2015年 5月
「行け、仮面ライダー」
この世に数え切れないほどの数がある平行世界のうちの1つ「仮面ライダードライブの世界」の日本の工場地帯。その世界の中核を担う存在である仮面ライダードライブとその仲間の仮面ライダーチェイサーと、俗に言う「人類の敵」である機械生命体「ロイミュード」の幹部ブレンに指示され彼らに襲いかかる仮面ライダーマッハ、オープンロイミュードによる戦闘が行われていた。
「剛・・・お前!?」
味方であったはずのマッハの容赦ない猛攻にドライブは狼狽えながらどうにか対処しようとするが、強い殺気を込められた攻撃をまともに食らってしまい吹き飛ばされてしまう。本来なら市民の平和を守るために戦うはずの仮面ライダーたちによる仲間割れ。その様子を近くの工場の屋上から見ている者がいた。
「ゲゲ・・・」
黒いモヤのような身体に赤い目の生命体「バグ」。彼らは平行世界を移動する能力を使い、平行世界を滅ぼさんとする生命体であることなど、少しずつではあるがその生態が解明されていってはいるものの、バグが生まれる理由や方法などまだまだ分かっていないことが多いほどの謎が彼らには残っている。
「ゲゲゲ・・・ゲッ!?」
バグはドライブたちに奇襲をかけるために建物の屋上から飛び降りようとするが、突然勢いよく吹き飛ばされ、壁に強く叩きつけられる。
「ようやく見つけたぞ・・・まだミュータントにはなってないようだな」
バグは急いで体勢を立て直し、声のした方を睨みつける。そこには紫のラインの入った白い服を着た青年がバグを睨みつけるようにして立っていた。バグを吹き飛ばした青年は何かを確認するかのようにバグの全身を確認し、腰に着けたホルダーからバックルを取り外し腰の位置に構える。すると、バックルからベルトが飛び出し、青年の腰に巻きつくと自動的にロックされる。
「変身!」
【GANBASYSTEM ALL CLEAN CHANGE CROSS ON】
青年はカードを取り出して掛け声を叫ぶと、腰に巻いたベルトのバックルに1枚のカードを入れた。バックルから電子音が鳴ると青年の体が眩い光に包まれ、バグは思わず目を逸らす。光が消え、バグが青年が立っていた場所を見ると、そこには白いラインの入った黒いアンダースーツに、紫のアーマーを着けた仮面ライダーのような戦士が立っていた。
「ゲゲッ・・・!?」
バグは姿が変わっていった青年を見ると、驚いたような声を上げる。
「驚くほどのものじゃないだろう。まぁいい、さっさと狩らせてもらうぞ」
「ゲ、ゲェェェ!!」
バグは雄叫びを上げながら戦士に突撃する。それを見た戦士はバグを避けながら後ろ蹴りでバグを蹴り飛ばすとベルトに手をかざす。すると戦士の胸の前に透明なパネルのようなものが現れる。
「さっきコピーしたものの試運転といこうか」
戦士はそう言いながらパネルを操作し、先程バグを見つける直前に見かけた仮面ライダーチェイサーの武器をパネルに表示させ、それを選択する。
【WEAPON SINGOAXE】
ベルトから電子音声が鳴ると、戦士は右手を横に伸ばす。手を伸ばした先には仮面ライダーチェイサーの武器「シンゴウアックス」が現れ、戦士はそれを掴む。そしてそのままシンゴウアックスを大きく横に振るい、バグを斬りつける。
「ゲゲェッ!?」
その一撃でバグは怯み、動きが止まる。バグが見せた隙を戦士は見逃さず、もう一度シンゴウアックスを振るってバグを斬り飛ばす。
「ゲ、ゲゲ・・・」
吹き飛ばされて地面を転がっていき、再び壁に叩きつけられたバグは斬りつけられた部分を苦しそうに抑える。
「重心が先端に偏っているから片手では勢いで振るうしかないし両手じゃないとかなり扱いにくいが、その分威力は高いか。ふむ、気に入った」
戦士はシンゴウアックスを眺めながら呟くとシンゴウアックスを引きずりながら走りだし、フラフラと立ち上がったバグに追い打ちをかけるようにシンゴウアックスを何度も叩きつける。そして、シンゴウアックスを馬具に引っ掛けるとそのまま横に投げ飛ばし、再びベルトに手をかざす。
「ミュータントとなる前に倒させてもらう」
【ATTACKFUNCTION CHASER!】
ベルトからまた電子音声が鳴ると戦士の手元に透明なシグナルチェイサーが現れる。戦士はそれを掴み、シンゴウアックスのシグナルランディングパネルに装填しようとする。しかし
「何・・・っ!?」
突然現れたバットバイラルコアが戦士の手に向けて突撃し、戦士はシグナルチェイサーを落としてしまう。
「何ッ!?」
