あなたは今幸せですか?   作:怠さの塊

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HF特番観ながら仕上げました。
stay nightシリーズはさくらが一番好きです。
まあ、どうでもいいけど今回は千聖さんメインの作品です。
もしかしたら、もう一つ巴さんメインで書いて出すかもしれません。



1話

「おはようございます」

 

「おはよう。ユウヤ君」

 

スタジオにいるスタッフさんに挨拶をしていく。

仕事柄として挨拶はとても大切なものをだった。

撮影の機材を準備しながら手早く段取り確認しながら進めていく。

 

「おはようございます。今日はお願いします」

 

「ユキさん今日は撮影の方お願いします」

 

「準備は出来た?」

 

「ハイ。出来ました」

 

「じゃあ、試し撮りするから被写体よろしく」

 

カメラの前に立ちユキさんがカメラテストを兼ねての撮影を行っていく。すると、扉が開き今日の主役が登場した。

 

「失礼します。今日はお願いします」

 

「よろしくお願いします。パスパレの皆さん」

 

今日はパスパレの皆さんの撮影だった。

自分はユキさんのカメラアシスタントとして、働いている自分は常にやることを探し回っていたが撮影が始まるとユキさんの撮影を見ながら色々と勉強をしている。

フリーのカメラマンとして働いているユキさんは写真集を出したり雑誌の撮影など多岐にわたる仕事をこなす人だった。

 

「おはようございます。皆さん、今日はお願いします」

 

「おはようユウヤ君 今日はお願いね」

 

「白鷺さん お久しぶりですね。最近は、ドラマに映画に引っ張りだこで大忙しのようですね」

 

「ええ、おかげで自分の時間も作れはしないわ」

 

「忙しいことは良いことですよ。仕事があるってことですから」

 

「あなたもそうでしょう。ユキさんは有名なカメラマンだからアシスタントの仕事も大忙しでしょ」

 

「まあ、慣れたらどうってこと無いですよ。それに働く分だけカメラマンとして勉強させてもらえますから」

 

「あなたはいつ独立するの?」

 

「さあ 自分の技量に満足したらですかね?」

 

「いつ満足するのかしらね?」

 

「そんなことより撮影始まるみたいですね」

 

「そうね、じゃあ 行ってくるわ。あ、そうだ この後みんなでお昼を食べに行くのだけどあなたはどうかしら?」

 

「逆ナンですか? 随分と積極的ですね」

 

冗談めかしに言うと彼女は振り返ってウィンクをしてきた。

その姿にドキッとして顔が熱くなり視線を思わず逸らす。

その顔は本当に反則だと思う表情をしていた。

 

撮影の最中はユキさんの技術を盗んで自分の物にするためにずっと集中していた。

 

「彩ちゃん 表情硬いよ。スマイル スマイル 」

 

「ひゃ、ひゃい」

 

丸山さんの撮影は難航していた。

緊張していた丸山さんがいつまでも硬い表情のままでなかなか自然な笑顔にならなかったからだ。

 

「丸山さん、最近学校の方はどんなですか?」

 

「え、学校? 学校は最近テストで数学が赤点で追試だったんですよ」

 

「追試ですか、災難でしたね 」

 

目に見えて肩を落として悲しんだ様子を見せる丸山さんにここで一つ笑って貰おうと考えていた。

 

「そうなんですよー。それに先生に日頃から仕事で忙しいのは仕方ないけどちゃんと自習しないからだって怒られたりして、とっても大変だったんですよー」

 

「俺も最近仕事先でやらかしたんですよね。何も考えずに撮影の準備してたんですが思いっきり転んでしまったんですよね。慌てて起き上がったはいいんですが、今度は思いっきりライトに頭ぶつけてしまってスタジオの皆さんに笑われてしまいました」

 

「え、大丈夫だったんですか?」

 

「まあ、怪我はなかったんですがホントその場所では顔あげれなかったですね あまりにも恥ずかしくて」

 

