[裏技]仮面ライダーゲンムVS魔法少女おりこ☆マギカ ロンリー・プレイヤー   作:柳川 秀@尾上 愛【新人Vtuber】

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未来を望み、未来を見つめ、何を知る?


バトル1『Whiteな私 VS Blackな私』
BATTLE 01-01 (side:magi-M.O.)


父である美国久臣(みくにひさおみ)は、汚職疑惑を警察に追及される中、それに耐えられず自殺した。

 

元々弁護士だった父は、()()()()()()()()()()に市議会議員になった。

周囲の人々も父を信頼していたし、母も応援していた。

私は――少し恐かった。

 

美国家は政治家の家系だ。

祖父は財務省の大臣で党首も務めたことのある大人物。

父の兄姉たちもまた国政を支える議員になった。

 

彼らの目が嫌いだった。

傲慢と冷徹を孕んだ目が、幼い私を見下ろしてくることが嫌いだった。

父が彼らと同じになるのが恐かった。

優しい父が殺されてしまうと感じた。

 

父が国会議員の席を狙うようになったのは、母が亡くなってからだ。

その頃にはもう、私は父を支えると決意していた。

なのに父は私を置いていってしまった。

 

 

 

美国織莉子(みくにおりこ)も落ちぶれたものよねw」

「ちょっと前までお嬢様扱いだったのにww」

「だって、犯罪者の娘よ~?w」

()()()の恥だわww」

「よく平気な顔で学校に来れるわよねぇwww」

 

白羽女学院に登校すれば、最近は毎日のようにそう陰口を言われる。

いや。私にもわざと聞こえるように呟かれるそれは、もはや陰に隠れているとも言えない。

でも私は特に気にしていないし、わざわざ反応を示す気もなかった。

そんなものに付き合うのに気力を割くのも馬鹿馬鹿しい。

 

「私だったら恥ずかしくて生きてられないわ~www」

「じゃあ死になさいよ」

 

けれど、私以外でそのことを怒る人がいた。

 

「陰口叩いて笑ってるなんて、良家のお嬢様も知れたものね!」

 

浅古小巻(あさここまき)、私と同じ中学3年生。

 

「なによ偉そうに……」「()()()のクセに……」

「私より優秀になってから文句言え!」

「小巻ちゃん、どうどう」

「すみませんねー。すーぐ怒るもんで」

 

彼女は今にも飛び掛かりそうな形相をしていて、両脇から長月美幸(ながつきみゆき)行方晶(なめかたあきら)に抑えられている。

その間にさっきまでの生徒たちはそそくさと去って行った。

 

「なぁーにが良家組・成金組よ! 勝手にカースト作ってんじゃないわ!

 この間までヘコヘコしてたクセに! 風見鶏共めっ!!」

「良家組の子たち、うちらのこと見下してるもんねー」

「気にし過ぎない方がいいよ……」

「美国も美国よ! すました顔して、なんで言い返さないのよ!?」

 

私が同じように立ち去ろうとしていたら、彼女は興奮冷めやらぬまま叫び止めてくる。

 

「私は、小巻さんが先頭に立ってやっていることだと思っていたけれど?」

「私が良家組なんかと慣れ合う訳ないでしょ! 私自身がアンタに喧嘩売ってんの!

 それに、アンタなんで私のこと下の名前で呼ぶのよ!?」

「? だって、貴女入学式の後の自己紹介で言ってだでしょう?

 小巻って呼んでくださいって」

 

小巻さんの眉間の皴がなくなって、目が丸くなって、体が固まった。

他の2人も驚いているようで、彼女の動きを押さえる力も弱くなっている。

 

「アンタ……冷淡で人に興味なさそうなのに変なとこ律儀な奴よね」

「貴女は、不格好でお節介だけど真っ直ぐな人ね」

 

それは私の……嘘偽りのない本心からの言葉。

 

「とっ、とにかく! とっとと前のアンタに戻りなさいよ!

 サンドバッグ叩きたい訳じゃないんだから!」

「――ねぇ、小巻さん。

 もし貴女の成すべきことが()()()()()()()()()()()()()()()()であったら?

 それでも、その事実と向き合って、貴女は前に進めるかしら?」

「っ!?」

「……ごめんなさい。忘れてちょうだい」

 

その時何故小巻さんにその話をしてしまったのか、今でもよくわからない。

 

 

 

父が自殺した後、私は周囲が自分を何として見ていたのか気付いた。

美国久臣という()()()()()。それ以上の価値も以下の価値もない。

 

『君には才能がある』

 

真偽など関係ない。

汚職の嫌疑が掛かった時点で父の周囲からは人が離れ、その付属品でしかなかった私に手を差し伸べてくれる人は当然いなかった。

 

『君が魔女と戦う使命を受け入れ、未来を切り開いたいと言うのなら――』

 

美国織莉子は個人としての存在価値を肯定されていなかった。

 

 

 

 

 

『僕と契約して、魔法少女になってほしいんだ』

 

 

 

 

 

見たこともない謎の白い生物、キュゥべえ。

この世界に呪いと不幸を撒く魔女と戦う代わりに、何でも願い事をひとつ叶えてくれる契約。

 

 

 

「私は、私が生きる意味を知りたい」

 

 

 

……たしかに願い事は叶えられた。

私の行く末は予知能力によって示された。

でもそれは絶望の未来

 

魔法少女はその魂が体と切り離され、水晶(ソウルジェム)に形を変えられる。

まるでメモリーカードに()()()()()()()()()()()()()かのように。

そしてそこに魔法の使用や負の感情で穢れが貯まると、やがて魔法少女は魔女になる。

キュゥべえは、【インキュベーター】はその際発生するエネルギーを回収している外宇宙生命体。

 

私が見た絶望はそんなことではない。

【ワルプルギスの夜】と呼ばれる、強大な魔女の襲来でもない。

そのさらに先にいる存在だ。

 

ワルプルギスの夜さえ凌ぐ力を持つ魔女。

ピンク色の魔法少女が変身した、【世界の破壊者】の誕生。

 

誰も敵わないと一目で理解できた。

世界が終わる瞬間を、私はこの目で見てきた。

 

父が守ろうとしていたこの見滝原市が滅ぶ未来。

だが、回避する方法はある。

あの魔女が……()()()()()()()()()()()()()()

 

たったひとりの少女とそれ以外の全て。

生命に重さの優劣が存在するのかなど知ったことではない。

これは私に示された私が成すべきこと……私が生きる意味だ。

 

そうして迷いは捨てた、ハズなのに――。

まだ私の耳には覚悟を揺さぶるような幻聴が届いている。

 

 

 

「それが本当に正しいのか?」

 

 

 

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