【完結】赤のキャスターは蓬莱山輝夜   作:木工用

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トラブルメーカーと竹取飛翔

 

 ~~ミレニア城塞~~

 

 

 

「......ということで、こちらが受けた損害はミレニア城塞の半壊。黒のランサー、バーサーカー、キャスター及びライダーの敗退。そして大聖杯の略奪。

 対してこちらの得たものは、赤のセイバー及び赤のキャスターの正式加入。ルーラーの暫定加入。赤のバーサーカーの敗退。

 事実をまとめると以上になります......」

 

 助けて永琳、助けて鈴仙、助けてもこたん――はいいや。

 それより、私が知らない間に戦況が大変なことになってるんです。一体誰のせいでこんなことに......

 

 

 それはともかく、今この場にいる人は、フィオレちゃん、カウレスくん、ゴルドおじさん、獅子劫さん、そしてマスターのアカ。

 そしてサーヴァントは、アーチャーさん(パンツさん)、黒のセイバーさん、赤のヤンキー(セイバー)、金のルーラーちゃん、そして私ことアカのキャスター。

 よっしゃ、何とか顔と名前を一致させたぞっ! このあと挨拶回りするときに名前を言えなかったら失礼だからね!

 

「......ロシェ君と、セレニケの状況は?」

「ロシェ君は、今はぐっすり眠っております。落ち着いてから、私から今日のことをお伝えしますので、ご心配なく」

「セレニケさん......だっけ? は私の宝具で生き返ったから大丈夫だよー。しばらくしたら目を覚ますんじゃないかな」

「そうですか、よかった......」

「何言ってんだッ! ちっともよくねぇ!!」

 

 ライダーちゃんのマスターは無事に助かったみたいだね。よかった......んだよね? うん、よかった。

 そんでもって......おお、怖い怖い。フィオレちゃんの安心をぶち壊したのは、みんな大好きゴルドおじさん。

 

「城の修理、新入りの教育、アサシンらしき襲撃者への対処に、空高く逃げられた敵への攻撃手段!

 なんだ! 問題は山積みじゃねぇか!」

「......ゴルドおじさま......」

 

 [速報]ゴルドおじさん、なんだかんだで現状を理解できている件について。

 

 なんだ、頭悪そうで意外とやるじゃん、ゴルドおじさん。

 でもね、和やかな空気をぶち壊しちゃった辺りが最高にゴルドおじさんだよ。安心したよ、ありがとう。

 

「......ゴルドさんの仰る通り、現状は決して良いものではございません。それぞれが適当に動き、勝手な行動をしていたのでは間違いなく我々は赤の陣営に......いや、天草四郎に敗北するでしょう」

「......天草四郎時貞......」

 

 アーチャーさん(パンツさん)がわざわざ言い直したってことは、私たちの敵はあの神父さんで決まりってことかな?

 いやー、確かにあの神父さんは胡散臭かったからねー。赤のケモ耳当たらん娘さんも疑ってたし、納得だわー。

 あ、獅子劫さんが手を挙げた。

 

「んーと、つまりそこのアーチャーさんが言いたいのは、よそ者である俺らにも、ちゃんとした連携をお願いしたいってことかな?」

「無論、そちらにも事情がおありなことは重々承知しております。その上でご協力を仰ぎたく思うのですが」

「ああ。俺ら二人の益になるもんなら協力させてもらうつもりだ」

「ご協力、感謝いたします」

 

 獅子劫さん、赤のサーヴァントとして教会に案内したとき軽く話したけど、見た目のわりにイイ人だよね! お父さん味があるっていうか。赤の陣営にいるときにやったアイドルを育てるゲームとかめっちゃ上手そう。

 

「......へー? 黒の陣営とお仲間ごっこしよってかマスター?」

「セイバー、話はあとだ。"今"はそういう話でいく」

「"今"......へいへい、了解っ」

 

 前言撤回。この人ワルイ人だ。

 赤のヤンキーさんと二人揃ってヤのつく自営業の人だよ。おっかねー。

 ていうか、赤のヤンキーさん、昔の()()()に似てるんだよね~。初対面で『父様をよくもっ』って突っかかってきたあの頃のあの子に。懐かしいなあ~。後でヤンキーさんにお父さんの話を聞きに行こうかな♪

 

「それと、アカ君とキャスターにも」

「勿論だ。俺らもユグドミレニアに協力する。カグヤもそれでいいか?」

「あっ、はい」

 

 アッハイ。

 話聞いてなかったけど、みんなで仲良くしようねって話だよね? 全然おっけーねだよ♪

 

