[裏技]仮面ライダーゲンムVS魔法少女おりこ☆マギカ ロンリー・プレイヤー 作:柳川 秀@尾上 愛【新人Vtuber】
「えへへっ、やった! 織莉子からのプレゼント!」
ちょっとゴスロリな衣装のウサギのキーホルダー。
襲う魔法少女を探しに街を歩きながら、何度も何度も掲げては跳ねて喜ぶ。
宝箱作らなきゃ! 毎日手入れして百年使うんだっ!
私たちの愛を示す永遠の証に――。
「……織莉子」
書斎にいる私を見付けた時、織莉子は疲れた顔してた。
お腹空かせてたのかな? 眠かったのかな? 学校でヤなことあったのかな?
……さみしいのかな?
「悲しいなぁ」
織莉子がお腹空かせてても、私はごはんになってあげられない。
眠たがっててもベッドに変わってあげられない。
イジメる奴らを殺してあげることも……ソイツが魔法少女じゃなきゃできない。
「私にできることしかできないのは悲しいなぁ」
世界はくだらない、つまらないばかりで、織莉子だけが特別で、なのにみんな織莉子を傷付ける。
私が、私だけが織莉子の完全な味方。
「……もっと早く?」
また自分の思考に変な引っ掛かりを覚えた。
デジャヴとは違うけど、私はなにか勘違いしてる……?
ドンッ!
「わっ!」
考え事してて前方不注意だったからか、女の人にぶつかってしまった。
「いたた……」
「すいません! 大丈夫ですか?」
「ん~、大丈夫大丈夫」
って、向こうも歩きスマホじゃん。
ペコペコ謝ってたから責める気もないけど、気を付けてほしいよね。
「まった、くぅぅぅぅぅぅ!? な、ないっ!?」
手の中が空っぽになってることに気付いて汗が噴き出す。
織莉子からのプレゼントが! 私たちの愛の結晶が!?
「うわああああああああ!!」
ブンブン首を振って見回しても近くには落ちてない! 吹っ飛んじゃった!?
傍の植え込みも掻き分けて、その先の公園も探すけど見付からない!
「ないよ、ないよぅ! もうダメだ生きていられない! 愛は死んだ!?」
「探し物は、もしかしてこれかな?」
パニクってる私に後ろから声を掛けてきた男。
その姿よりまず彼の差し出していた愛の結晶に目が行って、私は奪い返すようにそれを取り上げる。
「会いたかったぁー! もう離さないっ!」
「フフ、愛は無事だったかな?」
「うん! お陰で愛は死なずに済んだよ!」
愛の結晶に頬擦りするとやっと落ち着いて、私は改めて彼の方を振り向いた。
背も高いし脚も長いし顔も良いし、黒いスーツも似合っている。
モデルさんか、若くしてベンチャー企業を立ち上げた風雲児っぽい。
「私は呉キリカ。恩人、キミにお礼をしたい。何か私にできることはないかな?」
「ああ、なんてナイスタイミングだ!
私はゲームクリエイターでね。丁度新作のテストプレイヤーを探していたんだ。
もしよければ、このゲームをプレイして感想を教えてくれないかな?」
爽やかな笑顔で差し出してきたのは白い携帯ゲーム機。
「もちろん!」
テストプレイヤーなんて滅多にできることじゃない! 喜んで引き受けよう!
機械のロゴはGENM CORP……ゲンムコーポレーション?
私もゲームは結構するけど、聞いたことない名前だなぁ。
「ギリギリチャンバラCは
操作方法についてはチュートリアルがあるから安心してほしい。
今回のテストは戦闘だけ。その他のシステムについて複雑に考える必要はないさ。
気構えずリラックスしてプレイしれくれればいいよ」
ベンチに誘導されながら説明を受けて、私は座って電源を付けた。
「さぁ、レッツ・ゲーム……」
出てきたのは
簡単なチュートリアルの後、早速バトルに入る。
たしかに一発でHPがゴッソリ削られるけど、こっちもほぼ一発で敵を倒すことができるね。
アクションも爽快だし、ハラハラと緊張感が続いて、ワクワクも止まらない……。
「すごい……すごいよ、コレ!」
「楽しんでもらえて嬉しいよ。だが、そろそろボスが出てくる頃だ」
上空から襲い掛かってきた、
「へっ……?」
反射的に指がボタンを押していて、でも鎌は
その亡骸を抱えて青い敵はこっちに目を向ける。
今ここでお前を消してやるという目を。
「これは――!?」
≪ガシャット!≫
隣の恩人は立ち上がり、腰に不思議なベルトを巻いていた。
ゲームカセットみたいなのを刺して、キャラセレクトして、パネルみたいなのを被って。
黒いボディに紫のパーツ、真っ赤な目……ゲームキャラみたいなのに変身した!?
「恩人……キミは一体何者だいッ!?」
「奇跡を望み続けた魔法少女たち……。
今、その願いがゲームへと引き継がれるゥ!
祝え、新たなる檀黎斗の誕生を!!
ブェーハッハッハッハッハッハッハ!!!」
――美国織莉子は救済を成す白い天使だ。
でも私はその瞬間、破滅を導く黒い【悪魔】の存在に気付いた。