完成されており、不完全の魔導書。   作:ゴールド@モーさん好き

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9話

 話が終わるとアースラ組は事情聴取の結果の確認に、アルフさんは無限書庫に行っていった。シグナムやヴィータも仕事があるらしく別れた。残った私達はもう何が何か分からなかった、ただユーノ君に会いたいと思いシャマルに病室は何処か聞いた。

 その所、適合が思いの外体に負担がかかりまだ緊急回復装置という物の中に入っているらしい。会話は無理でも姿は見えるらしいのでそこを向かった。

 そこはガラス張りの部屋で外から中が見えるようになっていた、そしてその部屋の前に二人組みの大人の男女が居た。そして女性がこちらを確認すると直ぐに目線を逸らされた、まるで見たくも無いものを見るかのように──

 男性の方もこちらに気づいたらし何やら気まずい顔で挨拶をしてくれた。

 

「こんにちは。なのはさん、フェイトさん、はやてさん」

「えっと、貴方達は──」

「あっと、しっかりとした挨拶はしたこと無かったね。ごめんごめん、んっんー……僕の名前はゼネラ、ゼネラ・トゥルメ。無限書庫の司書さ、それでこっちが──」

「……スウェン・ニュタカよ、私も同じく無限書庫の司書をやっているわ。貴方達もここに来たって事はユーノ君のお見舞い?」

「は、はいそうです……」

 

 ユーノ君の体はとても深刻らしく、部屋の中には入れずこうしてガラス越しにしか見せれないらしい。それもユーノ君自身が機械の箱の中で横たわってるせいで良く見えない。

 それでも気持ちだけはと早く良くなるよう思っていたら不意にスウェンさんが話しかけてきた。

 

「貴方達、ユーノ君何でこうなったか聞いたの?」

「はい、シャマルさんと──アルフさんからも」

「そう、アルフさんから聞いたってことは”あの事”についても聞いたのね」

「はい」

「──多分ね、私達には貴方達を責める権利なんて無いんだと思う。だって彼の事についてよく知っていたのに誰も彼を止めれなかったのもの、それなのに知らなかった貴方達を責められる筈無いわ。だけど、大の大人が子供に向かって言う事じゃないのは重々承知しているけども! ……私は貴方達が羨ましくて、憎かったわ」

「?!」

「その事については──」

「えぇ分かってる、誰も”親友”が命の危機なのに笑ってる何て思わないもの。だけど、それでも貴方達は私達よりも確かに”誰よりもユーノ君の傍に居た”! ”誰よりもユーノ君を止められるかもしれない人”だったのよ! …………申し訳ないけど貴方達に感謝を感じるのと同時に憎んでも居るの、暫くは無限書庫へはメールで仕事を頂戴」

「わ、分かりました」

「すいませんが、スウェンさん。憎まれるのは分かります……私自身、気づけなかった自分の事が憎いくらいに。ですが感謝ってどういう」

「そ──」

「それは君達がユーノ君の支えだったからだよ、はやてちゃん」

「ゼネラ」

「スウェン、苛立ってるのは分かるが1回頭を冷やせ。彼女達には何の非も無い」

「……分かってるわよ」

 

 そう言ってスウェンさんはその場を立ち去った。

 

「スウェンさん、私達がここに来たから──」

「気に負わないでくれ、どうせ煙吸いに行っただけだろうから。それで何で感謝してるかって話だけど、さっきも言った通り君達がユーノ君の支えだったからだよ」

「私達がユーノ君の、支え……ですか? 一体なんのです」

「それは勿論心のだよ、ユーノ君はいつ死ぬかも分からない極限状態で自らあの書庫で勤務していた。そんな中彼が笑っていられたのは君達のような親友がそばに居てくれたからなんだ?」

「私達が……ユーノを助けてた?」

「そうだよ、彼は何よりも大切な人を思い、何よりも親友との時間を尊いと感じていた。その度合いが並の人よりも強くてね、だから彼は死という最大のストレスを抱えながらも笑えられたんだ」

 

 どうか彼が起きた時もいつも通りに接してあげて欲しい、それが彼が望んでいるであろう事だから。

 

 そう言ってゼネラさんも病室前から立ち去った、私達はただ硝子越しのユーノ君を見つめる事しか出来なかった。


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