完成されており、不完全の魔導書。 作:ゴールド@モーさん好き
__今はもう無き旧世界、《ベルカ》。そこには2人の"天災"がいた。その2人はある分野においてその才能を発揮し、多大なる恩恵をもたらした。
これはそんな2人の天災が残した魔導書から始まる物語である。
__________________________
無限書庫、時空管理局が所有するデータベース。そこはありとあらゆる書物が収集・保管されている場所。収集される書物には時代も世界も関係なく、文字通り無限の書物が保管されている。まさに時空管理局が誇る最大のデータベースと言える…だが、このデータベースには大きな問題を抱えている。
それは人材不足である。というのも、無限書庫とは時空管理局が保有する"アナログ"データベース、つまりは図書館なのである。そしてこの図書館、内部は一種の亜空間で今明らかになってるスペースだけでも、本来の間取り以上のスペースが存在している。恐らくは今も書物と共に増え続けていると考えられている。
そんな途方も無い量のデータから欲しいデータだけを探すのは困難である。故に整理しようと司書を配備して整理させようとしたが、収集されるものは古今東西を問わなすぎたのだ。整理作業中危険な魔導書を、司書の1人が暴走させてしまい死傷者多数…以降無限書庫では戦闘員との同伴が義務付けられたのだが、万年人材不足の管理局では情報収集に回せるほどの戦闘員が居らず、そのまま使われる事は無かった…………つい最近までは。
ユーノ・スクライア。彼はある事件をきっかけに嘱託魔道士となり、その後無限書庫の司書になったのだが…その能力は素晴らしく、高いマルチタスク能力で1度にいくつもの書物を分析・組み分けをし、ある程度の物ならロストロギアを封印可能。彼単独での戦闘力もあり、まさに無限書庫の司書に相応しい人材なのだ。
そんな彼の奮闘により、数多の事件が解決されている。管理局を長年悩まされていた闇の書事件も1年前解決されている。これも彼の活躍あってこそだろう。
今ではその活躍により、少しずつではあるが待遇の改善・人材の補填がされて行ってる。だが、それでもまだまだ人材は足りていない。
未開拓領域にも彼単独で行く事も多々ある、そして今日も彼は1人で未開拓領域を探索していた。
__________________________
金色の髪に翡翠の瞳を備えた少年が、強ばった表情で浮かんでいた。浮かんでいたと聞いて変だと思う人がいると思うが、決して彼が特異という訳ではなく、その空間自体が特異なのだ。
無限書庫、ここは膨大な書物とそれを収納する広大な内部の他にも通常世界とは異なる部分がある。それは無重力であること。何故無重力にしたのかは判明されてないが、今の所広大な内部の行き来を楽にする為という説が有力である。
そんな所で何故彼が強ばった表情をしているかと言うと、彼がこれから仕事に行くからだ。それも死の危険すらある仕事に。
彼、ユーノ・スクライアは無限書庫で司書を務めている。ここの司書の務めは大まかに分けて3つ。
1つめは書物の整理、2つ目は調査依頼が来た事柄に対する情報収集。そして3目が_
「これより、無限書庫の未開拓領域の開拓作業を行う。」
そう言って彼は腕輪型のデバイスで録画を始めた。
ここ無限書庫はその名の通りそれこそ数えるのが呆れる程に書物がある。だけど、その反面未だにその全てを整理しきれて無いのだ。だが、整理するだけなら開拓とは言わない。開拓と言われるその訳として上げられるのは、ここは魔導書でさえ収集してしまうからである。
ただの魔導書なら直ぐに封印した後に管理局に保管されるのだが、罠や条件発動型の魔法が組み込まれている魔導書等がある。そういった事により1部がダンジョン化してる区域も珍しくないのだ。今回は運良く書庫としての形が保たれているが、それでも気は抜けない。
ユーノは罠に注意しつつ魔力サーチ魔法を発動させて、魔導書が無いか探している。今回の主な任務は魔導書の発見、そして封印である。先程も言った通り危険な魔導書もだが、普通の魔導書も封印して持ち帰ることになっている。
というのも以前危険性が低い魔導書を封印した後その区域に置いてった者がいて、整理する際にそれの解析をした所封印が解かれて暴走。結果、負傷者がでてしまった事がありそれ以降は危険性が低くても魔導書は一律として封印後特定の場所で保管する事になっている。
そうこうしてるうちに1冊の魔導書がサーチに引っかかった。そして驚くべき事にその魔力がオーバーS相当なのだ。これは危険と思い、ユーノは管理局本部に連絡をした。
「………?!これは、危険すぎる。本部、聞こえますか本部………クソっここじゃ本部まで通信が繋がらないのか!」
(どうする?今すぐ本部に戻って結界魔道士呼びたい所だが、この魔導書の魔力の溜まり具合からしていつ暴発するかも分からない。なら…今ここで封印を!)
そう思いユーノが件の魔導書に近づいた。全く整理されてないのでそこら辺にほっぽり出されているその魔導書を視認した時、微かに違和感_いや既視感を感じた。その魔導書は全体的に赤茶色で、表紙中央には十字架が着いている。
(なんだ?この感じどこかで…いや、それよりも今は封印に専念しなきゃ。)
そう考え残り3mの所まで来たその瞬間_魔導書が急に開き、魔法陣を描きそこからワイヤーのようなバインドがユーノに迫る。
「?!ラウンドシールド!まずい、魔導書が覚醒し始めた…出来ることなら覚醒前に封印したかったけど仕方ない、マルチタスクは司書の本領だ……この魔法はゼロ距離じゃないと難しいけど、これ以上の封印魔法は生憎と持ち合わせてないからな。」
そう言った後ユーノはシールドを展開しつつ接近、手で印を数回紡ぎ詠唱を唱える。
「妙なる響き、光となれ、災いをもたらすものに、堅牢なる檻を!封印!」
ユーノの判断は正しいものであった。これまでも暴走した魔導書はシールドで防ぎつつ、近づいて封印。このプロセスで封印してきた為今回もこの戦法を使用した…が、今回は相手が悪かった。
「な?!」
封印の為にユーノは魔導書に触れたその時…体が光り、粒子のようになり始めたのである。
何が起こっているのか分からないがとにかく退避しようとしたが、何故か体が動かずそのままユーノは消えて粒子は魔導書に収集されて行く。
全ての粒子が収集し終えたら魔導書はページを閉じた。