そんな話をしているとユキさんが無言でシャッターを何枚か切った。

どうやら思惑通りに事が運んだらしい。

 

「彩ちゃん今の笑顔は自然でよかったよ それにユウも流石 彩ちゃんの笑顔を引き出せたね」

 

「いや、上手くいって良かったです これで笑わなかったら俺が恥ずかしい話をしただけになりますから」

 

モデルの笑顔を引き出すのも仕事の内だと割り切って恥をかいた話をしたが成功してよかった。

周りを見ると笑いを堪えているスタッフさんが何名かいて俺が見ると目を逸らした。

やはり、ただ恥を晒しただけだったのかもしれない。

 

 

「ユウヤ君行くわよ」

 

片付けをしていると、白鷺さんが声をかけてきた。

ユキさんに確認を取ろうと思いユキさんを見ると、手招きをしていたので向かうと

 

「いってらっしゃい あと、これ お小遣い」

 

「給料貰ってるから大丈夫ですよ 」

 

「いいからいいから。これは姉ちゃんの気持ち同世代の子達との輪を作っとくべきよ。フリーのカメラマンには人脈は必須なんだから。それに、異性のそれも同世代のそれも有名なアイドルバンドの子たちとお食事なんだからさ。可愛い弟分にようやく出来た女っ気なんだからきちんとモノにしなさいよ」

 

「確かに人脈作りは大切ですが、そんなんじゃないですよ」

 

「ええー ホントに? 千聖ちゃんと最近仲良いと思うんだけどなー」

 

「ホントですって、それに人気アイドルですよ。手出しらファンに殺されますよ」

 

人気アイドルが結婚したらそのファンはそれぞれの反応を示すんだからその中の1人が結婚相手に殺意を抱くかもしれない。

それが芸能界の恐ろしいところだ。

半ば強引に渡されたお金を財布に入れて見送られながら昼食に向かうパスパレのメンバーの皆さんと合流した。

 

「で、何処に行くんですか?」

 

「えーっと、何処にしようか?」

 

「ええー彩さん考えてなかったんですか?」

 

「だ、だってーみんなで決めようと思っていたから」

 

「ええっと、どうしましょうか? 今から行くとしたらファミレスとかになりますかね?」

 

「あの、行くとこ決まってないなら良い店知ってますよ。ここから近いイタリアンのお店なんですが、味は保証しますよ」

 

「なら、そこにしましょう ユウヤ君案内お願いね」

 

前にユキさんに連れて行って貰ったイタリアンのお店は静かな雰囲気の漂う知る人ぞ知る名店だった。

味もさることながらアイドルという立場もあるのであまりファミレスなどにしたら騒ぎになるだろうと思って配慮したが正解だったらしい

 

「これは・・・とっても美味しいです!」

 

「それは良かったです。イブさんのお口に合ったようで」

 

「あの、そういえばユウさんっていくつなんですか?」

 

パスタを食べていた丸山さんが急に喋りかけてきた。

口にソースが付いていたので、紙ナプキンを手渡し、口元を指差すると丸山さんは顔を赤くして受け取った。

すると、隣の白鷺さんが肩を叩き紙ナプキンで口元を拭ってくれた。

 

「あなたもよ」

 

その一言とその行動で一気に顔が赤くなる。

その笑顔は本当に反則だろ。守りたいとかそんなレベルの話ではないと思う。

熱くなった顔を冷ますかのように水を煽り顔を冷やす。

 

「ユウヤ君顔真っ赤ー」

 

「揶揄わないで下さいよ 日菜さん それで、丸山さんは俺がいくつだと思いますか?」

 

「えっと、童顔だけど実際働いてるから20歳過ぎとかですか?」

 

「全然違いますよ。俺は今年で16です」

 

「え、嘘 私より年下だったんだ 」

 

「ええー、そんなにお若いのにお仕事してるんですか?」

 

