「・・・・・・・・・・・・・・・。」
穂乃果たちがいなくなったのを確認すると男は
「いきゃしたぜ、旦那。」
ベンチの後ろにある草陰に声をかける。
ガサゴソ
「いや〜、助かったぜ。ありがとな、竜!」
「全く。ひどい目にあったわ。」
草陰から葉とにこが姿を現す。
パッパッ
二人は身体中に張り付いた葉っぱやコケなどを払い落す。
「しっかし、何で追われてたんですか?」
リーゼントの男は心配そうに問いかける。彼の名は梅宮竜之介。『木刀の竜』の通り名を持つベストプレイスを探す永遠の旅人である。
「そうよ。あんた一体何したのよ?」
竜の言葉ににこも葉に視線を向ける。
「う〜ん、オイラにもよく分からねえんだ。」
あははと笑いとばす葉。
「『・・・・・・・・・・・・。』」
そんな彼を呆然としながら見つめる竜とにこ。
そして翌日。
「ふっふふふふふふふふ。」
サングラスとマスクで顔を隠しながら、コンサート会場の列に並ぶにこ。マスクで隠しているものの、その口元は明らかにニヤけている。まさか財布を拾っただけで、こんな美味しい思いができるなんて。やはり人間はコツコツ真面目に生きるべきだ。これは日頃がんばっている自分へのご褒美に違いない。にこは今日初めて神様に感謝した。
そしてコンサート会場の駐車場。
ブーン
ブロロロ
「竜、助かったぜ!」
「いいってことっすよ!それより急がないと間に合いませんぜ!」
「あっ、本当だ!わりい、それじゃあな!!」
竜のバイクでコンサート会場に送ってもらった葉。とある用事でにこに連絡をとった葉。だが時は既に遅く、彼女はコンサート会場に出発していたので、こうして彼女を追いかけてきたのだ。
そして数分後。
ゴソゴソ
「あれ、あれ、あれ?」
鞄をお急ぎであさる元μ'sのメンバー、矢澤にこ。
ガサゴソ、ガサゴソ。
「お客様、どうかしましたか?早くしてください!」
昨日、葉から貰ったコンサートチケットを必死に探す。確かに昨日はちゃんとあったはずなのに。
「ない、ない、ない。」
「困りますよ、お客さん!!」
そしてさらに数分後。
「う〜んと、どこだ?」
会場についた葉は大急ぎでにこを探し始める。その手にはにこが落としたライブのチケットが握られていた。
「あっ、お客さん!もう始まってますよ!」
側にいたスタッフが葉の腕を掴むと、そのまま会場の中へと入っていく。
「まいったな〜っ。」
まさかこんなことになるとは、流石の葉も頭を抱える。なぜかと言うと、会場の中は人混みが多いのでまともにたってもいられない。