バイラルコアの乱入により落としてしまったシグナルチェイサーを戦士は急いで拾いあげる。邪魔をしてきたバイラルコアはどこへ行ったのか探すために戦士は周りを見渡すと
「しまった、融合が始まったか・・・!!」
邪魔をしてきたバイラルコアはバグに吸収されていて、融合を始めていた。バグには進化態の「ミュータント」と呼ばれる形態がある。バグが滞在している平行世界特有のアイテムと融合することで進化態になることができるのだ。バグはミュータントになることで、融合したアイテムに縁のある特殊な力を得、攻撃力や機動力が格段に上がってしまうのだ。戦士の目の前にいるバグはバイラルコアと融合が完了し、バットロイミュードに酷似した姿に変わる。
「面倒なことになったな・・・ん?通信?」
戦士はミュータントに進化したバグにどう対処するべきか悩んでいると、バックルに通信が入ったため物陰に隠れて通信に受け答えし始めた。
『あ、やっと繋がった!リョウヘイさん、やっと繋がりましたよっ!』
リョウヘイと呼ばれた戦士はため息をつきながらその通信の相手と話し始める。
「何の用だ」
『もう、冷たいなぁ・・・ようやく繋がったんだから喜んでくれたっていいんじゃ』
「今こっちはお取り込み中だ。そんなこと話しに通信を繋げたなら今すぐに切るぞ」
それを聞いた通信相手は戦士のカメラ映像を確認し既に戦闘に入ってると気づき、慌てた様子で戦士に声をかける。
『え、あれぇ!?もう戦闘に入ってたんですかぁ!?』
「あぁ。しかもたった今進化したところだ」
戦士からの返答に通信相手は、さらに取り乱す。
『あわわ・・・それってヤバいんじゃ・・・!』
「まぁな」
この通信の間、周りの様子を伺う様子はあるものの全く攻撃をしてこないコウモリ型のミュータントを不審に思いながら戦士はそう返す。
『で、敵の形状は!?』
「コウモリだ。おそらく、バイラルコアの影響だぐぅっ!?」
戦士がミュータントの特徴を通信相手に伝え、ミュータントに攻撃を仕掛けようと動いたところで、今まで様子を伺っているだけだったミュータントが急に動きだし、戦士に襲いかかる。
『大丈夫ですかリョウヘイさん!!』
「まだいける・・・!!」
ミュータントの突撃により戦士は壁に叩きつけられるが、すぐに立ち上がる。
『リョウヘイさん、そのミュータントに目はありますか!?』
「目?どうも、このミュータントにはないようだが?」
突然そんな質問をしてきた通信相手を不思議に思いながら答える戦士。すると
『それなら、相手は超音波を使って周りの環境を確認するタイプのコウモリのはずなんで目が見えてないはずです!』
「なるほどな」
相手の情報を通信の相手から得た戦士は仮面の下でニヤリと笑みを浮かべると、ベルトに手をかざし、武器を召喚するために操作しながら叫ぶ。
「なら・・・来い、ガンバトマホーク!!」
【WEAPON GANBATOMAHAWK】
戦士の手に灰色の斧が現れ、戦士はそれを掴む。さらに
【BURSTSYSTEM ON】
「バースト、チェンジッ!!」
戦士はそう言いながら自分の顔を外し、もう一度顔にはめ直す。すると、戦士の首に真紅のマフラーが巻かれ、さらに召喚したばかりのガンバトマホークの刃から光が放出され強化される。
「オラァッ!!」
戦士はそのまま、ガンバトマホークを地面に叩きつける。戦士がガンバトマホークを地面に叩きつけると、ミュータントの目の前に壁が出来るように地面が盛り上がる。
「キ、キィ・・・!?」
ミュータントはそのまま盛り上がった地面に衝突し状況の把握が出来ずに狼狽える。それを見た戦士は盛り上がった地面を飛び越え、上からバットミュータントに向けてガンバトマホークを勢いよく振り下ろす。
「お前は急な環境の変化に対応出来ないようだな!!」
そのまま戦士はガンバトマホークでバットミュータントを斬り上げることで空高く打ち上げる。
「キ、キィ・・・」
「今度こそ決めさせてもらう!!」
戦士はミュータントの攻撃で落としたシンゴウアックスを拾い、ミュータントに向ける。戦士はガンバトマホークを地面に突き刺し、シグナルチェイサーをシンゴウアックスにセットする
【ヒッサツ!マッテローヨ!!】
「待たなきゃいけないのか・・・だが、攻撃出来ないというわけじゃなかろう!!」
そう言って、戦士はミュータントを斬りつける。戦士がミュータントを斬りつけ、蹴りを入れると
【イッテイーヨ!!】
とシンゴウアックスから音声が鳴り、戦士はミュータントと距離を詰める
「時間だ!喰らえぇッ!!」
