完成されており、不完全の魔導書。 作:ゴールド@モーさん好き
「それではまず初めに君の言っている陽天の書という物はなんだ?」
「そうだな、言葉にすれば簡単な事だ。夜天の魔導書原本を複製、改変したものだ。」
「なぁ…?!」
クロノは融合機の容姿と名前のニュアンスから夜天の魔導書が関連するだろう事は予想していた。予想していたが、まさかそれの改変されているとしても原本の複製とは思わなかった。……改変?
「……か、改変とはどういう事だ?」
「そう恐れるな、主の友よ。我らは”闇の書”のように貴様らを陥れるような事はせぬ、むしろその逆だ。」
「逆?僕らに味方すると?夜天の魔導書の複製品である貴方が何故?」
「そもそもとして私…いや、”陽天の書は闇の書の開発者がカウンターとして作成した魔導書”だからだ。」
僕は目の前の人物が一瞬何を言っているのか分からなかった。そしてその言葉を理解した瞬間怒りがこみ上げて来た。
「闇の書の開発者が君達をカウンターとして作った?ふざけるな!何故そんな事をする必要がある!だったら作らなければ良かったじゃないか!」
「マイスター達だってしたくは無かったさ!あんな悪魔のような魔導書!」
今まで無表情を通してきた彼女の怒声にいくらか冷静さを取り戻した。
「?!……作りたくなかった?それは一体どうゆう事だ?あれは悪意ある改変を受けてああなったと聞いているが。」
「そう聞いてるとは知っている。だが、事実は違うのだ…」
(知っている?)
クロノはその言葉に少し疑問が生まれたが続く融合機の言葉に集中する為その思考は切り捨てた。
「マイスター達はベルカのある国の研究者だった、当時その国では隣国との戦争で新武器、及び新魔法の開発に駆り出されていたのだ。私のマイスター達はその中のうちの2人…どちらも天災と呼ばれる程の発想力とそれを実行できる実力があった。だがそんな2人はそんな才能とは打って変わって心優しきお方だった…本来彼らは魔力を素に生活を豊かにする研究をしていた。それを軍事活用できないかと国側が目をつけられたんだ。」
「断らなかったのか?」
「最初は断ったさ…だが、国は諦めなかったんだ。マイスター達には当然家族が居た。愛する妻に子供、親だってまだ生きていた。」
「まさか……」
「執務官殿は察しが付いたようだな、人質にされたのだよ”妻と子供達”を……両親を見せしめの為に目の前で殺した後に。」
「な?!」
そのセリフにクロノは今日何度目かも分からない驚きに包まれた。それもそうだろう、人質に大切な人が囚われるのはよく聞く話だがそれで充分だろうに更に大切な人が殺される。それ程までする理由がクロノには理解できなかった。
「2人は仕方なく国に従い開発に勤しんださ、これ以上大切な人を亡くさない為に。それから数年した時だ、夜天の魔導書にマイスター達が出会ったのは。夜天の魔導書が国にバレれば必ず軍事目的に利用される。そう悟ったマイスター達は隠していたのだが、ある時不審に思われて自白魔法で強制的にはかされ……」
「そして見つかってしまい軍事利用の為に改造せよと命令、大切な人が人質となっているから逆らえもせず完成を迫られる。これが──」
「そうだ、闇の書が作られた経緯だ。」
クロノはこれを聞き頭痛を感じた…それもそうだろう、なんせ自身の恨みの矛先がお門違いにも程があったのだから。幼少期は闇の書に、事件を担当していた時は夜天の魔導書を闇の書にした者に…だが、これを聞く限り真に憎むべき相手は彼女のマイスターではなく、既に滅んだ国だったようだ。
そんなクロノの様子を察したのか融合機は言を続ける。
「君は間違っていないさ」
「何?」
「大方君はマイスター達を恨んでいたのだろう?そしてそれが勘違いであった事に気付き自分を責めているのだろうが……マイスター達はそれを望んでいる。」
「何故だ?君のマイスター達は大切な人を失い、囚われながら闇の書を作った。それ程の理由があって仕方無く作ったのだから恨まれるなんて流石に──」
「それでも、マイスター達は数多くの兵器を開発していた。そしてそれがもたらす結果が分からないほど愚かではなかった。だからこそマイスター達は心に決めていたのだ──せめて、自身の兵器で誰かが大切な人を失くした時は…その恨み憎しみを受け止めると、それが自分達が出来る数少ない贖罪であると。」
「………そうか。」
数刻沈黙した所でクロノは尋問を再開した。
「それでは改めて君の目的を教えてくれるか?」
「目的?」
「そうだ、先程の口ぶりからユーノからある程度の事は聞いているのだろう。それなら何故奴と契約する必要があった?」
その質問に融合機は納得したかのような顔をして質問に答えた。
「確かに夜天の魔導書の闇は取り払われ、我ら陽天の書が作られた意味は無くなった。だがそれはカウンターとして作られた我らの意味が無くなっただけであり、今は他に目的が出来たのだ。」
「他の目的?それは一体なんの事だ。事と次第によっては我々管理局も動かざる得ないのだが。」
「何、そんな物騒な事では無い。寧ろ貴方方にとっては嬉しい事であるはずだ、先程も言ったであろう?我らは味方であると。」
「そこまで言うのであるのなら結論を述べて頂きたい。そうしなければ味方として君を迎いいれない。」
「簡単な事だ、我らは主と共に”無限書庫私設武装組織”を結成するだけだ。」
「……は?」
クロノは融合機の唐突過ぎる言葉に、言葉を返せなかった。