結構時間空いちゃってるのに文字数少ないですが、内容は出来るだけ詰めたつもりです。途中武器を使った描写がありますが、武道とか素人同然なので合ってるかは正直分かりません。
それでは、本編をどうぞ。
この世界で目覚めて間もなく艦娘比叡と出会い病室から連れ出され、その先で再会した叢雲の姉二人と話し、同じ場所にいた司令官から許可を得てショートランドを出発して1時間後。
「そっちに討ち漏らしのロ級が一隻! 悪いけど対応して!」
「了解!」
無線で聴こえてくる飛鷹の焦りを含んだ叫びに応え、意識せず槍を握る右手に力がこもる。
泊地を出発してから程なくサーモン海は夜の帳が降りて、周囲は闇に包まれていた。
前世では夜でも照明で明るい現代の街で生まれ育った僕は少し不安だったが、あれだけ言って出てきた手前僕も叢雲も引き返す気は起きなかった。
それから1時間が経とうとしたした頃、友軍と交戦中だった敵艦隊と遭遇した。
発見は進路上に瞬いた多数の砲火を視認したからだ。砲声が轟くたび、砲弾の空気を切り裂く音と幾つもの水柱が生じる。
見れば火災を起こしている艦も居るようだった。それが深海棲艦か艦娘かはここからでは判別できないが、そこまで見た僕は思わずそこで足を止めてしまった。
怖い。漠然とした物ではない、目の前にある死と隣り合わせの戦場が目の前にあった。それを目にしたことによる、本能的な死に対する恐怖は闇夜を進むなか押さえ込んでいた感情と併せて溢れる。行き足を止めた足は膝が笑っていた。
恐怖に心が呑み込まれそうだったその時、頭上を複数の影が通過。直後に飛鷹から無線で叱咤してきた。
『しっかりしなさいっ、敵は目の前よ! 攻撃隊を向かわせたから周囲を警戒しなさい!』
だけどこの攻撃は艦載機を損耗する前提だったらしい。夜間の発艦は出来ても着艦が困難で、燃料切れになった機体から着水させるつもりだと続けて聞かされた。
「ここからが、私の本番なのよ!」
本来なら夜戦にどうしても向かない空母である飛鷹が、そこまでの覚悟を示した。だから逃げない。往けるところまで往く!
そんな決意を胸に、海面を思い切り蹴った。
いつの間にか敵艦、駆逐艦ロ級はすぐそこだった。
深い夜の闇に浮かぶ巨大な影。それはこちらに気付いたのか、口と思われる部分を開いた。
「ッ!」
本能的に危険を感じ、反射的に飛び退く。その刹那、開口部から砲火と同時に砲声が轟いた。砲火に照らし出された敵艦はゲームで見たものより歯が大きく感じられて、前世でただの高校生のままだったら逃げ出したいくらい怖い。
飛び退いた海面に砲弾が着弾。巻き上げる水飛沫がかかるが、気にせず背負った艤装の主砲を敵艦に向ける。
叢雲の艤装は主砲が背部についてる関係上、その使用法は他と比べて特殊だ。動かすには視線を向けて集中するだけで、あとは撃てと念じればいい。ここまでは天龍型と同じだろうと航行中に飛鷹から説明を受けた。
「沈みなさいッ!」
目の前に迫る目標を見据え、自らを鼓舞するように叫ぶと右舷(艤装右側)の主砲で砲撃。至近まで近付いてきたロ級に錬度が低くても当てられない筈はなく、吸い込まれるように命中。
その一撃でロ級は大きく怯み悲鳴に聞こえる軋み声をあげるが、仕留めきれなかったみたいだ。砲撃で頭部が大きく抉れたロ級はこのまま噛みつくつもりなのか、なおもこちらに向かってくる。
「砲撃が駄目なら」
チラッと右手に握る槍を見る。柄が長いため間合いは大きいが先端の刃はやや短く、その下は2対の横に伸びる突起に気を付けないと武器としては使いづらいだろう。
