青き稲妻の物語   作:ディア

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青き馬、1世代上の皐月賞を見る

~皐月賞当日~

そして…それから数週間が過ぎ大波乱となる皐月賞の本馬場入場が始まった。

【朝日杯FS2着、共同通信杯1着、スプリングS2着と善戦、その名前もサードメンタル!現在3番人気です!】

『こいつは血統面で言えば間違いなく中距離があっていそうだな…天皇賞秋馬と秋華賞馬が両親…対抗だな。』

 

【1番人気は2歳GⅠのポープフルS、そして前走スプリングSを勝ち、現在無敗のトロピカルターボ!】

『ポープフルSって…偶数年でないと縁起が悪いはずじゃないのか?』

実際その通りであり偶数年のポープフルS(ラジオたんぱ杯)を制した馬は変則三冠馬ドラグーンレイトや無敗の皐月賞馬アグネスタキオンなど様々なGⅠ馬が制している…だが奇数年になるとそのレース以降GⅠは勝てなくなるというジンクスがある。

 

【続いて牝馬で唯一皐月賞に出走する馬…リセット!なんと前々走は3歳の新馬戦、そして前走は若葉S…どちらも勝っており現在2番人気です!】

『しかしこのリセットって牝馬も気になるな…2戦2勝と戦績の数はイマイチだが皐月賞トライアルの若葉Sを勝っている…パソコンでも使えれば良かったんだが…流石に無理だな。武田のおっさんも橘もいない以上は考えるしかないか。』

 

【そして4番人気は悲劇の弥生賞を制した馬、トーマ!】

『あの弥生賞か…ベネチアライトがいない以上はそうなるか…』

 

【おっと?トロピカルターボ、ゲートインを嫌がっています…ああ、大丈夫です。ゲートに入りました。さあ皐月賞スタート!】

 

【トロピカルターボが出遅れ、最初に先頭に立ったのはベネチアライトの元主戦騎手の柴又騎乗のリセット、5~6番手にサードメンタル、11~12番手にトーマ、そして最後方に無敗のポープフルS馬トロピカルターボ…有力馬達がバラバラに進んで1000mを56~57秒で通過…これはハイペース!明らかにハイペース!前の馬にはかなり厳しい展開でしょう…】

『おいおい!速すぎだろ!?』

余りのハイペースにボルトですらそう言わざるを得なかった…というのもこのレースはこれまで見た中でもっとも速いペースで走っていたからだ。

 

【さあ最後の直線!リセット先頭、リセットだ!牝馬のリセット先頭!】

『まさか…!』

【どうした!?リセット以外全頭ヨレた!】

それはカブラヤオーの日本ダービーを見ているようだった…そのレースは直線に入ると全頭がヨレてカブラヤオーはそのまま誰にも差されることなく先頭でゴールした…

 

だが今回のレースで決定的に違うのは牝馬が先頭であること。

そしてその牝馬は全くと言っていい程ヨレていない。

 

…おかしいと思っても仕方ない。むしろ正常なので病院へ行く必要もない。おかしいのはこのリセットだ。

 

【なんということだ!牝馬のリセットゴールイン!72年ぶりの牝馬の皐月賞馬が誕生した!】

『…』

そして伝説はここから始まった…

 

リセットの新馬戦は去年行われたものではなかった…今年の3月2週の土曜日…悲劇の弥生賞の前日がデビューだった。

 

~3月2週土曜日~

 

【逃げ切った!リセット一着!なんとコースレコード!】

柴又はリセットの新馬戦でコースレコードを出したのだ。しかも逃げ切ってだ。

「(これは凄い…!ベネチアライトにも使えるんじゃないか?)」

柴又はそう思い、ベネチアライトとリセットを同一に見てしまったのだ…それがベネチアライト故障の原因だった。

 

「柴又君、次走は若葉Sだ…わかっているね?」

若葉Sは3月の4週の土曜日に行われる皐月賞のレーストライアル…つまり牝馬限定レースの桜花賞に向かわず牡馬がいる皐月賞を狙おうとしていたのだ。

「えっ?しかし、あの馬は牝馬ですよ?」

当然柴又はきつすぎるローテと牝馬の皐月賞馬が半世紀以上いないというジンクスもあり無理だと聞き返すが…

「あんなレースを見せられたら流石に牡馬クラシックに出してみたいと思うだろう?」

馬主はその圧勝ぶりに惚れたのかそういった、

「…わかりました。(プレッシャーかかるな…)」

 

~二週間後~

そしてそれから二週間が経ち…土曜日…若葉Sのレースが始まり、最後の直線となった。

【リセット!リセットがまだ先頭!ここから伸びるぞ!リセットさらに突き放す!リセット一着でゴールイン!リセット今度は二着に大差をつけて圧勝!】

「リセット…まさしくそうだな…お前の名前がようやくわかったよ。」

柴又はリセットという馬に縁を感じた。リセットはセリで提示額の100万で売られ…血統、馬体ともに幼少時のシアトルスルーやサンデーサイレンスのように決して褒められたものではなかったが故の値段だった。

 

リセットの父ファイナルキングはダート馬で地方の種牡馬だ。母親も地方馬だが未出走の馬で走れるとは言い難い馬体だった。それもそのはず…リセットの母父にあたる馬は超一流馬ディープインパクト…の代用としてマイラーのダイワメジャーだった。

 

ダイワメジャーはマイル馬としては一流だが無敗の三冠馬ディープインパクトに劣るという印象があり少なくともマイル…しかも地方特有ダートの競馬場で到底走るとは思わなかったのだ。事実、ダイワメジャーの産駒は短距離やマイル路線しか活躍していない。

その上リセットの母は調教途中に骨折してしまいそのまま未出走で繁殖牝馬となりリセットの他にこれまで4頭の馬を生み出したが…どれも馬体と態度だけがデカく優秀とは言い難い成績だった。

 

「リセット。ベネチアライトに騎乗したのはいいが故障させてしまい、馬主さんの信頼も落ちてしまった…そんな俺をリセットしてくれるんだな?」

ベネチアライトの故障によって不名誉な名声を得てしまったがリセットに励まされた気がした…自分に乗って名誉挽回して欲しいと…

 

リセットの馬主はリセット自身の身体に不安要素があり故障してもリセットの父父…トウカイテイオーのように復活して欲しいと願いリセットと名付けた。

 

こうして三歳牡馬クラシックに一頭の牝馬リセットが有力馬として上げられ…ついに皐月賞馬となった。




Wikipediaでラジオたんぱ杯→ポープフルSと変わっていましたのでこちらもポープフルSに変えました…
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