「......もう、これは聖杯大戦なんてものじゃないな。

 天草四郎率いる人類救済陣営と、俺たちの、戦争だ」

「......そうですね」

「..................」

 

 うーん、私はもっと明るく楽しくいきたいんだけどな~。

 『さ~て! 第二次聖杯対戦っ、はっじま~るよおおおおお! どんどんぱふぱふっ♪』

 くらいなもんで!......だめですかそうですか。しくしく。

 

 

 

 

   ×   ×   ×   ×

 

 

 

 

「......キャスター、仲間になるという貴女にお聞きしたいことがございます」

「ぬ?」

 

 しばらく話してたら、私の話になって、ナウでパンツさんに疑いの目を向けられてます。コワイ!

 

「元より、赤の陣営を寝返ってまでこちらについた者として、赤のセイバーともども我々は貴女を大なり小なり警戒しています。

 そしてキャスター、貴女に関しては戦争当初から謎が多く、バーサーカーとライダーの敗退に深く関わっている要注意人物です。できれば、皆の前で話をしてもらいたい」

「ば、バッチコーイ......!」

 

 パンツさん目が怖いよぉ~......ふんだっ、それが人にものを聞く態度かっ。人にものを聞くときは謙虚な態度でって、先生に教わらなかったのかっ。

 

「では単刀直入に。私がお聞きしたいのは、あなたの()()()()()、そして()()についてです」

「おっ」

 

 おっ。

 

「アーチャー! それは......!」

「サーヴァントにとっては御法度、伏して然るべきもの。尋ねることそのものが浅ましく、失礼極まりないもの......そうだということはわかっています。

 ですが、あえて問いたい。聖杯大戦の初期から行動の真意が読めず、正体不明な貴女に」

「......だそうだ。どうなんだ、カグヤ?」

 

 うわー、これあれだ。

 パンツさん、怒ると怖い系の人だ......

 それはともかく、スキルに能力に出自っと。

 

「それくらいなら別にいいよ?

 真名は"×××"! でもこれ月の言葉だから、今はわかりやすく"カグヤ"って名乗ってて、その昔―――」

「ちょっ、ちょっ、ちょっと待て待て待て!」

「うぇ!? なになになに!?」

 

 ぶー、なんだよーカウレスー!? 人が景気よく話し始めたってのにー!

 

「そ、そんな簡単に話していいのか!?」

「ん、別にいいんじゃない? 私の正体がカグヤ、つまり"なよ竹のかぐや姫"ってことはもう知られてるわけだし、これからは仲間なんだから、スキルとかくらいいいっしょ♪ ねーマスター♪」

「ああ、俺は構わない」

 

 てか、仲間なんだから隠し事なんてしないと思ってたくらいだよ。そりゃあスリーサイズとか聞かれたら頭抱えちゃうけど、貴女は誰? とか、何処から来たの? とか、Youは何しにルーマニアへ? とかならいくらでも答えるよ。

 

「......そうなのか。なら、お願いしよう」

「おっけー♪

 それでは、まずはステータスから―――」

 

 ということで、私はサーヴァントとして与えられたステータスやスキルのほぼ全てを教え尽くすことにした。

 ステータスで筋力Bって言ったときだけ変なものを見る目をされたけど、それ以外は反応が薄かった。まあ幸運以外貧弱だからね。

 

「んで、クラス別スキルが道具作成と単独行動。つっても道具はあの薬しか作れないし、単独行動はランク低いから大したことないよ。

ほんで固有スキルってのは三つ。成長ってのと、魅了ってのと、トラブルメーカーっての」

 

 そんでもってスキル。

 言うても、成長はほぼ死にスキルで、魅了は同性相手に効果薄いし、トラブルメーカーは何が起こるかわかんないしで、全部何に使えばいいんだかパラッパラッパーケセランパサランなんだけどね。

 

「トラブルメーカー......」

「トラブルメーカー......」

「トラブルメーカーですか......」

「トラブルメーカーかあ......」

 

 ......トラブルメーカーだけやけに冷ややかな目で見られました。何か私やっちゃいました?

 

「これくらいかなー」

「......他には? 戦闘用のスキルや、宝具などは?」

「無いんじゃないかな―――」

 

 

 バチッ

 

 

「―――い゛た゛い゛!?」

 

 しびびびっ!?

