[裏技]仮面ライダーゲンムVS魔法少女おりこ☆マギカ ロンリー・プレイヤー 作:柳川 秀@尾上 愛【新人Vtuber】
嵌められた。
市議会議員で満足していれば良かった。
国会議員の席をほのめかされて、私は犯罪者に貶められてしまった。
八重樫健三郎は、はじめからそのつもりだった。
政敵である私の兄の公秀を陥れるために、肉親である私に汚職疑惑を被せた。
私はまた捨てられたのだ。
どうしようもなくこわいのだ。
父に捨てられた時からずっとこわい。
無能であるからと実父に切り捨てられた。
美国家の敷居を跨ぐことすら許されなかった。
私は、私が生きる意味がわからなかった。
せめて我が子を愛す父であろうと
由良子が亡くなって織莉子は変わってしまった。
泣き虫だったあの子が全く泣かなくなった。
なんでも卒なく熟すようになり、人望を集め人の上に立つようになった。
僕の子とは思えない程に
僕はこわい。僕は知っている。
能力高く、人望があり、微笑みの中に冷たさを湛えた人間を。
もう疲れた。
「あああああああああああああ!!」
目が覚めるや否や、悲痛な叫び声とガシャンと何かが割れる音でベッドから跳び上がる。
ここは……織莉子の部屋?
檀黎斗とかいうヘンテコな奴に殺されそうになって、それから織莉子が助けに来てくれたんだっけ?
体には怪我一つない。きっと織莉子が回復させてくれたんだ。
「あああッ!!!」
ガシャン! パリン! ドサッ!
リビングに駆けつけると、そこでは織莉子が高価そうな壺やら絵画やらを次々に床に叩きつけていた。
一心不乱に、ううん、乱れ切っている彼女を慌てて抱き抑える。
「織莉子やめて! 手が血だらけじゃないか! こんなのキミらしくないよ! ……見たの?」
美国久臣の手帳。
絶対に見せちゃいけなかったのに!
「……私らしいって何?」
ドンッと突き飛ばされた。織莉子に拒絶された。
「文武両道? お嬢様? 人望厚い生徒会長様?
くだらない。美国に相応しいお父様のため? それがお父様を殺したのに?」
「それは違うよ!」
「ねぇキリカ、私気付いたの。
私が生きる意味を知りたいって願って視えたのは終末の魔女だった。
これってきっと……ふふっ!
「織莉子……そんな、そんな――」
そんな悲しいこと言わないでおくれよ。
「私のせいで小巻さんも行方さんも死んだ! 貴女の心だって壊してしまった!
何も知らない少女を殺して、その子を守る友達すら殺そうとしてる!
いくら信じようとしても……何度も私に問い掛けてくるの……。
私と同じ、独り善がりに救済を成そうとした檀黎斗が!
織莉子織莉子って……私は織莉子をやめたいの!!」
「――許さない。織莉子をやめるのは、許さないよ」
睨みつけてくる織莉子の目を、私はただ真っ直ぐに見つめ返す。
「織莉子、私の告白を聴いてほしい」
まだ幼かった頃、
席が隣だからとか家が近所だからとか名前が似てるからとか、そんな簡単な理由で相手を友達と信頼してしまう。
私は愚かな子どもだった。
「えりか、転校しちゃうの!?」
「多分、父さんと母さん離婚しちゃうと思う。そしたら母さんと一緒に行くんだ。
お家も引っ越す……。あたし、転校したくないよ! キリカと離れたくないよ……」
遠くへ行っても私のことを覚えておいてくれるように。
離れ離れになっても心だけは繋がっていられるように。
彼女が好きそうなぬいぐるみを買って帰った、その途中。
私はえりかが手提げバッグの中に本を忍ばせるのを目撃した。
今思えば、両親の離婚がえりかを追い詰めていたのだろう。
止めた私を突き飛ばして走り去ったのも、ただ怖くなってやってしまったのだろう。
でもその結果、残されたバッグで私は万引きの濡れ衣を着せられた。
「えりかとキリカ、まるで双子みたいな名前だね。大人になってもずっと一緒だよ」
そう言っていたのに、えりかは私に罪を押し付けたまま黙って引っ越してしまった。
それから私は人を遠ざけるようになり、人も私から離れていった。
「大丈夫? ……これで全部かしら?」
後がつかえてるコンビニのレジで、財布の中身を思い切り散らしてしまって。
ブツブツ嫌味を言う人々に構わず一緒に拾い集めてくれた、ただそれだけ。
でも、それが私にとってどれだけ嬉しいことだったか……
毎朝駅でキミのことを見かけた。
その度に話しかけようと思ってできなかった。
くだらないお喋りをして何にもならない時間を過ごす
興味ないフリをして、みんなを見下したフリをして妬んでたんだ。
こんな私のことを気に留めてくれる人なんていない。
彼女だって、お嬢様だからきっと私とは生きてる世界がそもそも違う。
だから――
私の願いは完成する。キミのためだけに叶えられる。
次は、キミの願いを叶えに行こう。