だが相手に突きを入れることはできる。槍を握る右手に左手を添えて、剣道で言うところの中段に構える。
槍を構える頃にはロ級は文字通り目と鼻の先、不気味なほど大きな歯が並んだ口を大きく開けてこちらに飛び掛かってくる。
「今ッ!」
僕はこれを待っていた。タイミングを見計らい、体を左に半回転するその勢いのままに、ロ級の大きく抉れた頭部に槍の穂先を突き入れる。
ドッ、と柄の細い槍にしては重い音を鳴らし、ロ級の破損箇所に槍を突き入れることで強い衝撃が伝わってきた。ロ級も槍を振りほどこうと激しく暴れ始める。
もがき暴れるロ級の激しい動きに槍を落としそうだが離しはしない。かわりに足をロ級の体に付けて、思い切り蹴飛ばす。
態々槍まで使ったのは主砲の装填に必要な時間を稼ぐため。ロ級を蹴飛ばした直後、主砲の照準を合わせ2度目の発砲。
間をおかずに放たれた2発の砲弾は、蹴飛ばしてから大きく隙が出来たロ級に命中。火災が発生して周りの闇を削り、ついに力尽きたかロ級は浮かんでいた海面を揺らしながら沈んでいった。
「……ぶっつけ本番だけど、やればできるものね」
ロ級が沈んでから再び闇に包まれた海上で呟く。そして安堵するように長い溜め息をついた。これで目の前の脅威は排除できたはずだ。
「すみません! ショートランドの艦娘ですか!?」
不意に呼び掛けられ声がした方を向いた。暗闇でもお互いに視認するためだろう、かなり至近まで近付いていた艦娘
────セーラー服を着た小柄な少女が立っていた。
「アンタは?」
「舞鶴第1鎮守府の雪風です! 二水戦としてこの作戦に参加してます!」
ビシッと敬礼しながらそう答えてくれた。見た目以上にしっかりしてるなぁ。ってそんなこと考えてる場合じゃない。
「艦娘として目覚めたばかりだけれど、ショートランドの叢雲よ。戦力補充のために参加するわ」
「ご協力感謝します! それと……そこにいるのは飛鷹さんですよね?」
「ええ。実戦経験皆無だった叢雲の護衛を任されてるわ」
「そうなんですか。でも艦載機は……」
「……お察しの通りよ。さっきの薄暮攻撃で艦載機はほぼ壊滅。もう私は戦力を残してない」
夜間でくらいから分かりづらいけど、苦い表情なのがわかる。それを見て申し訳ない気持ちになってきた。
「どうするつもりなんですか」
「私はここで離脱する。それで叢雲の意思がまだ固いようなら、悪いけど護衛を任されてくれないかしら」
「叢雲さんは?」
「私は飛鷹が抜けても先に進むわよ」
雪風に聞かれ改めて意思を伝えた。僕も叢雲もやれると分かってるからだ。
「分かりました。神通さんに相談してみます」
幸い、雪風はそれを快諾してくれた。この時点では現海域にいる他の艦娘まで受け入れるか分からないけど。
それも杞憂のようだった。あれから戦闘を終えて待機していた旗艦の神通は、雪風と何人かを同行させてくれるらしい。姉の川内が敵の中枢艦隊と交戦中だからどちらにせよ援護する必要もあり、二手に分かれて行動することになった。
生まれたばかりの新参に至れり尽くせりで申し訳ないと思いながら、飛鷹にここまで護衛してくれたことにお礼を言って別れ、雪風とその姉妹艦である時津風、天津風と共に再び海上を駆け始めた。
次回はショートランド所属の艦娘と某イベントのラストボスを登場予定です。序盤では一番描きたい場面が出てくるので、次回は急いで書き上げることになると思います。
あと、少しお知らせです。実はタグとして載せるのを忘れていましたので、今更ですが『自衛艦これ要素あり』を追加します。
番外編追加するならどれ?
-
オリジナルキャラ視点
-
未登場の原作キャラ視点
-
大和視点