 ......あー、 めんごめんご、貴女のこと忘れてた。

 

「......キャスター?」

「あー......カウレスくん、後でお話があるんだけど、いいかな?」

「?......別にいいけど......」

 

 ここは、元マスターの彼に聞いてみよう。

 正直私も、()()()()()()()()()()()()()も、なんでこうなったかわかんないし。

 

 

 

   ×   ×   ×   ×

 

 

 

「......大変なことになってるみたいだな......」

「そうですね、なんでこうなったのでしょうか......」

 

 ミレニア城塞、談話室。

 会議を終えたあと、アカとルーラーはこの場所で話をしていた。

 

「......アカ君、改めて問います。こんな状況になってしまった戦争のなかで、あんなサーヴァントと一緒に勝ち進む覚悟はございますか?」

「ある。問われるまでもない。俺はライダーに勝てと言われた。願いを叶えろと言われた。ライダーのためにも、俺自身のためにも、勝つ」

「......覚悟は硬いようですね。失礼しました」

「ああ。ありがとう、ルーラー」

「へ?......はいっ、どういたしまして」

 

 傍から見たら、良きマスターとサーヴァントの関係にしか見えない両者。

 だが残念、このマスターのサーヴァントの席は既に残念なやつが取ってしまっているのだった。合掌。

 

「敵は、天草四郎という者か」

「そのように考えて相違ありません。

 天草四郎時貞。第三次聖杯戦争を生き残り、受肉したルーラーのサーヴァント。それが彼の正体です」

 

 会議では、現状整理やアカのキャスターのことだけでなく、様々なことが話し合わされた。

 判明した赤のマスター、天草四郎の企み。

 黒のアサシンと思われる襲撃者のこと。

 敵の空中庭園への侵入方法。

 他には内政的なものがいくつか。どれもこれもが難しく、フィオレを筆頭に頭を悩まされていた。

 

「赤のセイバーとそのマスターは、どうして別行動なんか......」

 

 

『今日の会議はここまで。明日、セレニケとロシェを加えて改めて会議を開きたいと思うのですが』

『ああ、俺とセイバーはパスだ。あんたらユグドミレニアとは別行動をとりたくてね』

 

 

「おそらく、出身が赤の者であることを重く見て、黒の陣営と必要以上に関わることはすべきでないと判断したのでしょう。

 獅子劫界離、彼はフリーランスの賞金稼ぎを生業としていました。赤の陣営にいたころも単独行動をとっていたことから、元々馴れ合いを好まない性格なのかもしれません」

「......同じ敵を倒そうっていうのに、人は協力することができないのか......?」

「......アカ君、人の感情とは、理屈だけではどうにもならないことばかりなのです。少しずつ、少しずつ勉強していきましょうね」

「......ああ」

 

 生前に人を導いた者として、あるいは人生の先輩として、ルーラーはアカの支えになれればと強く思い、今もこうして、彼のサーヴァント以上に彼に寄り添う。

 その甲斐あって、不安そうだったアカの表情が、少しだけ柔らかくなった。

 

「アカ君、このあと一緒にトゥリファスを見て回りませんか?」

「......いや、すまない。これからカグヤと一緒に陣営のみんなに挨拶回りに誘われているんだ」

「......変なところで律儀なサーヴァントですね」

 

 一方、ルーラーは呆れさせられてばかりである。

 

「......でしたら、アカ君からキャスターに聞いてほしいことがあるのですが......」

「?」

 

 

 

 

   ×   ×   ×   ×

 

 

 

 

「いやー、みんなイイ人だったね!」

「......そうだな。イイ人でよかった」

 

 黒の人たちへの挨拶回りも無事に(?)終わって、見せたいものがあるってマスターを誘ったお昼過ぎの地下室。

 

 

 

『パンクラチオンです』

『パンツライオン』

『パンクラチオンですッ!』

 

 フィオレちゃんとアーチャーさんは真面目な人だった。でもアーチャーさんの名前はパンツさんじゃなかった。ちょっと怒らせちゃって、追い出された。

 

 

 

『ちょっと手貸して』ニギッ

『な、なんですか......』

『バーサーカーちゃんマジック♪』ビリッ

『いって!? 何するんだよ! 出てけ!』ポイッ バタン

『開けてよぉ~、ちょっとしたいたずら心だったのよぉ~......!』

 

 カウレスくんは頭がいい人そうだった。バーサーカーちゃんのことを伝えようとしたんだけど......失敗しちゃった♪

 明日にでもちゃんと伝えようと思ってる......思ってるよ?うん思ってる。

 

 

 

『まさか、あんたとも同じ陣営になるとはな。何かの縁だ。よろしく頼む』

『よろしくお願いしまーす♪』

 

 獅子劫さんは協会に案内したときと同じように気楽に接してくれたよ。ヤのつく自営業の人ってあんな感じなんだね。

 でね、行けると思って赤のセイバーさんにお父さんの話を聞いたら......

