夕方五時、学生や社会人が帰宅するこの時間。彼女はこのバスに乗っていた。名は矢澤にこ、元μ'sのメンバーで、穂乃果たちが通っている音ノ木坂学院の卒業生でもある。
「・・・・・・・・・・・・・・。」
大学の授業を終え、妹たちが待つ家に帰宅途中。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
雨が降っているせいか、外は真っ暗。おまけに彼女以外に人は乗っていない。
「!?」
窓の外に視線を向けると、公園で青年が大勢の不良たちに絡まれていた。
(どうしょう!?どうしょう!?)
突然の事で彼女は内心焦り出す。だがしばらくすると
「!?」
何かが青年の後ろで光かりだした。青年は右掌を天高くあげると、光が掌に集まってきた。
「くっ・・・・・・・!?」
にこは急いで席を立ち、運転手に駆け寄る。
「止めて!!!」
にこの言葉に運転手は面倒くさそうに
「次の停留所はすぐそこだよ!座ってお待ち・・・・」
答えた。
「いいから止めて!!!!!」
運転手の制しを振り切り、にこはその場でバスを降りる。そして来た道をそのまま戻り始めた。
そして数分後。
「あれ!?」
やっとのおもいで公園に辿り着いたにこ。だがそこには人どころか、ゴミ一つ落ちていない。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
そのまま辺りを見渡すが特に変わった様子はない。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
夢でも見ていたのか?そんな言葉が頭を横切る。
「そんな・・・・・でも私は本当に・・・・・・・・・・・」
そして次の日、あるデパートの屋上ではヒーローショーが行われた。
「頑張れー!!!!」
黒髪の小さな男の子がピコピコハンマーを持って応援していた。そしてその横には左右対称のサイドテールの双子の女の子とツインテールの女の子が座っていた。
「虎太郎、喜んでますわね。」
「毎週テレビを見てたもんね。」
ショーに夢中な三人を尻目ににこは昨日の出来事を思い出す。昨日の頭にヘッドホン、足に木製の便所サンダルを履いた青年。
そして彼の掌に集まった光。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「お姉さま?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「お姉さま!」
「えっ!?なっ、何!?」
突然声をかけられ、慌てふためくにこ。
「どうしたんですか?」
「ため息ばかりついて?」
「なっ、なんでもないわよ。」
そう言いながら苦笑いするにこ。そんな彼女を妹たちは心配そうな顔で覗き込む。
(あれは一体、なんだったのかしら・・・?)