ミュータントはそれを避けることが出来ず、シンゴウアックスによる一閃を受けてしまう。戦士はミュータントに一撃を入れた後、ベルトに手をかざす。
【BURSTFINISH READY GO!】
「これで、終わりだァッ!!ガンバライダークラッシュッ!!」
戦士は地面に突き刺したガンバトマホークを引きずり、ミュータントにアッパーを喰らわす
「キィィィィィ!?!?」
ミュータントはアッパーにより吹き飛ばされ、空中で爆発する。それにより、バイラルコアが排出される。
「任務完了だな」
『あ、終わりました?』
「あぁ、ミュータントは倒した」
それを聞いた通信相手は「やったっ!」と声を上げ、自身の席で飛び跳ねた。
「今から帰還する」
『はいっ!お待ちしてます!』
戦士と通信相手はそう会話し、戦士は通信を切り、ベルトに手をかざす。
【RETURN】
その電子音声と共に戦士の姿は消える。その姿を影から見ていた者がいると知らずに。
「ドライブたちとは違うシステムの仮面ライダーに黒い霧のような生命体・・・調べてみる価値はありそうだね」
ガンバライジング社
「ガンバライダークロス、帰還しました」
ドライブの世界でコウモリ型のミュータントと戦闘を行っていた黒いスーツに紫のアーマーの戦士『ガンバライダークロス』がガンバライジング社地下2階のガンバライダールームにワープしてくる。ガンバライジング社とは、平行世界に現れたバグ及びミュータントに対し『ガンバライダー』と呼ばれる「仮面ライダージオウ ディケイドアーマー」を基にして作られた『擬似仮面ライダー型スーツ(通称ガンバライダースーツ)』を使い、対処する組織だ。しかし、どのようにしてそのような技術を得たのかなど、様々な点は秘密事項として扱われていて、上層部の1部しか把握していない。ガンバライダーたちはガンバライジング社から与えられた任務を終えて帰還する際、このガンバライダールームに帰還してくる。ガンバライダールームとは、ガンバライジング社設立当初からある部屋で、オペレーターたちが中央にある巨大なモニターを見ながら自身の担当のガンバライダーたちに指示を出したり、ガンバライダーたちがミッションへ向かったりミッションから帰還する際に使用される。帰還する場所は座標が入力できればどこでもいいのだが、その座標に別の人間が存在していると悲惨な事故となってしまうため、ガンバライダールームに設置してある転送装置に戻ってくるようにしているのだ。
「お疲れ、リョウヘイ君」
クロスに30代くらいの男性が話しかけてくる。
「お疲れ様です」
返事をしながら変身を解除し、クロスは『柳 リョウヘイ』の姿に戻る。リョウヘイは17歳で、5年前に偶然ガンバライダーの力を手に入れてから、ガンバライジング社に所属して毎日のように戦い続けている青年である。そのおかげでリョウヘイの腕実力はグングン上がり、今ではエースガンバライダーと呼ばれるほどの実力者だ。
「リョウヘイさん!お疲れ様ですっ!」
さらに、変身を解除したリョウヘイと男性に1人の少女が近づいてくる。
「サナエか。助かった、お前のアシストがなかったら危うかったかもしれん」
「えへへ・・・褒めても何も出ませんよ〜」
ドライブの世界でリョウヘイに通信を繋げ、アシストをしていたオペレーターの少女「真木 サナエ」が照れながら言う。彼女はある世界で大きな戦いが起きた際に襲われていた所をリョウヘイに救われたことがある。しかし、その世界はその戦いの影響で消滅してしまい、身寄りがなくなってしまったためにこのガンバライジング社に保護され、自慢のアニメ・マンガ・ゲームの知識を使ってそういったものに疎いリョウヘイのオペレーターとして活躍している。そしてその様子を元ガンバライダーであり、現在ではガンバライダーたちをまとめあげる司令官『谷本 ユウキ』が微笑ましい光景だと思いながら眺めていた。
その頃、「仮面ライダードライブの世界」では・・・
「・・・ふむ、ロイミュードとは全く違う生命体の遺伝子か。これは面白いものを見つけた」
都内某所にて胸に「004」の数字が刻まれた1人のロイミュードが作業を行っていた。
「何をしている、ロイミュード004?」
「蛮野様、実に興味深いものを見つけまして・・・」
作業をしているロイミュード004の背後にタブレットが現れる。その中にいる「蛮野 天十郎」に頭を下げたロイミュード004の手にはバグに吸収された後に回収されたバットバイラルコアが握られていた。
to be continued...