 

 

 

『ねえ赤のセイバーさん』

『ん? あんだ?』

『お父さんはどんな人だった―――』

『ッ!!』ミシミシッパキッ

『ヴェ!?』

『......気安く、父上に関わろうとするんじゃねぇぞ!』

 

 グラスをパキッとやったセイバーさんにあっちいけシッシされました。逆鱗に触れたって感じ。やっぱヤンキーだった。でも父上呼びはちょっとホッコリした。

 

 

 

『ゴルドおじさんはどんな魔術を使うんですか?』

『錬金術』

『へぇ~、よくわからないですけど凄いですね。セイバーさんも強そうですし!』

『そうか』

『はい~......えーっと......』

 

 ゴルドおじさんと黒のセイバーさんとは、結構淡々とお話しした。仕事してるみたいだったし、迷惑だったかなーと思ったんだけど......

 

 

 

『手を貸せ』

『ん? ビリッとする?』

『そんな危険なことせんわい......いいからよこせ』

『ふぁっ......お? なにこれ? どこからか魔力が送られてくるよ?』

『完了だ。ふん、もう出ていっていいぞ』

 

 なんと、私が魔力貯水槽から魔力を得られるようにしてくれていたみたい! 今はまだ全盛期の二割くらいしか出力を発揮できてないけど、頑張れば七割くらいまで修復できるんだって! ゴルドおじさんすごーい。

 

 

 

「うんうん! みんなイイ人だ!」

「ああ......本当にみんないい人で良かった。

いい人じゃなかったらぶっ飛ばされてるからな......」

 

 アカ君も安心したんだろうな、息を長く吐いてるよ。良かった~、アカ君の周りにワルイ人が近づくようなことがないか、お姉さん心配してたんだからね?

 

「......カグヤ、一つ聞きたいことがある」

「はいはい! なんでしょうか!」

 

 何だか改まって質問された。別にそんな畏まらなくても、私は君の質問にならいつでも正直に答えるよ♪

 

 

「カグヤ、貴女は、飛べるのか?」

 

 

 ......あちゃー、そうきたか~......

 

 

 

 

   ×   ×   ×   ×

 

 

 

 

『我々の陣営が天草四郎の空中庭園に乗り込むとき、一番の懸念事項は何だと思いますか?』

『多すぎてわからないが......空を飛ぶ戦力がないことか?』

『その通りですカウレスくん。元々黒の陣営には、この世ならざる幻馬ヒポグリフを持つライダー以外の飛行戦力がありませんでした。そしてそのライダーが倒されてしまった以上、現状の我々には飛行戦力がありません。

 この状態であの空中庭園と真っ向から戦おうものなら、防御を一切合切気にしなくていい赤のアーチャーとライダーとランサーの猛攻に加え、アサシンの城塞さえ物ともしない魔術砲撃を浴びることになります。』

『アーチャー、そんな中を我々が飛行機数十機のみで切り抜けられる方法はありますか?』

『はっきり申します。存在しません。

 私の弓とて、ライダーを射抜くには時間と根気を必要とします。その間に足場である飛行機を容赦なく攻撃されるでしょう。

 黒のセイバーなら赤のランサーを相手できるでしょう。しかし、魔力放出を持ち空を翔るランサー相手に、飛行機という限られた足場では不利なことに違いありません。

 そして何よりも恐ろしいのは、赤のアーチャーの持つ対軍宝具です。あれを止められる術の無いままに飛行機で空中庭園に近づくことなど、自殺行為としか思えません』

 

 

 

「ルーラーから聞いたし、俺自身も気づいた。

 カグヤはあの話をしていたとき、何かを言いたそうにしていた、と」

 

 う、顔に出てたか。

 そりゃあ、ねえ。元の体ではあの子とドンパチやるときにブイブイ飛びまくってた身として、言いたいことはあったよ。元の体を持ってこれたらな~って。

 それに、ちょっとした心当たりもあったし。

 

「そしてルーラーと共に話をしていて、赤のランサーが魔力放出で飛んでいたという話で思い出したんだ。俺とカグヤがサーヴァント契約する前に、カグヤも魔力放出で突っ込んで来ていたことを」

 

「お久しぶりいいいいいいい!!」

『 我 が 神 は こ こ に あ り て 』(リュミノジテ・エテルネッル)

 

 カーン!

 

 そんなこともあったねぇ......

