あなたは今幸せですか?   作:怠さの塊

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何だかんだで続けてます。
最近は色々あってモチベ下がりまくりなんで頻度が落ちるかもしれませんが月一投稿は頑張るつもりです。


2話

目覚ましの音が鳴り響き、目が覚める。

スマホの画面では午後8時を示していた。

シャワーを浴び、目覚めた頭でスケジュールを確認しながら2人分の朝食を作っていく。

その後、自分の部屋の隣にある個室のドアをノックしてこの部屋の主人を起こさなければならない使命が残っていた。

 

「ユキさん早く起きて下さいよー。今日は、10時半にはスタジオ入りしないといけないんですからねー」

 

「あと、5分ー」

 

「甘えた事言ってないで、早く起きて下さい。ご飯冷めちゃいますよ」

 

やがて、何かを引きずるゆうな音共にドアが開かれ這いつくばりながら現れた。

不謹慎ながら長い前髪で顔が隠れていたため、まるでその姿はテレビから出てきた貞子そのものにしか見えなかった。

 

「ごーはーん」

 

「ハイハイ、サッサと顔洗って来てください。あと、女性なんだからもう少しちゃんとした姿で部屋から出てきて下さいね」

 

再度、這って洗面台に向かうユキさんを横目に手早く自分とユキさんの分を準備してテーブルに置き、湯を沸かす。

 

「おはようーユウヤ。今日は、カレンダーの撮影だったかしら?」

 

「はい、その後に次の展覧会の打ち合わせです」

 

「その打ち合わせはわたしだけで行くから、ユウヤはカレンダー撮影の後はフリーでいいよ。次のフォトコンテストも応募してるんでしょ。だから、写真撮ってきなよ」

 

「助かります。まだ、良いと思う写真撮れてなかったんで」

 

「可愛い愛弟子兼弟なんだもんそれくらいの後押しはするわよ。それに、私の展覧会の話は聞いてても参考にならないでしょ」

 

この人はこういう時に確信突いてくる。

打ち合わせなんか聞いても何の得にならないと常々思っていることだった。

 

「まあ、誇らしいとは思いますけど俺の成功では無いですからね。つまらないのは確かですね」

 

「素直だねー。まあ、そういう所もあるからこんなにも好きなんだけどね」

 

頭を撫でられ抱きしめられる。

いい大人なのだからこういうことは控えて欲しいと何度も言っているのにこれだ。

大人として女性として慎みを持って欲しい。

 

「あー、はいはい そうですねー俺もユキさんのこと大好きですよー。ああそれと、ユキさん今日デートですよね。俺は外で食べてくるのでごゆっくりしてきて下さいね」

 

先程まで頬擦りしてた顔が真っ赤になり開いた口が塞がらない様子から察するに知られてないつもりだったのだろう。

 

「え、なんで知ってるの?」

 

「さあ、なんでですかね?」

 

惚けて首を傾げる。

ユキさんの喜ぶ物などの情報提供者としてそこら辺は内緒にしておきたいから惚けて誤魔化す。

 

「そんなことよりも、早く食べて準備して下さい。カメラマンが遅刻なんて笑い話にすらなりませんよ」

 

顔を赤くしたユキさんはそれ以上追求することなく黙々と準備していく。

その間使い終えた皿を洗い時間を潰し準備を終えるの待つ。

 

「終わったよー。じゃあ、機材持って車で移動しよっか」

 

撮影機材をトランクに詰め込み助手席に乗り込む。

スタジオまで距離がそこまで離れている訳では無いが、1時間前には入り準備を終わらせておく必要があった。

 

「それにしても暑いねー。これも地球温暖化のせいなのかな?」

 

「ただ、今日がいつもより暑いだけな気もしますけどね」

 

車内でクーラーが効き始め、快適な温度になると共に過ごしやすい空間に変わる。

 

「今日は飲み過ぎないで下さいね。介抱する身にもなって欲しいので」

 

「そ、そんなに呑んでないよ」

 

