[裏技]仮面ライダーゲンムVS魔法少女おりこ☆マギカ ロンリー・プレイヤー 作:柳川 秀@尾上 愛【新人Vtuber】
――魔法少女が魔女に心の隙を付け込まれ、魔女結界に呑まれるなんてとんだ失態だった。
正直、私は戦闘自体はあまり得意とは言えない。
予知の魔法は自制が難しく、必要としない時であっても私に未来を見せてくる。
そのせいで常にソウルジェムの穢れに気を遣わねばならず、戦闘にはなるべく魔力を割きたくないのだ。
予知対象を絞り戦うこともできるけど、それもまた魔力の消費が激しい。
「バカでしょ!? アンタさてはバカでしょ!!
私がたまたま近くにいなかったらどうなってたと思ってんの!? このバカ!!」
そして今、私は変身を少し躊躇っている内に
私の方はまだ知られていないけれど。
「大体そんな景気悪い顔してるから絡まれるのよ! バカっ!」
なんだか一生分のバカを言われている気がする……。
「あいつらは魔女って言って、人間に災いを振り撒く理不尽で迷惑な奴ら!
美国、アンタ死ぬとこだったのよ!? 私がまほ、しょ……魔法、しょ……」
『魔法少女だよ。君はいつもそこで詰まるね。何故だい?』
「うるさい! 中3にもなって魔法少女を名乗るなんて、恥ずかしいのよっ!」
小巻さんの近くにはキュゥべえが座っている。
その目がこちらを向いても、私は彼が見えていないように装った。
「小巻さん、誰と話してるの? それに……魔法少女?」
「べ、別に好きでやってる訳じゃないわよ!? 願い事叶えてもらった代わりに仕方なくやってんの!!」
「願い事? 何を叶えたの?」
「それは――別に大したことじゃないわよっ!」
さり気なく聞き出せるかと思ったけど、意外に手強い。
「あ」
「?」
「アンタ、魔法少女になろうって気じゃないでしょうね! 甘く見てんじゃないわよ!?
魔女と戦うのは命懸けだし! 魔法少女でも喧嘩売ってくる奴もいるらしいし!
願い事に釣られたら痛い目に――」
『小巻、少し落ち着きなよ』
キュゥべえが、小巻さんを見る私の視線を遮るように机の上へ移動した。
私はそれでも焦点を変えず彼を無視し続ける。
「……あーそっか。なれっこないかー!
「こいつ?」
「なんでもないわよ。じゃ、私行くわ。アンタと違って忙しいし。
……クラスの連中には内緒にしなさいよ!」
「ええ、もちろん」
私は予知に魔力を取られ過ぎていて、自分からはあまり積極的に動くことができない。
世界を救う前に私自身が魔女化してしまうなんて許されることではない。
だから【協力者】は当然必要になる。
でも……小巻さんはきっと協力してくれない。
真っ直ぐでお節介だけど不格好な彼女は、もしかしたら魔法少女の真実を知っただけで壊れてしまうかもしれない。
私の考えに賛同してくれそうにもない。
必要なのは……完全な賛同とまではいかなくても、少なくとも
魔法少女の真実を告げても壊れない心の強さを持っている、あるいは
そんな都合の良い魔法少女がすぐに見つかる訳――あるとは、流石に予知できなかった。
「キミ、白くてヒラヒラだねぇ……蝶々みたい。
月夜に蝶狩りなんて、ふふふっ! 楽しいね素敵だね! ――遊ぼ?」
決戦の備えのためだけでなく、予知で消耗した魔力を回復するためにもグリーフシードは必要になる。
だから魔女を見つければ当然戦うし、なんとか最小限の消費だけで倒せるように努力する。
今日はギリギリになってしまった……というのに。
右目に眼帯をしたその黒い魔法少女が、結界を壊した直後の私に襲い掛かってきた。
「なんで私がキミを襲うのかって? 私の願い事さ。
なんでそれを願ったのか覚えてないんだよ。
キュゥべえは願いの副作用がどーのこーの言ってたけど……。
結構辛いんだよね、目的がわからないってさ。
だから――うん、ただの八つ当たりだよ」
小巻さんの言っていた通り、グリーフシードの横取りを狙って攻撃を仕掛けてくる魔法少女もたしかにいる。
でも大抵は本気で相手を殺そうとするまではいかない。どうしても躊躇いが生まれる。
八つ当たりと言っているし、襲ってくる理由は違うけどそれは彼女も同じ。
しかし私は手を抜かず、彼女の身体の破壊を目指した。
「特定の人物の予知を引き出すのは魔力を膨大に使うけれど、賭けに勝ったようね。
貴女の位置と到着するタイミングは
自在に伸びる鉤爪と素早い動き。でも攻撃は視覚に頼っていた彼女。
それを狭くて足場の悪い食庫に誘導し、私は壁の向こう……死角からの一斉攻撃で仕留めてみせた。
「くそっ……予知魔法だって!? こんなところで死ぬなんて――」
「死ぬ? 何故? 私は貴女に
「へっ? 人のお腹グチャグチャにしといて、何言ってんの?」
「人、ね……。死ぬなんて思わない方がいいわ。本当に死んでしまうわよ?
魔法少女は肉の檻から切り離された存在。人ではないし、魂が輝けば朽ちることはない」
「何を……キミ、なんなのさ!?」
「私は美国織莉子。貴女はきっと役に立つ。私の駒になってくれるのなら――」