 

「改めて問う―――カグヤ、貴女は飛べるのか?」

「..................うん、飛べる」

 

 まさにさっきアカ君が言ってた話。あのときにいろいろ考えてた。カグヤとしての力、バーサーカーちゃんの力、そして"私"の力を組み合わせれば、飛べるんじゃないかなって。

 アーチャーさんが言ってた。天草四郎を倒すには、飛べる人が必要だって。そしてアカ君もそれを求めているし、私自身ライダーちゃんと勝利を約束した。

 

 ごめんね永琳。これは、隠してはおけないよ。

 私の秘密、幻想の力を。

 

「......そうだったのか、それなら―――」

「―――さて、そんなアカ君に問題です!」

「―――え?」

 

 うっしゃ! 折角のお披露目、楽しくアゲアゲで行こうじゃないの!

 

「ででん! 私はなんでアカ君をこんなところに呼んだんでしょうか!」

「......わからない」

「うん、だよね!

 じゃあ、ここはどんなところですか?」

「......何もない地下の一室だ。日も射さず、床だけは舗装されてしるが壁はただのコンクリート」

「その通り!」

 

 うむ、実にその通りだよアカ君♪

 ここは日の射さない―――もっと言えば月の光も届かない―――ただの空間。

 

「私がアカ君をここに呼んだ理由......それは、私の()()を見せたいから」

「本気......?」

「そうだよ。これがサーヴァント"()()()"と、"()()"の合わさった私の本気―――目を瞑っちゃ、やだよ?」

 

 自分で開発して自分で名付けたこのスキル。ぶっつけ本番でアカ君に見せちゃう五秒間。

 行くぞ、アカ君。魔力の貯蔵は充分か?

 

 

「月など届かぬ、不死の輝き―――

 

―――"狂姫"! そして、"竹取飛翔"!」

 

 

 

 

   ×   ×   ×   ×

 

 

 

 

「いらっしゃい、アカ君」

「......こんにちは」

「珍しいですね、アカ君が私の部屋にいらっしゃるなんて。もしかして忘れ物がございましたか?」

 

 それは昼過ぎのことだった。

 少し前にキャスターとともに挨拶回りに来たアカが、再びフィオレの部屋を訪れた。

 

 

「フィオレさん、頼みたいことがある」

「......はい、なんでしょう」

 

 どこか表情が真剣なアカの様子、いったいどんな真面目な悩みがあるのか、フィオレも緊張に顔を強ばらせる。

 

「食べ物がほしいんだ」

「......はい? 食べ物、ですか?」

「ああ、食べ物だ」

「......それだけですか?」

「ああ」

「..................」

 

 そんだけかい、と。

 フィオレは安心を通り越して呆れた。

 

「......わかりました。どのような食べ物ですか?」

「助かる。なんでもいいから、とりあえずカロリーが高めのものを五千食、と言っていた」

「......はい? 五千食、ですか?」

「ああ、五千食だ。地下の一室に運ぶまでお願いしたい」

「......そんなにですか?」

「......そんなに、らしい」

「..................」

 

 最初は、てっきりアカ君のお腹が空いただけだと思っていたフィオレだが、話を聞くにあのキャスターの頼みごとだそうだ。

 そんなにかい、と。

 フィオレは呆れを通り越して笑えた。

 

 

 

 

   ×   ×   ×   ×

 

 

 ~~時はキャスターの本気終了時点~~

 

 

 

「よっ、と。どんなもんよ?」

「す、凄かった......」

「でしょでしょ? でもマスターの魔力供給も凄かったよ~って......ありゃりゃ目が回る......」

 

 竹取飛翔、うまくいきました!

 これなら実戦でも使えそうだね!

 

「大丈夫か?」

「う~ん、多分大丈夫~......それでねマスター、私はこれから陣営のみんなを呼んでこれを見せようと思うの」

「そうか」

「うん。でもその前にちょっと休憩する。お姉さん目が回っちゃって......その間にマスターには、フィオレさんに頼みを言ってもらいたいんだな」

 

 うん。ちょっと魔力が欲しいからね。

 ()()()()()()()()()

 

「あと、この部屋もらうってのも言っといて! 」

「もらう......? 何に使うんだ? カグヤも自分の部屋はもらっているだろう」

 

 うん、赤の陣営にいたときに負けない部屋をもらったよ。でも私はこの地下深くの暗い部屋がいいんだ。

 月の光が射さない、広いだけのどこにでもありそうな地下室だけど、だからこそ、私の()()には相応しい。

 

「アカ君! 今日からここを、アカのキャスターである私の"工房"にします!」

 

 

 

 

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