完成されており、不完全の魔導書。   作:ゴールド@モーさん好き

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更新遅れてしまい申し訳ありませんでしたー!


8話

「虐待?」

「あぁ、それも多種多様にな。直接的だったり間接的だったり、胸糞悪いのこの上ないよ。」

「でも、なんでそんな事に……」

「気味が悪かったんだろうね、ユーノの存在が。」

「それが分からない、少なくともスクライアは問題があるような奴だとは思えない。」

「問題なんて元々無いさ、なんせ彼奴は”優秀”だったんだからね。後は運が悪かった……としか言えないんだよ。」

「運が悪かった?どういう事だ。」

「何、別段珍しい話じゃないさ。ユーノは元々孤児だったんだ、そこをスクライアの一族に当時4歳だったユーノが拾われた。ただその時任せらた親がクズだった…それだけさ。」

「では何故先程のような考え方になる、何故僕がユーノを捨てるような考えが浮かんでくる。」

「皆ってさ、ユーノの事どう思ってるかは詳しくは分からないけど……少なくとも”幼稚”とは思ってないだろ?」

「それはとう…ぜん──まさか?!いや、そうだとしたら私達は──」

「母さんは気づいたようだね。」

「リンディさん、何か分かったのなら教えてください!」

「フェイトさん、貴方から見てユーノさんはどう言った人間だった?」

「えっユーノ?そうだね…”優しくて”、だけど”1度決めたら曲げない”。それと”頭も良く”て、とにかく”凄い”って感じ。」

「その優秀さが異常だった、そういう事──なのよね、アルフ?」

「そうだよ、皆はどう思う?齢6歳の子供が既に現場に立ち、9歳には現場のリーダーすら任される。私はどうかしてると思うね、場所によっては死者を出すかもしれない現場指揮をそんな子供に任せるなんてね。」

「それは……」

「だからこそ気味悪がった、そんな子供を。そんな異質なナニカを。」

「そんな事って──」

「そして何より、ユーノは幼すぎて尚且つ優しすぎた。災いの理由を他に押し付けれる程の考えを持てなかったんだ。だからこそ彼奴は自分に理由を押し付けた、”虐待を受けるのは自分がいたらなかったから”だと。」

「ふざけんな!話を聞いた限りユーノには何も非なんて無いじゃんか!」

「ヴィータ……」

「それなのになんで彼奴が、彼奴が苦しまなきゃいけないんだよ!」

「だから言ったろ、運が悪かった。育て親が違えばあーも歪まなかったよ。」

 

その言葉は何か、諦めの言葉に感じた。

 

「それなら何故ユーノさんはその事を誰にも話さなかったのですか?ここは管理局…通報されれば何時だって──」

「それでも、親だからだよ。」

「──え?」

「どれ程暴行を受けようが、どれ程の罵声を受けようがソレが親だった。だからこそそんな事はしたくなかったんだろ。」

 

その時私達は彼の優しさではない歪んだナニカを垣間見た気がした。

 

「ユーノにとってそんな日々が日常だった、だからこそお前達みたいに友と言える奴は初めてだったんだよ。だけど彼奴自身の自己評価が低く、今までのこともあったせいで”釣り合わなかったら捨てられる”みたいな歪んだ考えが産まれても可笑しくない。これで私が”彼奴が自分の命を大切にしないか”、”もしかしたらユーノは捨てられるのが嫌だったのではないか”って考えたか分かったか?」

「──あぁ、ありがとう。」

「そっか、なら良かった。後先に言っとくが虐待についてはもうされる心配は無いから安心しとけ。」

「どういう事アルフさん?なんでそんな事が分かるの?」

「だって、彼奴はもう”スクライア”じゃないんだよ。」

「スクライアじゃない?でもユーノの故郷っていうか一族は──」

「あぁ、スクライアだったよ。でもエゴかもしれないけどさ、私にはそんな腐った所にユーノを置いておきたくは無かったんだよ。だからこそユーノに進言したんだよ、本当に今の親で良いのかを。まぁ端的に言えば戸籍を変えさせたんだよ。」

 

アルフさんは語った、ユーノ自身親自体に嫌悪感はしっかりと持っていたことを。だからこそその申し出を受けた事を、新しい親は今の司書長である事を。

 

「もうこの話は方が着いてる、だからさっき言ったんだ。”話を聞いても何もしないでくれ”ってさ、彼奴も何時通りの対応されたかったから言わなかったんだろう。」

 

そこでアルフが話を終えたと示すように息を吐いて力を抜くと、再びシャマルが話し始めた。

 

「これでユーノ君の過去についてはおしまいです、後は先程言った時の杭についてです。」

「あれがまだ何かあったのですか?」

「あったと言いますかなんと言いますか……とりあえず結論から言いますと”時の杭は外れました”、ですので彼が早死する可能性は低くなりました。」

「なんですって?」

 

この言葉にアースラ組は驚きを隠せなかった、何故なら──

 

「ど、どうやってですか?!先程も言った通り杭は心臓に突き刺さって外そうとすれば死は免れないはずだ?!」

「はい、クロノ君の言う通りです。ですが陽天の書が外してくれたのです、なんでも”魔道士と適合する際に体の悪い所を治す”事が出来るらしいんですよ。まぁ、ユーノ君自身賭けな所があったらしいですが。」

 

その言葉に私達は安心していいのか、それともそこまで追い込まれてるのに気づけなくて悔しがればいいのか分からなかった。

そんな事を考えれる程心も頭も落ち着いていなかった。そしてその話でこの会合はお開きとなった。


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