「前にベロンベロンになるまで呑んで翌日二日酔いだった人は誰でしたかね?」

 

「し、知らないなぁ」

 

まあ、別に二日酔いで頭痛かろうが俺には関係ないからこれ以上は何も言わなかった。

車が信号で止まるタイミングでちょうどスマホの着信音が鳴り響き慌てて取ると最悪な知らせが届く。

 

「ユキさん行き先変更して、予定してたスタジオでトラブルがあったみたいだから事務所と併設のスタジオ使うらしい。モデルさんはもう着いてるみたいだから」

 

「はぁー!今連絡する普通?もうとっくに向かってるのに。しかも事務所って反対側じゃん。本当に最悪」

 

通話を切ってなかったため荒れた声が先方に聴こえないか不安になりそうになる。

 

「とりあえず、今から向かうことは伝えておきます。遅れることも考慮して欲しいとは伝えますから今は押さえて下さい」

 

頷くユキさんを横目に電話相手に連絡だけはして、通話を切る。

横では不機嫌になったユキさんが居るものだから居心地が悪くてしょうがなかった。

 

「とりあえず、展覧会の会議も遅れるかもしれないと先方には連絡しときます。撮影がどれだけ伸びるか分からないので」

 

「お願い」

 

ムスっとした表情で返事をするユキさんをスルーして出版社に電話をすると、会議の時間を送らせることを伝えて会議の時間を送らせてもらいスケジュールの調整を行う。

たまにこのような伝達ミスがあると予定が狂うためスケジュール調整は大変だが今日は仕事が少なくてよかった。

酷いと繰り下げ繰り下げで予定時間は大幅にずれていただろう。

引き返した車が事務所に着く。

慌てて荷物を取り出して併設のスタジオに急ぐ。

中には既にモデルとそのマネージャーは既に待機済みで1番最後に来たのが自分達のようだった。

 

「すいません連絡が遅れました」

 

「今度から連絡はしっかりお願い致します」

 

「すいません」

 

平謝りするスタッフが去った後に慌てて準備を始めると後ろから抱きしめられた。

 

「もう可愛い顔してるなあユウヤ君」

 

「そりゃあどうも。ところで邪魔なんで抱きつくのやめてもらえますか?」

 

「あーもう可愛い。飼いたいくらい可愛い」

 

 

全く話を聞いていないモデルが抱きしめて頬ずりしてくるのを鬱陶しく思いながら手を外して早く準備を終わらせる。

試し撮りを行なってから早速カレンダー撮影を行っていくがやはり、

カメラマンもモデルもプロなのだから撮影は手早く進み直ぐに終わった。撮影した写真の確認をユキさんがしてる間に車に荷物を積み込み自分の荷物を取り出していると、先程の頬ずりをしてきたモデルの女性が出てきたので一応礼儀として挨拶をした。

 

「お疲れ様でしたー」

 

「ユウヤ君これからご飯どう?」

 

「えー勘弁して下さいよ。俺今日は」

 

「私とデートの予定だものね」

 

予定があると言い切らないうちに横からそう言われた。

この声は聞き覚えがあり、つい先日に触れ合った唇の感触を生々しいほどに脳裏に焼き付けていった彼女しか思い当たらなかった。

 

「あら、元人気子役で今は現役人気アイドルの千聖ちゃんが男の子とデートしてるなんて知られたら大変なことになるんじゃないかしら?」

 

「お気遣い感謝します。けど、私はユウヤ君とパスパレの両方を取るつもりなので貴女には関係ない事ではありませんか?人気モデルの寺島マイさん」

 

女同士の舌戦が巻き起こり、辺りは真夏日から極寒の八寒地獄と化した。

恐ろし過ぎて言葉も出ないなかスマホに送られてきたメッセージを見ると、ユキさんからのメッセージだった。

千聖ちゃんにユウヤが午後から休みだってこと伝えたから2人でデート楽しんで来てね♡

朝弄ったことを根に持っているとしか思えないその気遣いのおかげでこの辺りは極寒の修羅場と化しているというのになんとも悪意100%のメッセージを送ってくるんだと心の中で文句を言った。

