青き稲妻の物語   作:ディア

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今回は短いです…おまけに矛盾点もあると思いますがそこのところは勘弁してください…


青き馬、ライバルの姿を知る

「あの馬は凄い。」

ぽつり、牧場長が呟いた。通常馴致にはかなりの時間がかかるがクロスはそれをあっという間に終わらせてしまった。それどころか2000mを2分台で駆け抜ける力を当歳で持っていた。メジロブライトは2歳(旧3歳)になっても1800mを2分過ぎるような馬で、中にはそういう馬もいる。当歳でその馬達をぶっちぎれると考えると期待せずにはいられなかった。

 

「勝負根性と瞬発力、ピッチの回転、ストライドの大きさ…どれも武器になるよな。」

クロスは当初、同世代の馬と馴染むことがなく馬に怯え、競り合いに負けるかと不安だった。しかし逆に睨みつけて上の世代の馬に自分がリーダーだと言わんばかりに先頭に立ち続け勝負根性を示した。

瞬発力とピッチの回転は風間牧場にある坂路で鍛えていた。だがそれでも上の世代を抜かすことは不可能だ。牧場長は知らないがクロスはこっそりと抜け出し山を駆けている。そのため足腰が強く坂を登るパワーも付いている。

そしてストライドもストレッチをして身体を柔らかくしている為、体勢が多少崩れてもバネのように跳ぶ事が出来る。

そして牧場長は考える。…風間牧場が誇る現役最強のあの馬ならばクロスの相手でも問題ないと。

 

 

武田の説得により、クロスは風間の許可を得て一緒にDVDを見ることになった。

「あの赤い馬がカルシオ18です。」

テレビの中でも一際目立つ栗毛をさらに赤くしたような小柄な馬を武田は指さした。

「こいつは…赤兎馬か?」

「ええ…ただでさえディープの最高傑作と評判高いのにこの毛色のおかげで話題沸騰ですよ。」

『実力がなければ意味なくね?』

「もう既に馴致を終え、数多くの馬と併せ馬をしています。」

 

「あ~…そう言えばカルシオ18の馬主は服部の奴だったけか…」

『服部…服部交易カンパニーか!』

服部は競馬界一の金持ちで風間牧場とは比較にならないほどの牧場を所持しており、その牧場には坂路をはじめとした調教施設が整っており、多くの調教師もそこを使わせてもらうくらいだ。

 

「今回、カルシオ18とマッチレースをするのは今年の朝日杯FSを7馬身差で勝った超期待馬ベネチアライトです。」

「ベネチアライトだと!?」

「風間さん落ち着いて…ベネチアライトが得意とする1600mでマッチレースをするんですが…」

『ですが?』

「後半の部分をしっかりとみてください。」

「わかった。」

 

『おん?出遅れたぞ?』

カルシオ18が出遅れてしまい、クロスは思わず口にだしてしまった。

 

800mを過ぎて…ベネチアライトとカルシオ18の差はかなり開いていた。

『おいおい…もうあんなに差が開いているぞ…』

「差は20馬身と言ったところか?」

これはかなりなんてものではなく、もうバカペースと呼んでもいい位だ。

「ええ…ここからですよ。」

武田がそう言うと一気にカルシオ18がベネチアライトの差を詰めて、残りの直線では20馬身もあった差が8馬身差まで減らされていた。

「しかしこれには流石に届かないだろう…?」

だが直線で8馬身差というのは大きい差だ。これで勝てるのは差をつけた馬が余程ばてたりしない限りは無理だろう…その上ベネチアライトは二の脚を使って差を広げようとした…

「私もそう思いましたがあの馬は規格外の馬です。」

カルシオ18は蜂にでも刺されたかのようにベネチアライトを捉え…そして9馬身差をつけて決着がついた。

 

『おいおい嘘だろ…』

クロスは人間の時に競馬場に行って見たがあんな差をつけられてから追いついて更に差をつけて勝った馬は見たことがない。それ故の発言だった。

「…」

風間はそのスピードに唖然してしまった。

「ちなみにカルシオ18のこの時の上がり3Fのタイムですが29.5です。」

「29.5!?」

 

ここで上がり3Fのタイムで29.5がどの位速いか説明しよう。カルシオ18の父ディープインパクトの3Fの平均タイムは33~4秒台、日本ダービー史上最速の上がり3Fですら32.7。そしてフランケルが現れるまでの間国際レーティング歴代1位だったダンシングブレーヴの末脚ですら30~1秒台である…いかに30秒を切っていることが化け物かよくわかっただろう。

 

「このことから和製シルキーサリヴァンと呼ぶ人も多く、話題になっています。」

 

シルキーサリヴァン 戦績27戦12勝

 

その馬は1100mの新馬戦で途中で馬群から20馬身も離れたのにも関わらず一着をとって有名になった馬だ。1100mと言えば短距離である…人間で言うなら200m以下の競走と思ってくれればいい。そのレースの前半のほとんどを軽く流し、一気に追い込んで勝利したというふざけたことをしたのだ。それが彼のレーススタイルでレースでは毎回やっていた。その追い込みのみで12勝もしたのは驚愕以外の何物でもない。彼がそんなレーススタイルを行ったのは彼の呼吸器に異常があり、それを自覚していたのが原因だと考えられる。

 

しかしカルシオ18はそんな異常は見られずあえてあのレーススタイルでやったのだ。

 

「なるほど…俺が命名するならサリヴァインパクトってところだな。」

「このクロスの名前は?」

武田がそう言って風間にクロスの競走馬名を尋ねる…大体風間の場合ノリで決めることが多いが故の武田の判断だった。

「そうだな…最近なんかこいつの顔の模様が雷のように変わってきたし…決まった!ボルトチェンジだ!」

「ボルトチェンジですか…いい名前ですね。」

「そうだろう?」

そうしてクロスの競走馬名はボルトチェンジに決まった…

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