「麻弥ちゃんも彩ちゃんも驚き過ぎだよー」

 

「え、私と彩さん以外驚いてないってことは日菜さんも千聖さんもイブさんも知ってたんですか?」

 

「ええ、私と日菜ちゃんは直接聞いたわ」

 

「私はまだ中学生だったときにユキさんのお手伝いをしているユウさんとは仲良くなったのでその時に知りました」

 

「写真好きなんでユキさんに頼み込んで中学の時には土日にアシスタントとして手伝いしてましたからその時にイブさんと仲良くなりましたね」

 

「今働いてるってことはユウヤさんは高校には通ってないんですか?」

 

「俺は頭悪かったんで受験の時点でだいぶキツイので、諦めました。それに早くカメラマンになりたかったってのが一番大きいですね」

 

学が無いのもホントだし、カメラマンに早くなりたかったから高校にいる時間がもったいないと感じるというのもホントだ。

ただ、ユキさんには高校に通わなかった事についてはとても怒られていた。

 

「それにしてもユウヤさんは暑くないんですか?」

 

大和さんがチラチラとこちらを見たかと思えば気になっていたらしい。真夏日に長袖でいる奴なんて頭が逝かれた奴か訳ありな人しかいないだろうから大和さんの疑問は当然だ。

 

「あれですよ、あれ心頭滅却すれば火もまた涼しって言うじゃないですか。だいたいそんな感じですよ」

 

「ナルホド。それはユウさんも立派な武士という訳ですね」

 

心頭滅却することが武士だという事についてはよくわからないがとりあえずうなづいておく。

 

「あなたそれ意味分かって使ってるの?」

 

「分かりますよ・・・多分ですが、あれですよね。心の持ちよう一つでどんな苦難でもそうは思わなくなる的なやつですよね?」

 

「そうですね。だいたいそんな感じの意味です」

 

「ほら、聞きました。白鷺さん俺当たってましたよ」

 

「ハイハイ、凄いわね」

 

適当に流されてしまい、頭をくしゃくしゃ撫でられる。折角セットした髪型が崩れてしまい慌てて直さないといけなくなってしまった。

 

「それで、ユウヤさんは本当にそんな感じの意味で長袖を着ているんですか?」

 

「まあ、半々ですかね。俺自身が日焼けしやすいんで長袖着てるって話と、別に日焼けがそこまで酷くなる訳でも無いから我慢しなければ半袖着てもいいけどって感じですね。まあ、痛いの嫌だから日焼けはしないようにしてるだけですね」

 

「だから、毎日長袖なんだね。ずっと不思議に思ってたんだー」

 

何度かスタッフさんにも聞かれたことがあったが、皆さんも疑問に思っていたらしい。

 

「まあ、そんな感じですよ。あ、そうだ。皆さんここのデザートのアイスがめっちゃ美味しいんですけどどうします?」

 

「え、アイス?食べたい 食べたい 彩ちゃんも食べるでしょ?」

 

「え、でも日菜ちゃんアイス食べたら体重増えちゃうよー」

 

「大丈夫大丈夫、レッスンしとけば体重も戻るよー」

 

「確かにそうかも、それに毎日レッスン頑張ってるし、今日だって撮影頑張ったから日頃の自分へのご褒美ってことならいいのか?」

 

「彩ちゃん・・・あなたは前のライブ前にも体重が増えて大変だったわよね。ライブも近いんだからもう少し考えて食べてもいいんじゃないかしら?」

 

「まあまあ、千聖さんそう言わずに最近彩さんレッスン頑張ってるからいいじゃないですか」

 

「ハイ、彩さんはホントに頑張ってますよ。昨日だって一生懸命やってましたから」

 

「そうだねーライブも近づいてきたからいつも以上に頑張ってるよねー」

 

「麻弥ちゃん イブちゃん 日菜ちゃん・・・みんなありがとう」

 

