて昼飯と「おーいってばー!」いくか」

 ………。

 「ねぇ、気のせいじゃないよね」

 「あぁ、気のせいじゃないな。見ろ、鬼のような形相で走ってきてるぞ」

 「どうする?逃げる?」

 「いや、さすがに放ってはいけないだろう」

 ジョンとの付き合いは長い、彼が他人を見捨てるようなことはしないだろうということはわかっていた。

 しかし、人がよすぎるのがジョンの悪いところだ。

 面倒なことに巻き込まれなきゃいいけど、僕はそう心の中でため息をついた。

 

 

 

 竜車を止めること数分。後方からうるさく声をかけてきた人物が此方に息を切らして走ってくる。

 ようやく到着すると疲れ切ったのかその場にへたり込んでしまう。

 「えっと……だ、大丈夫?」

 恐る恐る声をかけてみる。

 一応心配して声をかけてみたが、その言葉は彼女の神経を逆なでしたようで顔を上げてじろりと睨む。

 「はぁはぁ……お前ら……絶対……聞こえてたろ……」

 ぜぇーぜぇーと荒く息を吐くように目の前の女の子は悪態をつく。

 僕らを追いかけていたのは少女だった、声音からなんとなくわかってはいたが。

 少女の風貌はオレンジの色の髪に緑の目、やや幼さが残る顔立ちをしている。身長も僕と同じくらいで年もそう変わらないなような気がする。

 普通の格好ならば可愛く見えたであろうが、眼前の少女は髪はボサボサ、服装は泥まみれ、おまけに手ぶらとどういうわけかボロボロだ。

 「い、いやー、怪しい人かなーと思って。あはは……」

 絡まれると面倒だったから、などと言えるわけもなく精一杯の言い訳をする。

 「どこが怪しいってんだ、どこからどうみても普通の人間だろうが」

 少女は心外だと言わんばかりに反論する。

 うわっ、恐っ。

 少女が落ち着いたところを見計らってジョンが口を開く。

 「それで、わざわざ呼び止めて何のようだ」

 「私をある場所まで連れて行ってほしい」

 予想していたがその通りだったらしい。

 「ちなみにどこまでだ?」

 少女はジョンの問いかけに一瞬悩むそぶりを見せた後答える。

 「ドンドルマ」

 少女の回答を聞いて思わず顔を見合わせてしまう僕ら。

 「俺たちもちょうどドンドルマに向かうところだ」

 「もしかして、君たちもハンターに?」

 「そうだ」

 頷くジョン。

 「ふぅーーん」

 そういうとじろじろと僕らを見る。

 「ガタイのいい君ははともかく、そっちのひょろい君は向いてないんじゃない?」

 と、言い放った。

 うぐっ、人が気にしていることを……。

 さすがにカチンときたので言い返そうとした瞬間、隣を見て冷静になる。

 ジョンは無表情だった。が、目は鋭く冷たい、明らかに怒っているとわかるほどに。

 「嘘、嘘!冗談だって!ごめんごめん」

 その視線に気圧されたのか慌てながら謝罪する。

 その言葉を聞いて矛を収めるジョン。

 気まずくなった雰囲気をごまかすように咳払いを一つするとジョンは再び口を開く。

 「それで、あんたもハンターを目指しているってコトでいいんだよな?」

 「ああ、私もハンターを目指している」

 ジョンの質問に対しこれまでとは打って変わった表情で答える少女。

 「そうか」

 その言葉を聞いたジョンは僕を見る。

 「いいよな、アヤト?」

 断る理由はない。

 「もちろん」

 「というわけで、付いてきてもらって全然かまわないぜ」

 先ほどまでの覇気はどこへやら、恐る恐る少女は訪ねる。

 「そう言ってもらえると助かるが本当にいいのか?」

 「暇すぎる道中だったもんでな、話し相手が増えるのは大歓迎だ」

 「悪いな、助かるぜ」

 少女はそう言いつつ、ほおを掻きつつ照れくさそうにお礼を言った。

 その様子に苦笑しつつ、手を差し出すジョン。

 「そういえば自己紹介がまだだったよな、おれはジョン、こいつは友達のアヤトだ、よろしくな」

 差し出された手を握り返す少女。

 「私の名前はリオー、じゃなくてリオン、そうリオンっていうんだ」

 「?、よろしく、リオン」

 言い淀む少女、リオンの言い方に引っかかるものを感じつつ僕たちは言葉を交わす。

 「さて、自己紹介も済んだことだし、移動して飯にするか!」

 「飯か!」

 飯の単語に反応し沸き立つリオンはその後とても騒がしかった。

 




リオン
身長149、体重47、年齢14。陽気で騒がしい。ムードメーカー。
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