「ふぅー、何とか撒いた見てえだな。」
そう言いながら青年はその場で腰を下ろす。激闘、五時間半。ついに地上最強の鬼ごっこにピリオドが打たれた
かに思われた。
「見〜つけた!」
ガシッ
「!?」
後ろで声がしたと同時に腕を掴まれる。
「さあ、大人しく訳を聞かせて!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
その頃、路地裏では。
「なあなあ、暇なら俺らと一緒に遊ぼうぜ?」
「・・・・・結構です。私たち、ちょっと急いでるんでこれで失礼します!!」
青年を追いかけていた真紀と絵里。だが不運にも彼女たちは三人の不良高校生達に遭遇してしまった。真紀は何とか不良達の横を通り抜けようとする。
「そんなこと言わないでさぁ」
ガシッ
だが、不良の一人に腕を掴まれてしまう。
「やめて!離してよ!」
「いやいや!誰か助けて!」
泣き叫ぶ彼女たちだったが、人気がないせいか誰も駆けつけて来ない。
ぷー、ぷー。
「おっかしいな。」
携帯で絵里たちに連絡するが一向に繋がらない。
「オイラ、ちょっと用事があるんだけど・・・・」
そう言うと青年はその場から去ろうとするが
ガシッ
腕を強く掴まれていて逃げられない。そんな青年を無視し、もう一度電話をかける希。
そして数分後。
真紀と絵里はどこかの倉庫に連れてこられ、縛られて椅子に座らされていた。そんな彼女たちを見ながら、いやらしい顔をした不良が口を開く。
「おい、見ろよ!!こいつらμ'sの西木野真姫と絢瀬絵里だぜ!」
「マジ!?うわ、本物だ!?」
不良たちが彼女たちを見て驚きの顔をする。
「ごめん、エリー 巻き込んじゃって。」
「大丈夫、気にしてないわよ。」
(何でこんな事になっちゃったのよ。元はと言えば全部あいつが悪いんじゃない。)
責任を一方的にこの場にいない青年に押し付ける真紀。すると不良たちはニヤけた顔で真紀たちに歩み寄る。
「ひっ!?いや!来ないで!!」
「いや!!誰か助けて!!」
「バーカ、そんなんで助けがくる訳ねーだろ!!」
すると後ろで声がした。
「真姫ちゃん!!えりち!!」
そこには見知った顔が二人立っていた。
「何だ、お前たちは・・・?」
「オッス!オイラは麻倉葉。で、こっちが友だちの東條希。」
「なっ!?・・・・・・・ど、どうも。」
いきなり自分が紹介され、不法いながらもぺこりと頭を下げる希。
「そこの二人を迎えに来たんだ。」
「迎えに?お前たち二人でか?」
そう言いながらゲラゲラと笑う不良たち。そして各々の武器を構える。
「希、ちょっと下がっててくれ。」
「???」
言われるがまま希は青年と距離を取っていく。
「ちょ、ちょっと何やってんのよ!?早く逃げなさい!!」
慌てふためく真紀に比べ青年はどっしりと構えている。
「だから大丈夫だって・・・・・・」
「無茶よ!あなた一人じゃあ・・・!?」
「一人じゃ、ないさ!!!」
その言葉を合図に青年の背中に巨大な光が現れる。