丸山さんはとても頑張り屋なんだと思う。

聞いた話では練習生として4年間報われない日々を過ごしていたらしいが、努力が認められついにアイドルとしてデュビーするまでになったくらいだから。

 

「らしいですよ、白鷺さん」

 

「・・・はぁ 分かったわ。ただし、キチンとライブまでに体重は戻しておくことが条件よ。私だって彩ちゃんが日頃から頑張り屋さんな事くらい分かってるんだから」

 

なんだかんだでこの人も丸山さんに優しいんだよなぁと思いながらメニュー表を開き注文をする。

運ばれてきたアイスを食べながらパスパレのメンバー同士の絆を改めて知った気がした。

デビュー当初の写真をユキさんが撮っていて、ライブでの当て振りと口パクが露見した時にはどうなるかと思っていたが、あの事件を乗り越えて固い絆で結ばれた5人はさらに人気になっていった。

 

 

 

「「「「「御馳走様でした」」」」」

 

「気にしないで下さい。元々、ユキさんがくれたお金なんでお礼はユキさんに言ってあげて下さい」

 

「でも、とっても美味しかったです!」

 

「ええそうですね。自分もこんなに美味しいパスタ初めて食べましたよ」

 

「喜んでもらえてよかったですよ。皆さん次のライブ頑張って下さいね。応援してますから」

 

「勿論だよ。だから、ユウヤさん?いや、ユウヤ君も観に来てね」

 

「別に今更呼び方なんて気にしないんで好きに呼んで下さい。まあ、時間があったら観に行きますよ」

 

「じゃあ、わたし達こっちの道だからバイバイ 千聖ちゃん ユウヤ君」

 

「お疲れ様でした 千聖さん ユウヤさん」

 

「気をつけて下さいね 千聖さん ユウヤさん」

 

「バイバイ 千聖ちゃん ユウヤ君も」

 

「みんな 気をつけてね」

 

「お疲れ様でしたー」

 

丸山さんたちと別れて白鷺さんと2人で道を歩き出すと、急に服を引っ張られた。振り返ると、無言で手を差し出された。

その手を無言で握り歩こうとすると、無理やり直され恋人繋ぎに変えられる。訝しげに振り返ると嬉しそうな笑顔を浮かべられたので何も言い返せなかった。

 

「エスコート宜しくね」

 

「白鷺さんって絶対に俺の様子を見て楽しんでる節がありますよね」

 

「・・・千聖」

 

「まさか、下の名前で呼べって言ってるんですか?」

 

同意するかのように握られている手に力が篭る。

恥ずかしさとこれをファンに見られたら殺されるんじゃないかという恐怖が絶えず頭をぐるぐると回る。

一向に歩き出そうとしない白鷺さんの隣で決心というか諦めというのかよくわからないがやる事は決まってしまった。

 

「千聖さん 早く行きましょうよ。ご両親が心配してますよ」

 

その一言を言うだけで再度顔が熱くなる。

その様子を見た千聖さんがまた笑い出した。やはり、この人は俺で遊んでる気がする。

 

「そうね、あなたの事を家族に紹介しないといけないものね」

 

「はぁ、冗談はほどほどにしで下さいよ」

 

「あら、わたしは本気よ。いつかあなたをモノにするわ」

 

「それ意味分かってます?告白ですよ告白。本気で言ってます?」

 

「ええ、いつか本気であなたを振り向かせてやるわ」

 

そう言って、千聖さんの顔が近づく。

千聖さんの匂いが広がって、影が重なる。

 

「これが、私が本気だって証拠よ。理解してくれたかしら?」

 

「ファーストキスはもっと大事にして下さいよ。それより、早く行きますよ」

 

繋いだ手を離さぬまま帰路に着いた。

その日の夕焼けはいつも以上に綺麗に見えた。

きっとこれは大切な人と見る景色だからこそなのかもしれない。

 

 

 




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