凄まじい舌戦が繰り広げられる中存在すら信用していない神に心の底から事態の収拾を願うしかなかった。

 

ーーーーーーー

 

 

「じゃあ、タクミ君行きましょう?」

 

激しい舌戦に勝利した千聖さんにお持ち帰りされる形で手を引っ張っられていく。

もう、俺の意思なんて聞いてもらえないものだと諦めるしかなかった。

 

「なんで居るんですか?今日平日ですよ。まさか天下のアイドル様がサボってるんすか?」

 

「あら、そんな訳無いじゃない。今日は朝から仕事がありますとちゃんと連絡したわ。仕事は午前中だけだっただけどね」

 

「午後からも行かない時点で立派なサボりじゃないですか。留年しますよそんなんだったら」

 

「大丈夫よ。留年しない程度に出席日数は数えてるし、なにより留年したら私の経歴に傷が付くもの」

 

嗚呼、この人はこんな人だった。

自分の得になることを選ぶ、良くも悪くもリアリストなんだ。

 

「以外っすね。一時期はパスパレを脱退するとも考えていた人が今ではアイドルとしてメンバーと頑張っているんですから」

 

「そうね。昔の私なら仲良しごっこなんてせずに自分の為になることだけをしていたのだけど、彩ちゃんとみんなのおかげかしらね」

 

そう笑顔で言う彼女はあの激しい舌戦の中俺とパスパレ両方を取るとまで言ったことが1番意外ではあるが今の顔を見てたらその事も言えなかった。

幸せそうな彼女の手を握り直し、恋人繋ぎにすると思いの外予想外だったのか顔が赤くなった。

 

「千聖さん飯食い終わったらデートがてら自分の写真撮影に付き合って貰えませんか?コンテストに提出する分の写真まだ撮ってないので」

 

キザな言い回しでもないし、全くと言っていいほどカッコよくもない。けれど、自分なりにデートに誘う口説き文句としては本当に最低なものだった。

そのせいか千聖さんに今現在笑われる始末だ。

 

「なんて言うか貴女らしい誘い方よね。じゃあ、愛しいユウヤ君からのお誘いだものエスコートは頼めるかしら?」

 

「笑わないで下さいよ。女性をデートに誘ったのはこれが初めてだし何より千聖さんみたいな美人を誘う口説き文句なんて考え付かなかったんですから」

 

デートに誘うような彼女なんて居たこともないし、何より友達が居ない俺はどうしてもこういった方面は疎いから仕方ないとしか言えなかった。

握り合った手を離さないよう歩き始めると自然と肩が触れ合い距離が近くなる。

初めてのこの距離感に幸福感と共に劣等感を感じてしまうのは何故なんだろう。

 

「千聖さん」

 

「何かしら?」

 

「俺その内千聖への答え出します」

 

「そう」

 

その返事の瞬間少しだけ千聖さんが握る力を強めた。

まるで俺が何処かへ行くんじゃないかと心配するような瞳で見つめられるがそれに対して笑顔を向けると少しだけ安心した顔をする。

いつかは知られてしまう事もその事が原因で避けられる事も目に見えている。

だから居ると信じてもいない神様に願うしかなかった。

 

 

 

どうか今だけは俺からこの幸福を奪わないで下さい。

俺は今幸せだから。

 

「てか、なんで俺が午後から空いてて事務所居るって知ってるんすですか?」

 

「ユキさんと連絡を取ってるからよ」

 

「嘘だろ」

 

こっちがユキさんのお相手と連絡を取るようにユキさんも千聖さんと連絡を取っていたという事実に驚きを隠せなかった。

してやったりと笑うあの人の顔が思い浮かぶのは今回ばかりは仕方ないと溜息が出た。

 

 




どんなにいちゃついてもまだ主人公と千聖さんは付き合ってすらいない事実これからどうなるかはまだ考えてすらいない勢いだけの執筆です。

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