死んで叢雲になったわ。なに、不満なの?   作:東部雲

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 更新お待たせ致しました!
 掛かった時間の割には短いですが、演習回の導入ということで(^_^;)

 それでは、どうぞ


第14話 演習当日

 統合司令部*1から受領された任務による出撃でレ級eliteを中核とする敵艦隊と交戦して、どうにか殲滅して無事に帰投してから3日後。

 僕はむらくもの姿になった状態でショートランド泊地*2の正面海域の洋上を進んでいた。その前方には初雪が航行している。

 

「——むらくも、調子は、どう……?」

「良好だ。何時でも動ける」

 

 むらくもの口調を意識しながら答えた。

 

「良かった……。実戦を何度も、こなしたと、言っても……まだ浅いから」

 

 何がと言うなら経験だろう。

 僕ら(・・)よりもずっと長く、数多くの修羅場を経験してきたのだろう初雪からは気遣うような視線も向けられていた。

 

「心配させて済まないな。今回は実戦ではなく演習だ、初雪もいることだからアテにさせてもらうさ」

 

 何気に艦娘としては初となる対抗演習だ。処女航海からいきなり実戦を経験したのだから、完全に順番が滅茶苦茶と言える。

 

(そう考えると、なかなか無茶をしたな。よく沈まなかった)

(……分かってるわよ)

 

 ごめんむらくも。叢雲の気持ちを大事にしたかったから、橿原司令官の指示を聞くことはできなかったんだよね。

 

(べ、別に、そんなことまで言わなくていいわよ!)

(どうした、先代? 照れてるのか?)

(照れてないし!)

 

 今日も変わらず賑やかだなぁ。

 

「……どうか、した?」

「なんでもないさ。それより、所定のポイントまで間もなくだ」

 

 事前に特型駆逐艦の長女で頼れる姉の一人である吹雪から指示された通り、目的の場所を目指して航行しているところだった。

 

「ん。作戦は、むらくもが……引きつけて」

「初雪が魚雷で仕留める、だな」

 

 初雪と内容を確認すると同時に頷いた。

 しかし僕はむらくもとして「ただ……」と言って、

 

「ポイントに現れるのが予想通りの相手なら良いんだが」

「問題、ない」

「断言するんだな」

「白雪が、裏付けしたから」

 

 短いが、確信のある一言だった。彼女から白雪に向けられた信頼を感じさせる。

 

 先の出撃任務の後、白雪の能力をざっくりとだが教えてもらった。

 曰く、“望んだものを指し示す”事が出来る特別な眼を持っているらしい。以前、薩摩が山城と龍驤を伴って拘束し拉致監禁されていた時も同じ能力を使用したようだ。

 

「ならば、それを信頼するだけだな。さて、当初の予定地点は——」

「ん。……着いた」

 

 

  ◇◇◇

 

 むらくもと初雪が予定していた地点に到達した頃、ある海上では。

 

「——今日で何回目だったかな? 陽炎ちゃん?」

「ちょうど20回目ね、吹雪」

 

 吹雪型と陽炎型の長女二人が対峙していた。

 

「もうそんなにかぁ。今思うと懐かしいよね、最初に演習で対戦したときとか」

 

 今から15年程前だっただろうか。まだ艦娘として就役したばかりだった陽炎と出会い、演習で対戦することとなったのは。過去の出来事に吹雪は懐かしく感じた。

 

「今度はあたしが勝つわ!」

「私も負けられないんだから!」

 

 叢雲ちゃんにカッコいいところ見せたいしね、と内心で本音を呟く。最近になってようやく出会えた五番艦の妹に、長女として勝利の美酒を届ける為にも譲れないところだった。

 

 

  ◇◇◇

 

 同じ頃に第十八駆逐隊の二人がある駆逐艦娘を待ち構えていた。

 

「霰、分かっていますね?」

「ん。私と不知火で、白雪を抑え込む」

 

 不知火が確認をして、霰が頷いた。

 今から二人が交戦予定なのは、最要注意目標である白雪だった。

 間違いなく第十一駆逐隊どころかショートランド泊地に所属する艦娘では最強の存在で、十傑第4位の準戦略級艦娘*3という権威だ。二人がかりでも勝てるとは思えないが、この場に拘束しておくことが今回の戦略目標だ。

 

「相手はあの白雪です。勝てると思わず、足止めに専念しましょう」

「分かってる」

「頼みます。不知火は近接して引きつけて……」

 

 落ち着いた様子の霰を見て、続けようとした不知火の言葉は途中で遮られた。

 二人の前方と後方に砲弾が撃ち込まれ、水柱を吹き上げたことによって。

 

「来ましたか!」

「はい♪ 私が来ましたよ」

 

 早すぎるタイミングで、この瞬間では聴きたくない少女の声が背後から聴こえてきた。その直後に不知火と霰はその場から飛び退く。

 

「白雪ッ!!」

「私の弾幕、じっくり味わってくださいね♪」

 

 専用の連装主砲を構えた白雪は実に愉しげだ。

 

 だが撃ち込んでくる主砲の弾幕は、必殺を企図したと言える容赦の無いものだった。

 

 

  ◇◇◇

 

 2つの駆逐隊がそれぞれの場所で交戦を開始した頃。

 むらくもと初雪が待ち構えている地点からやや離れた海上では、第十八駆逐隊の霞が目標の2艦がいるであろう地点に向けて航行していた。

 

「駆逐艦叢雲、それに護衛艦むらくも」

 

 真剣な表情を浮かべたまま呟く。

 右手の主砲の薬室に装填し、左手の四連装魚雷発射管の安全装置を解除しながら。彼方の水平線を睨む。

 

「新艦だろうと遠慮はしないわ。アンタたちのチカラ、霞が確かめてあげる」

 

 意気込みと同時に、主機の回転数を一杯まで回し始める。朝潮型駆逐艦として発揮可能な最大戦速のまま突撃した。

 

 

 ———第十一駆逐隊・第十八駆逐隊対抗演習、開始。

*1
日本国防海軍の実働部隊を統括する機関。連合艦隊、防衛艦隊、潜水艦部隊、輸送隊、航空隊等を統合して運用することを目的としている。現実の統合司令部と異なり、国防海軍のみで設立

*2
日本国防海軍が所有する海外泊地。橿原隼子海軍准将が統括官を務める

*3
本作における艦娘の戦闘能力を表す等級。現実の兵器に例えるなら、巡航ミサイルやMOAB等の超重量の通常爆弾に相当する




 今回の後書きで次回予告を復活します!

 〜次回予告〜

 始まった第十一駆逐隊と第十八駆逐隊による対抗演習。激しい攻防が予想される中、二人の長女がそれぞれの矜持、意地の為に激突する。

 次回 第15話 対抗演習、長女の場合

番外編追加するならどれ?

  • オリジナルキャラ視点
  • 未登場の原作キャラ視点
  • 大和視点
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